メタルスラッグX
【めたるすらっぐえっくす】
ジャンル
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アクションシューティング
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※画像はNG版
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対応機種
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アーケード(MVS) ネオジオ Windows Vista~8
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発売元
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【AC/NG】SNK 【Win】SNKプレイモア
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開発元
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【AC/NG】SNK 【Win】DotEmu
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稼働開始日
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【AC】1999年3月19日
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発売日
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【NG】1999年5月27日 【Win】2014年10月2日
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定価
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【NG】29,800円 【Win】798円 ※Win版のみ税込
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プレイ人数
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1~2人(同時プレイ)
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2012年7月10日/926Wiiポイント(※NG版) アーケードアーカイブス 【PS4/One/Switch】2017年10月5日/823円(税8%込)
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備考
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Wii/PS2/PSP『メタルスラッグ コンプリート』内に本作が収録 Switch『アケアカNEOGEO セレクション Vol.1』内に本作が収録 ※本概要はソフト単体で発売されているもののみ記載している ※PS移植版に関しては独立ページあり、こちらを参照
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判定
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良作
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ポイント
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『メタルスラッグ2』のリメイク・マイナーチェンジ版 『2』をベースにさらに豪快・派手に シリーズトップクラスの爽快感の高さ
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メタルスラッグシリーズ
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概要
SNKより発売されているアクションシューティングゲーム、『メタルスラッグ』シリーズの第3作。
ただし、ナンバリングがされていない所からも推察出来るように、本作は『メタルスラッグ2』をベースに、ミッション内構成の変更の他に多くの要素が追加および変更されたリメイク作品となっている。
従って、作品のストーリーなどは『メタルスラッグ2』のままとなっている。
なお、本作はアーケード(MVS)の他、ネオジオとプレイステーションに移植されているが、プレイステーション版に関しては移植度に大きく難があり、一緒にまとめるには些か問題があるため、別ページで紹介している。
プレイステーション版に関しては上記の概要表内の備考にあるリンク先のページを参照いただきたい。
『メタルスラッグ2』からの変更点
+
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長くなるのでクリックで展開
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追加武装
武器・スラッグ(戦車)
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『X』で新たに追加された武器は下記の通り。
下に触れるビッグ系強化銃は既存武器の強化版になるため、ここでは割愛する。 強化銃と手榴弾の変化アイテムに関してはまとめて一覧にしているため、手榴弾の変化アイテムは解りやすく赤い文字で記す。
名称
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概要
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追加武器(内にアイコンのイニシャルを記す)
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エネミーチェイサー(C)
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ロケットランチャーの追尾性能を強化したような小型ロケット弾を発射する。 発射したロケット弾は高速で敵を追尾するが、命中した時の爆風はロケットランチャーと違って小さい。 ただし、攻撃対象が複数いたり、あまりに近すぎると弾が見当違いの方向に飛んでいくことも。
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アイアンリザード(I)
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地面を疾走する自走弾を放つ。 上方向に発射してもすぐに地面に落ちて疾走するので、対空には向かない。 坂は疾走出来るが、障害物(直角の壁など)があるとそこで爆発してしまう。
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ドロップショット(D)
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地面をバウンドする爆弾を放つ。 弾速が遅い上に弾も小さくて画面内に3つまでしか発射出来ず、おまけに弾道も癖がありすぎるために活躍できる場所が非常に限られてしまう。 そのため、多くのプレイヤーからは要らない武器扱いを受けており、ゲーム情報誌『アルカディア』には「武器の形をした罠」とばっさり一刀両断されている。 一応デブ化状態では弾のサイズが非常に大型化するため、使い勝手の悪さが多少改善される。
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スーパーグレネード(G)
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巨大な榴弾を放つ。 弾速も早く、命中すると上方向に巨大な攻撃判定を持つ爆風が生じる。 ただし、弾数が15発と少ないので無駄撃ちは禁物。デブ化状態では連射性能が向上する。
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ストーン(STONE)
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手榴弾が投石攻撃に変化。 威力はあるが、如何せん石なので手榴弾のように爆風が出ず、殲滅には不向き。ただし敵のUFOに当てると一撃で破壊できる変わった長所も。またデブ状態では岩石とも呼べるくらいにサイズが大きくなる。
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追加スラッグ
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メタルスラッグ TYPE-R
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ミッション3で登場する、赤みがかった車体のメタルスラッグ。 機動力が上昇しており、移動速度とジャンプ力が強化されている。
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ビッグ系強化銃
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『2』までに存在していたヘヴィマシンガン・ロケットランチャー・フレイムショット・ショットガン・レーザーショットに、武器名の頭に「ビッグ」の名を冠した強化銃が追加された。
通常版との区別として、アイコンに描かれたイニシャルが拡大縮小を繰り返している物になっている。
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威力自体は通常版と同じだが、ショットの見た目が派手になり攻撃判定も強化されている。弾数は原則は通常版と同じではあるが、ビッグショットガンのみ例外として、攻撃範囲が2倍に伸びた代償で弾数が通常版の半分となってしまっている。
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本作のみビッグ系強化銃と通常の強化銃では弾数が共有されず、別扱いになってしまう。
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なお、『3』以降では弾数が共有されるようになった。
システムボイスの変更
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武器取得時やミッション開始・終了時等のシステムボイスが全て入れ替えとなった。
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かなりノリの良いものに変わったこともあってこの変更は好評を博した。
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『6』以降、再びシステムボイスが入れ替えになったが、その際は批判意見が相次いだほど。
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また、『2』ではデブ化してもシステムボイスが無かったが本作での変更に伴って追加されている。
「Uh oh, big」と言っているのだが…アクセントというか、発音自体がかなり独特なせいでこうはまず聞こえない。
その他変更要素
ミッション構成の変更
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ミッションの敵配置などの構成が大幅に変更。
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目立つ所では、『2』のミッション1のボス「ザ・キーシII」は『X』ではミッション3の中ボスになり、『X』のミッション1では『1』でミッション5のボスだった「アイアン・ノカーナ」が再登場している。
デブ化するミッションとデブ状態で変化する武器の追加
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デブ化するのは『2』ではミッション4だけだったが、『X』ではミッション3以降の全ミッションで発生するようになった。
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これに伴い、デブ状態時に形状・範囲・連射及び着弾速度などが変化する武器がさらに増加。勿論先程紹介した本作での追加武器もデブ状態で変化がある。
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特に本作で追加されたデブ状態のフレイムショットは元からある高火力に加えて長くて広い射程まで加わるようになり、更に使い勝手が向上、より豪快な外見になることもあって多くのファンを獲得した。
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評価点
処理落ちの大幅な軽減
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軽減と言うよりも解消と言ってしまって良いほどにプレイ中に処理落ちに見舞われることは無い。
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これはROM容量の増加により、一度に扱えるデータも大きくなった事による恩恵である。
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ただ、『2』ではその処理落ちがゲームバランスという観点ではむしろ良い方に作用していたという意見もあるため、見ようによってはデメリットになるかも知れない。
スコアアタックの環境が整えられた
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『2』では敵のミサイルや無限に湧いて出て来る雑魚敵などに弾を当てても点数が加算されていたため、点数稼ぎの手段のメインが「時間制限ギリギリまでひたすら敵のミサイルに攻撃を当て続ける」という面白味もクソもないものだったが、『X』では敵のミサイルなどは勿論、ボス戦などに於いて無限に湧いて出て来る雑魚敵も同様に弾を当てても点数が入らなくなった。
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これにより、純粋に自身のテクニックでより高いスコアを目指すという本来あるべき姿になったと言える。
グラフィック・演出面
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シリーズのウリである、一種の芸術とも言えるほどの高品質なドットグラフィックはこちらでも健在。
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『2』の時点で好評だった演出面ももちろん健在。一部場面では演出の追加及び変更が施されている。
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分かりやすい例はミッション2で敵のミイラによってミイラ化させられた鉱夫は『2』では倒すとそのまま消滅してしまっていたが、『X』では人間に戻って大慌てで逃げ出す演出の追加、ミッション4中盤にて背景で飛んでいた旅客機がマーズピープルが搭乗するUFOに変わってる等。
BGM
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『2』のリメイクなため、使われている曲自体は変更がないのだが、BGMもリメイクされており、『2』に比べて重みを感じられるものとなっている。
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どちらが良いかは人による好みもあるため、一概には言えないが、少なくともリメイクによって台無しになったりしたという訳では無いので、そこは評価出来る。
変更されたシステムボイス
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上にも書いたが、プレイしていてテンションが上がってくるようなノリの良いボイスに変更されたため、好評を博した。
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ただし、『2』までのそれが悪かった・聞くに堪えないものだったという訳ではない点には留意されたし。
更に向上した爽快感
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『2』の問題点だった強化銃配置の偏りが改善されて多彩な強化銃が満遍なく使えるようになった上に、以降の作品と比べてアドリブでは対処しづらい場面が比較的少なく、撃ちまくりながら縦横無尽に駆け巡るプレイがやりやすいため、爽快感はシリーズでもかなりのもの。
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新規追加武器がいずれも爆発系武器というのもミソ。爆風でモーデン兵を吹っ飛ばしながらひたすら突き進んでいく様は非常に爽快。
賛否両論点
リメイクの方向性が全体的に難易度の上昇傾向な点
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『2』に比べて全体的に難易度を上げる方向にリメイクされているため、処理落ちの解消と相まって『2』の方が遊びやすかったとする意見も少なくない。
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ただし、あくまで『2』と比べての話であり、『X』単体で見た際に「とてもクリア出来そうにないような無茶苦茶な面構成がある」という訳ではなく、むしろゲームバランスはよく練られている方である。
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前半、中盤は『2』よりも難易度が上昇している一方で、後半ステージは難易度を下げる方向で調整されている場面が多く、難易度の上昇にばかりリメイクの方向性が向いているとも言い切れない所もある。ここは処理落ちと同様に個々によって好みが分かれるだろう。
問題点
一部武器周り
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今作で追加された武器の内、ドロップショットはあまりにも使いづらい武器であるため、「何のために追加したのか解らない」とする意見も目立つ。
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ただし、本作では初期装備では対処しづらい段差がある地形の場面で出現する等、武器の特性を生かせる配置になっており、後のシリーズ作で見られる「回収そのものが罠」になる場面は存在しない。
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余談になるが、PS版ではただでさえ使いづらい物が移植時の劣化の煽りで更に使いづらくなり、使い所を見出せたミッション3でも役に立たないゴミになったとする意見も出るようになってしまった。
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また、スーパーグレネードの出番がミッション5の中盤で1度出現するのみ。折角新規で追加した武器の出番がたったの1回だけというのも寂しいものがある。
総評
『メタルスラッグ2』という土台があるリメイク作品だが、数多くの追加要素により、全くの別作品として見事に生まれ変わった作品である。
また、上では賛否両論点に挙げたが、ゲームそのもので見ればゲームバランス・面構成も十分に練られたものとなっており、やればやっただけ腕の上昇が実感出来る優れたものとなっている。
かつては移植されたのが、ソフト1本あたりの値が張るNGと移植度に問題があるPSしかなかったが、現在では『メタルスラッグ コンプリート』でNG版をほぼ完全に移植されているので、プレイ環境の敷居も下がっている。
手応えのあるアクションシューティングをプレイしたいという人にも、『2』をやり込んだというファンにもお勧め出来る作品である。
余談
ネオジオ(MVS)の起動画面について
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前作『2』までは起動画面に表示されていたのは「MAX 330 MEGA」だったのだが、『X』からは「GIGA POWER」となった。
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「MAX 330 MEGA」というのは「ROMカートリッジの容量が330Mbit(メガビット)まで扱えることを示したもの」という認識違いが今も方々で見受けられるが、実際は「本体のROMアクセス速度が最大330Mbps(1秒あたり330Mbit)であることを示したもの」である。
「GIGA POWER」の方は、「ROMカートリッジの容量がこの先更に大きくなっていくこと」を示すためのものであるとされる。
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参考までに『2』と容量を比較すると、『2』では362Mbitだったのが、本作では506Mbitである。
『メタルスラッグXX』について
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2009年12月23日にPSP向けに発売されたシリーズ作品の『メタルスラッグXX(ダブルエックス)』があるが、この作品は本作を更にリメイクしたものではない。
正しくは、2008年7月17日にDS向けに発売された『メタルスラッグ7』に追加要素を加えてPSPへ移植した作品である。
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従って、本作とはメタスラシリーズであること以外は全くの無関係なのだが、何故か『XX』のプロモーションビデオなどでは何かにつけ「『X』を越えた!」「『X』以来10年ぶりのコードネームタイトル!」などと本作に絡めてアピールされている。
本作(現状では『コンプリート』か)、あるいは『XX』の購入を検討する際はその点に注意しておこう。
最終更新:2024年12月16日 06:34