ピポサル2001
【ぴぽさるにせんいち】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション2
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発売・開発元
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Sony Computer Entertainment
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発売日
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2001年7月5日
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定価
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5,800円
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レーティング
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CERO:全年齢対象 |
廉価版(税込)
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PlayStation 2 the Best 2002年10月3日/3,000円 2005年3月10日/1,800円
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判定
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なし
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ポイント
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PS2初の『サルゲッチュ』 続編を期待してた人からは不評 難易度が地味に高い アクションとしては佳作
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サルゲッチュシリーズ
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PlayStation Studios作品
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概要
SCEのオリジナル作品の中でもトップクラスの知名度を誇る『サルゲッチュ』の続編。
しかし、続編とはいえ一部キャラクターが共通しているだけでシステムが全くの別物である。
また、後に正式なナンバリング作品『2』が発売されているため、現在ではスピンオフとして扱われている。
ストーリー
前回の大騒動で無事全てのピポサルを捕まえたハカセたち。
サルたちは処分されることもなく、ハカセの開発した広々としたサイバースペースの中でのんびりと暮らしていました。
しかし、そんな時政府から一本の電話がハカセの元に届いたのです。
「衛生のため、全てのサルのパンツを洗濯してください」
ハカセもこれには弱ってしまいました。パンツを洗濯するためにはサイバースペースに入り、サルのパンツを一枚ずつ集めなければなりません。
そこでハカセは研究所に遊びに来ていたカケルくんに掃除機型ガチャメカ、「ヌゲッチャー」を渡しサルのパンツ集めを依頼するのでした…。
システム
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今回の目標はストーリーにあるとおり「パンツを集めること」である。
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新型ガチャメカ「ヌゲッチャー」を用いて□ボタンでサルを吸い込むことで、パンツだけをいただくことができる。
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集めたパンツは洗濯機型の「パンツてんそうき」(スタート地点でもある)に戻ることで転送できる。ステージ内の全てのパンツを転送するとステージクリア。
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集めたパンツはカケルの後ろにストックされる。この状態ではサルが無理やり引っ張ることでバラバラになり、奪い返される可能性がある。
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なお、パンツは10枚、50枚単位でストックされ長さが短くなる。奪われにくくなるが、万が一ばらけると一気にストックされたパンツ全てがばらけてしまう。
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カケルのアクションは吸い込みの他、「グルグルアタック」「サルロケット」「メカディスク」がある。
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グルグルアタックは□ボタン連打で発動。周囲一帯を攻撃できる。
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サルロケットはサルを□ボタン押しっぱなしで手元に引き寄せチャージ、ボタンを放して一気に向いている方向に射出する大技。慣れると主力にもなる。
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なお、この技でパンツをはいているサル/パンツカプセルを倒すと自動的にパンツを吸い取れる。
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一定以上サルを引き寄ると音が変わり通常より貫通能力/射出距離が高くなる。
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メカディスクはステージ内に置いてあるアイテム。3種類あり、投げられるほかその場に置くこともできる。サルや障害物が近く、または直撃すると即時、いない場合数秒後に起動する。
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「バクハツメカディスク」は名前の通り爆発する。サルを一掃できるほか、パンツやサルが入ったカプセルを壊せる。
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「ラブラブメカディスク」はバナナ型の人形を設置してその位置にサルをおびき寄せる。大半のステージでは渦潮や雪や氷池などのトラップがある。
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「リモコンメカディスク」は広範囲に爆発することで範囲内のサルを一定時間操れるようになる。故意にステージ外に落下させることは不可能だが、黒足場(やけど)などのトラップにおびき寄せよう。…マインドコントロール?倫理的にヤバイ気もするが、気にしない方向で。ちなみにこの操作中、タイムは止まる。
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カケルの体力は今回は3点。
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3回攻撃を受けると残機を失ってスタート地点から。この際制限時間は回復せず、未転送のパンツはミスポイントに散らばる。
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体力はサルを気絶させた際に出現するライフチップを5枚集めると1つ回復する。
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ただし、後述のタイムアップ後はライフチップが出ない(無意味になる)。
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今回は各ステージごとに制限時間が設けられている。ただしタイムカウントが0秒のときに空中に浮いてる限り時間切れ判定にはならない。
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時間切れになってもゲームオーバーではないが、体力が強制的に1になりミスするとステージの最初からになる。
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クリア後にはタイムによりS~Fのランクが付けられる。またこの他ボーナスとして「じかんない(制限時間切れ前にクリア)」と「イッパツ(全てのパンツを一回で転送)」の2つがあり、獲得するとワンアップする。
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ステージ内にあるアイテムは以下の通り。
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各種メカディスク
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効果は前述の通り。なお、このアイテムのみ取得しても時間経過で復活する。
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たんちきアイテム
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取ると「パンツたんちき」が出現。未入手のパンツの方向を矢印で教えてくれ、全てのパンツを集めるとてんそうきの方向を示してくれる便利アイテム。
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ただしてんそうきの場所は、現在地点から1番近いてんそうきとは限らない(固定)。
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タイムプラス
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取ると制限時間が30秒増える。とあるステージではたった5秒からスタートなのでとても重要になることも、なお時間切れ後には効果がないことに留意する必要がある。ちなみにタイム回復上限はない。
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Tシャツ
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スター
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取ると無敵になれる。なお取った瞬間からピポサルは全員カケルから逃走し、ピポサルに当たる毎にサルを倒し、パンツを強奪するうえ、無敵時間が伸びる。
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この状態ではサルは補充されず、ピポサルの全滅orタイムオーバーで終了。某超有名アクションゲームとの関連性はない。たぶん。
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カプセル
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青と赤の2種類があり、青にはパンツ5枚、赤にはサル5匹が入っている。パンツはクリアに必須だが、サルはパンツを履いておらず開けるメリットは皆無。
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ただしサルロケットを使う時に赤をオープンすると素早くクリアできる時がある。
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ステージ上空ではスペクターがUFOで飛行している。
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直接的な妨害はしてこないが、気絶したサルや散らばったパンツを回収し、パンツを履かせた上で再びステージに投入してくる。ちなみに、サルロケットで攻撃することもできるが…?
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なお、各コースの最終ステージはスペクターとの直接対決となる(しかし目的はやはりパンツの回収)。
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この時UFOにぶち当てると全て、爆発などさせるとその部分までのパンツが散らばる。パンツの数が少なくなると行動パターンが変わる。
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マト
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正確にはアイテムではないが、一部のステージにはマトが設置される。原則サルロケット以外では当てられる位置にはなく、マトに当てると3UPする。
ステージと登場するサル
本作は3種(サルなみ・ヒトなみ・ハカセなみ)+?のコースで構成されている。
それぞれのコースは以下の5種のランドの組み合わせで成り立っている。スペクターマス前は全てLv5のマス。隠しステージのみLv4となる。
ちなみに全スペクターマスをクリアしたうえで、最終ステージで1度スペクターのパンツを回収すると、同一ステージだが難易度が上昇するEXワールドが出現する。よって実質2倍のマップ数を誇る。
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ほのぼのランド
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全体に平坦で特にこれと言って目立った仕掛けのないステージ。背景の風車が印象的。
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登場するのは黄色パンツのピポサル。バナナを投げたり、ひっかいて攻撃して来たりオーソドックスな行動パターン。
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ぴちゃぴちゃランド
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水場の非常に多いステージ。水中ではヌゲッチャーが使えないことに注意。排水スイッチで水位を下げながら攻略することになる。ちなみに、この時排水口がある水エリアにサルがいると吸い込まれてパンツが排水口に貯まる。
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登場するのは水色パンツのスキューバサル。水中では非常に素早いが、地上での動きは遅い。時折ウニを投げてくることも。
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あちあちランド
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炎天下の砂漠のステージ。随所にある鉄板は長時間乗っていると火傷する。そして常に裸足のピポサルは一瞬で火傷する。
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登場するのは青色パンツのサボテンサル。非常に憶病でサボテンに擬態している間はパンツを奪い取れない。ただし、サルロケットなどで強奪することは可能。
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どきどきランド
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お化け屋敷風のホラーチックなステージ。スイッチを押して明かりを灯さないとアイテムが回収できないほど薄暗い。
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登場するのは緑色パンツのカンオケサル。パンツを履いているサルは全員棺桶の中に入り、この時は回収できず、かならずサルロケットかバクダンなどで攻撃しなければいけない。
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なお、パンツがないサルは常時カケルを見つけているため、非常に遅いとはいえ常に追いかけてくる。
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つるつるランド
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常に真冬のクリスマスムードなステージ。つるつる滑って動きにくい。随所にあるかまくらは入ると高速ダッシュができる。
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冬のステージなので、ステージは氷池もあり、雪スイッチで壊すことも可能。そしてこの時サルがいれば凍ってパンツを吐き出す。
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登場するのは黒色パンツのスケートサル。とにかく動きが速く非常に追いかけにくい。1種類だけパンツに黄色のラインが入っているオシャレさん。
これで全部ではなく、さらにこの後で最終ランドが待ち受ける。
評価点
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アクションゲームとしての完成度の高さ。
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とにかくタイムアタックが熱い。一秒を削り最高タイムを更新する楽しさがある。
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Sランクの取得数に応じてコースクリア後に見られるオマケ、「サルおんせん」に登場するサルの数が増えていくやりこみ要素がある。各自にコメントがあり、なかなか面白い。
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ちなみにステージのSランク、一発ボーナス、時間内ボーナスをコンプリートすると、スペクターが登場する。
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各ステージごとのギミックや構造も凝っており、最短ルートを探すのも一興。
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イッパツボーナスという要素もなかなか面白い。
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コンプリートを狙うなら取得は必須なのでできる限り狙っていきたいが、パンツを大量に抱えるのはリスクが高く、かといっていちいちてんそうきに戻るのは時間的な意味でも難しく…と頭を使わせられる。
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本作に登場するサルの総数はタイトル通り2001匹である。1つのステージだけで何十匹も現れ、大量のサルを追い詰めていく爽快感がある。
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1つの画面に沢山のピポサルがいても処理落ちがほとんど発生しない為、爽快感を失っていないのは良い点。
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前作に比べて個々のステージの攻略時間は短く、テンポはいい。
賛否両論点
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ストーリーについて。
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前作の「バカっぽく見せかけて深いテーマがあった」というものに比べると徹頭徹尾ふざけた感があり、前作よりも子供向けっぽく感じられる。
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使われる文字もほぼひらがなオンリー。対象年齢ははっきり言ってかなり低く見える。
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一応スペクターの演説などそれっぽい要素はないでもないが、やはり基本シリアス要素は無い。もっとも、「パンツを集めて洗濯しよう」という目的では真面目になりようもないのだが。
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また、起伏のある展開でもなく、ただステージをクリアしていく淡白なものである。
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ステージ開始前の会話イベントは多いが、前作のようなフルボイスではなくテキストのみ。ボイスがあるイベントはオープニングとエンディングのムービーしか無い。
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難易度の高さ。
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子供向けに見えるストーリーに対して難易度はかなり高い。ステージの構造を正確に把握しないとSランクはおろか、時間内クリアも難しい。
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特に隠しステージの難易度はかなりのもの。さらに全ステージクリア後に解放されるエクストラモードともなると…。
問題点
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ロード時間がやたら長い。
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ステージ開始前だけでなく、ステージクリア後にも挟まれるなど頻度も多い。
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さらに厄介なことに本作にはリトライの項目がなく、失敗が確定して再プレイしたい時には「ステージ脱出 → ロード → ステージ選択 → ロード → ステージ開始」とやたらロードする羽目になる。
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ステージ内にザコが一切登場しない。
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前作のような雑魚敵は本作に1匹もおらず、全ての敵はピポサルで統一されている。さらに1つのステージ内には前述の通り1種類のピポサルしか登場しないので、冗談抜きに1種類しか敵がいない。
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ピポサルのバリエーションの少なさ。
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総数2001匹とは言っても結局のところ5種類(+α)しかおらず、種類ごとの行動パターンも固定。このため数十匹のピポサルが一糸乱れず全く同じ行動を取る、という奇妙な光景がしばしば見られる。
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登場するサル全てに個性が付けられており、強烈な印象を残すサルも多数いた前作とは大違いである。
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ただ、それはそれで大量のサルから逃げる一種のスリルはある。イッパツボーナスもあり、サルゲッチュと考えなければアリという考えもある。
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登場キャラも少ない。
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サイバースペース内のパンツ集めで完結するため、本編に登場するのはピポサル・カケル・ナツミ・チャル・ハカセ・スペクターのみ。
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ザコ敵が一切登場しないのに加えて登場キャラ自体少なく、これでは上述した通り盛り上がる展開は望むべくもない。
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カケルの親友であり前作では洗脳されてライバルキャラとして度々対決したヒロキは影も形も出ず、後の作品で登場するウッキーファイブなど、個性的な敵がいる訳でもない。
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チャルはランド突入時とリザルト画面で姿を見せるが、何故かこれがエクストラモード限定。しかもリザルト画面はノーマルだとナツミの台詞があったのに対し、エクストラのチャルは終始無言。
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グラフィックは前作に比べて大きく進化しているとはいいがたい。
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背景の書き込みなども前作の方が断然詳細で上回っている。正直このグラフィックで何をロードしているのか気になる。
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キャラのポリゴンも前作よりは良くなっているが、そこまで大きな進化ではない。
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元々ピポサルのパンツがキャラに対し小さい為、遠くのピポサルがパンツを履いているか見分けることが難しい。
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一応擁護しておくと劣悪なわけではなく、時代相応の悪くない出来である。前作がPS1のゲームとしては規格外すぎただけとも言える。
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カケルのアクションのバリエーションが減った。
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前作では多数のガチャメカをステージに合わせて使い分けていく楽しさがあったが、今作ではヌゲッチャー以外のガチャメカは一切存在しない。
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アドベンチャー的要素を多く持っていた前作よりも、アクション方面に特化させて操作を絞った結果と思われる。もちろん、こちらはこちらで限られたアクションでステージを攻略していく楽しさがあるので、どちらが良いとは一概には言えないが…。
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なお、前作ではミズメカなしでは水中に入れず、酸素にも限界があったカケル君だが、今回は水中でもヌゲッチャーが使えない以外地上とほぼ同じ行動ができる。しかし、水中でも地上と同じように動けるのは違和感があり、正直手抜きに見える。
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前作同様、条件を満たすと真のエンディングに到達できるが、通常エンドと代わり映えしない。ラスボス戦の展開に若干の変化があるだけで、エンディングムービーも通常エンディングの使い回しである。
総評
はっきりいって「『サルゲッチュ』の看板が重すぎた」というのが正直な所。
単体のアクションゲームとしては充分な完成度であり、ボリュームも充分。
しかし純粋にサルゲッチュの続編として見ると前作のファンを満足させた出来とは言い難い。
概要にもあるとおり、後に正式なナンバリング作品が出たことで本作の立ち位置は現在ではスピンオフとなっている。
余談
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なんだかんだでそれなりに人気もあったのか、廉価版が2回も出ている。しかも2回目は最初の発売日の4年後である。
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いくつかのステージを遊ぶことができる。基本的に内容に違いはないが、アイテムがハンバーガーやポテトに変更されていたり、背景の看板に「マクドナルド」の文字が書かれていたりする。
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最終更新:2024年11月18日 06:13