T.M.N.T. スーパー亀忍者
【てぃーんえいじ みゅーたんと にんじゃ たーとるず すーぱーかめにんじゃ】
| ジャンル | ベルトアクション |  
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| 対応機種 | アーケード | 
| 販売・開発元 | コナミ | 
| 稼動開始日 | 1990年(海外にて1989年先行発売) | 
| 判定 | ゲームバランスが不安定 | 
| ポイント | コナミのキャラゲーの始まり タートルズが低性能
 敵はザコボス問わず非情な高性能
 1987年版アニメの雰囲気は非常によく出ている
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| タートルズシリーズ | 
 
概要
コナミが出したベルトスクロールアクションとしては『クライムファイターズ』に続く2作目。
当時アメリカで人気を博していた漫画及びアニメ『TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES』(略称T.M.N.T.)を原作としたキャラゲーとなっている。
国内では本作から4年後に放送されたテレ東の『ミュータント・タートルズ』でおなじみだろう。
サワキちゃんこと宿敵シュレッダーとフット団の手からヒロインのエイプリル・オニールを取り戻すべく、タートルズが戦うという原作同様の単純明快なノリ。
システム
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4体のタートルズの中からプレイヤーキャラを選ぶ。
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基本的な操作方法は1レバー2ボタン方式。Aボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃。AB同時押しでキャラ固有の特殊攻撃。
 
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ライフゲージを全て失うと1ミスで、残り人数が減る。0人のときにライフを全て失うとゲームオーバー。
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ライフゲージは、回復用アイテムであるピザを取ることによりフルチャージされる。
 
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2人プレイ用の基板と最大4人プレイ可能な基板とが存在し、設定に微妙な差異がある(回復アイテムの量や、席によりキャラが固定されている等)。
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全5面ではあるのだが、2面は何故か他のステージ3つ分のボリュームがありけっこうな長丁場となっている。
評価点
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原作再現には非常に力が入っており、ファンならば演出面では文句の少ない出来。
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ボイスは1987年アニメ版を多用している。BGMも1987年版アニメで使用される曲を再現、もしくは踏襲した構成の曲調で統一されている。
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おなじみの掛け声「カワバンガー!」もしっかり入っているし、好物であるピザを見つければ「ピッザタァ~イム」と喜ぶ。
 
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完成度の高いグラフィック。パターンの量も当時の作品としては非常に多彩で、タートルズを動かしているだけでも敵の動きを観察しているだけでも楽しい。
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敵が派手に吹っ飛び壁に「ビターン」とぶつかったり、時折フキダシでセリフが出たりして、アメコミ風のコミカルな演出はとても痛快。ニヤリとしてしまうこと受けあい。
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タートルズ4キャラが「基本的に素体グラフィック使いまわし」のため、実質1キャラだけに膨大な容量を投入でき、敵の大半が原作同様フット団ザコであるため素体1種に容量を多く割ける、という原作デザインならではの恩恵を最大限活かした結果である。
 
問題点
はっきり言って、難易度はかなり高い。多人数・連コインプレイ推奨のバランスであり、敵に対してやたらとこちらが不利なシステム。
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まず、自キャラ性能に難がある。
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敵に対して、こちらの使っていける技が限定されがち。マシな性能なのは「全員のジャンプキック(特にラファエロ)」「リーチが長い棒術使いのドナテロの地上通常攻撃」「サイ使いのラファエロの特殊攻撃(AB同時押し)のスライディング」程度で、それ以外は非常に使いにくい。
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全体的に自分の攻撃判定は弱く、敵の攻撃判定が強い傾向がある。
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キャラ性能も4キャラ中、単純な下位互換キャラが半分を占める。高性能なのは先にあげたドナテロ、ラファエロ。残り2名のレオナルド、ミケランジェロはどちらもこれと言った長所がなく、攻略は厳しい。
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タートルズは自分の意志で使える投げ技を持たず敵を掴むことが出来ないため、囲まれた時などは片側に敵をまとめるのが難しい。そのくせ敵はちゃっかりこちらを羽交い絞めにしてくる(タートルズが低空にいても羽交い絞めできる)。
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ジャンプの滞空時間が長い点やジャンプ中でも自由に方向転換できる点などをフル活用していかないと、立ち回りは困難。
 
 
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敵が全体的に強い。
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ザコの耐久力は低めなものが多いが、ダメージを受けて怯んでいる間は無敵という仕様のため、ただ通常攻撃を連打しているだけでは割り込まれて反撃されてしまう。
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その上実に嫌らしいアルゴリズムで動いており、散開陣形をとっていたり挟み撃ちしたりしてくる。
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フット団忍者たちは色により攻撃手段が違い、投げナイフや手裏剣、剣やラッパ銃など様々な武器や技を使うのだが、どれも攻撃の癖が違いそれぞれに対策を立てねばならないため、地味に強い。
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飛び道具を持つ敵も多く、遠距離にいても油断はできない。一方タートルズ側には飛び道具が無い。ステージギミックを利用し障害物をぶつけて攻撃する事は出来るが、それぞれ1回限り。また一応はこちらの攻撃で飛び道具を相殺可能だが、狙うのは大道芸レベルなので止めた方がいい。
 
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タートルズはダメージを受けるのに敵はダメージも影響も受けないステージギミックが意外と多い。敵がマンホールの穴の上を平然と歩いたり、敵が落とした巨大爆弾で敵は吹き飛ばなかったり、レーザーでタートルズは足止めされるのに敵は当たっても平然と歩けたりする光景は非常に不自然かつ理不尽。ステージギミックや敵の飛び道具は基本的に敵にも平等に当たる仕様である『ファイナルファイト』と比べると、不平等さをなおさら実感できるだろう。敵も当たるとダメージを受ける数少ないギミックは車にひかれることである。
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「ハイウエイ」ステージ(ステージ3)に出現する「爆撃ヘリザコ」はかなり理不尽。やたら巨大な攻撃判定・高い威力を持つ爆撃を画面いっぱいにひたすら繰り出してくる。爆撃でダウンしてしまうと、起き上がってすぐに無敵が切れる仕様のせいでライフゼロまで直行するのは珍しくない。
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上級者の攻略法でさえ「相手にしないほうがいい」とまで言われるほど。実はステージクリアの条件に「画面内の敵を全滅させた時、一定時間経過していること」というのがあるため、わざと爆撃ヘリを出す前の状態で時間を潰してから敵を倒すと、スルーできる。
 
 
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ボス戦ではさらに顕著で、ダメージを与えると無敵つきの素早い反撃技を繰り出してくることが多い(反撃技を持たないボスもいるが)。大半のボスは殴ったらすぐ逃げないとダメージを受ける。加えてザコがダウンする攻撃でもボスはまずダウンしない。場合によっては2体同時に相手をしなければならない場面も。
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ラスボスのシュレッダーは即死ビームを放ってくる上に、プレイ人数に応じて2人から5人に増え、しかも偽者を倒してもすぐに出て来る始末。偽者と本物の明確な違いは耐久力だけで、偽物も即死ビームを使えるのでなおさら油断できない。
 
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ステージ構成もやや首を捻る部分がある。
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実はステージ1がかなり高難易度。回復アイテムが無い上、ボスのロックステディが全面通しても強敵の部類に入る。タックルモードとマシンガンモード(仮)の切り換えによる変則的な行動パターン、痛烈なカウンターキックといきなり手強い。
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それに比べるとステージ2前半は回復アイテムであるピザも出現し、ボスであるビーバップは銃撃のスキが大きく弾速も遅い、行動パターンも単純…な下位互換キャラで、出番が逆ではないかと突っ込みたくなる。
 
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アーケードゲームには付き物の自動難易度調節機能(ランク)があるのだが、上がり方がとても極端。
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ノーミスで進んでいると敵の数が増えていき、ボスの耐久力が高くなってしまう。特にボスの堅さはプレイが退屈になりかねないほど上がる。
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ランクが存在するタイプの他のベルトアクション作品でも、ここまで極端に差は出ない。
 
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一人やられるとランクは下がる。しかしこのゲーム、工場出荷設定では1クレジットにつき残機2がデフォルトであり、残機がゲーム中増えることはない(追加のクレジット投入でしか増えない)ため、そんな余裕はないことが多い。
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最高難易度の段階で一定時間粘ると、ランクが初期値に戻るという現象があり(おそらくはバグ)、これを利用しないと1コインクリアはとても難しい。
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1クレジットでのクリアを目指さず、連コイン協力プレイでいいと割り切れるなら、クレジットを投入しまくれば、ランクを下げつついつかは誰でもクリアまでたどり着ける。クリアまでにクレジットが尽きなければ…だが。
 
 
総評
バランス取りがやたらに厳しいことと、一方的かつ理不尽に敵に有利な仕様が多すぎること、自キャラ性能が全体的にイビツである点を除けばその作りは雑ではない。
「原作の雰囲気を再現する」という面ではかなり努力のあとが見え、キャラゲーとしての志はかなり高かったのではないだろうか。
せめてもう少し遊びやすい難易度になっていれば、という部分が非常に惜しまれる。
以降コナミが製作する業務用ベルトアクション『X-MEN』『メタモルフィックフォース』、体裁は異なるが実質的にはベルトアクションに近い『ガイアポリス』などの様々な後進作においては、「プレイヤーに厳しすぎる」点の反省が見られ、成長が見られる。
本作のゲームバランスは大問題だが、製作者たちが積んだ経験は、無駄にはなっていなかったようだ。
その後の展開
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ヨーロッパでは "TEENAGE MUTANT HERO TURTLES" と微妙に違うタイトルで発売。
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同年にファミコン版『T.M.N.T.』として移植された。
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なお、海外NESでは既に『激亀忍者伝』が『Teenage Mutant Ninja Turtles』のタイトルで発売されていたこともあり、本作は『Teenage Mutant Ninja Turtles II : The Arcade Game』とナンバリング扱いで移植されることになった。
 
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海外では2007年に『TMNT 1989 Arcade』というタイトルでXbox 360のXbox Live Arcadeにて配信された(2011年頃?配信終了)。
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日本では未発売だが、何らかの手違いなのかごく短時間無料で配信されていたことがあった。
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オフライン/オンラインどちらでも4人までの協力プレーが可能だが、オンラインだとコンティニューが19回までの上、だれか1人でもゲームオーバーになるとそこで全員道連れになるという問題が確認されている。
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「◯◯せずに特定の場面をクリア」という内容の実績が多いのだが、その判定についても曖昧。ただ「その場面の開始時と終了時に生き残っている」という条件があるという傾向が確認されている。
 
最終更新:2024年03月22日 21:24