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依頼内容は、総評のパワーアップキットについての記述の変更です。
三國志12
【さんごくしとぅうぇるぶ】
| ジャンル | 歴史シミュレーションゲーム |  
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| 対応機種 | Windows XP/Vista/7 | 
| 発売・開発元 | コーエーテクモゲームス | 
| 発売日 | 2012年4月20日 | 
| 定価 | パッケージ版:11,340円 TREASURE BOX(限定版):15,540円
 ダウンロード版:8,800円
 ※それぞれ税込
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| 備考 | オンラインユーザー認証終了につき現在はプレイ不可能
(Steam版・DMM版は除く) | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | 凄まじい下方修正の数々 極悪仕様のオンライン認証
 無料の体験版と対戦版だけDLすれば十分
 無印版(特にPC版)はシリーズ中最もシンプル
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| 三國志シリーズリンク | 
 
概要
三國志シリーズの12作目。前作『三國志11』から6年の歳月を隔てて製作された。
発表当初は久方ぶりの新作ということで喜びの声と共に迎えられたが、具体的なゲーム内容が明かされてくるに連れて不安視する声の方が大きくなっていった。
結局幾度かの延期(2012年3月2日→3月30日→4月20日)を経てようやく発売されたのだが、蓋を開けてみるとその出来はシリーズファンの期待を大きく裏切るものだった。
キャッチコピーの「最強の三國志。」「舞台はととのえた。物語をつくれ。」も、実際のゲーム内容を見る限りは自虐ネタとしか思えない。
システム
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伝統的なターン制・君主プレイの国取りゲーム。
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プレイヤーはシナリオ毎に異なる君主の内の一人を選び、中華統一を目指す事になる。
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内政は都市に施設を作り、そこに武将を配置して働かせると言うシステム。
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前作やコーエーの他作品と違い施設造りや増築自体には武将は不要で、建ててからの施設運用で武将が必要となる。武将なしの施設はほぼ効果を発揮しないので技能や能力を考えて施設への配備を考える必要がある。
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このために、前作までの箱庭内政では建ててしまえば恒久的に物資等が補充できたために後半では内政担当の武将は冷遇気味だった。
 しかし今作では領地が増えても武将を配置をしなければ国力の充実を実感できず、特に領地が増える後半はそれこそ能力の低い武将でも配置していく必要があり、
 どんな武将でも最後まで出番が存在する。
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今までは前線から離れた都市を内政都市として、ひたすら一人の武将に物資を運搬させるのが一般的だったが、今作では通用しない。戦略的に重要な都市を見極めて武将を固める必要がある。
 
 
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戦闘は専用マップで行われ、シリーズ初のリアルタイム戦闘を採用している。
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形式は『信長の野望 天下創世』のシステムに似ている。信長の野望ではこの形式のリアルタイム戦闘は一般的だが、三國志で採用されたのは初めて。
 
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武将は必ず1人に付き1つ「戦法」を持っている。戦争では全部隊で共有の采配ポイントを消費する事により、戦法を使って様々な効果を得られる。
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詳しくは問題点で述べるが以前までと違い効果や有効範囲が抑えられておりただ使うだけで勝利確定とはならずうまく活用していく必要がある。
 
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本作の大きな特徴として「秘策」が存在する。武将三名に一定期間開発させる事により、各勢力3つまで所有する事が出来る。
 使い捨てで、発動すると一定期間の間、戦略、あるいは戦術面で恩恵が得られる。
問題点
今作は前作までにあったシステム、データ等が大幅にカットされている。簡略化や削減などはこれまでの三國志や他のコーエー製ゲームにもゲームコンセプト上の関係で行われていたが今作は明らかに度を超えている。
武将数の大幅カット
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前作と比べると2/3程度まで激減している。
 今回の最晩年シナリオ(後述)に合わせたのか特に三国鼎立以降の武将が重点的にカットされており、220年頃から内政すら覚束ぬ程人手が足りなくなり、240年頃にはゲーム自体が成立しなくなる。
 上記の仕様の通り、武将の存在が今までのシリーズ以上に重要なので武将の大幅リストラはゲームのバランスに響く事になる。
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カットされた武将も、鮑信・王基・賀斉・傅彤・羅憲といった名脇役かつ前作でも優遇されていた武将がカットされている。
 また三国の皇帝でも後半の人物(曹芳・曹髦・曹奐・孫亮・孫休・孫皓)が消されており、『三國志』のタイトルすら怪しくなった。
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一応今回リストラを喰らった武将は、異民族を中心にPS3・WiiU版では100名程、さらにPKでは50人程復帰している。
 
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リストラ武将が大勢いるにも拘らず、追加に疑問ある武将の顔ぶれ
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戴員・嬀覧(孫翊暗殺事件の犯人)はシリーズ初で、范彊・張達(張飛暗殺事件の犯人)は『V』以来。でもコイツ等を出すよりは(以下略)
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女性武将も増加。無双ファンに媚びているとの意見もあるが、そもそも今までの三国志シリーズでも女性武将は登場している。無双に出ていて今回初めて出た女性武将は王元姫と歩練師の2人のみ。しかもこの2人にはしっかりとした逸話がある。
 但しシナリオの都合上生年の遅い王元姫(217年生まれ)は登場自体が非常に遅くまともに使う事ができない。
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クリア特典シナリオではどういうわけか戦国武将が数十人登場する。しかも戦国武将はどいつもこいつも高性能っぷりを発揮しており、能力に癖が強く中途半端な三国武将は存在が一気に霞む。言っておくがこれは「三國志」であって「信長の野望」ではない。
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一応、これまでの作品でも(三国志以外の)歴史上の人物や他作品の(勿論コーエーの)歴史SLGからSP武将が登場する事があったし三國志の武将が信長の野望等に出張する事があったので今作だけの問題ではない(今作もあくまで架空シナリオ扱い)。
 
 
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プレイヤーが武将同士の婚姻や義兄弟を結んだりすることはできない。前作ではロマンはもちろん部隊能力や支援攻撃にも影響する重要な要素だったのだが…。
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前作で好評だった武将の老顔グラが存在しない。
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もっとも顔グラの老化は前作のウリであった為、今作でも必ずしも採用しなければいけないというわけではない。
 
戦争の要素の大幅カットと詰めの甘さ
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戦争パートは露骨に『三国志大戦』の影響を受けた……というかパクったとしか思えない様に見えてしまう。
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特に「時間経過で溜まる采配ポイントを消費して、武将固有の戦法が出せる」というシステムは、『三国志大戦』の「士気」を采配ポイントに、「計略」を戦法にと名前を変えただけの代物である。更に戦法使用時や城門突破時の演出等は三国志大戦と似た物になっているのもパクリ疑惑を増長させてしまっている。
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一応描写と戦法の出し方を除けば上記の通り雛形は既にコーエー側が信長の野望で使用されていたシステムの流用なので一方的なパクリ呼ばわりは心外ではあろう…がその場合は既に旧作のシステムを流用しているという点で手抜き呼ばわりされるのだが…。
 
 
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戦争は専用の戦闘マップで行われるが、戦闘マップが狭くなったため戦略性が失われ、ごり押しが全てに。物量で圧倒しているなら完全委任でも負ける要素がない。
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…であったが、視界が限られる上にアップデートにより敵が寡勢でも本陣を狙ってくるようになったため、完全委任や部隊一塊は危険になった。
 
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部隊の兵科は槍兵、騎兵、弓兵の3種類。兵器も2種類。戦法は変えられず、陣形の概念も無い。
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部隊の最大出撃数はたった6部隊(援軍4部隊)。副将も付けられない。このため、率いる事ができない兵力は予備兵として本陣に待機という形になる。
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陣や防壁を建設することはできない。
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従来の様な火計はおろか、水上戦すら削除されているため、OPムービーの赤壁の戦いがシステム的に全く実現できない(ただし前述の「戦法」に火計、神火計は存在する)。
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一騎討ちはしょぼいムービーを垂れ流しながらのカードを使った三すくみじゃんけん。『X』や『11』と比べると、駆け引きの要素が乏しい。
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しかもCPUは後出しじゃんけんしてくるため理不尽さ満点。加えてムービーなどの演出があるため無駄に時間がかかりテンポが悪い。
 
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援軍は自発的に退却できないという謎の仕様のせいで、うっかり負け戦に加担してしまうと全員捕縛されてしまう。
内政の要素の大幅カットと詰めの甘さ
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『11』と比べると施設作りが簡略化されてしまった。建てられる施設の数は少なく、国造りの工夫どころか見た目の変化すらも乏しい。また、序盤の弱小勢力は必要に応じて施設を建て直さなくてはならないため、達成感に乏しい。
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さらに作った施設に武将を配置しなくてはならないが、この武将が外交や輸送を行うたびに、改めて配置しなおさなくてはならないため、内政のテンポが悪い。
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武将なしの施設はほぼ役立たずなので内政を終えた後方都市にもある程度の能力を持った武将を配置しておかねばならず、特に優秀な文官は後方で忘れられやすい。ある意味、現実的な光景であり、プレイヤーに人材の管理能力を求めると言う意味においては、悪い事でもないのだが…。
 
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異民族の存在はまるまるカット。異民族の存在は三國志を語る上でも時代考証的にも絶対に無視できない要素であるのだが…。
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初代ですら存在していた災害や住民反乱もカット。
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異民族及び、災害はPKで対応。ただ、今までのシリーズでは普通に存在していた要素をPKで加えるのはコーエーの悪い癖である。
 
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人材登用や外交での重要な要素であった舌戦もカット。
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シリーズの伝統とも言える軍師の助言もカット。軍師の役目は他国の防御度を下げたり、兵器を盗んできたりすることになっている。
ゲームシステムの拙さ
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戦略時のイベント強制介入が復活。勝手に領地が変わってしまう。
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例えば黄巾の乱の孫堅プレイ、黄巾党を攻め滅ぼして何進から褒美として長沙の太守の任命を受けると、それまで手に入れた領土を全て奪われ、長沙1国のみになる。どう見ても左遷です)『X』でも同様の問題があり、大きく非難を浴びていたが、再発する事となった。
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更にアップデート前はAIが噛み合っておらず、イベントで曹操の捕虜になった関羽がイベントと関係ない所でCPUに処断されるという、その後の流れが全く意味のない状態になっていた。
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プレイヤーが不利益を被る場合は選択肢次第で回避する事も可能だが、CPUはイベントで次々と版図が変わってしまう。
 
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外交ではアイテムや捕虜、秘策などを交渉材料にする事が出来るようになり、『11』などよりも交渉の幅が広がった。それ自体は進歩である。が、その中で捕虜のウェイトが大きすぎる。凡将でも2、3人捕まえておけば、容易に停戦が結べるため、CPUを自在に操る事が出来てしまう。
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ただ、意図的にやったのか、バランス調整不足なのかは不明。一軍の将を捕虜にすれば外交で大きく優位に立てるのは当然だし、捕虜を使った外交を積極的に行わないと詰む局面があるのも確か。「信長の野望・革新」の坊主停戦よりはマシかも知れない。なお、捕虜を交渉材料に同盟を結ぶ事すら出来る。もちろん、同盟を結んだ後、互いの捕虜は、きちんと全員、解放される…ん?
 
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容易にキャラを育成できてしまうイベントが頻発するため、プレイヤー側の武将は超人レベルにまで簡単に育ってしまう。
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シナリオは前作以上に三国志前半に偏っている。史実最後年のシナリオですら214年という有様。前述の追加武将と言い三国志後半を軽視していると言わざるを得ない。
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ちなみに、初代『三國志』ですら史実最後年のシナリオは215年である。こちらは最初のシナリオが3年遅いが。
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PK追加シナリオではなく無印だけで遊べるものでも、前作『11』では225年、前々作『X』では227年(PKで253年追加)と10年以上も違う。末期が充実した『IX』に至っては263年(決戦制覇なら279年)のシナリオまである。
 
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出陣や輸送等がキャンセル不可能。うっかり兵力や兵器の手配が済まないまま決定してしまうと悲惨…
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一応、事前にセーブしておいてロードすればいいだけなのだが、そんな手間を取らせるよりは取りやめる為のコマンドを用意しておけよ…ということになる。
 
秘策・戦法のバランスの悪さ
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秘策の効果が強すぎる。特に絶道の策(=軍隊派遣が封印される策)はあまりにも凶悪すぎるため、中盤以降はこれを防ぐ手段を常時投入するハメになる。
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なお、秘策の開発には特定の特技が必須になる為、人材に乏しい弱小勢力では開発すらできない。
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秘策発動時に挿入されるムービーは妙に諄い上に長ったらしく作り込まれている。力の入れ処が間違っている。
 
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戦法のバランスの悪さ
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特に有名武将専用の戦法があまりにも強力過ぎる。
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例としては、範囲全体の戦闘力強化+負傷兵の回復効果で脅威のゾンビアタックを可能とする劉備の戦法「義勇兵」・範囲全体の戦闘力強化+伏兵化効果で相手の戦力をガタガタにしつつ攻められる諸葛亮の戦法「八陣の法」・名前そのままの鄧艾の戦法「伏兵神速」。
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ただ、劉備に関しては魅力のパラメータが無くなった事による個性付けと言えばそこまでであるし、諸葛亮に関しても天候を自在に操作し落雷を落として敵部隊を一撃瀕死や火計→風変で敵に向かって火攻め(IV等)に比べれば今作はまだマイルドな方である。
 
 
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戦法が似たようなものばかりで、武将の個性をイマイチ表現できていない。
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一応超有名武将には固有の特技が設定されているが、三国志素人でも知っているような超有名武将だけである。脇役の重要性を認知できているとは思えない。
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例えば孫策と張遼と孟獲が同じ戦法であったり、孫堅と郭嘉と董卓が同じ戦法であったりする。前作は少なくとも本作よりは特技によって個性を表現できていた。
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そんな武将固有戦法ですらゲーム開始直後から新武将に普通に付けられるのも問題。今まで強力な特技等は1度クリアしないと設定できないように自重された作品もあり、せめて各人の固有戦法位は1回クリアした後にしか付けられない、と言う事はできなかったのだろうか…。
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一応、これまでの作品で猛威を振るった強力すぎる常駐効果や直接ダメージ、回復系は撤廃や無難な物のみ採用、使用者が激減し消費采配も高めで連続で使用できなくなっている。
 
 
オンライン対戦の詰めの甘さ
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本作最大の売りであるオンライン対戦は、劣化『三国志大戦』である。
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オンライン対戦には制限があり、行動力最大値の十分の一を使わないといけない。
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所有できる武将カードに制限がある。
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発売当初は毎週調整が行われていたが、現在は放置されている。
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公式コミュニティが荒れている時でも何もしないなど、運営のやる気のなさが窺える。
 
極悪仕様のオンライン認証システム
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色々と酷い本作の中でも、特に極悪仕様とまで呼ばれるのが"オンライン認証システム"(いわゆる「アクティベーション」「アクチ」)。
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本作は基本、オフラインゲームなのであるにもかかわらず、毎日オンライン認証しなければゲームがプレイできない。しかもサーバーが落ちていて認証出来ない場合もあり、その場合はプレイ不可能。
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酷いものだと土日にサーバーが20時間以上ダウンして、ゲームが全くプレイ出来なくなるという事すらあった。
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これでは毎回ネットワーク認証を要求され、しかもプログラムアップデート以外にオンライン要素が皆無な『真・三國無双3 ハイパー』の失敗と同じ轍を踏んでしまっている。
 
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毎日午後8時を過ぎる度に認証がリセットされ再び認証を要求されるようになるが、プレイ中であっても容赦なく認証を要求してくる。
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中古対策・海賊版対策が目的とされているが、わざわざ手間を掛けてまでまっとうなユーザーが頭を抱える仕様にしてしまうのは…。
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2025年6月1日をもって、オンラインユーザー認証を終了。以降のプレイは不可能となる。
(公式発表)
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なお、パワーアップキットでは1週間に1回の認証に緩和されたが、あまり根本的な解決にはなっていない。またシブサワ・コウアーカイブス版ではSteam認証に切り替わったため、
ようやく
アクティベーション作業が不要となった。
 
 
賛否両論点
武将個々の仕様の大幅カット
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武将の兵科は固定。好きな兵科を割り当てることは不可能。前作の『11』では自由に決められる上、武将一人一人に各兵科適性が定められていた。
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ただ、前作の優秀な武将は揃って全ての兵科適正が高くて隙が無く、そういった武将に対して能力の低い武将でも付け入るスキを与えたというバランス調整にもとらえられる。
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3すくみをバランスよく出さなくては対処できないため、以前のシリーズよりは色々な武将が戦場に出る事が多くなったとも言える(呂布が兵科の都合上、張飛に苦戦する…といった面もあるが)。
 
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各パラメータのインフレが激しい。特に「統率」で顕著であり、華雄、顔良、文醜、周泰と言った猛将達が前作と比べて軒並み5~10上昇している。
 さらに文官の中では郭嘉が統率51→88と再評価だとしても異常な上昇を見せている。ちなみに統率88は賈詡と同値。
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一応擁護しておくと、今回の統率は純粋に部隊の戦闘力及び率いることが出来る兵士の数に影響している。しかも今回は部隊に副将を組めない為武将個人の能力が物を言う事になる。つまり例え武力が100であっても統率が低いというだけで戦闘ではまるっきり役に立たなくなってしまう。猛将の統率上昇は「武勇で有名な武将なのに殴り合いに弱い」事を避ける為とも考えられる。
 
武将の顔グラフィックについて
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本作は登場する武将の顔グラフィック(正確には上半身を含めた肖像)が全て新規描き下ろしとなっている。
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前作のグラフィックに似ている(アングルや表情が変わった程度の)武将も多いが、三國志VIIから5作にわたって顔グラを使い回されていた武将に新たに顔グラを描き下ろしたのは評価点と言えるだろう。
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シリーズが進む事につれ、顔グラが古い武将はやけに顔が小さいといった違和感があったが、本作でようやく一定のクオリティに統一された。
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『演義』寄りの顔グラフィックが多く、『正史』としても通用していた一部の武将に違和感を覚える部分(学者で名を馳せた闞沢や強かな知将の李恢が『演義』での役所の説客として、剛直で名を馳せた田豊がただの因業親父として、老獪ながらも味のあった司馬懿がすっとぼけた腹黒爺として、それぞれ描かれている)もある。
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もっとも『正史』のイメージが色濃い武将も少なくはない。野心を抱いていそうな悪人面の劉焉、獰猛な顔つきの馬超、悠然と碁を指す費禕はその一例であろう。礫を操る丁奉のように、民間伝承のイメージを取り入れた武将もいる。
 
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また、キャラ付けの為か、『演義』の特定シーン(有体を云えば本人の最期)を強調している物が多く、討ち取られる(枝に袖が引っかかっている)陳武、明らかに死亡フラグの立っている(いわゆる殿馬状態)曹昴、憤死する辛評など、シチュエーションを考え直すべき顔グラも見られる
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口を開けて叫ぶカットがやけに多い。内政・外交でも怒った顔グラフィックがよく出るので、もう少しでも汎用性を持たせるべきだったかもしれない。
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上記の武将大幅リストラも「イラストレーターが全員分描ききれなかったのでは?」と言う意見も見られる。
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余談だが、本作と同じように全ての武将のグラフィックを描き下ろした『信長の野望 天下創世』では発売当時はグラフィックが間に合わずに同じ顔の武将が何人も登場し、非難を浴びた。
 
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項羽や劉邦といった、特別武将も『三國志Internet』以来の新規描き下ろしである。
 
評価点
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戦略面での敵AIの思考は(このシリーズにしては)優秀で、かなり手強い。前述の「絶道」の存在もあって、中盤以降も気が抜けない。
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シンプルな分、こちらがシステムの裏をかきにくい事とAIがシステムに沿って行動し、無駄が無い事もあると思われるが。
 
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秘策は弱小勢力の救済措置としてはしっかり機能している。195年孔融のような人材的にどう考えても詰んでいる勢力でも「求賢の策」を開発出来るようになれば何とかならない事もない。リセット前提だが、このシリーズではいつもの事である。
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シングルコアのノートブックなど、比較的低スペックのPCでも快適に動作する。参考までに本作の動作環境はこちらを参照。
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もっとも、前述したオンライン認証があるため常時インターネットに接続していないパソコンには向いていない。
 
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オンライン対戦の出来自体は悪くない。
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本作のオンライン対戦だけが楽しめる「対戦版」が無料で配信されているため、作品自体の出来と相俟って「これ(対戦版)だけ落とせば良い」と当たり前のように言われている。
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一応、製品版の方が所有できる武将カードが多めだったりなど優遇されているが、対戦版をやるためだけに1万円近く出すのは無駄である。
 
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ごく少数ではあるが、本作のゲーム性を「シンプルで気軽に遊べる」と肯定的に捉える意見もないわけではない。
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もっとも、定価一万超えの老舗歴史SLGシリーズ最新作に大多数のユーザーが何を求めるか、と考えれば、さすがに今作の出来で満足する層は稀であろうが。
 
総評
バグの多さとバランスの悪さなどで散々悪評を買った前作とはまた違う方向性の酷い出来である。
「糞藝爪覧」事件さえも慈悲深い心で受け入れて、健気に新作を待ち続けた古参のシリーズファンであっても、その多くが見切りをつけるのに躊躇しなかったであろう。
むしろ古参のシリーズファンや純粋な「三国志好き」であればあるほど、失望と憤りを感じる作品に仕上がっている。
ゲームシステム自体は決して悪いものではなく、評価できなくもない部分もあったが、シリーズ最新作という値段にも看板にも見合わない出来、その上に認証が毎日必要でプレイできるかはサーバー側に委ねられていると言う最悪のシステムではユーザーが激怒するのも当然である。
その評価点についても、低スペックPCでの快適な動作や顔グラの新調は、これまで築き上げた三國志を彩る重要な要素を大幅に削ってまで実現するニーズがあったかと言われると疑問の残るポイントであり、「最強の三國志」と称するにはかなり寂しい出来となってしまった。
余談
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公式サイトには「『三國志』武将名鑑」と言うコーナーがあり、本作に登場する武将を毎日ひとりピックアップしてイラスト付きで紹介していたが、2012年5月1日をもって更新が終わり、現在はそれまで掲載してきた武将を一覧で閲覧出来る。
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アクティベーションによってソフトがひも付けされてしまうため、ソフトを手放す際に買取に出せず、購入した人は泣き寝入りするしかない。
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1万円を越えるクソゲーを掴まされ、なおかつ売るなどして僅かばかりでもお金に換える事すら許されないショックは計り知れない。
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ある意味で、サントラや画集と言ったグッズが手元に残る分、トレジャーボックスの方が救いがあると言えるかも知れない。
 
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この出来であるにもかかわらず、何と発売前に体験版を無料配布(現在はPK版の追加要素付き体験版を配布中)。
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限定的ではあるが、内政、戦闘などのシステムは一通り体験出来るため、プレイした多くのユーザーは、「PK待ち」と言う結論を下したようだ。コーエーにしては極めて良心的な販売姿勢である。
 
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2012年12月13日にPS3/Wii U向けに発売、更には2013年2月にはPS Vita向けに発売されることが決まった。
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PS3/Wii U版では新システムや新規シナリオなどの追加要素があることが明らかになっているが、Win版の汚名をどこまで雪げるのだろうか。
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PS3/Wii U版公式サイトでは「今日の武将対決」というコーナーが開設され、こちらでは毎日2名の武将とそれぞれの列伝をイラスト付で紹介していたが、こちらも2012年12月16日をもって更新終了し、現在は「三國志名勝負」としてそれまで更新された対決を見る事ができる。
 
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家庭用版はゲームプレイ時に認証が不要、武将の追加、武将抜擢、戦場の陣に耐久と特性が追加と不満だった要素が改善され遊びやすくなっている。
 
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2013年3月1日にパワーアップキットが発売された。
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システムとしては上記のコンシューマ版の要素を一部引き継いだ上で更に強化した形になっているが、コンシューマー版との明らかな違いは末期武将が登場しているか否かだったりする。
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無印の発売当初よりプレイヤーからは「パワーアップキットが出ても追加ディスクである以上、無印の動作環境に縛られる(=無印がギリギリ動くようなPCを追加ディスクで切り捨てる事が出来ない)し、大掛かりな仕様変更は期待出来ない」「ベースが悪過ぎるから、幾ら要素を追加しようがどうにもならない」と、出た所で大して変わらないと悲観視する意見もかなり多く上がっていた。
 
最終更新:2025年07月13日 07:29