野獣刑事 東京同時多発テロを鎮圧せよ!

【やじゅうでか とうきょうどうじたはつてろをちんあつせよ】

ジャンル 刑事アクション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 512MbitDSカード
発売元 サクセス
開発元 タムソフト
発売日 2008年9月18日
価格 3,990円
プレイ人数 1人
セーブデータ 3箇所
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 バカゲー
ポイント 逮捕する気がまるでない野獣刑事
懐かしさ漂うベルトスクロールアクション
単調極まりないゲーム内容


概要

落シ刑事 ~刑事さん、私がやりました~』と同時にサクセスの「刑事(デカ)プロジェクト」の1つとして発売されたニンテンドーDSソフト。
武力を使用せずに取り調べで事件を解決する『落シ刑事』とは違い、本作は襲い掛かる敵どもを拳と重火器でボコボコにぶちのめすバイオレンス色の強い内容となっている。
割と委細構わず暴力的なシーンが発生し、流血描写も多々あるので本作のレーティングはCERO:C(15歳以上対象)となっている*1
ジャンルとしては『ファイナルファイト』を彷彿とさせる懐かしきベルトスクロールアクションに該当する。
ステージ内ではフルポリゴン描写だが、前後移動と上下の軸移動を駆使する2D色の強いゲーム性となっている。


ストーリー

事件解決の為ならば捜査手段を選ばない事で知られる八重洲署刑事課。
周囲からは果に所属する彼らを「野獣刑事」と呼び、犯罪発生以上の脅威として恐れていた。

199X年9月1日、東京都内の各所轄署に爆破予告と思われる電話が入る。
当初はいたずら電話と判断され捜査を中断するがその1時間後、大手電気街に仕掛けられたプラスチック爆弾が爆発し、多数の負傷者が出てしまう。
爆弾を仕掛けた首謀者は国際的に有名なテロリストである事が判明。野獣刑事達はやつらの凶行を阻止する為、東京全域を舞台に活動する。

(以上、説明書の記載を改変して表記)


主要登場人物一覧

  • 八重洲刑事課に所属するメンバーを以下に示す。もちろんゲーム内では彼ら以外にも様々な人物が登場する。
+ 主要登場人物一覧
  • 宍戸 仁
    • 本作の主人公。29歳の男性。階級は巡査長。3人いるプレイヤーキャラのうちの1人でバランスファイター。
    • ノリの軽いお調子者で下ネタ好きだが、捜査にかける執念は凄まじく、周囲からは「最も凶暴な刑事」と恐れられている。
  • 樺島 丈二
    • 本作のもう一人の主人公。42歳の男性。階級は警部補。3人いるプレイヤーキャラのうちの1人でパワーファイター。
    • 他の野獣刑事達を束ねる兄貴分。言葉は粗暴だが義理人情に厚い。重火器を扱わすと右に出る者がいない実力者。
  • 兵藤 理香
    • 25歳の女性。階級は巡査。3人いるプレイヤーキャラのうちの1人でスピードファイター。
    • 八重洲刑事課の紅一点。勝気な性格の姉御肌で特に宍戸に対してきつくあたるが、女性らしい一面も持っている。
  • 牛山 耕太
    • 38歳の男性。階級は巡査部長。
    • 何故かトラブルに巻き込まれやすい中年刑事。一見するとやる気のなさそうな風貌をしているが、意外にも捜査に対する責任感は強い。
  • 鹿賀 哲平
    • 25歳の男性。階級は巡査。
    • 無理やり八重洲刑事課に配属されてしまった新人刑事。野獣刑事達の強引な捜査に嫌悪感を抱いている。
  • 達川 英二
    • 52歳の男性。階級は警視正
    • 八重洲警察署署長。豪快一徹で部下の人望が厚く、八重洲刑事課のドンというにふさわしい人物。

主なルール

ゲームの目標

  • ゲームの目標について。
    • 本作は199X年9月1日から6日までの6日間を期間に、東京都内を移動して事件を解決する目的でゲームが進行する。
      • 1日おきに複数のステージが用意されており、それをすべてクリアすれば1日の捜査が終了となり次の日に移項する流れとなる。
      • ステージの前後にはほぼ必ずイベントシーンが挟まれる。なお、STRATボタンでイベントスキップが可能である。
      • 原則として東京都内はMAP表示によるプレイヤーの任意移動となっており、好きな場所(ステージ)を選んでプレイできるが、状況によっては強制的に決められたステージに挑まなければならない。
      • 本作には使用できるキャラを選択できる機能はなく、ステージによって使用キャラ(宍戸・樺島・兵藤)が自動的に入れ替わる方式を採用している。
    • ステージには「逮捕モード」と「取り調べモード」の2つもモードがある。
      • 逮捕モードは襲い掛かる敵どもを倒し、特定地点まで進んだ先に待つボスを倒せばクリア*2となるベルトスクロールアクションステージ。
      • 取り調べモードは敵がおらず通行人と会話したり、手がかりとなる箇所を調べられるステージ。但し、取り調べモードから突然、逮捕モードに変化するアクシデントも発生する場面がある。
    • 東京都内MAPには以下の目印があり、次ステージ攻略への目安となる。
      • 「赤アイコン場所」…事件が発生している場所。大方はここに移動すればゲームが進行する。
      • 「青アイコン場所」…事件が発生していない場所。ほとんどの場合は行っても無意味だが、特別なイベントが発生する事がある。
      • 「八重洲刑事課」…任意セーブやおまけコンテンツの鑑賞が可能。一部を除けばここに移動してもゲーム進行に影響はない。

ゲームのルール

  • 操作方法に関して。
    • 使用キャラの固有操作は設けられておらず、全キャラ共通操作となる。
      • 十字キーでキャラの移動操作。
      • 十字キーを同じ方向に2回連続押しでダッシュ移動。
      • Bボタンで刑事ジャンプ(ジャンプ中の攻撃は不可)。
      • Rボタンでガード。
      • Yボタンで刑事パンチ。
      • Xボタンで刑事キック。
      • ダッシュ移動中にYボタンで刑事タックル。
      • ダッシュ移動中にXボタンで刑事スライディング。
      • Lボタン押しっぱなしで銃を構え、YかXボタンで発射する。
      • 人型の敵に近づいてY + Bボタン同時押しで掴み技(投げ)。
      • R + Xボタン同時押しで必殺技1(体力消費)。
      • R + Yボタン同時押しで必殺技2(体力消費)。
      • Aボタンで「通行人と会話する」「操作箇所を調べる」「落ちているアイテムを拾う」のいずれか。
  • 大方はスタンダードなベルトスクロールアクションのシステムを踏襲している。
    • なんかいちいち技名に「刑事~」と表記されているが、要はただのパンチやキックなどと同様と思ってもらっても差し支えない。
      • 刑事パンチか刑事キックをタイミングよく目押しすると連続技となる。
      • 銃を持っている状態であればそれを構えて発射できる。銃には弾数制限があり、それが尽きてしまうと当然ながら撃てなくなってしまう。
      • 掴み技は無敵時間が発生する投げを行う。人型ではない敵には無効。
      • ガードは大方の敵の攻撃をガードし、必殺技関連はいわゆるメガクラッシュにあたる攻撃を行う。
  • アイテムと銃について。
    • 逮捕モードでは以下のアイテムと銃が落ちている場合があり、拾う事で様々な効果が得られる。
    • アイテム関係。
      • 「回復アイテム系」…ライフが特定値回復。ハンバーガーや栄養ドリンクなどのアイテムがあり、それぞれに回復効力の差がある。
      • 「棒」…取得中は刑事パンチの替わりに棒攻撃が出せる。一定回数攻撃すると壊れてしまう。
      • 「弾薬」…所持している銃の弾数を完全補充できる。
    • 銃関係。
      • 「拳銃」…弾数、威力共に並の銃。ステージ開始時にプレイヤーが必ず所持している銃でもある。
      • 「マシンガン」…弾数は多いが威力は高くない銃。銃の中で唯一連射ができる。
      • 「ショットガン」…弾数は少ないが敵への貫通性能を持つ銃。
      • 「ロケットランチャー」…弾が1発しかないが凄まじい威力を持つ銃(?)。撃った後の爆風は敵だけでなく、撃ったプレイヤーにも被害を及ぼす危険性がある。
  • ミス条件とセーブについて。
    • 本作はライフ制オンリーで残機の概念はない。
      • プレイヤーのライフが0になるとコンティニュー選択ができる。コンティニューするとそのステージの最初からの再開となり、しないとゲームオーバーとなる。コンティニュー回数は無制限。
    • セーブに関して。
      • セーブは1日の全ステージをクリアすると自動的にセーブ画面が現れる。もしくは東京都内MAPの八重洲刑事課に移動すると任意セーブができる。
  • その他の情報について。
    • 東京都内MAPの青アイコンの場所に移動すると、怪しい爺さんが「試練」を試してくる場面がある。
      • 試練中は複数の敵が襲い掛かってくるので、制限時間以内にそれを倒せば試練クリアとなる。倒せなくてもゲームオーバーにはならず再び試練の再開となる。
      • 試練クリアするとご褒美として「巻物」か「防刃ベスト」のいずれかを授けてくれる。これには攻撃回数UP(巻物)や最大ライフ上昇(防刃ベスト)の効果が次ステージから発揮される。
    • 全日数のステージをすべてクリアすると、周回プレイが可能となる。
      • 周回後に東京都内MAPの八重洲刑事課に移動すると、前周にはなかった項目が追加されている。
    • 本作はマルチエンディング制である。
      • イベント中のやり取りにエンディング分岐のキーワードが隠されている。

おバカ点

  • 馬鹿っぽさ全開でありながらも熱いストーリー。
    • 率直にいってしまうと本作は紛れもないバカゲーである。以下おバカの一部を紹介。
      • ゲームを起動するといきなり『おさわり探偵 小沢里奈』シリーズの「なめこ」がお出迎え。しかも、ゲーム中にも置物として登場。
      • イベントシーンの絵柄が激しく胸焼けしそうな程に濃い。男性達も濃い顔立ちばかり。割と可愛い女性警官が少数いるのが救いだが…。
      • 逮捕モードは「襲ってくる敵どもを拳と銃でひたすらボコる」というもの。それは逮捕とは言わない。
        一応ボスクラスの敵をイベントで逮捕しているシーンはあるが、ほとんどの敵はボコるのが基本となる。
      • 「こんな街中で銃ぶっ放して大丈夫?」 ⇒ 「ゴム弾だから大丈夫、実弾と大差ない威力だけど
      • 暴徒と化した市民「警察が市民に危害を加えるなんてできないよなぁ?」 ⇒ 即ボコる野獣刑事。
      • 敵に対して「(前のステージに登場した敵の)使い回し?」とメタ発言をする野獣刑事。
      • ヘリで即死クラスの高さからパラシュート無しで飛び降り、思いっきりガラスを突き破って建物に侵入しておきながら「痛ぇ…」で済ます野獣刑事。
      • ショッピングモールや警察署でロケットランチャーをぶっ放す野獣刑事と敵。あーもうめちゃくちゃだよ。
      • 敵とみなせば同僚の警察官ですらボコる野獣刑事。しかもボコっている警察官は1人や2人でなく、どう見ても100人位はボコり対象となっている。
    • しかし、ちゃんとシリアスな面も忘れていない。
      • ネタバレなので詳細は避けるが、負傷者や殉職者が発生する展開。まさに刑事ドラマのお約束。
      • テロリストの親玉はかつて野獣刑事の同僚であり、お互いが非常にやるせない対面を果たす事になる…。
      • ラスボスは絶対的な悪ではなく、「東京を愛しているからこそ」という動機で凶行に走る悲しさ。ラスボスに対する野獣刑事の反応もまた泣かせてくれる。
      • 『落シ刑事』同様、エンディングテーマは舘ひろし氏による書き下ろしボーカル曲「甘い生活」が流される。何故舘氏を起用しているのかは気にしてはいけないのだろう。

評価点

  • ゲームの土台自体は悪くない。
    • とりあえずはベルトスクロールアクションとしての最低限の面白さは持っている。
      • 上記の問題点などで述べた問題はいかんともし難いが、複数の敵をまとめてボコりまくったり、掴み技で投げ倒す様は純粋に爽快である。
      • 近年では3D路線が多い傾向にあるベルトスクロールアクションだが、本作の様な2D視線の同ジャンルは貴重かもしれない。
      • ファイナルファイトなどをやり慣れているプレイヤーにとっては即効で入り込めるであろうわかりやすい操作性であり、タッチペンの押し付けが一切ないのも美点である。
  • グラフィック、BGMに関しては上質。
    • ステージ内ではフルポリゴン描写ではあるが、DSにしてはあまり角ばっておらず綺麗な部類。
      • 東京内を再現した背景は妙にリアル。特に電気街ステージはもろに秋葉原っぽい雰囲気が再現できている*3
    • 相当に濃いもののイベントシーンの絵柄は綺麗でかっこいい。決して「ウケを狙っただけのイっちゃった絵柄」でない点を誤解なき様に。
    • BGMの曲数はあまり多くないが、何気に渋い良曲が揃っておりゲームを盛り上げてくれる。

問題点

  • ベルトスクロールアクションとしては相当雑な作り。
    • 2000年後期のゲームとは思えぬ程に作り込みが甘い内容となってしまっている。以下その理由。
    • 敵の使い回しが多すぎる。
      • 本当に数える位にしか敵の種類がおらず、いくらステージを進めても似た様な顔ぶれに遭遇しがち。
      • また、DSの容量的な問題なのか、画面内に最大4体しか敵が登場しないのも単調さに拍車をかけている。まるでSFCソフトの様だ…。
    • こちらの攻撃性能がどうにも悪い。
      • 連続技で攻撃するとプレイヤーキャラが異様に前進する仕様なので、攻撃中に敵の不意打ちをもらって連続技中断なんて事態が頻発する。
      • ガードや必殺技、銃攻撃関連の隙がでかすぎて大して役に立たない。必殺技に至ってはライフを消費するのに…。
      • ジャンプ中は攻撃できずに隙をみせるだけ。何の為にこれを入れたのか?
      • その一方で即無敵時間が発生する掴み技は異様に強く、大体はこれを多用するだけでもミスのリスクが激減する。なんとボスの多くにも掴み技が効いてしまう。
  • ベルトスクロール以外でのアクションが搭載されていない。
    • せっかく刑事ものの設定なのだから、もっと多彩なアクションを入れて欲しかった。
      • イベントシーンの一部ではカーチェイスが発生するが、イベントだけで済まされてしまいプレイヤーが操作する機会は全くないのが何かしっくりこない。
  • プレイヤーセレクトができない。
    • せっかく3人のキャラが操作できるのに、何故か選ばせてくれない謎。
      • といっても各キャラの相違は「外見と一部の技のモーション違い」と「パワーかスピードの違い」位にしか差がないので、仮に選択できたとしても面白みがあるかどうか…。
  • ステージ内でしかボイス演出がない。
    • ステージ中では攻撃などを行う度に喋る野獣刑事達だが、まとまった会話(ステージ・イベントを問わず)はノンボイスとなっている。
      • 色んな意味でストーリーが魅力な作品なので、せめて要所だけでもフルボイスにして欲しかった気がする。

総評

昭和さながらの刑事ドラマテイスティを持ち、バカゲーとしてもなかなか見所がある作品だが、肝心のベルトスクロールアクションが褒められた出来じゃないのが残念どころとなっている。

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最終更新:2021年06月18日 22:22

*1 しかし、何故か説明書は漢字にルビが付けられている。

*2 ボスがいないステージもある。その場合は特定地点まで進んで雑魚敵を全部倒せばクリア。

*3 本作では東京以外での実物名称は伏せられており、電気街は「秋野山」という名称となっている。