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ウルトラマン倶楽部3 またまた出撃!!ウルトラ兄弟
【うるとらまんくらぶすりーまたまたしゅつげきうるとらきょうだい】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売元
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バンダイ ユタカ
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開発元
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インターリンク
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発売日
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1991年12月29日
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定価
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7,800円
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判定
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クソゲー
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ポイント
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微妙な戦闘システム・ストーリー・キャラチョイス 脳筋な各種ボス戦のギミック 敵も味方も「ひらりとかわし」すぎ 心折設計なラストダンジョン なのにラスボスは史上最弱 ウルトラの母は強し ウルトラマン倶楽部3?ああ、野球ゲーね
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ウルトラマンゲーム・リンク
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概要
SDキャラクター全盛期のSDウルトラマン『ウルトラマン倶楽部』の第3作目。
前作『ウルトラマン倶楽部2』が良作と謳われる出来だったため、それなりに期待は大きかったと思われる。
しかしそんな期待とは裏腹に、プレイヤーはこのゲームを遊ぶことによって、多大な絶望と精神的苦痛を味わうことになるのである。
ストーリー
宇宙警備隊員のウルトラマン(通称・マン)は村長の願いを受け、キングマイマイの捜索に向かう。それを発端として明らかとなる敵の侵略計画にウルトラ兄弟は立ち向かっていくことになる。
エリアは主に3つに分かれ、その現場を担当するウルトラ兄弟が、それぞれで発生する事件を解決していく。
システム
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セーブデータがパスワード形式からバッテリーバックアップに変化。
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移動時のスピードがアップ。またフィールドでBボタンを押すことでいつでも飛ぶことができるようになった。
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攻撃コマンドが「そっこう」と「たたかう」の2種類に分離。前者は必ず先制できる弱攻撃。後者は外れやすいがダメージの大きい強攻撃となっている。
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必殺システムの仕様が変更。ウルトラ兄弟のHPが4分の1以下になると、カラータイマーが青から赤に変わって攻撃力が上がり、同時に必殺技のコマンドが解禁される。また前作ではランダムに表示されたものから選ぶ形式だったが、今回は全ての技リストから任意で選べるようになっている。
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カプセル怪獣は全てのウルトラ兄弟で共有して使うようになった。
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新しく装備品の概念が登場。戦闘中に装備することで能力が上がる。
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全体命令コマンドの追加。パーティ全員に一括で同じ行動を指示できるようになった。
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各種ウルトラ兄弟に隠しパラメータとして「特性」が設定されている。これは戦闘時に関係し、相性の良い怪獣と有利に戦うことができる。
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たとえばウルトラマンの特性は「ちから」で、同じく「ちから」特性を持っている敵に高いダメージを与えられる。
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経験値システムが消失。ウルトラ戦士のステータスは「怪獣を20匹倒すごとに上がる」という仕様に変更された。
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ただしこの補正ではステータスはほとんど上がらない。ストーリーのイベントをクリアしていくことでフラグが立ち、そこで初めて「レベルアップ」として基本ステータスが大きく伸びるようになっている。とはいえ、この補正のちょっとの差でボス戦の勝率がそこそこ変わったりするので侮れない。
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野球盤のようなミニゲームが登場。うまくヒットが打てればカプセル怪獣を入手できる。
問題点
戦闘部分のバランスや出来が悪い。本作最大最悪の問題点である。
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必殺技を使える機会がほとんどない。
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『体力が減ってカラータイマーが光らないと必殺技が使えない』仕様になったため、必殺攻撃を使用できる機会が著しく減少。これにより大半の戦闘が「ひたすら通常攻撃を繰り返す」ということになってしまい、地味でグダグダになってしまった。
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原作を再現したつもりが、逆にウルトラマンとしての面白みがなくなったという、キャラゲーとして本末転倒な有様になっている。
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ボス戦において必殺技とカプセル怪獣が使えなくなった。
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前作では使用可能でそれがきちんと面白さにつながっていたのに、なぜわざわざ制限をかけてしまったのか謎である。本来、手ごわいボスキャラこそ必殺技やカプセル怪獣を使用してピンチからの逆転を望むものではないだろうか。遊んだ誰しもが「必殺使わせろ!」と思う瞬間である。
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それなら必殺技はボス戦で禁止になるほど強力なのかというとそうでもなく、全然あてにならない。
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理由は命中率の低さにある。攻撃力は恐ろしい程に高いがとにかく光線技が当たりにくく、「全体攻撃を放ったのに雑魚全部に対して外した」ということも結構ある。
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また先述の通り、タイマーが変化するような場面≒HPの危機であり、数発攻撃されれば死亡する状況である。大抵は玉砕覚悟で必殺を撃つことなどなく、すぐに回復カプセルを使うことになりがち。
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よって積極的に必殺技を用いる場面があるとすれば、復活がしやすい町付近での戦いに限定される。敵が弱ければタイマーが赤でも長時間居座ることができ、技を外したところで被害はほぼない。また全体攻撃技はなんだかんだで稼ぎに便利。
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しかし、これでは本来『ピンチからの逆転技』になるはずの必殺攻撃が、ザコ敵をなぎ払うための弱いものいじめな技と化しているのである。
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そもそも必殺技のバリエーションがいろいろとおかしい。
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全体に即死技を放つことができるキャラがいる一方、単体攻撃しか持たないキャラクターがいたりとバランスが悪い。またどの技が全体で単体なのかもネーミングや原作イメージからは想像しにくくなっており、使ってみないと分かりにくい。取りとめがなく適当に決めたとしか思えない。
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各ウルトラ戦士の必殺の仕様もゲーム的に疑問が湧く。全体攻撃技のスペシウム光線、単体即死技の八つ裂き光輪を持ちながら、全体即死技のスプリング光線も扱えるウルトラマン、八つ裂き光輪、流星キックという、2つの単体即死技を使う新マンなど、ゲーム性を無視したラインナップばかり。
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前作のようにランダムでどれか1つを選択するならこれでも良かっただろう。しかし今回は全ての技の中から任意で選べるのである。明らかに調整不足が窺える。
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敵も味方も回避率が高すぎる。
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なかなか敵に攻撃があたらず無駄に戦闘が長引くことが多い。味方の回避率が高い分には回復の手間が減ることもありありがたい部分もあるのだが。
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「逃げる」コマンドは「怖くなった→逃げ出した」という2回の手順を踏む必要があり、無駄に時間がかかる。また「攻撃」コマンドでターゲットを指定したとき、その敵がすでに倒されていると行動を中断してしまう。昔のRPGにはよくあった仕様だが当時を加味してもかなり古臭い。正義のヒーローが戦闘をサボるな!
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この問題点は全体命令コマンドを使えば解消できる。「全体逃げる」はきちんと1ターンで逃げることができ、「全体攻撃」は自動で別のターゲットに切り替わってくれる。だったら初めからそうしろと(ry
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レベルアップの仕様がイマイチ。
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どの怪獣を倒すかに関わらず『20匹倒せばステータスが上がる』という仕様のため、強い怪獣と戦う利点がない。よってステータス上げはひたすら序盤のザコ敵を狩り続けるというヒーローにあるまじき作業になる。もちろんすぐに飽きる。
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ただしこの補正上げはすればその分楽になるが、ゲーム上で必須の作業というわけではない。イベントで基礎ステータスが伸びていくので、何度か挑戦すれば補正0でもクリアは可能。
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ダンジョンの難易度が全体的に理不尽。
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どのダンジョンも作りが広大な迷路(比喩ではなく文字通り幅1マスの通路で構成された迷路)になっており、さらには複雑な分かれ道や長く進んだ先にある行き止まりなど、プレイヤーの精神力を削ぎ落とすような作りになっている。このゲームには宝箱のような収集要素もないため、道を間違えるのは本当にただの無駄骨なのである。
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またダンジョン内では移動力が半減する。さらにエンカウント率も高く、強い敵もわんさか出てくる。前述のように戦闘はやれることが非常に少なく終始地味な小競り合いが続く。一言で表すなら、「だるい」。
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特にこの傾向が顕著なのがラストダンジョン。
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これまでのダンジョンの2倍くらいの広さを持つ迷路が、複雑な階層に合わせて存在し、さらに鬼のエンカウント率で最強のザコ敵が次々に襲い掛かってくる。ザコ敵を倒しまくって強化されているか、カプセル怪獣の数が万全でなければ全滅は免れないだろう。そして長かった道のりの果てに待ち受けるもの、それこそが「エースロボットバグ」なのである…。
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最低最悪の鬼畜トラウマ・エースロボットバグ。
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ラストダンジョン後半において、今までに倒したボスとの再戦になるボスラッシュ展開が起こる。この時にエースロボットを倒すと、戦闘終了後に画面がバグった謎の空間に飛ばされ、その場から1歩でも動くと、「エリア1」の最序盤のダンジョンである洞窟奥深くの四次元空間にワープしてしまう。しかもこれは回避方法がなく、確実に発生する。
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果てしなく長く鬼畜だったダンジョン攻略の基軸が、突然のバグによって全てが水泡に帰してしまうのだ。おそらくここまで頑張ってきたプレイヤーの精神もついに限界を迎えることだろう。実際にネット上ではこのバグによって当時攻略を諦めたという報告がちらほら見られる。
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ただし実はこのワープが発生してしまっても詰みではなく、エリア1と最終エリアはマップが繋がっているため、再び同じ場所に戻ってくることはできる。とんでもなく長い道のりになるが……普通ならリセットボタンを押してしまうだろう。
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またバグの回避方法はないが、対処法は存在する。画面がバグったら決してその場を動かずにセレクトボタンでステータス画面を呼び出してキャンセルする。これで画面のバグが元に戻り、そのまま続きをプレイできる。
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それだけで直るなら知っていれば問題ないと思いがちだが、当時はまだインターネットの普及していない時代である。攻略本『バンダイ完全必勝ブック ウルトラマン倶楽部3』の中でもこのバグについては一切触れられておらず、プレイヤーはこれが確実に発生する「仕様」であることも、またその回避方法も知る術がなかったのだ。
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というかラスダンの鬼畜ぷりとこのバグの存在を思うに、開発スタッフは通しでテストプレイをしていないのではないか? たまたまリカバリが効くバグだったから良かったようなものの、下手をすれば途中でバグって絶対にクリア不可能になるゲームとして後年まで語り継がれていた可能性もある。
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ちなみにエースロボットと戦う前のセリフに別の場面で使うはずのテキストが混在しており文脈が意味不明なことになっている。
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エースロボットバグを乗り越えた先に待つ、最弱のラスボス。
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ラストダンジョンの最奥部にいるラスボスは何やら重たげなセリフを吐くが、いざ戦って見ると凄まじく弱い。HPは多いものの攻撃力がかなり低く、ここまでたどり着けるようなウルトラ戦士なら負ける要素がない。プレイヤーの主観ならば道中のザコ敵のほうが遥かに強く、拍子抜けも良いところである。
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ただしラスボスの能力は決して低くはない。攻撃力は最大の999であるし、その他のステータスも満遍なく高い。なので、ここに来るまでにウルトラ戦士が強くなりすぎてしまったという認識が正しい。結果的には同じ事だが。
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ラストダンジョンの道中があまりに鬼畜なので、ここにたどり着くまでの道のりこそが真のラスボスだという見方もできる。
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ちなみに音楽もザコ戦と同じ。前作のラスボスには専用BGMが作られていたのに何故…。
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ストーリーが全体的に微妙
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序盤はひたすらお使いイベントばかり。前述のような長ったらしい戦闘が延々続くため、やっていて非常にストレスがたまる。お使いする理由やストーリの流れもヘンテコなものがある。
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例えば、キングマイマイの病気を治すために「山の頂上にある薬草に綺麗な水をかけてください」と村長からコップ(いや、比喩でもなんでもなく本当にコップなのである)を渡されるイベントがある。早速一旦村はずれの井戸に行って水を汲んで村役場まで戻るのだが、なんとそれを村長にゴクゴクと飲まれてしまう。唖然とする中「底にちょっと溜まってるからこれで何とかなるでしょ」とテキトーなことを言われて山に行かされる。キングマイマイじゃなくてお前が病気になってしまえ。いくら低年齢向けの作品とは言えもう少し何とかならなかったのか。
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流れを端的にまとめると、殺されてしまった人気キャラを助けるために、脇勢が力を合わせて頑張るという話である。前作でラストを飾ったウルトラマンとウルトラマンタロウは、物語序盤で敵に殺され早々に退場。新マンは初代マンを救うべく各地を奔走し、ウルトラの母はタロウの仇をとるために、助っ人のウルトラ戦士もなしに母1人で敵の基地に乗り込んでいく…とどうもヘンテコな描写が続いていく。
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そして物語の最終メンバーは「セブン、ゾフィー、エース、新マン」である。今でこそ後発作品でのゲスト出演や公式のフォローもあって人気も確立しているが、当時としては相当地味なメンツといえる。
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説明書の人物紹介では、マンが「やっぱり主人公は私です」とわざわざ言っているが?。
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キャラクターの厚遇も激しい。新マンはエリア1から3までの全てにおいて仲間に加わり、ウルトラの母はエリア2序盤からエリア3後半までずっと付き従う。一方でウルトラマンレオはエリア2の最序盤でボスを1体倒しただけで離脱。その後はほぼイベントでしか使えない。ウルトラマンエースは敵に捕らえられていたところをラスダンに乗り込む直前のイベントでようやく救出。以降活躍の場は全くない。
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文章表現が全体的に稚拙
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子供向けということも見越しても、あまりにテキストがいいかげんすぎる。「エリア1」の頃はテキストの量も充実しており、セリフにもそれなりの愛嬌があって楽しめるが、「エリア2」のゴルゴダ星あたりから急にシュールで狂気的な電波文が多くなり、状況説明も投げやりになってくる。
スタッフのやばい深層心理が垣間見えるようだ。
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例をあげると、新マン「じゅうじかがあやしいです(一言)」。キング「テレポート(一言)」といった淡々とした様子。他にも「ヤプールプルプルー」「ウルトラのせ・ん・し・たち!」など微妙に言動のセンスがおかしいところがある。
長谷川裕一か。
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仲間が加わる際などのナレーター表現が「・・・しんマンがなかまにくわわった・・・・・」と中点付きで表示されるのだが、これが三点リーダのように見えてしまい微妙に気味が悪い。
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ミニ野球ゲームの文章などよく練りこまれている部分もあり、本当に同じライターが担当しているのか疑いたくなる。期間不足で推敲ができなかったのか、それとも別のチームが担当したのだろうか。
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その他の問題点
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エリア2中盤において、ウルトラマンレオとウルトラマンキングの2人でボスを倒すイベントがあるが、この場所には回復ポイントが一切ない。ここで回復ができるカプセル怪獣を所有していなかったり、ザコと戦って体力を消耗した状態でセーブをしてしまうと、最悪ボスが倒せなくなって詰む恐れがある。
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救済措置のようなものは全くない。キングの必殺技が体力を回復するリライブ光線だったり…ということはもちろんない。
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場面が切り替わるにもかかわらず、ウルトラマンレオのHPはパーティから離脱したときのままで全回復していない。これもレオのイベント戦をより難しくしている要因になっている。
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装備品はいちいち戦闘ごとにメニューから選んで装備し直さなければならない。
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前作に引き続き怪獣や人物の名前の誤植がいくつか見られる。
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ウルトラの父が石にされて倒された経緯がゲーム中で全く不明。
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エンディングのスタッフロールの演出が説明不足で意味不明。
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殺された石にされたと大業に騒ぎ立てられるが、結局はみんなで祈れば済む話だった。もっとも、原作のウルトラマンの設定も大体そんなものだが。
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科特隊の地底戦車ベルシダーがベシルダーと間違った名称になっている。
評価点
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普段目立たないキャラクターが大活躍する。
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ウルトラの母がガチの戦闘キャラとして使えるゲームはこれくらいだろう。全てのステータスが誰よりも高く本作の最強キャラクターになっている。
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クリアはできないが母がソロの場面でラスダンに突入させても十分に戦える強さ。
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ウルトラ兄弟の中では影が薄くなりがちなゾフィーや新マンも、このゲームでは第一線で頑張ってくれる。コアなファンなら必見かもしれない。
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「エリア1」までのテキストは素晴らしい。
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セリフの量も充実しており内容もウルトラシリーズに関するマニアックなネタが多く、ファンをニヤリとさせる部分もある。またイベントが進むごとに住民のセリフが少しずつ変化するなど、かなり細かく作り込まれている、あくまでもここまでは。
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エリア1のラストシーンではボスに2回話しかければ戦闘が始まってクリアになるのだが、1回話しかけた状態であえて町に戻ってみると住民との会話が変化しているという小ネタもある。
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宿屋ではウルトラ戦士それぞれがそれまでに稼いだ補正(=敵を倒した数)が確認できる。サラリーマンの成績表のような見た目で視覚的にもわかりやすく、やりごたえを感じられる。
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この「成績表」には、現在加入しているかに拘らず全てのパーティーキャラが表示される。序盤では今後誰が仲間になるのか丸分かりになるため、ある意味ネタバレ要素となる。
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怪獣やウルトラマンのドット絵はコミカルでかわいらしく良くできている。攻撃したり、ダメージを受けたりするアニメーションは結構頑張っている。
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有名な怪獣が一通り登場する。もっともこれは前作でもできていたことなので、評価点としては微妙かもしれないが。
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戦闘は演出部分では今一つなものの、インターフェイスの出来は悪くない。アイコンはシンプルでわかりやすく、操作性も良くてコマンド入力が楽。
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「たたかう」と「そっこう」の使い分けが面白い。
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「そっこう」は攻撃力は低いものの、敵に先手を取られてしまって命中率も低い「たたかう」とは違って、必ず先制かつほぼ必中攻撃なので、弱った怪獣のとどめを刺すのに大いに役立つ。
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全てのウルトラ戦士が「そっこう」コマンドを使うことで先手を取って攻撃ができる。他のRPGでもたまに先制技を持つキャラがいたりするが、パーティ全員が先制攻撃を使える作品は珍しい。
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隠しステータスの「特性」、全体コマンド「バランス」はなかなかゲーム性がある。
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戦っているうちに怪獣ごとの相性を覚え、効率よく戦闘を進めていこうと考えていく様は面白みがある。
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「バランス」はウルトラ兄弟同士で残りHPを割り振って、全員を同じHP値にするという珍しいシステム。体力回復に使えたり、必殺技を使うための調整に使えたりと便利。
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また「バランス」はボス戦で使える唯一の回復手段であるため、この点でも貴重である。
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ボス戦を含めて全ての敵からは逃走が可能。
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ボス戦の途中で勝てないと判断したら一旦逃げて回復するなり戻って強化するなりして仕切り直すことができる。ボス戦が逃げられないRPGが多いので、気が付きにくいのが難点か。
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BGMはまぁまぁ良い。
お約束とか言わない。
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各曲はウルトラマンのテーマや科学特捜隊のテーマのアレンジになっている。
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ただしダンジョンの曲はかなり怖い。恐怖感を煽るというより、不安をかきたてられるような調子になっていて、これもトラウマ作りに加担している。ラストダンジョンは普通のBGMなので安心。
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しかし戦闘曲などは単調で、あまり盛り上がるとは言えない。
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野球のミニゲームはそれなりに良くできている。
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肝心のメインストーリーやゲーム部分がひどいので、ひたすらこの野球ゲームをやっているほうがよほど面白い。『ウルトラマン倶楽部3』が野球ゲーと呼ばれる所以である。
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ちなみにこのミニゲームには実況アナウンサーがいるのだが、それを担当しているのがなんとウルトラの父。まさか石化しながら実況している……のではなく、恐らくは収録された音声をゲーム筐体が再生しているだけなのだろうが、それはそれで宇宙警備隊の大隊長が声優としてビデオゲームに出演しているという謎の副業をしていることになる。それでいいのか宇宙警備隊。
総評
前作から劣化したシステムや微妙な要素がそこかしこに見られ、全体的にプレイヤーの精神をじわじわと蝕んでいくような作りになっている。エースロボットバグに関しては擁護不能であり、商品失格レベル寸前といえる有様。一方、それ以外ではクソゲーにありがちな突出した個性や笑えるネタ要素がなく、あまり話題にもならない本作だが、総合的な「つまらないゲーム」としての完成度はなかなかのものがある。特に苦痛度では歴代のウルトラマンの家庭用ゲームの中でも1、2を争う。
とはいえ、戦闘バランスはクソなりに安定しており、根気と忍耐さえあればいつか必ずクリアできる内容には収まっている。そう、これはあくまでゲームとプレイヤーの精神力の戦いなのだ。単純に苦痛ばかりで面白くないゲームだが一応頑張ればクリア自体は可能という、いわゆるストロングスタイルのクソゲーと言えるだろう。
今から遊ぶ価値はよほどのマゾゲー好きでもない限りはないだろうが、過去に理不尽なダンジョンやエースロボットバグで挫折した経緯のある当時のプレイヤーは、この記事をきっかけにリベンジを果たしてみてはいかがだろうか。ストーリーはともかくとして、数年越しのエンディング画面にはいろいろとこみ上げてくるものがあるはずである。
余談
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本作のラスボスは「RPG史上最も弱いラスボス」としてときどき名前が挙がることがある。
参考動画
最終更新:2025年01月04日 18:59