このページではアーケード版『忍者くん 魔城の冒険』 (良作) と、そのFC移植版 (劣化ゲー) を紹介しています。
忍者くん 魔城の冒険
【にんじゃくん まじょうのぼうけん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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アーケード
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開発・販売元
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UPL
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稼働開始日
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1984年
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配信
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アーケードアーカイブス/838円(税込) 【PS4】2014年5月15日 【Switch】2018年4月5日
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判定
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良作
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忍者くんシリーズ
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概要
UPLの代表作とも言えるアクションゲーム。
お城や岩山を舞台に1.5頭身の赤い忍装束に身を包んだ『忍者くん』を操作し、敵を殲滅することが目的。
システム
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1レバー(左右方向)+2ボタン(攻撃・ジャンプ)の即死制2Dアクション。段差を昇り降りすることで画面が縦にスクロールする。
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敵の飛び道具による攻撃や炎に接触するとミス。
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攻撃ボタンで一定距離まで飛ぶ手裏剣を投げる。敵を倒すだけでなく敵の攻撃も相殺することができる(一部例外あり)。
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レバーニュートラル+ジャンプで足場を降りる、横移動+ジャンプで小ジャンプ、横移動+ジャンプ長押で段差を登れる大ジャンプという具合にジャンプボタンを使いわける必要がある。
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ジャンプ中に敵に体当たりをすると、その敵はしばらく気絶する。しかし、敵もジャンプ中だと跳ね返って失敗してしまう。また、逆に敵から体当たりされると気絶としてしばらく操作不能になる。
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ステージ上にいる8人の敵すべてを倒す事でクリアとなる。
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また、ステージ開始から一定時間経過すると天から七色の光る玉が降りてくる。これを3個集めてクリアするとボーナスステージに移行する。
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ボーナスステージでは敵が登場せず、制限時間内にステージ上の光る玉をすべて回収することでボーナス点を獲得できる。
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ボーナスステージは全16ステージ。ステージ7以降は触るとミスになるドクロの玉も置かれている。ステージ16をクリアするとステージ1に戻る。
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光る玉やドクロの玉は手裏剣を当てると移動する。高次ステージは光る玉やドクロの玉を上手く移動させないと制限時間内の全回収は困難。終盤はドクロの玉が増えて難易度が上がる。
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全32ステージ。1ステージにつき「同じ敵キャラ×7人」+ステージ最上段に「1段階強いボス敵×1人」の8人構成が基本。ただしステージ1・2はボスも含めて8人全員が黒子。
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ステージ1~24は、8種類の敵が3ステージずつ出現。背景は3種類ありステージ24まで3ステージごとにループ。3の倍数ステージはお城の背景になる。
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ステージ22~24は雑魚敵7人が最強のヨロイだが、ボスは強化もされていない最弱の黒子が出てくる。
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ステージ24はヨロイが7人いるだけではなく、忍者くんをすごい勢いで追いかけてくる最難関レベルのステージ。
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ステージ25~32は全ての敵が混成軍として出てくる。ステージ32以降は、ステージ25~32の繰り返し。背景は25~27が背景1、28~30が背景2、31・32が背景3(お城)。
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ステージ29~32ではボス敵を最後に残すとBGMが変わり分身の術を使ってくる。倒せるのは本体だけで、分身は倒せない。
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敵キャラ一覧
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黒子
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赤いサングラスのような目が特徴の最初の敵。
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武器は忍者くんと同じ性能の手裏剣だが、忍者くんよりも連射性能は若干劣る(ファミコン版では同性能)。
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ダルマ
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三日月の形をした鎌で攻撃してくる。
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連射性能は忍者くんと互角で(ファミコン版ではダルマが上)、斜めにも飛ばすことができる。
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カブキ
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赤い髪と青い衣装の、名前どおり派手な見た目の敵。
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放物線を描いて飛ぶ爆弾を投げてくる。
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カミナリ小僧
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外見は青いカミナリ様で、高速のカミナリを放って攻撃してくる。
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連射性能も凄まじく、真正面から打ち合っても到底勝ち目は無い。
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獅子舞
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口から炎を飛ばして攻撃してくる。
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炎はしばらくの間画面に残り、手裏剣で消すことができないのでかなり厄介。
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ファミコン版には登場しない。
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ガイコツ
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画面端まで届く刀を連射してくる。
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離れていたり落下中にも連射攻撃してくるので注意が必要。
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ファミコン版には登場しない。
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トカゲ
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二足歩行でウロウロする口の大きなトカゲで、赤い人魂のような炎を吐いて攻撃してくる。
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炎は上下にフラフラしながら忍者くんを追尾し、画面端で折り返してくる。変則的な動きなので手裏剣で相殺しづらい。
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ファミコン版には登場しない。
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ヨロイ
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ガイコツと同じ性能の矢を連射してくる甲冑武者。
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体当たりによる気絶中にしか倒すことができない。
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炎
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同じ高さに留まり続けたりタイマーが0になると現れるお邪魔キャラ。
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倒すことはできず、フラフラした動きで忍者くんを執拗に追いまわす。
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接触しただけでミスとなる。
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評価点
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敵の行動パターンが各種設定されており、こちらの行動によって変化するので「覚えゲー」ではない、常に真新しいゲーム展開を見せてくれる。
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倒すために近づこうとするとジャンプで逃げる一方、こちらが高さを変えると相手も高さを合わせてきて妙に人間くさい。
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死体撃ちで追加点、玉集めボーナスステージ全取りのボーナス、手裏剣を一発も外さずにステージクリアでボーナスなど稼ぎ要素が豊富。
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本作では得点によるエクステンド方式なので、長時間プレイするには稼ぎテクの習得も必要となる。
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ステージ開始時のBGMやアイテム取得音・手裏剣での相殺音など「音」の心地良さが印象的。
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BGMは後にUPLがリリースするクレーンゲーム『ラッキークレーンシリーズ』(1986年発売)にもアレンジが加わった上で採用されている。
問題点
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垂直ジャンプができず歯痒い場面が多い。
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これは次回作以降改善されて、垂直ジャンプができるようになった。
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ステージが岩山と城しかなく、年代を考えてみても当時からかなり単調な印象。
総評
コミカルなキャラクターや忍者らしく縦横無尽に動き回る爽快感、さまざまな稼ぎテクを利用したハイスコア狙い等、今でも充分楽しめる名作といえる。
体当たりや死体撃ちなどの基本的なシステムは以降の続編にも踏襲されており、本作の時点で既に完成度は高かったといえよう。
UPLは倒産してしまったものの移植に関しては恵まれている方なので、興味があればぜひプレイしてもらいたい。
移植
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家庭用移植作品としてMSX版(84年発売)とFC版(85年5月10日発売)が存在する。発売元はどちらもジャレコ。FC版の詳細は後述。
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敵が3種類削除されていたり敵の攻撃に予備動作がなかったりと荒削りな部分もあるが再現度は高め。
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2008年12月からFC版がWiiのバーチャルコンソールで配信されている。
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アーケード版はアーケードアーカイブスからPS4版が2014年5月15日に、SWITCH版が2018年4月5日に配信開始された。どちらも税込838円。
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ちなみに前年(83年)にマイクロキャビンから同名タイトルの『忍者くん』(X1、88、MSX)という作品が発売されているが、ゲーム内容に全く関連はない。
続編
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続編として『忍者くん 阿修羅ノ章』が1987年に登場している。
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本作の移植を手掛けたジャレコから、FCオリジナルの派生作『忍者じゃじゃ丸くん』(1985年11月15日発売)が発売されシリーズ化もされた。
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当初「忍者くんの弟が主役」という設定にはなっていたものの『忍者くん』シリーズの続編ではなく、あくまで独立したスピンオフ作品という位置付けになっている。
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その後『じゃじゃ丸くん』シリーズが独自に発展していったことで、忍者くんの弟という設定も立ち消えとなっている。
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しかし最新作『じゃじゃ丸の妖怪大決戦』では公式サイトのじゃじゃ丸のキャラ紹介に兄は忍者くんと明記されており、設定が復活している。
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1992年にUPLが倒産したことで、ジャレコが『忍者くん』の版権を引き継ぎ、1994年にSFCで独自の続編『すーぱー忍者くん』が発売されている。
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その後、2016年にハムスターがUPL作品の全権利を引き継いでおり、アーケードアーカイブス等もハムスターから発売となっている。
余談
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UPLはメダルゲームの分野でも『忍者くんルーレット』として発売している。
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『忍者くんルーレット』や上述の『ラッキークレーンシリーズ』などのプライスゲームの版権はUPL倒産後にユウビスが引き継いでいる。
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海外でも『Ninja Kid』のタイトルでリリースされている。(アーケードのみ)
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徳間書店のわんぱっくコミックス創刊号で、本作の名を冠した漫画が掲載された(作:やまと虹一)。後に「ファミコンまんが大全集①」として『チャレンジャー』(作:やまと虹一)『スペランカー』(作:熊倉いさお)らとともに単行本化もされている。
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ただタイトルは「忍者くん外伝」となっており実質オリジナル作品である。
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その漫画の主人公も「忍丸(しのびまる)」という名前でゲーム本編の低頭身でコミカルな忍者くんと異なり非常にカッコ良く描かれている。
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現在は絶版のため入手障壁は高いが、単行本に掲載されているため月刊誌を買うことを思えば入手しやすい。
忍者くん 魔城の冒険 (FC)
【にんじゃくん まじょうのぼうけん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売元
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ジャレコ
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開発元
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トーセ
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発売日
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1985年5月10日
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定価
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4,500円(税別)
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2008年12月09日/500Wiiポイント
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判定
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劣化ゲー
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ポイント
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全てが少しずつ劣化 ゲームの大枠は再現している
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忍者くんシリーズ
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概要(FC)
上記AC版のファミコン移植版。開発はトーセが担当した。
基本的な操作方法・システムに変更はないが、一部要素が削除されたほか、演出やキャラの挙動にも違いがある。
AC版からの変更点・問題点(FC)
ハード的にある程度仕方がない面はあるが、移植に当たって劣化した点が少なくない。
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ボリューム
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ステージ数が全18面に減少し、敵キャラも獅子舞、ガイコツ、トカゲの3種が削除された。AC版(全32面、敵キャラ8種)から約4割減。
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操作性
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忍者くんのジャンプや落下といった動きがややもっさり気味になり、アクションの爽快感は落ちた。
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グラフィック
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全体的にAC版に近いレベルで再現できているが、「点滅する棒状の何か」と化した巻物のように劣化が明白な部分もある。
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ステージ開始前のグラデーション演出もハード的に再現が難しかったのか、画面が点滅する演出に変更。
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月夜に城のシルエットという渋い絵に対して、派手に画面が明滅する演出がマッチするかは疑問。人によっては目が痛いかもしれない。
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音楽
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音がチープになったのはしょうがないにしても、ステージBGMの音程が妙に高くキンキンして耳障りな部分がある。
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ノリのいいボーナスステージのBGMが地味なものに差し替えられたのも残念。
変更点・賛否両論点(FC)
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段差から降りて敵を踏みつけた際の反動が減った
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AC版と比べて垂直落下で敵を踏みつけた後の反動と硬直がかなり少なくなり、気絶した敵の傍ですぐ動けるためテンポよく敵を倒せる。
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原作の再現を求めるプレイヤーには違和感があるかもしれないが、この忍者らしいスピード感ある奇襲攻撃は中々小気味よく、数少ないFC版独自の面白さともいえる。
評価点(FC)
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ゲームの肝の部分は健在
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上記の様々な劣化によりアクションゲームとして質が低下したことは否めないものの、「敵のパターンのスキをつき攻撃を当てる」という部分の面白さは失われていない。
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タイトル画面
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短いながらもBGMがつき、1P・2Pを選択するカーソルも回転する手裏剣になっており当時としては芸が細かい。
総評(FC)
AC版と比較して操作性・ボリューム・グラフィック・サウンドとゲームを構成するほぼ全ての要素がややグレードダウンしており、
ハード的、時代的に仕方がない部分があるとしても劣化した移植という印象は否定しがたい。
とはいえゲーム性の根幹についてはしっかりと再現できており、1985年当時のファミコンのアクションゲームとして見れば悪くない出来ではある。
最終更新:2024年04月05日 09:52