Cybermorph
【さいばーもーふ】
| ジャンル | シューティング |  | 
| 対応機種 | ATARI Jaguar | 
| 発売元 | アタリ | 
| 開発元 | Attention to Detail | 
| 発売日 | 1993年11月23日 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | STGなのにアイテム集めがメインのデザイン 役立たずのレーダーと謎の緑頭
 「どこで操縦を学んだのですか?」
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概要
ATARI Jaguarの本体に同梱されていた、いわゆるATARI Jaguarのローンチソフト。
特徴
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3Dのシューティングゲーム
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基本操作は、Aで加速、Cで減速、Bで攻撃、十字キーで機体の上下左右移動(ただし上下は反転している)。
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箱庭型のマップの中を飛び回り、黄色のポッドを収集していくことが目的。
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全てのポッドを取得すると、ゴールが出現し、そこに入るとステージクリアとなる。
 
 
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ステージは選択式
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ステージとなる惑星がいくつかあり、その中から選んでゲームを開始する。
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8個のステージをクリアすると、ボスステージが出現する。その際にパスワードが表示される。
 
問題点
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シューティングなのに、箱庭のマップで、ポッドを集めるだけのゲームデザイン
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前述したように本作は3Dのシューティングゲームなのだが、敵を倒したりゴールを目指すのではなく、「マップ上に散らばっているポッドを集める」のが目的という不可解なゲームデザインとなっている。
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しかも、そのポッドは壁などに囲まれて配置されていることも多く、その場合は収集するには周りの壁をショットで破壊しなくてはならない。
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ポッドが見えるように壁に囲まれているのはまだマシな方で、ポッドが卵のような物体に隠されていて、全く見えないということもある。
 
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一応、レーダーも存在し、ポッドの場所をある程度教えてくれるのだが、壁に遮られているポッドはレーダーに反応しないので、役に立たないときがある。そのため、ポッドを探してるのにポッドが見つからないという事態に陥りがち。
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これがアドベンチャーやRPGならまだしも、本作がシューティングであることも、ストレスが溜まる要因になっている。
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一般的な3Dシューティングやフライトシミュレーターに近い操作性であるため、ステージ内を探し回ってアイテムを収集するというゲームデザインと噛み合っていない。
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獲得すべきポッドは建物の近くに設置されていることもあり、入手する際に建物に衝突してしまうことも……。
 
 
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描画範囲が狭く、スピードを上げ過ぎると、いきなり壁や敵が出現して衝突しやすい。
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後述するSkylarの台詞も相まって、余計にストレスが溜まりやすい。
 
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被弾時の無敵時間が無いため、連続で攻撃を食らうと、すぐライフが0になる。
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ライフが0になると残機を1消費して復活するのだが、撃破されたその場で復活する。
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そのため、敵や壁にぶつかってライフが0になった場合は、復活直後に再び敵や壁に衝突する、という事態も起こる。
 
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コンティニューが存在せず、ボスを倒さないと、パスワードが手に入らない。
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特徴に書いたように、ボスを倒さないとパスワードが手に入らないので、ボスを倒す前にゲームオーバーになると、8つのステージを攻略するところからやり直しとなってしまう。
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なお、パスワードの入力自体はJaguarのコントローラーにテンキーがあるため、比較的楽。よもや、このテンキーを使いたいためだけに、パスワードシステムを採用したのでは……?
 
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壁などにぶつかる度に緑色の禿げた謎の女性が煽ってくる。
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ある意味本作の象徴とも言える要素。この緑色の女性は、設定上はSkylarという名前のAIらしいのだが、敵や壁にぶつかる度に
「Ouch」「Where did you learn to fly?(どこで操縦を学んだのですか?)」
と、何の役にも立たない台詞しか言わない。
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前述したポッドの場所といった攻略方法など、プレイヤーの有利になることは一切話さない。何のためのAIなのか……。
 
 
評価点
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機体の操作性はそこそこ
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十字キーとABCボタンによる操作は比較的良好。最初は慣れが必要なものの、慣れてしまえばある程度自由に操縦することができる。
 
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UIもそれなり
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集めるべきポッドの数や、ライフ、加速度などが目視化されており、わかりやすい。
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レーダーも前述したように壁に遮られているポッドには反応しないが、それ以外のポッドを探すのには役に立ってくれる。
 
総評
シューティングゲームなのに、箱庭のエリアの飛び回って、ポッドを収集するという不可解なゲームデザインの本作。
ポリゴンの描写能力などは、ハードに起因する問題なので、致し方無いとも言えなくもないが、根本のゲームデザインに関しては擁護不可能と言っても過言ではない。
せめて、ゲームデザインがオーソドックスな3Dシューティングゲームであれば、ここまで酷評されることは無かったと思うのが残念でならない。
余談
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前述したSkylarの台詞
「Where did you learn to fly?」
はカルト的な人気を誇っており、本作(及びATARI Jaguar)の普及度に比べて、知名度がやたらと高い。
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恐らく本作とこの台詞を一躍有名にしたのが、The Angry Video Game Nerd(AVGN)によるATARI Jaguarの紹介動画。動画ではこの台詞を弄った寸劇を行ったためか、この台詞が一種のネットミームと化している。
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その後、2013年9月に2D横スクのラン&ガンアクションゲームとしてDL配信された『Angry Video Game Nerd Adventures』(Windows/Wii U/3DS)では
Skylar(のそっくりさん)がボスキャラとして登場するステージが有り、出てくるやいなや例のセリフを吐きながらプレイヤーであるAVGNに攻撃してくるという、元を知っている人にとっては腹筋崩壊レベルの代物となっている。
 
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本作発売から翌年の1994年には1MB版が発売されている。
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容量が削減されている影響で、1993年リリースの2MB版からアニメーションや音声などが削除されている模様。
 
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こんな出来の内容であるが、何故か『Atari 50: The Anniversary Celebration』に本作が収録されている。
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前述した台詞が人気だからか、一応Jaguarのローンチソフトだからかは不明だが、ともかくこれでプレイのハードルは大幅に下がった。
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ただし、コントローラーの都合上、当時の操作感そのまま、というわけではないため、その点は注意。
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ちなみに『Atari50』の実績に「どこで操縦を学んだんだい?」というのがあるので、わかる人は思わずニヤッとするネタであろう。
 
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1995年には続編の『Battlemorph』が、ATARI Jaguar CDでリリースされている。
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ユーザーからは同年発売の3Dシューティング『スターフォックス』とよく比較されやすい。出来は雲泥の差であるが……。
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曲がりなりにも、プレイステーションやセガサターンなどと同世代機にもかかわらず、前世代機のゲームと比較されるあたり、ATARI Jaguarのスペックの低さを象徴しているのかもしれない。
 
最終更新:2025年01月19日 08:58