SIMPLE1500シリーズ Vol.74 THE ホラーミステリー 惨劇館 ケビン伯爵の復活
【しんぷるせんごひゃくしりーず ぼりゅーむななじゅうよん ざ ほらーみすてりー さんげきかん けびんはくしゃくのふっかつ】
ジャンル
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サウンドノベル
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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D3パブリッシャー
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開発元
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ゲームステージ
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発売日
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2001年9月27日
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定価
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1,500円(税別)
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象) |
配信
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ゲームアーカイブス:2010年6月23日/300円
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判定
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なし
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ポイント
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クオリティは不安定だが数は多い一枚絵 棒読み声優多数
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SIMPLE1500シリーズ
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概要
D3パブリッシャーによる廉価版ゲームシリーズ『SIMPLE1500シリーズ』の1作。
人気ホラー漫画家・御茶漬海苔氏の漫画『ケビンの惨劇』を原作としたサウンドノベルで、原作者自らがストーリーを監修している。
2010年にゲームアーカイブスで配信もされた。
ストーリー
貿易商人をしていたリック(名前変更可)は、約1年振りに故郷の小さな村に戻ってきた。
久しぶりに母や妹と再会し、リックもこれからは村に落ち着こうと決意する。
しかし村の収穫祭を前に、リックは親友のジャンから、領主が収穫祭に生け贄を求めているという噂を聞かされる。
不吉な予感に家へ戻るリックだが、突如やってきた男達に母親は殺され妹はさらわれてしまう。
リックは単身で、領主であるケビン伯爵の屋敷に乗り込むのだが…。
特徴
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オーソドックスな縦書き文章のサウンドノベルで、全13章構成。
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本編途中で主人公が2度交代すると共に、舞台も中世から現代までガラッと変わる。
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ネタバレ
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ただし本編は12章までで、隠しシナリオである13章は本編とは無関係の短編学園ホラーである。
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セーブ・ロードのタイミングは自由で、セーブ可能数は5個。
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セーブデータからは、既に読んだ章の頭まで戻って読みなおすことも可能。
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主人公以外のキャラクターは男女問わずフルボイス(オンオフ可)。
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本作発売と同時期に映画化が決定していた『惨劇館 夢子』の宣伝映像も収録されている。
評価点
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フローチャート機能がある。
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フローチャートの既読部分にはマークが付くので比較的分かりやすく、ストーリーの達成率も最大100%で表示される。
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台詞は、キャラごとに色分けがされているため判別しやすい。
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廉価作品にしてはイラストが多数用意されており、各シーンごと、またバッドエンド直行の展開でも一枚絵があることが多い。
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最初の家に帰ってくるシーンで、選択肢によっては一瞬出てくるだけの犬にさえ一枚絵があるという凝りよう。
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スタッフロールでは、イラストだけで10人のスタッフを使っているのが確認できる。『SIMPLE1500シリーズ』としては破格である。
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問題点でも述べる通りイラストの出来はあまり安定しないが、強烈な作画崩壊は無く及第点程度のクオリティを持つ部分も十分ある。
問題点
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時代と価格を考慮すればそれなりに妥協はできるが、システム関係でやや不便な部分あり。
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バックログがない。代わりにシナリオを少し前のチェックポイントまで戻してくれる機能はあるが、使い勝手は微妙。
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シナリオスキップ機能はあるが、ボタンを押しっぱなしにする必要がある上いちいち話者転換・場面転換などで引っ掛かるためこれも使い勝手がイマイチ。
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選択肢を間違うと基本的に1発死に。
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選択肢がかなり後になって影響を及ぼすということは何度かあるが、ゲームオーバーに関しては直前の選択肢を変えれば大抵は回避できる。
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これについては、いちいちやり直すのが面倒なプレイヤーもいるだろうことを考えると問題点かは人によるところ。
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ただし選択肢によって物語の根幹が変わるようなことはほとんどなく、直後の展開にこそ変化があれどストーリー自体は基本的に一本道傾向である。
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パッケージイラストは御茶漬海苔氏によるものだが、ゲーム中のグラフィックはそれとは全く違う、アニメ調のものである。それ自体は良いのだが、妙に泥臭い絵柄で描かれている。
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例えば、ケビンはパッケージイラストだと『バットマン』に登場するジョーカーのような姿だが、ゲーム中ではダークエルフのような姿である。
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分かりやすく言えば、1970年代ぐらいの昔のアニメのような絵柄。またアップ絵は線がやたら太かったり、デッサンが狂っている部分も若干ある。
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特に後半に登場する「神」は、一昔前の少女漫画の「憧れのセンパイ」みたいな顔である。
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一応、風貌は『ファイナルファンタジーVII』のセフィロスを意識したものと思われるが…。
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モンスターの絵は迫力がある一方、背景はやけに平面的で立体感がまるで無い。
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人にもよるが、基本的にストーリー後半の印象があまり良くない。
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神だ何だとやけに宗教的な要素が強くなってきて話も抽象的な方向に向かうなど、結末がいまいちスッキリしない。
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ネタバレ
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13章の隠しシナリオの結末が夢オチ。
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正確には現実にも恐怖の片鱗が持ち込まれていることを想起させて終わるのだが、実際にガッカリする内容ではある。
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ボイスのクオリティが著しく低い。
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声優は計5人で、女性は「ヒロイン」「年配のキャラ」「それ以外の女性」の3人。男性は「敵のボス」「それ以外の男性」の2人なのだが、「それ以外」の2人があまりにもヘタ。
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検索しても全くヒットしない名前ばかりなので、恐らくプロの声優や役者ではなく、スタッフの関係者か何かと思われる。
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男性は棒読みだし、女性は変な訛りがある上に呂律も回っていない。
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前者はザコモンスターの声も担当しているが、この声にエフェクトはかかっていないので只の呑気な喋りになっており、怖さのカケラもない。
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後者は主人公の妹の声も演じており、部屋に入ったら着替え中で叩き出されるというラブコメみたいなシーンもあるのだが、このシーンの台詞は一聴の価値ありである。
「いや~ぁちかんへんたいどろぼうねこでてけぼぉけかすばかー」
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オプションでボイスのON/OFFを設定出来るのが救いか。
総評
サウンドノベルとしては、時代と値段を考えれば可もなく不可もなくといったところ。
ホラーらしくグロ要素も組み込まれており、キャラも世界観もある程度は引き込まれるように作られている。
また、「そのゲームが出来ればそれで良い」という作品が多い『SIMPLE1500シリーズ』の中で、一作品として作り込まれている本作は貴重である。
だが、残念ながらシナリオ自体は中の下程度の出来である為、プレイするにおいて過度な期待は禁物であると言えるだろう。
最終更新:2021年10月30日 00:00