ロックマン ザ パワーバトル
【ろっくまん ざ ぱわーばとる】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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アーケード(CPシステム) アーケード(CPシステムII)
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開発・販売元
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カプコン
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稼働開始日
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1995年10月
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判定
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良作
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ロックマンシリーズリンク
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概要
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本作は初代CPシステムの最終作でもある。
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市場に出回っているのはほぼすべてCPS版であるが、少数ながらCPS2版も出荷された。ハードが異なるためBGMの音色が異なっている。
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ゲームの性質上、ゲームセンターではなくデパートや駄菓子屋に置かれることが多い。
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しかし、通常のゲーセンで稼働してある所も見かけることがある。
システム
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選択可能なキャラはロックマン・ブルース・フォルテの3人。二人同時プレイ可能。
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キャラを選択後、コースを選択。
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選択可能なコースは「1・2」「3~6」「7」の3コース。数字はボスが登場した本家のナンバリングタイトルと同じ。
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例えば「1・2」コースなら初代から「ガッツマン」「カットマン」「アイスマン」2から「ヒートマン」「クラッシュマン」「ウッドマン」と3体ずつ登場。
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各ボスと闘うステージはギミックが存在する物も。
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ボスを倒すと残りタイムに応じて体力が回復。
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ボスは後半に回すほど体力が増加し、倒しにくくなっていく。その為、苦手ボスを前半に回したりしてボスの撃破順を見極める事が重要。
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EDは3キャラ分のみで各コース共通。
評価点
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ロックマンのボス戦がアーケードでそのまま楽しめる点
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本作では道中に相当する存在が無く、ボス戦のみで一見すると対戦格闘のようだが、ロックマン独特の『倒したボスから武器を奪い取る』『敵のパターンを読んで対処する』と言った基本システムはそのまま継承されている。
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ひたすらボス戦が続くのだが、ロックマンシリーズのボス戦の楽しさは上記『敵のパターンを読んで対処する』なので、その魅力は一切損なわれていない。
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つまり、本作はかの『ウォーザード』や『究極戦隊ダダンダーン』に近いゲーム性を持っていると言えるだろう。
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原作再現及びアレンジ具合
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登場するボス達は本家FCシリーズを踏襲した攻撃が中心。しかし、本作では全体的なキャラのデザインが本家『7』を彷彿とさせる物になっていたり、16ビットハードでの発売に伴い各種攻撃のグラフィックもダイナミックに変化しているのは見事。
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各種ボスから取得できる特殊武器も原作を踏襲した物が多い。だが、ガッツマンやヒートマンは名前こそ同じものの原作とは特殊武器のモーションが変更されている。また、原作を踏襲した特殊武器の中にもバリアを飛ばせる様に改善(プラントマン)、凍結モーションが発生せず貫通しない(アイスマン)と、性能が変化している特殊武器も存在する。
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シリーズ初のボイスの標準登載
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本作は高性能なAC基板での発売という事もあってか一部キャラに声優によるボイスが追加された。
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ボイスは後に本家やXシリーズなどの家庭用作品に逆輸入されており、続編のナビゲーション機能共々次世代作品の基礎システムとなる。
賛否両論点
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BGMは本家のBGMのアレンジを中心に構成されているが、バトルステージの雰囲気を優先したのか多くのボスでは本人のステージとは異なる曲が使用されている。
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例えば1・2コースのクラッシュマン戦でナパームマンステージのBGMが使用されていたり、逆にウッドマン戦ではクラッシュマンステージのBGMが使用されていたりと、本家シリーズに慣れ親しんだプレイヤー程困惑しやすくなっているのは事実。
問題点
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音源関連(CPS版のみ)
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本作はグラフィックこそ豪華だが、音楽の方は容量の少ない初代CPシステムでの発売という事もあってかFM音源が使われている。このためQサウンド全盛期だった1995年当時のカプコンゲーからしてはあまりにも陳腐である。
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また、本作ではキャラクターボイスの標準登載もウリの一つではあるが、CPシステム版では容量の関係でボイスの量が一部キャラのかけ声程度しかなく非常に少ない。
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反面、CPS2版ではQサウンドを採用した高性能での発売により、音源も豪華で多くのキャラがボイスをしゃべるようになっている。
これだけCPS2版が優遇されているのなら、CPS版も『パニッシャー』や『天地を喰らうII 赤壁の戦い』の様にQサウンドも使えるCPシステムDASH基板で発売して欲しかったと嘆かざるを得ないだろう。
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チャージショットゲー
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本作のチャージショットの性能は一部のボスに当てると強制ダウンを奪える性能になっている為かハメパターンに持ち込み易く、チャージショットゲーになりがち。
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代表例として挙げられるのは『7』コースに登場するフリーズマン。
彼は原作では凍結攻撃とトリッキーな動きの組み合わせでプレイヤーを翻弄してくる強敵であった。しかし、本作の場合はこちら側の攻撃を一切ガードしない事や、ボス登場時からチャージが可能なロックマンシリーズ全般の仕様が重なった事で開幕からほとんど動かずにフリーズマンにチャージショットを当てていくだけで倒せるようになってしまった。
これにより、本作のフリーズマンは作品自体の知名度が非常に低い点も相まって「隠れたシリーズ最弱ボス候補」とファンから言われる事もある。
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スーパーアームといった一部の特殊武器でも奪うことも可能。しかし、ほとんどの特殊武器は当ててもダウンせず画面がフラッシュする程度で、当てるには近づく必要もあるためか使いづらい。
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チャージショットや一部の特殊武器性能が行き過ぎた結果、ロックマンにおける醍醐味である「弱点武器でのボス攻略」が形骸化しているのは否めない。
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以前発売された本家ロックマンシリーズではFC『5』がチャージショットの強力過ぎる性能や特殊武器の使いづらさから「チャージショットゲー」と揶揄されていた。しかし、あちら側では単にメインウェポンがチャージショット中心にシフトしていただけであり、従来通り特殊武器が活躍するシーンの存在や、ブルースステージ以降のボス戦ではビートも猛威を振るっていた為か、厳密な意味でのチャージショットゲーでは無い。
しかし本作の場合は、大ダメージの効果を持つチャージショットにダウン効果が付加された事により、最終的にチャージショットだけでEDまでたどり着ける様になってしまった。この結果、真の意味での『チャージショットゲー』化が進行してしまう事に。
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流石に続編ではチャージショット一発程度ではダウンが奪えなくなった。ただ、こちら側ではチャージショットの代わりに特殊武器を弱点とするボスに当てるとダウンを奪える仕様に変更され、前作では空気だった特殊武器の大半にもスポットが当たる事になった。
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ステージ数が少ない。
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ロックマンシリーズの経験にある程度左右されるが、10分もたたずにクリアできてしまう短さ。
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更にステージ間の演出も無いに等しく、ステージ開始及び特殊武器取得の演出もスキップが可能な点も本作のプレイ時間の短縮につながっていると思われる。特殊武器獲得時のボイスが存在しないCPシステム版では尚更。
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ステージ選択画面が特殊。
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ステージ選択画面ではボスの姿が映っておらず、ステージを選択するまで戦うボスが全く分からない。
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しかも自動でカーソルが動くルーレット式になっていて、ステージ選択も面倒。
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だが出現するボスはコース・ステージ毎に決まっており、ルーレットの速度は非常に遅く慣れると簡単に目押しが出来る様になる。このため、ある程度やり込めばいつものロックマンのスタイルに変化する。ミスるとパターンが崩れるが。
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クリアタイムの適用範囲
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クリアタイムはワンコインクリアでしか適用されず、一度でもコンティニューするとクリアタイムは記録されない。これはパワーファイターズでも同様。
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本家7のキャラの使い回しが多く、新鮮味をあまり感じない。
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この点は特に「7」コースで顕著。
各ボスの攻撃パターン及びアニメ自体が本家7を踏襲・流用してる為かあまり代わり映えが無い。加えて、チャージショットの鬼性能や一部の攻撃が弱体化された影響で、原作と比べて簡単になっている。
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この為、本家7をやり込んだ人は数回でワンコインクリア出来てしまうことも。
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ちなみにパワファイでは「7」のボスのうちスラッシュマンとシェードマンが続投している。前者はローリングアタックとガムばらまきと強力な攻撃が追加されているが、後者の新たな攻撃は体力減少時のサキュバットン召喚のみと、少々寂しい。
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何故か冷遇された『6』
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シリーズ通しての問題。『6』からのボスが本作では1体、続編のパワーファイターズでも2体と他と比べて少なく、BGMは一つも採用されていない。
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続編でもステージ選択BGMの1曲が採用されているのみで、ボス2体のステージで使用されている曲はともに『6』以外の曲。この点も『6』の冷遇に拍車をかけている。
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このAC版での徹底的な冷遇のおかげ(?)なのかPS版のナビモードでは、ほぼ全曲が新規アレンジになったのだが。
総評
家庭用機で展開していたロックマンシリーズのアーケード進出作。
ゲームシステムこそ原作で言うところのボス戦に特化していて熱心なファンほど違和感を覚えるかも知れないが、
原作の再現度や技術の進歩によるビジュアル面を中心としたアレンジ具合等、とにもかくにも「ロックマン愛」に満ちた作品と言えるだろう。
ゲームセンターでの出回りこそ少々悪いものの、難易度も手頃で、もしも稼働している所を見つけたら是非プレーしてみて欲しい。
余談
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市場に出回っているバージョンがほとんどCPS版にもかかわらず、サントラはほぼお目にかかれないCPS2版の方のみの収録である。
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加えて、後述するPS2版もCPS2版のみの移植だったり、プレステ版ロックマンシリーズでのCPS2版のBGM流用の件といい、どうやらカプコンはCPS版の存在を無かったことにしたいようだ。
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と、思われていたが、2014年12月17日に発売された『ロックマン サウンドボックス2』にて初めてCPS版の音源がCD化され、CPS音源版を手軽に聞ける様になったと言えるだろう。
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CPS2版の楽曲のいくつかは後に発売されたプレステ版ロックマンのナビモードのBGMとして流用されているが、なかには関係の無いBGMを当てているステージもあるので注意。
最終更新:2018年12月03日 08:39