倫敦精霊探偵団
【ろんどんせいれいたんていだん】
ジャンル
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アドベンチャーRPG
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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バンダイ
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開発元
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ユニット
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発売日
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1999年5月20日
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定価
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5,800円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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要するに何が何だったのか
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概要
19世紀、蒸気機関の発達によって近代化し始めた頃のイギリス・ロンドンを舞台としたRPG。
戦闘時に召喚魔法で呼び出せる「精霊」のデザインは、後に平成仮面ライダーシリーズの『剣』『カブト』『電王』において怪人のデザインを担当する事になる韮沢靖氏が手掛けている。
特徴
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物語はプロローグを含めると全20話の章立て式で、順番にプレイする。
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パーティメンバーは名探偵の助手である主人公の少年、彼に懐く孤児の「相棒」、学者の子供である我儘娘の「アリエス」、謎の男「ヴァージル」の4人。パーティは最高3人で、更にパーティ編成は章毎に決まっている為、任意の編成にする事はできず、4人揃って戦う事も無い。
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ヴァージルは特定の章でのみ加わるスポット参戦扱いで、更に彼だけは装備も変更できない。
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タイトルには「探偵」とあるが、推理要素は皆無で、所謂「少年探偵団もの」の様な冒険活劇となっている。
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公式ジャンル名は「アドベンチャーRPG」だが、この「アドベンチャー」とは「冒険」を指しているらしい。
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ゲームの舞台は基本的にロンドンの町のみで、章によっては地下道などのダンジョンに入れたり、異次元に移動したりする。
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ゲーム進行には直接関係無い「依頼」というサブイベントに挑む事もできる。人探しや物探しなど様々で、クリアすると礼金が貰える。
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依頼イベントの中には、「子供である主人公達の限界」を描いた後味の悪いものもある。
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戦闘は『ライブ・ア・ライブ』の様に技の有効範囲の概念が有るシステム。しかし移動だけを行う事はできない。キャラは技を使うと勝手に移動する事もある。
評価点
パッケージには「故郷の街が唯一の『世界』だった幼少時代」「時間を忘れ、泥だらけになって遊びまわった日々の懐かしい興奮を、今、再び…」とあり、ノスタルジックな感傷を呼び起こそうとする様々な工夫がなされている。
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下水道、路地裏、屋根の上など怖いもの知らずの子供だった頃に行った事がありそうな場所がダンジョンとして登場する。
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宝箱は存在せず、アイテムは床や地面に落ちて光っている。
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ザコ敵はノラネコやコウモリなどの害獣がメイン。倒すと市役所から礼金が貰えたりする。
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グラフィックは淡い色彩で描かれており、蒸気機関の煙漂うロンドンという独特な舞台を表現している。
問題点
システム面
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エンカウント率が酷く、1歩どころか1ドット歩いただけで次の敵が出るという事も頻繁に起こる。
シナリオ面
スタッフロールによるとシナリオ担当者は11人もいるらしいのだが、統括する人間がいなかったのか、シナリオは支離滅裂である。
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本作の世界観は「怪人」と呼ばれる者達が暗躍する世界で、各章の事件は主にこの怪人達が起こしているのだが、この怪人という定義がなんともあやふやである。
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サイボーグだったり、所謂「怪盗」だったり、単なるコスプレした変態だったり。また「怪人結社」という組織も登場し後半の敵勢力となるのだが、これに属さない連中もいる為結局何が何だか分からない。
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怪人1人1人は外見も性格も個性的なのだが、結局なぜそんな事件を起こしたのかもわからないまま適当に退場する者までいる。
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幹部級の怪人の1人は、倒されると「私をこんな体にした世界が、お前達が憎い!復讐を!」と叫ぶのだが、主人公達に原因が有るわけではなく、そもそも初登場時からその姿で、その上体を改造された理由など全く語られない為、プレイヤーからして見れば「知らねーよ」としか言い様が無い。
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各エピソードの繋がりもあまり無く、「これで終わりなの?」という拍子抜けなオチや、謎を適当に放り出して終わる章が幾つもある。
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特に酷いのが第15章。「工場の煙突が出す煙で夕日が見えなくなったと孫が悲しんでいるので、少しだけでも工場の稼働を止めて欲しい」という依頼を受け、社長の元に直訴しに行く主人公達。すると社長は快く「今日の夕方だけ停止させる」と約束してくれる。ところが帰り道に突然社長が変態コスプレをして現れ「お前達は実は我が社をスパイしに来たんだろう!?」と言って襲いかかって来る。
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倒すとそれっきり社長は行方不明になり2度と触れられなくなる。しかしその章のラストではちゃんと工場が煙を停止してくれる。意味がわからない。
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主人公の師匠もロンドン1の名探偵という設定なのにほとんど活躍する場面がなく、ほとんどの依頼を主人公に丸投げし、終盤では敵の罠(偽ラブレター)に引っ掛かり人質になると、悲しくなるほど情けない。
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幽霊の様な謎の男女が度々登場するのだが、意味不明な事を言うばかりで、正体も不明のまま。そしてエンディングも意味不明なままで終わってしまう。
総評
グラフィックやBGM、マップの構成など、世界観の表現はできているのだが、とにかくシナリオが支離滅裂である。
別に電波シナリオを狙ったわけではなく、受け手に訴えたいものはあったのだろうが、シナリオのブツ切り感・描写不足・キャラの使い捨てなどはフォローのしようがない。
各章の冒頭(事件の始まり)はどれもユニークで引き込まれるものなのだが、淡々と進んで解決するだけ・超展開・適当に打ち切るなど、承・転・結のどれかが欠けてばかりいる。
ロンドンの町を舞台とした「箱庭ゲー」、或いは「雰囲気ゲー」としてなら楽しめる…かもしれない。
最終更新:2018年01月02日 12:08