#contents() ---- *ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 【ぜるだのでんせつ むじゅらのかめん】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B000069RYW)|&amazon(B000092P6R)| |対応機種|ニンテンドウ64|~|~| |メディア|256MbitROMカートリッジ|~|~| |発売元|任天堂|~|~| |開発元|任天堂、エスアールディー|~|~| |発売日|2000年4月27日|~|~| |定価|単品:5,800円&br()メモリー拡張パック同梱:7,800円|~|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2009年4月7日/1,200Wiiポイント(税5%込)&br()【WiiU】2016年6月29日/1,234円(税8%込)|~|~| |周辺機器|''要メモリー拡張パック''|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|ホラーでパラレルな異質の雰囲気&br;クセの強い3日間システム&br作り込みの深さは前作にも劣らない|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ゼルダの伝説シリーズ]]''| ---- **概要 前作『[[ゼルダの伝説 時のオカリナ]]』の直接の続編((ゼルダシリーズはいずれも同一の世界観を舞台にしているが、直接の続編と明言されている作品は少ない。))である、3Dゼルダの第2作。~ 前作と同じシステムやフォーマットを使用している他、ストーリー的にも前作のエンディング後((時のオカリナ以降の時間軸では「リンクが負ける」「リンクが勝つ」「リンクが勝つが子供に戻り、ガノンドロフの野望を未然に防ぐ」の3つで世界が分岐し、本作は最後の分岐パターンの話。))の物語になっている。 //ゼルダ作品の中で珍しく主人公であるリンクが他作品(『[[ゼルダの伝説 時のオカリナ]]』)と同一人物の設定となっている。 //神々と夢をみる島のリンクも同一人物では? ---- **ストーリー >時を越えガノンドロフとの死闘を終えたリンク。~ 過去に戻った彼はゼルダ姫に別れを告げ、冒険の終わりで別れた友を探す旅に出た。~ エポナに乗って静かな森をさまよっていると、突然2匹の妖精が現れてエポナを脅かし、リンクは振り落とされて気絶してしまう。 > そこに奇妙な仮面をかぶったスタルキッドが現れる。スタルキッドはリンクの持つ「時のオカリナ」を奪い、エポナに乗って逃走する。~ 追いかけたリンクは一度は追いついたものの、仮面の魔力でデクナッツの姿に変えられてしまい、結局スタルキッドを取り逃がしてしまった。~ そんな中で置いてきぼりを食らってしまったスタルキッドの相方の妖精「チャット」と利害が一致したリンクは、協力してスタルキッドを捜索する事になる。 > >そうしてリンクがたどり着いたのは、あと3日で月が落下して滅亡する運命の異世界「タルミナ」。 > >3日間の時間制限付きという異例の条件の下、「時のオカリナ」の力を借りて時を巻き戻しつつ、リンクはタルミナを襲う異変の元凶を突き止めるべく奔走する。 **主な新要素・特徴 ''3日間システム'' -本作ではプレイ中、現実の時間経過に伴って作中でも常に時間が経過しており、現実での45秒がゲーム内での1時間となる(ただし会話ウィンドウ表示中やメニュー画面では時間は止まる)。ゲーム開始から3日が経過する(初日の午前6時に始まりるため、3日目の午前6時がタイムリミットとなる)と空から月が降ってきてゲームオーバーとなる(最後にセーブした地点まで戻される)。 -しかし時のオカリナで「時の歌」を奏でることによって、時間を1日目の朝に戻せる。時の歌を演奏すると、入手した主要アイテム(弓やフックショット、仮面等)は保持されるものの、それ以外の消費アイテム(矢やバクダン、銀行に預けていないルピー等)は失われ、サブイベントの進行状況やダンジョン内の仕掛けもすべてリセットされる((ただし一度クリアしたダンジョンは入り口にボス部屋へのワープが現れ、ボスを2回倒してもハートのうつわは取得できない等の違いもある。))。同時にセーブもされる。 -このため、「時の歌」を駆使して何度も同じ3日間を繰り返し、限られた時間の中で少しずつ物語を進めながらエンディングを目指すというのが本作の基本となる。 ''クロックタウン'' -本作では最初に訪れる「クロックタウン」という大きな町を拠点として、周囲に広がるタルミナ平原や、そこから東西南北につながるエリアとダンジョンを探索することになる。 -クロックタウンに住むNPCたちは時間や日時に応じて各自で行動している。ゲーム進行に必須でないサブイベントの数も非常に豊富で、住民のタイムスケジュールやサブイベントのクリア履歴は「ボンバーズ団員手帳」というアイテムに記録される。 ''仮面・お面システム'' -本作のキーアイテム。「仮面」をかぶるとデクナッツリンク・ゴロンリンク・ゾーラリンクに変身できる。変身中は基本的にアイテムを使えなくなるが、固有のアクションが使用可能。 --身軽なデクナッツリンクは水面をジャンプしたり花から飛び上がることができる。巨漢のゴロンリンクは岩を壊したり丸まって高速で移動できる。ゾーラリンクは泳ぎの移動力が上がり水中でのアクションの幅が広がる。 --当然、これらの変身をアイテムとともに駆使して、ダンジョンの謎を解いていく必要がある。 -性能が変化するだけではなく、ゾーラやゴロンは大人なので門番等とも対等に話ができる。デクナッツや普通のリンクは子供なので同じ子供に人気がある、といった小ネタも。 -他にも様々な効果を持つ「お面」が存在し、サブイベントによって入手できる。クリアには必須ではない収集要素だが、移動が速くなる「ウサギずきん」や、ゴシップストーンからヒントを貰える「まことのお面」など攻略の助けになるものもある。 ''高い難易度と密度の濃いダンジョン'' -『時のオカリナ』の直系の続編ということもあり、前作をプレイ済みであることを暗黙の前提としているのか、全体的な難易度はシリーズの中でも高め。 -メインのダンジョンは4か所で、前作(9か所)に比べると一見少ないが、メインのダンジョンに先立って訪れるサブのダンジョンが多く用意され、また一つ一つのダンジョンは大規模かつ完成度が非常に高く、総合的なボリュームは前作に劣らない。 --いずれのメインダンジョンも、ダンジョン全体の構造をダイナミックに変化させる大掛かりな仕掛けが用意されているのが特徴。特に4つ目のメインダンジョン「ロックビルの神殿」の変化はインパクトが強い。 --ダンジョン数が少ないため、メインストーリー進行に伴い自然に入手できるハートの器がシリーズ他作品に比べて圧倒的に少なく、これも難易度が高めな一因。 ---その辺への考慮か、奈落に落ちたりしてもダメージを受けなくなり、全体的に敵から受けるダメージも減っている。またライフがゼロになってもゲームオーバーにならずダンジョンの入り口に戻されるだけで済む。 ''ホラー風の演出とオリエンタルな世界観が合わさった異色の雰囲気'' -本作の世界観はオリエンタルでごった煮なもの。街もダンジョンも自然を生かした非常に個性豊かなデザインで、王道的な西洋ファンタジーの要素が強かった前作とは対照的。 -また「''今度のゼルダは、怖さがある''」というキャッチコピー通り、全編通してホラーチックな独特の雰囲気が演出されている((ただし前作『時のオカリナ』でもホラーチックな雰囲気や演出は多かったため、作風が変わったというより、演出の方向性が特化されたというと言うべきだろう。))。 -これらの融合により醸し出される「原住民が崇める仮面に秘められた呪いの伝承」といったイメージの作風は、シリーズ内でかなり異色である。 #region(-CMからして怖い) &youtube(http://www.youtube.com/watch?v=TSHLOjDxwEI) #endregion -仮面をつけて変身する際に流れるムービー((2回目以降はスキップできるものの、初回に変身する際は必ず見ることになる。))に至っては、リンクの表情はホラー映画そのもののおぞましさ。とても攻略に役立つ便利アイテムを使用した際の演出には見えない。 -3日目にかけてプレイヤーの焦燥感をあおるような演出がなされる。 --2日目には街の音楽のテンポがアップする。 --3日目には街の音楽が更にテンポアップするとともに邪悪なモチーフが重ねられ、また更に時折地響きが起こる、空には月が凄まじい形相でじわじわと接近してくるなど、プレイヤーの恐怖と焦燥を煽る演出が満載。 ''きわめて個性的なキャラクター'' -キャラクターは前作にも増して個性的でヘンテコな人々が多い。 --本作の世界観は前作『時のオカリナ』のパラレルワールドという設定の為、同作からポリゴンが流用されているキャラも多い。前作では只の端役だった「コッコねえさん」が、本作ではストーリーの裏の主役の一人とも言える「アンジュ」として登場するなど思わぬ役回りの変化もあり、前作をプレイ済のプレイヤーにはこれまた独特の印象を与える。 --個性豊かなキャラの中で一際異彩を放っているのが自称・妖精の生まれ変わりで緑色の全身タイツという出で立ちである35歳の%%ヘンタイ%%おじさん「チンクル」。 ---そのファンシーな格好や強烈過ぎる言動は多くのプレイヤーにインパクトを与え、後のシリーズにもちょくちょく登場し、遂にはスピンオフ作品(『[[もぎたてチンクルのばら色ルッピーランド]]』『[[いろづきチンクルの恋のバルーントリップ]]』他)で主役を務めるほどになった。 **評価点 ''大ボリューム、完成度の高さ'' -2つの時間を行き来しハイラルを駆け巡る前作に比べると探索範囲自体は狭くなったが、その代わりイベントの量と奥深さは格段に増している。 --ダンジョン1つ1つは非常に大規模で、メインシナリオだけ見てもボリュームはかなり大きい。 -また、ゲーム史に残る名作と名高い『時のオカリナ』と同じフォーマットを使用しているだけあって、ゲームシステム自体の質の高さは折り紙付き。質の高い謎解きと、3D世界を探索する楽しさ、そして黎明期にして既に完成された3Dアクションを味わえる。 ''更に豊富になったアクション'' -前作に登場した豊富なアクションの大半が続投されつつ、更に3種の仮面ごとに違ったアクションが用意されている。 --ダンジョンごとに各仮面の特徴をフル活用して解く謎が用意されており、前作とはまた違った謎解きが楽しめる。 --これに合わせ、敵キャラの行動などは前作にも増して洗練されており、爽快なバトルアクションが楽しめる。 --前作で活躍の場がないことが公認となっていた「氷の矢」も、本作では謎解きに大いに活躍するようになっている。 ''世界観の作り込みの深さ'' -3日間システムを巧みに利用し、キャラクターと世界が非常に深く作り込まれている。 --クロックタウンを中心に、大半の登場人物が3日間の時間経過での行動と発言に変化がつけられており、ただ同じ場所で同じことだけを言い続けるようなモブキャラはほとんどいない。 --単にサブイベントをこなすだけでも相当な量だが、それ以外にも、被ったお面によってセリフの反応が変わるキャラが多数いたり、イベント進行に必要でない会話の中にも重要な設定が隠されていたり((本作の重要なサブキャラクターであるカップルは、実はある脇役を交えた三角関係だった、など。))と、世界の作り込みが非常に細かく、時間経過で変化する世界を深く堪能できる。 ''良質なBGM'' -前作からの流用も好評の他、本作初登場の曲も一風変わっていながらも評価が高い。機械仕掛けのダンジョン「グレートベイの神殿」は今迄のダンジョンには無い独特の曲調、「ロックビルの神殿」は表と裏でアレンジが異なるがどちらも完成度が高い。 -フィールドBGMが、過去作同様に「初代フィールドBGMの純粋なアレンジ曲」になった。 --前作では初代BGMのモチーフを残しつつも曲構成が大胆に変更されていた。それはそれで低評価ではなかったが、ゼルダの伝説の代名詞ともいえる曲だっただけに復活を喜んだプレイヤーも多かった。 **賛否両論点 ''クセの強い世界観と演出'' -前作でも少し挿入されていた「オリエンタルな雰囲気」や「怖さ」を意識した演出が今作では明らかに多い。ゼルダファンがこのような世界観を好むかどうかは意見が分かれ、また子供には怖すぎるという意見も多い。 --もっとも、先述のキャッチコピーを見てもわかる通り「そういう作品」であることは当時積極的にアピールされており、怖い演出が苦手な人は最初から手にしなかったとも思われる。 --また「怖い」といっても「グロ」が際立つような演出ではなく、ある意味「健全な怖さ」である。 -本作のファンからは本作の世界観こそ至高であるとする意見も根強く、世界観的には好みが大きく分かれる作品と言える。 ''クセの強い3日間システム'' -プレイに常に緊張感を与える時間制限システムは、本作の雰囲気作りに大きく貢献しているが、これまたクセの強さから人を選ぶ要素にもなってしまっている。 --まず、時間制限と「ダンジョン内の謎解き」というゼルダの基本システムはそこまで相性が良くない。 ---「難しい謎解きを前にじっくり考え、持っているアイテム総動員させ試行錯誤した末に突破する」という従来作のプレイスタイルがやりにくくなってしまっている。 ---また、3日目の終わりが来ると「時の歌」で初日に戻ってまた同じ謎解きやイベントをこなす必要があるが、同じダンジョンを再度攻略する場合は既に知っている解法を繰り返すことになり、単なる作業と化し面倒なだけである((キーアイテムの入手などによって再来時にショートカットできる工夫がされたダンジョンもあるが、そうでない場所は繰り返しになる。))。 ---ボス戦が長期戦となり、時間切れで結局初日に戻らざるを得なくなった際などは虚しさもひとしお。 --このため、ひとまとまりのダンジョンやイベントを3日間(リアルタイムで約1時間)でクリアできるよう、計画立てたテキパキとした攻略が求められる。 --なお、時の流れを遅くできる「時の逆さ歌」という救済手段が用意されている。これを使えばゲーム内の時間の速さを1/3にでき(クリアにかけられる実時間が3倍に増え)、かなり余裕ができる。 ---これを使うかどうかでやり直しの手間が大きく変わり、初見プレイヤーにとってはこれの使用を前提とした難易度に見える。しかしこの歌はメインシナリオで明示されず、世界を探索してようやくヒントが得られるなど隠し要素に近く、当時知らずに時間制限に苦しめられた人も少なくなかった。 ''膨大で少々オトナなサブイベント'' -サブイベントの豊富さは随一で本作の特徴の一つだが、難易度の高さと演出内容は賛否が分かれるところ。 --多くのサブイベントは3日間システムの中で起こせる時間と場所が限定されており、存在自体を知らなければそもそもイベントを起こすことすら困難なものも少なくない。攻略情報無しでコンプリートしようとすると相当な難易度である。 -このサブイベントもまた、作品全体の雰囲気に合わせたオトナな人間模様やオカルトめいた事件を描いた演出が多く、これまた人を選ぶ面が否めない。 --子供が見ても本当の意味を理解できないようなディープなイベント内容が少なからず見受けられるが、そこが大きな魅力でもある。 ---本作の主人公は子供リンクであり、イベント後の無邪気な感想コメントなど、子供目線を通すことでオトナな雰囲気を緩和する意図も読み取れる。 ''全体的な謎解きやアクションの難易度の高さ'' -3日間システムの難易度も高めだが、リンクのアクションの種類が増えたこともあり、アクションや謎解きも前作に比べ正確な操作を要求される局面が多い。 --ゲーム最序盤の「デクナッツ姿から元の姿に戻る」までのイベントすら、かなり複雑な手順を必要とされ、初っ端から躓いてしまうユーザーも多かった。 ---しかもこの期間は時間の流れが普段より速く設定されており、かつオカリナが無く先述の「時の逆さ歌」が使えないのも難易度の高さを後押ししている。 --ダンジョン内では精密なアクションを要求される場面も多い。 ---1つめのメインダンジョンから「動く床を渡って行く」場所があり、まるで『マリオ』のようなタイミング調整や操作テクニックを求められる。 --一部ボス戦の難易度も高め。 ---2つ目の神殿のボスは「ゴロンの仮面」を装備して敵を追跡する戦闘となり、レースゲームのような固有の操作が求められ、この手の操作が苦手な人には辛いところ。 ---3つ目の神殿のボス「グヨーグ」は本作屈指の強敵。水陸を切り替えて戦うバトルで、頻繁な変身と解除、水中への狙撃、水中からのジャンプ脱出、など正確で素早い操作が要求され、本作屈指の高難易度である((批判を受けてかリメイク版では修正が加えられたが、それによりある面でかえって難化したとする意見もある。詳細はリメイク版の記事を参照))。 **問題点 ''不親切なセーブの仕様'' -国内のN64版では''「時の歌」を使用した時にしかセーブが行えない''。時の歌を使うと初日に戻ってしまいダンジョン攻略やイベント進行はやり直しになってしまうため、自由なタイミングでセーブ・中断ができないかなり不便な仕様。 --時の逆さ歌を使った場合は3日経過するのに3時間以上かかることもあるため、その間ぶっ続けでプレイしなければならない。少し空いた時間に気軽にプレイ、というのが難しい。本作の取っ付きづらさの大きな一因になっている。 --海外のN64版とそれを元にしたGC『ゼルダコレクション』版では、「大翼の石像(ワープポイント)」から中断セーブが可能になりかなりプレイしやすくなった。 --ただしWiiのバーチャルコンソール版は国内N64版と同じ仕様で中断機能((WiiのVCはプレイ中にホームボタンを押して中断すると、同じ状況から再開できる中断機能があるが、64やNEOGEOのソフトはこの中断機能に対応していない。))も無いので注意。 ---WiiUのバーチャルコンソール版は「まるごとバックアップ」機能があるので中断が可能。今から(非リメイク版を)遊ぶならこちらを推奨。 ''消費物を失う仕様と、中途半端な補給地点'' -先述の通り、初日へ戻ると矢、バクダンなどの消費物が失われる仕様だが、いずれも冒険にほぼ必須のため、ロード後を含め初日はまずその補給を余儀なくされる。 --多くのワープポイント(大翼の石像)の近くにはそれらの補給地点が用意され負担軽減が図られているが、一方で1回に得られる量が中途半端であり、最大限補給するには何度かマップを切り替えて作業を繰り返す必要がある。 --「なくても困らないが、苦労して補給すると強力」な物品がこうならまだしも、ほぼ必須のアイテムを必ず失い、かつ直後に機械的な補給作業を強制させられる形であり、ストレスがたまりやすい。 -一方で剣や盾、矢立てや爆弾袋、ボンバーズ団員手帳などの消耗品に近い日用品、手に入れた仮面については初日に戻っても状態が保存されている。 --それらまでリセットされたらゲームとして成り立たないのは理解できるが、これらが保持される理由について作中での説明は特になく、消耗品だけ失う点との整合性がとれていない。 ---銀行に預けたルピーが保存される仕組みについては作中でちゃんと合理的な説明がされており、何か一つ説明がされるだけでも世界観はさらに充実したと思われる。 ''演出がスキップできない'' -3日間システムの都合上、同じイベントや各種演出を何度も繰り返し見ることになりやすいのだが、一度見たイベントでもスキップなどは一切行えない。 --仮面を装着した際の演出だけは、2回目以降は飛ばせる。 ''その他'' -月内部のミニダンジョンに入るためには、任意のお面を子供に渡して失わなければならないのだが、このダンジョンの中には、「まことのお面」を使うことで各お面の入手法のヒントが聞ける「ゴシップストーン」がいくつも存在する。 --どうせ最後だからもう使わないだろうと思って「まことのお面」を早々に渡してしまうようなプレイヤーにとって罠のような設計。プレイヤーが既に多くのお面を入手済みの場合は大した情報ではないのだが、初見ではどんな情報を教えてもらえるかは分からない。 -グレートベイの神殿に行くために必要なイベントのキーアイテム「ゾーラのタマゴ」が20ルピーで売却できてしまう。 --1つでも売ると攻略に必須な曲が覚えられずそこから先のイベントに進めないため、初日に戻る必要がある。 ---- **総評 異質な雰囲気や高い難易度が原因で敬遠されるためか、前作に比べるとそこまで知名度は高くないものの、ゲームとしての完成度と作り込みは全く劣っていない。&br; 『時のオカリナ』をクリアしたプレイヤーなら特にそのハードルは低く、新たなストーリーとアクションを存分に楽しめるだろう。&br; &br; 3日間システムという以降のリアルタイムゲームを先駆したシステムは革新性が高く、独特の世界観に魅了されたファンも多い。&br; 独特のシステムと雰囲気から「万人向け」とはお世辞にも言えないものの、当時任天堂が傾倒していた「ゲームらしいゲーム」を体現しきった作品といえ、&br; ゼルダファン、アクションファンなら一度プレイするだけの価値は十二分にある。 ---- **余談 -N64版は遊ぶためにメモリー拡張パック((以前は「ハイレゾパック」という名称だったが、改名されただけで実質同じもの))が必要。同機器の同梱版と非同梱版の両方が生産された。 //--メモリー拡張パックの採用により、登場人物が時間通りに行動し生活している雰囲気を演出する等を可能にしている。 //--また、前作では1体ずつしか向かってこなかったリザルフォスが2体同時に向かってくるなどの処理の高速化にも利用されている。 //これは雑誌のインタビュー記事からの出典です。 //--ちなみに不確かな情報ではあるが、このメモリー拡張パック、ゲーム中のとあるムービーのためだけに必要だという情報がある。しかし[[開発者インタビュー>http://www.nintendo.co.jp/nom/0008/majora/page02.html]]と矛盾しており、少なくともムービーのため"だけ"というのは誤りであろう。 //とりあえずメモリー拡張パックについての事柄を編集してみました。個人的にもムービーのためだけに必要だったという情報元は、ぜひ知りたいところ。 //情報元が明らかになるまでCO。 -N64版ではセーブ回数(時間を戻した回数)が記録される。セーブ1回(つまり必須イベントである初回以降はノーセーブ)でクリアするルートも開拓されているため、腕に覚えがあれば文字通り3日間で世界を救うことも可能である。 -ある条件を満たすと手に入る「鬼神の仮面」は、被るとリンクの姿が大きく変貌する。この形態の通称「鬼神リンク」は、その圧倒的な戦闘能力と今までにないダークな雰囲気を漂わせる風貌から人気が高い。ボス戦でしか使用できないのが勿体無いと惜しむファンも多く、後のシリーズの再登場に期待する声も多かった。 --その人気に答えてか、『[[大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』ではリンクのカラーチェンジの一つとしてこの鬼神リンクが登場しファンを喜ばせた。色だけでなく顔の変化も原作通り。 --また『[[ゼルダ無双]]』ではDLCの「子供リンク」の変身形態として登場。その高い戦闘能力を思う存分発揮できる。 -開発当初は『ゼルダの伝説 外伝』というタイトルだった。 この時点で「仮面による変身」「3日間システム」は存在していたようである。 ---- *ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D 【ぜるだのでんせつ むじゅらのかめん すりーでぃー】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B00S66U7ZI)|&amazon(B00S6CBP62)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~|~| |発売元|任天堂|~|~| |開発元|グレッゾ|~|~| |発売日|2015年2月14日|~|~| |定価|パッケージ/ダウンロード:4,700円&br()本体同梱:23,000円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|細かい改善点が光るが、改悪された部分もある移植&br()一部ボス・ダンジョンの難易度が上昇&br()全体的に親切設計|~|~| ---- **概要(3D) ファンの間で長らくリメイクが待望されていた『ムジュラの仮面』の、原作から14年の時を経た3DSリメイク版。~ 同じく3DSでリメイクされた『[[ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D>ゼルダの伝説 時のオカリナ]]』と異なり追加・変更要素がかなり多め。 **評価点(3D) -グラフィック面の向上。 --グラフィックがハードに合わせて向上した。原作では表現できなかった微細な模様やキャラの表情の変化もより分かり易くなった。立体視にも対応。 -原作における不親切な部分の改善(以下一例)。 --各地の大翼の石像(フクロウ像)の前でセーブが可能になった。代わりに時の歌を演奏した際にセーブされなくなった。 ---更に今作ではデクナッツの城といった重要なイベントが起こる施設や各ダンジョンの入口付近といった各地に「羽ペンの石像」という名のセーブポイントが追加された。セーブポイントが大幅に増加したことによって、ゲームの中断がより行いやすくなったのは良いだろう。 ---原作では3日間システムを採用している関係でイベントの中では手順を間違えたりして失敗してしまうと1日目の冒頭からやり直しになってしまうという非常にきつい問題点があったが、セーブポイント変更によって失敗した部分の直前までやり直せる様になったのは褒められる。特に数多くの手順を踏まされやすいアンジュさんのイベントは今作(というか海外版及びゼルダコレクション版)で改善されたと言っても過言では無い。 --銀行の位置がクロックタウン西から、南の大翼像前(つまり時計台の裏)に移動。これにより銀行へ行く手間が減った。 --「大翼の歌((演奏すると各地のフクロウ像にワープできる。))」取得タイミングが「ウッドフォール直前」から「沼地に初めて入った時」へと大幅に前倒し。 ---「大翼の歌」を取得するタイミングが大幅に前倒しされた事によって、序盤から忙しくタルミナ平原を駆け回る必要が無くなったのが良い。 --「あきビン」が1個追加されて7個に。またウッドフォールクリア後のコウメの射的ゲームの景品があきビンに変更されている((原作で6個目のあきビンがあった場所と入れ替わっており、こちらはハートのかけらになっている。7個目のあきビンは追加されたサブイベントで入手する。))。 ---沼地で入手できる「あきビン」が2個に増加した事によって、沼のクモ館の攻略や山里の温泉運びといった序盤のイベントを有利に進められる様に。 --知恵の大妖精と力の大妖精が入れ替わっており、大回転斬り修得前に魔力ゲージをアップ出来るようになった。 ---大回転斬りの取得タイミングが遅くなった事により攻撃面ではやや不利になった面はあるものの、代わりに序盤から魔力ゲージが2倍に増える事によって、その次に訪れる事になるスノーヘッド地方にまつわる様々なイベントを有利に進められる様になった。 --コレクトアイテムを使う際、アイテム画面から直接使えるようになった。 ---以前の作品ではアイテムを使う距離が悪いとNPCが反応しなかったり空きビンの中のアイテムを誤ってプレイヤーに使用してしまうなど、誤操作による所謂「暴発」が起こりやすかったのだが、今作では仕様上誤操作しにくくなったため、結果的に改善点となっている。 --ボンバーズ団員手帳の利便性アップ。 ---3DSの二画面機能・タッチ機能を上手く活用しており、いつ・どこで・だれが・何をした・何を貰ったといった、原作に比べ細かな情報が確認できるようになった。 ---また、アラームをセットする事が可能になり、セットした時間になるとチャットが教えてくれるようになった。 ---手帳の入手も最初の時間巻き戻しの後にお面屋からもらえるようになり、ボンバーズとのおにごっこをする必要がなくなった(おにごっこイベント自体は残っている)。 ---代わりに手帳入手後にボンバーズに話しかけるとイベントのヒントとなる噂を教えてもらえるようになった。 --拡張スライドパッド及びNewニンテンドー3DSのCスティックによる視点変更にも対応している。 --2回目以降にスキップ可能になるムービーが増えた。 ---3DS版でスキップ可能になったムービーは「時の歌」関連の2曲と「大翼の歌」の3種類。どちらも使用頻度の高い要素であったことから、スキップが可能になったのは純粋に褒められている。 --海洋研究所前の足場が「水面より少し高い位置」から「水面と同じ高さ」に変更。これにより水面ジャンプをしなくとも登れるようになった((原作ではゾーラリンクの固有アクションである水面ジャンプで上がる必要があったが、ヒントが無く操作がシビアなため地味な詰まりポイントだった。これは海外版とGC版からの変更点。))。 ---またゾーラリンクによる水泳が簡略化。より直感的な水中操作が可能となった。 --月内部のゾーラダンジョンの構造が大きく変わった。 --ロックビルの神殿における巨人の仮面の入手タイミングが変わっているなど、ダンジョン内の細かい変更点も多数。 --ボス戦が全面的に刷新された。 ---いずれも行動パターンや攻略方法が大きく変化しており、原作を知っていても新作の感覚でプレイできる。 ---ただし、ツインモルド戦のみはかなり難しくなっている(詳細は下記を参照)。 -その他の追加要素 --『時のオカリナ3D』にも存在したヒント機能・シーカーストーンが導入された。 ---シーカーストーンの仕様自体は基本的に前作と同様だが、前作では一つのカテゴリにまとめられていたフィールド関連が地方毎に細分化。インターフェイス面も見やすく改善されていて、複数のページに割り振られていた各エリアのカテゴリも1ページに収まるように変更されている。 ---さらに新たにハートのかけらとはぐれ妖精のヒントが写真という形で掲載されるようになった。 ---ただし本作には1カ所、クロックタウン時計台地下にしか存在しない。 --前作では上画面に表示されていた現在のエリアのマップが下画面に表示されるようになった。 ---エリアマップが分割画面に表示されるようになった事に伴い、一般的なDSシリーズで発売された探索形式のゲームに近い体裁になったと言える。 --『時のオカリナ』で好評だったミニゲーム、「つりぼり」が追加。 ---「沼のつりぼり」と「海のつりぼり」の2カ所が用意されており、「沼」は沼地への道中、「海」はゾーラホールの外辺りに設置されている。 ---内容は『時オカ』におけるつりぼりを更に進化させたもので、ルアーや天気・時間帯だけでなく着用しているお面によっても釣れる魚が変わるという、凝った作りとなっている。 --ゴーマン座長に関するイベントが追加された。 ---ゴーマン座長は月が落ちてきたことにより公演が中止になったことを一座のメンバーに打ち明けられず、昼間はナベカマ亭の二階で寝ている。この座長を救う為にリンクやゴーマン兄弟が奔走する内容となっており、原作では単なる悪人として描かれていたゴーマン兄弟関連にスポットを当てただけでなく、中間管理職の悲哀や兄弟愛といったものを描いたシナリオは「ゴーマン三兄弟が一気に好きになった」と好評。 ---加えて原作では使用法が殆ど無かった「座長のお面」((旧バージョンでも「装備中はミルク運びイベント時に敵が攻撃してこなくなる」という効果があるのだが、「このイベントクリア後にこのお面をもらえるところにいける」ため、実質次の周回以後で楽をする+ラストダンジョンでのお面の数合わせ以外無意味だった。))が、このイベントでは重要な役割を持つようになった。 **賛否両論点(3D) -「時の逆さ歌」の弱体化 --時間の経過速度が1/3→1/2に変更された。ゲームバランス的に1/3では便利すぎたかもしれず、セーブが容易になったことからある程度妥当な調整とも言える。 --しかしこの弱体化によって、「最序盤で『時の歌』を使用した後は、二度と『時の歌』を使わず一気にゲームをクリアする」という3日クリア(ノーセーブクリア)のやり込みがより困難になった。 -月の表情が変更された。 --原作ではどこか虚ろで不気味な表情だったが、今作では鬼のような怒りの形相で感情剥き出しになっており、「(表現が単調になって)逆に怖くなくなった」という意見も。 -時計のデザイン変更 --画面下部に表示される時計のデザインが、原作のアナログ式のものからバー形式に変更された。 --現在時刻が分単位まで数字で表示されるようになりわかりやすくなったものの、原作の凝ったデザインは雰囲気があり好評だっため残念がるプレイヤーも多い。 -月内部のグヨーグのミニダンジョン(ゾーラダンジョン) --ゲームクリアに必須ではないやり込み要素的なダンジョン。原作では水中の通路をゾーラリンクで泳いでいき、時折左右にルートが分岐しており正解のルートを進まなければスタート地点に戻されるというシンプルな内容だった。 --今作では正解のルートを通るだけでなく、ゾーラリンクで飛び魚のようにジャンプするという特殊なアクションを一発で成功させることを数回繰り返さなければクリアできないようになっており、今作の中でも屈指の操作難度のダンジョンとなっている。 --原作ではやや簡単過ぎたのに比べるとやり応えは増しているものの、長丁場な上に一度でも失敗すれば最初からやり直しになるのはいささか難しすぎる感がある。 -つりぼりについて --ゲーム自体は作り込まれているものの、『時オカ』とは異なり『ムジュラ』には3日間という制限時間がある為、糸を垂らし、ただのんびりと時が過ぎるのを楽しむというつりぼりのゲーム性と本作の時間制限システムはあまり噛み合っていない。 //---ましてや3日目ともなると落下する月の影響で時折地響きが起こるようになり、とてもじゃないがのんびりしていられるような雰囲気ではない。 //--このミスマッチ性から、つりぼり自体の不要論を唱えるプレイヤーもいる。本作はただでさえメインダンジョンが4つしかない等、ゲームボリュームが少ない事が問題とされているのだから、取って付けたようなつりぼりではなく、シナリオや世界観上の更なる深堀りとなるイベント等を追加した方が好評を得られたかもしれない。 -一部の親切過ぎる変更点。 --最たる例は「まことのメガネ」を使わないと姿が見えない兵士''「シロウくん」の位置''。 --シロウくんは赤いクスリを渡してあげることで、「海賊の砦」を攻略する際などに役立つアイテム「石コロのお面」をくれるキャラクター。原作ではシロウくん自身が居るのは「海賊の砦」の所在するグレートベイ地方ではなく、その後に訪れることになるイカーナ地方への道中であった。そのため原作では「海賊の砦」攻略後に「石コロのお面」を入手して泣きを見たプレイヤーも多かった((直後のネジロンの出現を抑制出来るなど、使い道が無いわけではない。))。 ---しかし本作でシロウくんが居るのは何と''「海賊の砦」の中''。しかも監視櫓のハシゴ下という、プレイヤーがほぼ100%通過する目立つ場所((砦への侵入ルートとして有効である他、重要アイテム「女海賊の写し絵」を最も入手(撮影)しやすいのがこの櫓の上である為。))であり、ご丁寧に''プレイヤーがその付近に近付くと会話デモが挿入され呼びかけてくる''ので、殆どのプレイヤーがシロウくんを見逃さないシステムとなっている。 --この変更については、原作に比べて不親切さが減って単純に分かり易くなった、お面を有効活用出来ると評価する声もある。 ---その一方で、シロウくんというキャラのブレを指摘する声もある。「必死に呼びかけているのに誰にも気づいて貰えない」という強烈な存在感の薄さが持ち味のキャラクターだったのだが、リンクに呼び掛けられるのならその悩みは無い筈であるし、そもそも「海賊の砦」に単身乗り込める程に豪胆なキャラクターならば赤いクスリを届けてやる必要もないのでは。 --また進行の都合上、「海賊の砦」では多量の空きビンが必要なため、初回攻略時にプレイヤーがクスリをビンに入れている可能性は低い。そのためシロウくんを発見した後、町にワープしてクスリを買って戻ってくるという二度手間になりやすい。 ---そして本作の位置だと、町から戻る時も原作と違い即座にとはいかず、再度迷路を通る必要がある。「フックショット」があればショートカット出来るのだが、入手するには少し先に進まなければならない。 --この変更点は原作プレイ済の人間に対しては一種の''罠''として機能しており、発売当初はシロウくんを探してイカーナを方々歩き回る人が続出した。 -アイテムセットの方式変更。 --『時オカ3D』ではアイテムをタッチした後、次にセットしたい場所をタッチするかボタンを押すことでセットしていたが、今作では二度目のタッチによるセットができなくなり、代わりにアイテムをセットしたい場所までスライドさせる方式が追加された。 ---マウス操作で例えるなら『時オカ3D』は「アイテムクリック→セットしたい場所をクリック」なのに対し本作は「アイテムをセットしたい場所までドラッグ」といった感じ。 --これはこれで直感的なのだが、前作の方式の方が良かったという意見も。 --他にも『時オカ3D』や原作とは操作が異なる箇所が多いため、プレイ感覚はかなり違っている。 -原作では様々な場所を凍らせることが出来た「氷の矢」は便利過ぎたのか、特定の場所しか凍らせることが出来なくなった。 --ただ、今作における「氷の矢」で凍らせる地形にはエフェクトが存在していたり雑魚敵にも別の色が付いていたりと所謂「目印」が付けられていて、該当ポイントではどのようにして進むのかが分かりやすくなっている事から、結果的に一長一短に。 -高難度モードは存在しない --近年におけるゼルダの伝説シリーズでは、通常モードでは物足りないプレイヤーのために被ダメージの上昇したハードモードが存在している事が多いが、『時オカ』の続編となる本作では残念ながら実装されなかった。 --もっとも、本作はシリーズ経験者向けということもあってか謎解きとアクションの難易度が高く設定されているのだが、これでも物足りないプレイヤーに向けた高難度モードの追加する声も挙がっているのは事実である。 **問題点(3D) ''ツインモルド戦の難易度が非常に高い'' #region(ネタバレにつき格納) -ロックビルの神殿ボス「ツインモルド」はゼルダ伝統の「モルド」系に属するボスであり、リンクの数百倍はあろうかという凄まじい巨大さを武器に圧倒してくる、ムジュラプレイヤーにとって非常に印象深い敵である。原作『ムジュラ』では「巨人の仮面」により巨大化して剣で戦うのが常道だが、巨大化せずに弱点の頭や尻尾を弓矢で狙うことでも倒せた。 -こちらもリメイクにあたって戦法が抜本的に変わっている。戦闘開始時点では「巨人の仮面」が無いため、まずは巨人化せずに青いツインモルドを弓矢で倒すことになる。 --しかし、赤いツインモルドが火の玉などで攻撃してくる上に食らうとなんとハート2個分のダメージ。身の回りに気を配らないと第一段階のクリアは難しい。 -青いツインモルドを倒すと「巨人の仮面」を入手でき、巨人化して赤いツインモルドと戦う第二段階となる(なお今作では巨人化しないと赤いツインモルドは倒せない)。 --本作では巨人化中は走れず、歩く速度もかなり遅いが、歩幅が異常に広い。剣や盾・アイテムを構えることが出来なくなり、Bボタンは「パンチ」となる。また大岩を掴んで投げられるようになる。~ そしてツインモルドに一定ダメージを与えて動きを止め、''ツインモルドを掴んで投げたり絞め技を決める''のを3回繰り返すことで撃破できる。 ---この戦闘スタイルの変化自体は、''素手でボコボコ殴ったり絞め技を行う''というアクションがリンクらしくないとして批判する意見もある一方で、巨大なボスを投げるなどより巨人らしく豪快な戦いが可能になったため、良くも悪くもといったところである。 --パンチはやや動作が遅く、何よりリーチが短いのでギリギリまで敵に接近しなければ当てられない。このパンチを10発も当てないと掴み技に持っていけない上、一定時間が経過してツインモルドが地面に潜る度に''パンチを当てた回数がリセットされてしまう''。 ---地面に落ちている大岩を投げつければ、一発でツインモルドの動きを止めて掴み技まで持っていけるのだが、この大岩はフィールドに2個しかなく復活もしない。どう上手く岩を活用しても、最低1回分はパンチでダウンを奪わなければならない。 --赤いツインモルドはそこそこの速度で飛び回りながら炎の玉を飛ばしてくる。ツインモルド本体や炎が少しでもかするとダメージと共に吹っ飛ばされてダウンを奪われ、2~3秒ほど行動不能になるのでストレスになりやすい。 --といったように、初見でこの巨人リンクの操作性やパンチのリーチの攻撃範囲、ツインモルドの行動パターンと対処法を覚えてモノにし、前転やガードも上手く使って完璧に近い立ち回りをしなければ勝利は困難。そのため慣れていないプレイヤーは中々ダメージを与えられず吹き飛ばされてばかり、ゲーム内の時間も経過していく…と、ツインモルドと決着がつかず時間切れになって月が落下とばかりで不安が溜まるということが多く挙がった。 ---一方、慣れてくれば歩幅の広さから、前転の必要も無いほどに回避も接敵も容易なので、こちらのほうが第一段階より簡単に感じるかも。 -原作では巨人化して戦うかどうかは自由だったのだが、今作では巨人化の有無をツインモルド1体ずつでそれぞれ強制させており、自由度が無くなったことに対する批判もある。 --とはいえ、64版では巨大化すれば簡単に倒せたので「ムジュラのボスの中で最弱」と言われていたのを、ようやく返上できたといえるだろう。最後の神殿のボスなのでこれくらいはないと盛り上がりに欠けるものだ。 //--ただし世界観的には更なる異分子であるフラットウッズ型エイリアンが原作の時点で登場しているのだが。 //ツインモルド戦に関する記述で↑の文は、ちょっと文脈が繋がらないようにも見える。ツインモルド戦に関係しているのであれば詳しい解説の追記求む //エイリアンや剣術道場、チンクルがいる世界観でプロレスだけが浮いてると言うことはないだろう、と言いたかった。「唐突にリンクがプロレスを始めることから世界観的にも完全に浮いている」は削除します。 #endregion ''その他の問題点'' -スタートボタンが「ボンバーズ団員手帳を開く」操作で固定されているため、入手まではタッチパネルを使わないとゲームの一時停止が出来ない。 ''改善されていない問題点'' -「時の歌」で時間をリセットした際、消費アイテムと一緒に案山子に覚えさせた「録音案山子の歌」が白紙に戻る。確かに時間が巻き戻っているのだから案山子の記憶も消えて当然だが、周回ごとに一々覚えさせるのはかなり面倒くさい。 ---一応案山子が必要となるポイントは変更されていないので、ハートのかけらを回収した後は覚えさせる必要はなくなる。 -いくつかの演出はスキップ可能になったものの、相変わらず多くのイベントや演出は飛ばせず、何度も繰り返し見ることになりやすい。 **総評(3D) 全体的な雰囲気はそのままに、グラフィックを向上させると共に遊びやすいように配慮された良リメイク。隅々まで配慮の手が入っていることが明らかであり、原作プレイ済の人にとっても新たな発見や驚きがある仕上がりとなっている。~ ただし全ての点を手放しに褒められないのが惜しい所。ツインモルド戦が大幅に変更されたことでかなり目立つ不評点となっているが、それ以外にも微妙な部分で原作から劣化した箇所がちらほら見受けられる。~ しかし、決してリメイクの質が低い訳ではないという点には注意して貰いたい。単なるベタ移植に留まらず、意欲的な試みを多数導入し、初心者・既プレイ者の両方を満足させようとした点は評価に値する。~ 全体的に親切設計となっているので、発売当時に本作をクリア出来なかった人はこれを機に14年越しに『ムジュラ』に触れてみるのはいかがだろうか。 **余談(3D) -原作のWiiおよびWii Uのバーチャルコンソール版はCERO:Aであるのに対し、なぜか3DS版リメイクはCERO:B(12歳以上対象)に指定されている。 --コンテンツアイコンは恋愛・犯罪・暴力であるが、これに該当する部分に特に変更はない。 --またゼルダシリーズでCERO:Bなのは『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』、VC版『[[夢をみる島DX>ゼルダの伝説 夢をみる島]]』、『[[ゼルダ無双]]』に続き4作目。