「パンチライン」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

パンチライン - (2019/01/13 (日) 00:03:10) のソース

*パンチライン
【ぱんちらいん】
|ジャンル|幽体イタズラアドベンチャー|CENTER:&amazon(B01ASNTOFA)&amazon(B01ASNTOQY)|
|対応機種|プレイステーション4/プレイステーション・ヴィータ|~|
|メディア|BL-ディスク&br()PSVカード|~|
|発売元|MAGES.&br()5pb.|~|
|開発元|セブンスコード|~|
|発売日|2016年4月28日|~|
|定価|7,350円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|セーブデータ|30箇所|~|
|レーティング|CERO:D (17才以上対象)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|ノベルゲーのような何か&br;SF、タイムリープ、ギャグのごったがえし&br;アニメ版とは違う未来へ|~|

**概要
-[[infinityシリーズ]]で有名な打越鋼太郎が脚本を手掛けた同名アニメのゲーム化作品。シナリオの打越氏に加え、監督に中澤工、プロデューサーに市川和弘と、infinityシリーズを生み出したスタッフが集結している。
-『パンチライン』は主人公がある事件以来、幽体離脱してしまい、元の身体に戻る為に奔走する事になるが、何故か''女の子のパンツを見ると人類が滅亡してしまう''。という奇妙奇天烈な世界観で展開するシチュエーションコメディである。ゲーム版である本作も同様のストーリーを展開する。
--もともとゲーム用の企画ではあったが、先に2015年春季にノイタミナでアニメ化を経験するという少し変わった経歴を持つ。そのためゲームでは、アニメで使われたシーンが随所に再利用されている。
---打越氏は新作ゲームとして企画を持ち込んだが、市川氏から「これはアニメ化した方がいい」と勧められた事でアニメ化&ゲーム化が決定した。シナリオ自体はゲーム版の方が先に出来ていた為、本作はアニメ版のキャラゲーとも言えるし、アニメ版の原作とも言える不思議な立ち位置の作品であり、アニメ未視聴者でも問題なくプレイ出来るようになっている。

-各階3部屋ずつ。2階建の合計6部屋のボロアパート「&ruby(こらいかん){古来館}」がゲームの舞台。
--主人公・遊太は姉から譲り受ける形で古来館に居住していたのだが、自身の肉体を奪った何者かが遊太の自室にこもり、幽霊を寄せ付けない結界を張ってしまう。
--古来館の同居人として、仮面のヒーロー(''ヒロインではない'')をやっている「&ruby(なるぎの){成木野} みかたん」、大家で発明家の「&ruby(だいはつ めいか){台初 明香}」、恋愛依存気味のエセ霊媒師「&ruby(ちちぶ){秩父} ラブラ」%%(30歳)%%、引きこもってネトゲ廃人になっている「&ruby(ひきおたに いと){曳尾谷 愛} 」が登場。
--何故か遊太は幽体の状態で女の子のパンツを見ると地球に小惑星が激突して人類が滅亡してしまう。幽体は時間の物理法則が適用されない為、やり直しは何度でも出来るとは言え、古来館の住人達は年頃(?)の女子ばかりなので…。
--乗っ取られた自分の肉体を取り戻すためには、古代インドの聖典「ナンダーラガンダーラ」が必要という触れ込みで、遊太はそれらしき本を探し回るが…。

**あらすじ
バスジャック事件から切り抜けたのもつかの間、空から飛来した謎の魂に自らの肉体を乗っ取られてしまった少年「&ruby(いりだつ ゆうた){伊里達 遊太}」は怪しい猫の幽霊「チラ之助」の指示するまま自らの肉体を取り返さんと奮闘する。しかしこの事件は序章に過ぎず、数日後に迫る人類滅亡、そして自分に秘められた秘密が入り乱れた数奇な戦いへと巻き込まれることになる。果たして遊太はチラ之助の言う「最高にハッピーでピースフルな未来」に辿り着く事が出来るのだろうか。

**ゲームの流れ
-概要・特徴
--アドベンチャーと銘打っているように、3Dアニメーションが織りなすシナリオを読む。アニメのような「各話構成」を意識しており、節目節目にオリジナルのOPテーマ、EDテーマも挿入される。
---OPはムービー、主題歌共にオリジナル。EDは主題歌はオリジナルだが、ムービーはアニメ版の使い回し。
--前半はややアクション要素もあるが自由度はあまりない。後半は文章を読みながら選択肢を選ぶ頻度が高くなり、実際にエンディングへの分岐にも影響してくる。

-イタズラ・イタゴラ
--遊太は幽霊であり現実世界にあまり干渉できない。自室以外の部屋は自在に行き来できるが、隣人に話しかけることはできない。
--物理的に何かをわずかに動かすことで、隣人をそそのかして行動させる。こういった流れをふんでようやく満足に現実に干渉できる。
--また古来館の隣人を心霊現象で脅かして幽霊としての力を磨くパートも存在。
---監視カメラのように同居人の部屋を見回しながら、どの物体に霊力を行使するのか選ぶ。視点はスティックで微調整でき、L/Rで見ている範囲を切り替える。
--視点の中央にとらえた物体に○ボタンを押せば、なにかしらのアクションができる場合がある。アクションできる物体はシンボルで表記される。
---脅かして力を得るだけのパートを作中では「イタズラ」、古来館全体の住人を巻き込みながらイタズラを展開し、連鎖を起こしながら住人のだれかに何かをさせる「イタゴラ(○タゴラスイッチが元ネタ)」と呼称している。
---いつどんな霊力を行使するかはシナリオ準拠であり、プレイヤーが好きな時に幽霊としての力をレベルアップさせたり、隣人に何かしてもらうことはできない。
--「パンツを見ると人類滅亡」という設定通り、イタゴラパート中に住人のパンツを見ると「ぼっ発ゲージ」が上昇し、これが臨界点に達すると人類滅亡でミッション失敗となる。
---少しでも視界にパンツを入れてしまうと不可抗力にさいなまれて、パンツに視界がズームインしていく。また視野に入れてから1秒ほどスティック操作が不能に(L/Rは使用可)。
---また、霊力を行使できる回数にも制限がある。シナリオで定められた目標(一定量脅かす、特定の人物にとある行動をさせるなど)を達成できずに、これを使い切るとなぜか遊太が誰かのパンツを見てしまい自滅。

***その他機能
-セーブ
--シナリオの区切りに入ると、セーブするかどうかをたずねられる。中断セーブは可能だが、それ以外のタイミングで能動的にセーブはできない。

-バックログ
--セーブ・リロードしない限り、バックログはプレイ中に見た文章を載せ続ける。

-スキップ
--テキスト表示中にL/Rボタンを長押しすると早送りできる。また既読の文章であればスキップできる。キーコンフィグでどちらのボタンを早送り対応か、スキップ対応かに割り振り可能。
--2Dアニメーションや、OPテーマ、EDテーマ中に○ボタン長押しでスキップできる。

**評価点
-題材の独自性
--幽霊になって現実世界にいたずらを仕掛ける、という趣旨のゲーム自体もあまり多いわけではないので、ゲームの中で異彩を放つことには十分成功している。
--アニメのタイトルコールのような演出、黒板を使った解説コーナーなど、若干癖のある見せ方も特徴的。
--後述の難解さにも影響するのだが、シュールギャグものに、タイムリープもの、オカルトもの、SFもの、異能バトルものを組み合わせようとした一種の無謀さは評価できる。
---「主にボロアパートの中」という狭い舞台設定にも関わらず様々なジャンルをごった煮にしており、且つ大きな破綻もなく成り立たせている為、作風の面でも他に類を見ない独自性を持っている。
---限られた空間の中で展開される、様々な要素を織り交ぜた奇妙で複雑なSFストーリー。という意味では打越氏が手掛けてきたinfinityシリーズや[[極限脱出シリーズ>極限脱出 9時間9人9の扉]]にも通じる所がある。
--おバカなノリの中で謎めいた演出を随所にちりばめ、ミステリアスな雰囲気を醸し出す事にも成功している。序盤から張られる多数の伏線、中盤のどんでん返し、後半の伏線回収に怒涛の終盤戦と、二転三転するストーリーは打越氏の持ち味がしっかり活かされている。
---アニメ版の時点で、一話放送する毎に公式サイトにてその回の謎や伏線を検証する解説ページが追加されていたほどである。過去の打越作品同様、初めて物語に触れる人はネタバレ回避が強く推奨される。
--時空関連のSF部分はinfinityシリーズや極限脱出シリーズ、幽体離脱の部分は『Close to ~祈りの丘~』((本作と同じく幽体離脱した少年が主人公のADV。システムは全く異なるがヒロインの部屋を探索するという要素も共通している。))を彷彿させ、ある意味では打越作品のミックスとも言える。~
三者の人格交換は『[[Remember11 -the age of infinity-]]』、ヒロインやラスボスの過去、敵組織の設定に関してはどことなく『12RIVEN -the Ψcliminal of integral-』を想起させる。また、バトル・アクション要素は後に打越氏が原案を務めたアニメ『あかねさす少女』に通じるものがある。
--上述した設定の為、タイトルの「パンチライン」もやはりそっち方面の意味で捉えられがちだが、「Punchline」とはコメディやジョークの「落ち」を意味する単語であり、シナリオ上においてもその意味が込められている。%%勿論、聞いたまんまの意味も込みだが…。%%
--本題の複雑さやシナリオの構造上、アニメをひととおり見ただけでは話の全貌を理解しきれないだろう。そのため、ゲーム化したことでバックログ機能を駆使してシナリオをゆっくり理解できるようにはなった。

-登場人物の性格
--古来館の住人は奇抜な人物ばかりだが、基本的にはみな善人。
--主人公遊太は、不条理な出来事に関しては的確に疑問を投げかけてくれる。少なくとも序盤に関しては、複雑怪奇な設定に混乱しがちなプレイヤーにとっては良心的な存在。
--その他登場人物も出落ちということではなく、きちんとシナリオに役割を果たしている。

-アニメ化の遺産がふんだんに取り入れられている
--アニメの使い回しと言ってしまえばそれまでかもしれないが、ここまでアニメーションを取り込んでいるものも少ない。アニメ化したものを、きちんと生かしたとは言える。
--声優もアニメと同様の布陣。アニメにはなかった文章もフルボイスであり、変なテキストも怪演しきってくれる。
--アニメで残った謎を解き明かす!というほど大それたものではないが、アニメの12話という尺の都合で描き切れなかったエピソードも収録されており、アニメの補間的役割も担っている。本作で初めて明らかになる事実や要素も若干存在する。
---特にチラ之助はアニメでは最後まで正体不明だった上にラストシーンで更に謎を増やしてしまっていたのだが、本作ではその謎の意味が語られ、正体に関してもうっすらとだが明かされる。
---また、「アニメ第9話でチラ之助の忠告に従っていた場合はどうなったのか?((アニメでは遊太はチラ之助の忠告に背いて自身の考えで行動した結果、事態を悪化させてしまった。))」というゲームならではのif展開も小規模ながら見る事も出来る。
---アニメでは回想でチラっと出ただけの遊太の姉も、ごく一部のシーンのみだが直接登場する。一方、アニメでは姿を見せたラブラの弟が電話でのみ登場すると言った変更点もある。
--エンディングもアニメ最終回とは大きく異なったものとなっており、アニメ版よりも「最高にハッピーでピースフルな未来」に近い結末で終わる。
#region(アニメ版のネタバレ含む)
---アニメ版は主人公の死という好みの分かれる結末で、「最高にハッピーでピースフル」とは程遠かった。遊太は後日談となる漫画版で復活するとは言えアニメを観ただけでは判らず、また遊太が命を賭した事やその結果についてもあまりフォローが無く、人によっては消化不良感の残る「Punchline(オチ)」だった。
---対して本作のエンディングでは遊太はしっかり生存し、その後の古来館の面々についてもアニメ版より細かく語られる。ある人物は命を落とすが、それでもアニメ版より明るく後味の良い結末となっている。
---元々打越氏が想定していた結末はこちらの方であり、アニメ版のラストは監督の意向で変更されたという経緯がある。その為、アニメ版よりもこちらの展開の方が流れとしては自然。
#endregion

**賛否両論点
-パロディネタ、下ネタが多い
--そもそも笑わすつもりなのかも疑わしいパロディが、本編のシステム解説やら日常会話に無遠慮にねじ込まれる。多方面に手を出す傾向があるので回数や密度で言うなら、下手すると『銀魂』よりもひどいかもしれない。
---遊太の幽霊ランクを上げるとたどり着く称号に「[[超高校級霊術師>ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生]]」「[[霊騎士07>なく頃にシリーズ]]」があったり、ラブラの愛玩人形の名前が「○ン様(見た目も本人に寄せてある)」、イタゴラパートを成功した直後に作れるセーブデータの画像がまんま「○タゴラスイッチ」、アイテムを出すときの音がまんま「[[○ラえもん>ドラえもんシリーズ]]」だったり((実際、明香はしばしば「明香えもん」と呼ばれ、アニメ版、ゲーム版共に「大晦日だよ、明香えもん」などというタイトルの回もある。))、「[[トゥットゥルー♪チラしぃです>STEINS;GATE]]」という台詞((遊太にも「堂々とパクってんじゃねーよ!」と突っ込まれる。))など…。
--「パンツを見たら人類滅亡」などという設定を臆面もなく掲げる以上、当然作中ではパンチラ、パンモロは何度も飛び出す。また、直接的ではなくとも台詞に下ネタを連想させる表現を仕込んだりなども日常茶飯事である。
---アプリケーションを起動すると早速ヒロインのパンチラのご登場である。外出先でPS Vita版をやるのはなかなか勇気が要る。
--メインキャラの名前もダジャレである。しかも『[[逆転裁判>逆転裁判シリーズ]]』顔負けのストレートなものばかり。
---古来館の住人は一目見れば分かる通り、成木野みかたん=正義の味方、台初明香=大発明家、曳尾谷愛=''ヒキオタニート''、秩父ラブラ=''乳ブラブラ''。主人公の伊里達遊太も苗字と名前を入れ替えると「幽体離脱」になる。
---このうち半数は「そう名乗っている」のであって本名は別にある((アニメ版では言及されなかったが、ラブラもまともな本名がある事が本作で明らかになる。))のだが、よりによって曳尾谷愛は本名である。元ネタの酷さも然る事ながら、愛が引きこもっているのはギャグを挟む余地など無い重い理由があっての事なので、このような形でネタにする事を不快に思う人も居るだろう。
---それ以外のキャラはさすがにここまで直球のものは無いが、さり気なくアナグラムや微妙にネタを仕込んだ名前が出てきたりする。

-ギャグと伏線が混在する
--タイトルやパッケージの説明「パンツを見たら人類滅亡!?」から、いかにもバカゲーの類と見てしまいがちだが、少なくとも本筋のシナリオは単なるバカではない。打越作品らしく、そこかしこに伏線が張られている。
--ギャグシーンと思しきシーンにすら伏線が張られていることもある。特に遊太がパンツを見ると隕石が落ちてくる理由が本編の重要なカギになる。
--チラ之助は随所にお笑い芸人のネタや下ネタを挟み込んで会話をはぐらかすことが多いのだが、事の真相を小出しに話しても来る。
--プレイヤーを驚かせる仕掛けとして機能しているのだが、ただのギャグかと思って軽く流したら実は重要な伏線で混乱させられるなどと、ストーリーの把握を必要以上に困難にもしている。

-総じて難易度が高くない
--中盤まで登場するイタズラパート、イタゴラパートにて、結局プレイヤーができる操作は、隣人の部屋に散らばっている総計10程度の物体から、的確になにか出来事を引き起こせそうなものを選択するのみ。誤った選択をしてもやり直ししていればいつかはクリアできてしまう。
---ヒントモードがONになっているときに、受けられるヒントが分かりやすいどころかほぼ答えを教えてしまっている。
--同じ「幽霊が主人公で、オブジェクトを動かして攻略するADV」である『[[ゴーストトリック]]』などに比べるとギミックも極めて簡潔である。
--「パンツを見てはいけない」というのもたいして障害ではない。L/Rの視点切り替えをしていればパンツをたやすく視界から振り切れる。チラ見どころか、わざと5秒程度ガン見しないことにはゲームオーバーにならない。
---見渡せる範囲が狭く、どんなに画面の隅に視界を逃がしてもパンツが映りこんでしまう場合もあり、視界から切る手段が事実上L/Rしかないことも。
--ノベルゲーだと思えば、妥当な難易度とも言えなくもないかもしれない。あまりにもギミックの主張が激しいと本編が頭に入ってこなかっただろう。

**問題点
-イタゴラパートとゲーム性のつじつまがあわない
--登場人物の行動に脈絡が無いことが大半なので、部屋の状況からどのアイテムにイタズラすればよいかを推理しにくい。
--啓発ジャンルの本を電子レンジに置き忘れるなど、普通ならまずありえないようなシチュエーションも多い。登場人物も謎の配置にツッコミを入れたりするが、その理由は特に語られない。

-バックログのシステムは少々融通がきかない
--登場したテキストやシステムによる解説を逐一乗せてくれるのはよいが、アニメから流用した2Dムービーの内容は解説してくれない。
---2Dムービー中でもシナリオが展開することがあるので、場合によってはムービーがあったところだけバックログを読み返すと話が飛んでしまうことになる。2Dムービー自体は再視聴することもできるが、本編を1度クリアする必要がある。
--イベントの節目で区切ってくれず、ゲームをリロードせずに続けていると、文章量の蓄積がすごいことになる。そして見たい会話を見返すのが困難に。
--人類が滅亡して時間を巻き戻すと、以前聞いた会話も聞くことになるのだがこのときのセリフも重複して載せてくる。
--ログをジャンプで巻き戻す機能もない。Vitaの場合タッチで巻き戻すといったこともできない。
---スティックで送るしかない。(スティックを2本同時に上方向に倒し、かつRボタンを押すことでそれなりの速さで巻き戻しできるが若干焼け石に水。)

-3Dモーションがバグを疑うほど拙い
--○ボタンで会話を送ることになるのだが、その節目節目をまたぐ際のキャラモーションがなめらかにつながっておらず、不自然な瞬間移動することが殆ど。(会話終了を待って○ボタンを押してもこうなる。)
--キャラクターの周期的な待機モーションですら、その周期の境目がつながっていないことがある。
--遊太の左腕を前に突き出すポーズが不気味。なぜか左腕が電気あんまのような普通の人間には出来ない微振動をする。しかも主人公なので何度も見る事になる。
--隣人も、どこかから電話がかかってこようがお構いなしにさっきまでとっていたモーション(地べたで転がるなど)をやり続ける。体はピクりともせず声だけで電話に反応するという、かなり奇怪な光景が出来上がる。
---さすがにあらゆるキャラにも同じモーションは使い回さないが、ひとつのキャラが同じモーションを使い回すことは多い。声優や2Dアニメはしっかりしているので、ゲーム化でモーションを急遽作って失敗したともとれる。

-アニメの使い回し
--評価点でもチラッと触れたが、やはり多くのアニメムービーがアニメ版の使い回しであるのは事実である。
--特に最終決戦はほぼアニメ11話、最終話をそのまま流しているだけ。ADVでは表現できない怒涛の激闘シーンだが、アニメ視聴済みの人からすると少々退屈。
--新規アニメも存在するが、静止画のコマ送りのような演出に音声を付けただけのようなムービーが多い。

-アニメとの関連性
--本作のアニメとの関連性は発売前のインタビューの時点で明かされているが…。
#region(ネタバレ)
--『パンチライン』は一種のループものであり、アニメ最終回で人類滅亡は回避されるが、別のループがまた違う時空で始まる事が語られていた。ゲーム版のループ回数はアニメよりも2回分増えており、本作はその別のループを取り上げたストーリーとなる。
--しかしアニメとの関連性はこれと言って無く、精々「無数のループの中で成功した周が存在する」と軽く語られる程度である。アニメの時の周が何らかの影響を及ぼす事も無く、結末こそ違うが大筋の展開はアニメと同じである。アニメと一体どんな形で繋がるのかと期待すると肩透かしを喰らう事に。
--確かに元々ゲーム用の企画であり、シナリオもゲーム版の方が先に出来ていた訳だが、発売から一年も先行してアニメを放送していたのだから、何かしらのリンクや仕掛けが欲しかった所である。
--また、ゲーム版でループが完全終了という事はなく、エンディングではアニメ同様、また別のループが始まってしまう。
#endregion

----
**総評
読み物としてはなかなか奇怪な構成と設定をかかげた先鋭的な内容。この奇怪さをゲームシステムでも演出しようとしたことにより、ひとつのゲームとしてはなかなか歪に仕上がってしまった印象が持たれる。良く言えば商品として異彩を放てたし、悪く言えばゲーム性が弱い。~
但し、先行して放送されたアニメ版を補完する部分もあり、理解を深めるのには多少なりとも貢献してくれるだろう。

----
**余談
-本作発売よりも前から、コミカライズ版『パンチラインMAX』が連載されていた。
--内容はアニメ版の後日談だが、ゲーム版はエンディングがアニメとは異なるのでそちらには直接は繋がらない。別の形で同じ事件があったと解釈出来ない事も無いが。

-本作発売の約二ヶ月後には同じ打越作品であり、極限脱出シリーズ完結編の『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』が発売されている。
--本作はこの通り基本はおバカなノリで勢い重視のコメディ作品だが、あちらは徹底して硬派で重苦しい作品である為、打越氏はほぼ同時期に正反対の作風のADVを二つリリースした事になる。

-1988年に同名の映画がアメリカで上映されたが、本作とは全くの無関係である。上述した通り「Punchline」は本来は「オチ」という意味なので、当然この映画のタイトルもその意味で付けられたものである。