ファイナルファンタジーIVアドバンス
【ふぁいなるふぁんたじーふぉー あどばんす】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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トーセ(日本&上海)
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発売日
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2005年12月15日
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定価(税別)
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通常版
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4,800円(税別)
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特別版
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ゲームボーイミクロ同梱版 16,380円(税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3個(FRAM)
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レーティング
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CERO:全年齢対象
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配信
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バーチャルコンソール(修正版に基づく) 【WiiU】2016年4月13日/715円(税10%込)
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判定
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初期版
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クソゲー(管理人裁定による)
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劣化ゲー
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修正版
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良作
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ポイント
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移植度と追加要素は良好 初期出荷版は酷すぎるバグだらけ 後期出荷版は大きな問題なし
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ファイナルファンタジーシリーズ
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概要
FFシリーズの中でも特に人気の高い『ファイナルファンタジーIV』のGBA移植版。
同作の移植・リメイク版としては、PS版・WSC版に続く3作目に当たる。
『"Finest FANTASY for ADVANCE" 』と銘打たれた「FF携帯機完全移植計画」の第一弾でもある。
オリジナル版の完全移植に加え、新たな追加要素も搭載。
……という触れ込みで多くの期待を寄せられていたのだが、その実態はバグ塗れでまともに遊べないという酷い有様であった。(初期出荷版に至っては)
追加・変更点
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最終メンバーが変更可能になった。
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オリジナル版では途中で離脱していたギルバート、ヤン、パロム、ポロム、シドの5人を再度パーティーに入れる事が出来る。
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ただしシナリオ上の主人公であるセシルは外せないため、入れ替え可能なのは実質4人まで。
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隠しダンジョンの追加
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上記変更に伴った、変更可能メンバー用の装備やイベントが用意されている。
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PS版と同様にダッシュが標準搭載。また、Bボタンを押さなくても十字キーのみでオートダッシュ可能に(デフォでON)。
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どちらもコンフィグでプレイヤーの好みに設定できる。
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ATBの仕様変更
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SFC版ではコマンドあり行動(通常の味方の行動)よりもコマンドなし行動(バーサクをかけられたキャラや敵の行動)が優先されていたが、逆にコマンドあり行動が優先になった。
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後述する修正版では、どちらの行動も対等に再変更された。
評価点
最終メンバーのフリー化
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オリジナル版では終始固定メンバーでの進行だったが、終盤で変更できるようになった。
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元々FF4はキャラ要素が強いゲームであり、その一方でキャラ離脱が頻繁に起きるシナリオ構成上、加入期間が短く特性を活かしにくいキャラクターも多かっため、この変更は原作ファンから非常に喜ばれた。
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追加ダンジョンのイベントもキャラに合ったイベントが用意されており、これらの追加要素自体は好評。
移植度
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音楽やグラフィック面等、できるだけ完全移植しようとした努力が窺える。
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音楽はGBAにしてはかなり頑張って再現されている。音取りミスも全くない。
グラフィックもGBAとしてみるなら非常に精細にドット絵が書かれている。
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ただし、顔グラフィックと戦闘シーン背景以外はほぼ全てWSC版(スティング開発)からの流用。
その他追加・変更点
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基本的に追加された要素自体は遊びやすくなったものが多い。
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モンスター図鑑は便利で、コレクション要素にもなっている。
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セリフの漢字表示は読みやすくなった。
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PS版からではあるが、ダッシュ関係は常時動かす部分だけにやはり便利。
問題点
初期出荷版(未修正E3版)
本作の初期出荷版は致命的なバグや設定ミスなどが発生している。
カートリッジの刻印から初期版を「E3」、後期版を「E4」と呼ぶ場合もある。見分け方は後述。
発売から約1年後の後期出荷版では致命的な問題が修正されているので、初期版のみの問題を分けて記述する。
なお、カートリッジの種類はパッケージ上からでは判別出来ず、カートリッジを直接確認する必要があるため、今から購入する際は要注意。
※バーチャルコンソール版は当然だが修正版であるので安心してよい。
とにかく致命的なバグが多すぎる。
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初期版最大の問題点。特に一番恐ろしいのが、データ破損の恐れがあるアイテム並び替えバグ。
「アイテム使用→キャラ並べ替えで空白と交換→アイテムを選択」というだけの非常に簡単な手順で発生。
詳しくはスクエニ公式サイト告知(WebArchive)を参照。
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戦闘中に何らかの行動をとったキャラに続けて行動メニューが表示され、連続行動可能。
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隠しダンジョンに置いてある、武器「ニルヴァーナ」の入った宝箱を正面から開けると高確率でフリーズする。
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裏ボス戦直前のセーブポイントから再開し、メニューを一度も開かず裏ボスとの戦いに突入すると裏ボスが何故か大ダメージを受け続け、自滅。
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ただし裏ボス戦前でセーブすると、裏ボスを倒さないと脱出できないため一応救済処置にはなっていた。
明らかにバグであり、そのこと自体は擁護はできないが。
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チョコボに乗ったまま魔法「サイトロ」もしくはアイテム「小人のパン」で地図を見ようとすると、地図があらぬ場所を指す。
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混乱したり治したりしたときのキャラの向きがおかしいことがある。
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行動選択後の待機中に混乱を受けても、その選択した行動をしたあとで混乱する。それに付随して、エッジの「けむりだま」待機中に混乱すると、エッジを取り残して逃走しフリーズ。
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ポロムを先頭にして月の台地で戦闘に入ると、戦闘終了後動けなくなる。
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裏ボスにある技をいつまでも使わせていると、裏ボスが無敵になる。
明らかな設定ミス。
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敵の行動(特に序盤のゴブリンなど)が非常に遅い。
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一部の追加武器の設定が攻守逆転してしまっている。
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本来ならば状態異常を与えるべきGBA追加新武器の効果(ステータス異常追加)が、ほぼ全て敵からのステータス異常攻撃に対する「○○耐性」になっている(例:アサシンダガーが即死効果ではなく即死耐性)。
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本来ならば特定の種族に対して威力が激増するはずの武器(種族特効)が、なぜか威力増加せず、代わりにその敵から受けたダメージを軽減する効果(種族耐性)になっている。
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本来ならば後列から攻撃しても威力・命中率が落ちないはずの弓矢などの武器が、他の武器同様に半減してしまう。
これに関しては一応WSC版も同様ではある。
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修正版では逆に、応急処置的な対応で「あらゆる武器が後列でも威力・命中率が変化しない」ようになっている。
…のだが、何故か弓矢のみ修正し忘れなのか、その対象から外れてしまっている(事実上弓矢以外の全てが後列武器)。
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カイン専用に追加された最強の槍「ランスオブアベル」は攻撃力が230と大変高い上に、極まれに発生するトルネドの追加効果(通称ガリネド)がボス相手にも発生する。
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運次第で裏ボスも含めたどんな敵もほぼ一撃で倒せる、というあまりにもぶっ飛んだ性能。入手するのが全キャラの中でも難易度が高い試練であるので、それに見合う性能とも言えなくはないが。
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後期版では裏ボスやルナ系ボスには発動しなくなっているが、それ以外の雑魚には(最強の敵「ブラキオレイドス」にすら)普通に効く。
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最強装備の「アダマンアーマー」にはSFC/PS版には外すと炎、氷属性に弱くなるバグがあったが1から作り直している本作には当然ない。
…のだが、オリジナル同様毒耐性を付け忘れている。これは後期版で初めて修正されることとなった。
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ヤンのHPの成長がLv60(約6000)で止まる。後期版で修正済み。
初期版・後期版共通
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カーソル移動等の操作レスポンスが悪い。
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移動やカーソルの動きなどの動作が本当にカクカクで重い。しっかり押したのに反応してくれない時もある。
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特に戦闘でのカーソルの動作が原作よりもずっとカクカクなせいで、コマンドミスが起こりやすくなってしまったという弊害も。
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後期版では多少改善された。もっとも初期版と比較しての話であって、SFC版と比べるとまだ遅いが……。
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移動時の画面スクロールが常にガクガク。オープニングの飛空艇シーンの時点でガクついている。
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ATBの時間経過が一瞬止まる。
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ただこれに関してはオリジナル版では時間経過が分からなかったため、単純な比較はできない。元からの可能性もある。
その他の難点
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とある負けイベントの状況限定セリフを見ることが非常に困難になった。
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そのボスの攻撃力が異様に強化されてしまっており、適正レベルでは何をやっても即死する威力。
一発耐えるだけでも超大幅なレベル上げが必要。
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因みに普通に進めればLv16程度になる所でLv60程必要となっている。これでは実質没イベントになったも同然である。
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セーブデータ数が4つから3つへ減少。
携帯機で容量的に厳しいのに加え、最終パーティメンバーが増え保存データが増えたのが原因だろう。
総評
追加要素自体は良く出来ており、最終メンバーを自由に編成できるようになった事でプレイの自由度が高くなった。
一部の設定ミスなど「完全移植」を謳い文句にするには首を傾げざるを得ない点もいくらかあるものの、グラフィックやBGM等の移植度についてはまずまず及第点と言える範囲ではある。
しかし、地雷のように溢れる大量バグの存在が大いに足を引っ張ってしまった。
結果として戦々恐々とバグを回避しながら遊ぶゲームと化してしまい、普通に遊ぼうとするには非常にストレス要素の高い代物となってしまっている。
現在では、修正版のバーチャルコンソール配信や、修正版を元にした再移植版であるPSP版も発売されており、バグだらけの初期版を手に入れてしまう危険性を犯してまでわざわざこちらを買う意義はないと言っていいだろう。
余談
企業の対応について
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メーカー対応が極めて杜撰で、バグだらけの商品を回収せず、そのまま販売し続けた。
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そして発売から約1年後に多数のバグを修正した「E4版」が「こっそり」後期出荷として出されているのが確認された。
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前述の通りこの修正版は、
パッケージからは修正版かどうかの区別が全くつかない。判別方法は「カートリッジの刻印」のみ。つまり買って実物を見るまで判別は不可能。
初期版と修正版の違いとして、「表面右側の刻印が初期版では「E3」、修正版では「E4」となっている」点。
バージョン違いの詳細についてはこちらを見るといい。
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新品でもバグ版が売れ残っている可能性もあり、中古でも当然掴んでしまう可能性が高いため、見た目だけでは避けようがない。
確実に見分けるには箱なしの中古商品を買うか、店員に断って確認してもらうしかない。
なお、
GBM本体同梱版のものは確実に「E3」版
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しかもなんとメーカーは修正版への交換に応じていない。それどころか「バージョン違いが存在する」こと自体を否定している。
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後の2chスレの報告によると、ユーザーの問い合わせにより「改良」版が存在することは一部認めたらしいものの、やはり交換を行う方針は一切無いとのこと。
つまり「バグなんてありませんよ」というのがメーカーの公式見解だということ。これが不完全な商品を発表した企業の対応か。酷すぎるにも程がある。
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修正版でも「アイテムや召喚魔法が消える」「特定の行動を取るとフリーズ」等と言った一部のバグは残ったまま。
ただし、上記に問題点として挙げた様々な致命的バグはほとんど解消されており、新武器の追加効果の設定がおかしくなっていたのも修正された。
わずかに残ったバグも通常のプレー進行に支障をきたすまでには至らないため、最初からこの仕様で出していればまだマシだったかもしれない。
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なぜか現在でもAmazonに流通している模様。「E3版」を引いたと言う報告も複数確認されている為、注意が必要。
今からカートリッジ版を買うというのであれば、必ず販売側にカートリッジの刻印が「E4」なのかを問い合わせること。未確認で「E3版」を引いてしまったら目も当てられない。
その後の展開
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バグだらけの本作品の後、『V』と『VI』もGBAに移植された。
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こちらは本作のような酷いバグは無く安心して遊べるが、移植の際に一部の演出などが変更されている(詳細は各項目を参照)。
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海外では最初から後期版をベースにしたバグ修正版で発売されている。
このため、海外版の有料デバッグと言われてしまうことも。
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2007年には上位ハードであるニンテンドーDSでもリメイクされた。
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ただし、バランスが一変した他、折角導入したPT入れ替えが無くなっているため賛否両論。詳しくは当該記事にて。
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2009~10年にはGBA版をベースとした内容で携帯電話にも移植されている。
こちらはDS版や続編『THE AFTER』の要素も取り入れつつ、比較的まともな内容になっているようだ。しかし2018年3月31日をもってサービス終了となった。
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2011年にPSPで発売された『コンプリートコレクション』は本作のバグ修正版をベースにしたリメイクであり、深刻なバグもなくかなり評判が良い。
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『THE AFTER』と新規シナリオ『Interlude』も収録されているため、現在遊ぶならこちらを買ったほうがいい。
最終更新:2022年07月09日 12:12