ラチェット&クランク
【らちぇっと あんど くらんく】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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Insomniac Games
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発売日
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2002年12月3日
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定価
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通常版: 5,800円 本体同梱: 26,800円
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廉価版
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PlayStation 2 the Best 2003年7月3日/3,000円 2005年7月7日/2,800円 2005年11月2日/1,800円
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判定
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良作
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ポイント
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プレイステーション生誕8周年記念作品 「銀河をまたにかけて冒険する」シリーズ1作目 初代ゆえにアップグレード要素は存在しなかった
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ラチェット&クランクシリーズ
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PlayStation Studios作品
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ストーリー
銀河の辺境の惑星ベルディンに一人で住むロンバックス族の少年、ラチェット。
彼の夢は銀河で大人気のヒーロー、キャプテン・クォークのように宇宙を冒険し、有名になることだった。
ラチェットは夢をかなえるため宇宙船を開発していたが、宇宙船の起動に必要な「ロボット起動キー」が無く、途方に暮れる日々を送っていた。
同じ頃、下品で醜いエイリアン―ブラーグ族に支配された惑星の1つ、カルトゥのロボット工場で1体の不良品ロボットが誕生した。
ロボットは偶然発見したインフォボットと共に、ブラーグの魔の手を逃れるため宇宙船で脱出する。
しかし、彼の乗った宇宙船はブラーグによる追撃の結果、攻撃を受け惑星ベルディンに墜落してしまう。
墜落する宇宙船を目撃したラチェットは、ショックで動かなくなっていたそのロボットを現場で発見。
やがてロボットは再び動き出し、「ブラーグの長BBBが、自分達の理想の惑星のために他の惑星に侵略行為を繰り返している」と話し、ラチェットに助けを求める。
ラチェットは助けたいのはやまやまだが宇宙船が起動しない、と話すと、ロボットは起動キーを持っていた。
追っ手がやって来たため、起動した宇宙船でロボットと共にベルディンを飛び立ち、ラチェットはロボットに「クランク」と名付ける。
2人(?)の大銀河を股にかけた大冒険が今始まったのであった。
概要
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主に、惑星を探索し、そこで手に入ったアイテムや他の惑星の情報を元に次の惑星へ進んでいくというシンプルなものである。
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ミッションと呼ばれるものがあり、あるところにたどりついたり、辿り着いたところであることをするとクリアとなる。
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途中には、ちょっとした謎解きや、アクションを駆使するところ、ミニゲームなどがあり、ステージ全体を通して飽きない設計。
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探索と言っても、複雑なものは少なく、ほとんどの惑星はシップの発着場(いわゆるスタート地点)から道が分かりやすく開けており、そこから道なりに進んでいくだけでおおよそのミッションがクリアできるようになっている。
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「ガラメカ」と呼ばれる道具を使わないと、先に進むのはまず不可能である。ストーリーを進めるのに必然的にガラメカを活用することになる。
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武器、移動に使うものなどいろいろある。そのバリエーションも多い。武器ガラメカは爽快感もある。
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武器だけで15種類、移動に使用するものを入れるとかなりの数になる。
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武器ガラメカのほとんどはショップで買うことになるが、そのためにお金である「ボルト」が必要となる。
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一応ガラメカ以外にも、無制限に使える初期装備の武器「オムレンチ」が使えるが、攻撃力は微々たるもの。
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いくつかをのぞいて、武器ガラメカには弾薬が設定されており、0になると使うことができなくなる。なお、武器ガラメカは敵を倒す際に使うことが多い。
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弾薬は箱を壊すか、ショップで購入すると入手可能。
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武器ガラメカの性能を理解し、うまく使っていく必要がある。使い方次第で難易度がかなり変化する。
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タイトルの通り「ラチェット」と「クランク」の2人タッグでゲームを進めていく。大半のステージではクランクはラチェットの背中におんぶされている。
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ラチェットは前述のガラメカを駆使し、フィールドを駆け回りミッションをクリアしていく。
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クランクは一部の飛行・水中移動系ガラメカを装備可能。ラチェットの背中で移動のサポートを行う。
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一部、クランクのみでの行動になるステージも。ラチェットとはだいぶ操作感が違い、ガラメカの代わりに小型ロボット「ガジェボット」を使いながらステージ攻略を行ってゆく。
評価点
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バリエーション豊かなステージ
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豊富な水と緑の景観が美しいノバリス、高層ビルが所狭しと立ち並びエアカーが飛び回る大都会の星ケルバン、軍事力を持ち無人戦車が走り回る激しい戦争が行われているバタリア、灼熱のマグマと火山地帯が広がるガスパー、極度の汚染で猛毒の環境となっているオークソン、降り続ける雪と厚い氷に覆われたホーベン、雷雨と強風が止むことの無いオルタニス、ガラメカの開発・発売元の本社が存在するカレボIII等、全18もの多彩な惑星&宇宙建造物などが登場する。
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これだけのステージが用意されていながらシチュエーションやコンセプトが全く被っていないのは特筆に値する。
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ほとんどの惑星はブラーグによって侵略されているという設定であるため、空中に戦闘機や作業機が飛び交っていたり、大規模な武器工場が建っていたりする。
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しかし、惑星本来の情景を崩さない程度に上手く溶け込んでおり、むしろ雰囲気が出ていることも。
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やりこみ要素が多め。
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クリアすると2周目に突入することができ、武器ガラメカなどを引き継いで最初からプレイ可能。
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惑星に隠されているゴールデンボルトや、特定条件の行動を満たすと入手できるスキルポイントなど、入手要素は多い。
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隠し要素を見るためには、それらを入手する必要がある。
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豊富な武器の爽快感。
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火炎放射攻撃を行うファイアーバーナー、高速連射の弾を撃つマシンブラスター、単発の破壊力と射程共に優れたロケットバズーカといった如何にも戦闘に特化した王道な武器から、自爆攻撃する小型ロボットを放つアクマングラブ、小さな敵を吸い込んで砲弾として発射できるサックキャノン、誘導式の浮遊機雷を地上に設置するジライングラブ、高エネルギーをまとわせ突撃しながら殴るパンチングラブ、一定時間照射することで敵を無害なニワトリに変えてしまうメルモビームなどの本シリーズ独自のユニークな武器まで、多種多様な武器が登場する。
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各武器のデザインもセンスが良く、一部の武器は後続の作品にもそのまま続投、もしくはコンセプトが引き継がれている。
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特に、本作最強の武器「ランチャーNo.8」はその余りの強さと購入の際に要求されるボルト(お金)の桁違いさに多くのプレイヤーの度肝を抜いた。
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このランチャー系統はシリーズの名物となり、いずれの作品でもその攻撃力とお値段でプレイヤーに強烈な印象を植えつけている。
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グラフィックは当時では上位レベル。
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フレームレートも60fpsでなめらかに動く。処理落ちもめったに発生しない。
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上記の惑星の景観は非常に作り込まれており、自動で動くオブジェクトも多い。見ているだけでも楽しく、探索する意欲を掻き立てられること間違いなし。
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BGMもクオリティが高く好評。良い意味で洋ゲーらしいクールな雰囲気の楽曲が探索や戦闘を盛り上げてくれる。
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惑星キャナルやケルバンのBGMは後続の作品でもアレンジされた物が使用されている。
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難易度は高めだが、武器を適宜使い分けることでクリアできる絶妙な難易度になっている。
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武器屋にはゲームが進めば進むほど新しい武器がどんどん追加されていく。新しい惑星にたどり着いたらまずは武器屋を探し、新しい武器が入荷されていないか要チェック。
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ほぼ十中八九、その武器がその惑星での探索や敵の攻略に抜群に効果を発揮するようにデザインされているからである。
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残り人数やゲームオーバーのシステムが存在せず、穴に落ちたり即死トラップにやられても進行度合いに応じたコンティニューポイントから何回でもやり直せる。故に「死んで覚える」というスタイルのプレイが非常に行いやすい。
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得られたボルト、ガラメカの残弾などはそのまま引き継がれる。木箱や落ちているボルトは一度その惑星を出ない限り復活しないが、敵は復活する。
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これを活かしてコンティニューポイント直前でわざと穴やマグマに落ちて自滅し、再度敵を蹴散らしてボルトを稼ぐという荒業も可能。
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ロード時間を感じさせず、テンポ良く進む。
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ロードするタイミングはステージ移動。そのロードは少し長いが、そこだけでほぼロードしているらしく、プレイ中はロード時間をあまり感じない。
賛否両論点
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人を選ぶキャラのデザイン
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良く言えばコミカルで個性的、悪く言えばアクが強くて不気味、と言った感じだろうか。
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少なくとも万人受けするデザインではないため、合わない人はそこで買うのを諦めたということも。
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序盤はラチェットとクランクが悪の敵を倒すために銀河中にその名を轟かせている伝説のヒーローに会いに行く。
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ネタバレ注意
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しかし、中盤でそのヒーローが黒幕であるBBBと提携していることを知り、以降は彼ら自身が銀河の危機を救うために奔走することになる。
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ただし、道中挿入されるムービーは上述のアクの強い登場人物によるブラックユーモア満載でなかなか面白い。
以降の作品を見るに、ラチェクラシリーズは惑星の探索や敵を蹴散らしていく爽快感などのゲーム性に重きを置き、ストーリーは簡素でブラックユーモアたっぷりに仕上げるというのが定石化しているようである。
問題点
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やはり第1作目だけに後の作品に比べるとインターフェース部分に多少の不満が見受けられる。
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武器の値段の割にボルトが貯まりづらく、中々強い武器を買うことができない。
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武器の弾薬の購入が面倒。弾を補充したい武器を選んでからスティックで弾数を設定しなければならない。大抵は弾数マックスまで購入するのが普通なので、スティックを倒し続ける必要があり非常に面倒に感じる。
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敵や状況に応じて様々な武器を使い分けて攻略していくゲームデザインであるため、1つの武器に固執してのクリアはほぼ不可能。
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「この武器では瞬殺できるがこの武器では何もできずに詰む」というシチュエーションが頻繁に起こりうる。武器のデザインやコンセプトが魅力的なだけに、惜しいと評価するプレイヤーも多い。
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ただし、最強武器のランチャーNo8だけは別物。これ一つで余裕でゲームクリア可能どころか、逆に歯応えが無くなるというぬるま湯バランスになり、ラスボスも簡単に倒せてしまうほど。
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クリアに必要なミッションとそうでないミッションの判別がつかない
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今作はゲームクリアに必須ではないミッションも複数存在するのだが、それがクリア必須のミッションか、そうでないミッションかの判別がつかない。
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しかも、作中のキャラクターやインフォボットが散々話題にしていたミッションがスルー可能となるため、プレイヤーからすると違和感を覚えやすい。
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例えば、ゲーム序盤で訪れる惑星キャナルでのホバーボードレースだが、ストーリークリアには必須のミッションではない。
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ホバーボードの入手はストーリークリアには必須ではあるものの、キャナルでのレース自体はスルーしても問題ない。
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さらに、惑星バタリアでもインフォボット入手後に訪れる場所は特別なブーツがなければ進めないのだが、こちらもストーリークリアには関係のないミッションのためスルーしても問題ない。ただ、こちらは惑星の軍人から頼まれており、先へ進むのに必要なブーツを取りに行くようラチェットが提案する。
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『2』ではストーリークリアに無関係のミッションは作中で大々的に取り上げなくなり、『3』では「じゆうにんむ」と表記されるよう改善された。
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ネビュラG34(BBステーション)の難易度。
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序盤に訪れるステージでありながら、ストーリー終盤に訪れる惑星に並ぶほどの攻略難度を誇る。ここで詰まったという人も多いだろう。
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まずステージに基本配置されているザコが敵が非常に強力。攻撃が素早く頻度も高い割に大量に沸いてくる小型ザコ、本作屈指の耐久力攻撃のリーチを併せ持ち、近接戦を挑めばまず無傷では倒せない大型ザコが登場する。
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ゴール地点までの道のりもかなり長めの部類に入り、コンティニューポイントも少なめ。おまけにゴール地点にはボスクラスの巨大なモンスターが待ち受けている。どう考えても難易度の調整を間違えたとしか思えない程である。
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ガラメカをフルに屈指しなければクリアは難しいが、先述の通り、序盤の惑星であるが故に初めて訪れた時はこちらの武器ガラメカも貧弱なのでさらにキツい。
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実はこのステージ、「闇雲に攻略すればきついが、特定のガラメカを使えば一気に難易度が下がる」ステージの典型例。初見では使い道のわかりづらいあるガラメカを活用することで、理不尽と思われた難易度は「高めながらも適正の埒内」と言えるまで下がる。
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道中ヘルプ音声によって「ここで○○(ガラメカ名)を使ってみるように」というフォローが入る、チュートリアル部屋ともいえる部屋があるあたり、このガラメカを用いた攻略ありきでステージ難易度の調整を行ったと考えられる。
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ただし、そのチュートリアル部屋の構造が問題。ガラメカを使う前に、「初心者がついついやりたくなってしまうとある行動」をその部屋で行ってしまうと、ガラメカを使うことで戦闘の難易度が急上昇する。
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しかも一度やってしまうと取り返しがつかない上、そもそもその行動が悪手であると気付きにくい。プレイスタイルによっては、アナウンスが入る前にその行動をやってしまうことも。
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ガラメカの活用方法が分かりにくいこともあり、この罠にはまった初心者プレイヤーの多くは以降そのガラメカの使用を封印し、凶悪難易度のステージ攻略を強いられることとなった。
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ムーンベースGの難易度
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本作の終盤に差し掛かるステージだが、本作屈指の難易度を誇る。
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ゴールまでの道のりは本作でもトップクラスに長く、コンテニューポイントもスタート地点含めてたったの3つしかない。
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敵の数がかなり多く、慎重に進まなければあっという間に倒されてしまう。特に砲台と空中シップが厄介で、砲台に至っては正面からは絶対に避けきれないほどの凄まじい弾幕を放つ。
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このステージはとある武器ガラメカが必須で、なければそれを買うまで先へ進むことができない。
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一応、ヘルプデスクで「〇〇が必要です」と出るが、その武器ガラメカは値段が高いため簡単に買えるものでもなく、何か高い武器を買ってしまった場合は必要な武器ガラメカを買えるまでひたすらボルトを稼ぐしかない。
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このステージにはオブジェクトに見えるトラップがあり、攻撃を加えると爆発しダメージを受けてしまう。ただでさえ敵が多いのに、それに加えてトラップまであるため、今まで以上に死にやすい。
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謎解きの難易度もかなり高く、今までのように当てずっぽうでやるとかなり時間がかかってしまう。
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最後に訪れる場所は隔離された狭いエリアに処理落ちが発生しかねない程の大量の敵が出現し、その敵を全て倒さなければ先へ進めないという鬼畜仕様。ここでやられると中盤まで戻されてしまう。
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最後まで進むとボス戦があり、しかもそのボス戦は地上ではなくシップによるドッグファイト(空中戦)。最後の最後に慣れない空中でのバトルを強いられるため、プレイヤーの心を折りにきてるとしか思えない。
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次のステージ・惑星オルタニスもクランクがいないためブーストが使用できず、それまでクランクありでの操作に慣れたプレイヤーを容赦なく追い詰めた。
総評
数多くの惑星がおりなす広大なステージが用意され、バリエーションの豊富な武器や道具を使い分けることで、大勢の敵を蹴散らす爽快感を味わうだけでなく頭を使った探索も行える作品である。
当時の技術としては、軽い挙動やグラフィックの鮮明さなど斬新な要素もいくつも備えている。
斬新な試みがいくつか存在する故に発展途上な面も存在するが、このゲームの特徴は後のシリーズでも色濃く受け継がれていき、進化を遂げることにもなる。
その後の展開
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2012年9月6日に『ラチェット&クランク』シリーズ10周年を記念して、本作と『2』『3』のHDリマスター版をカップリングした『ラチェット&クランク1・2・3 銀河★最強ゴージャスパック』がPS3で発売、ダウンロード版及び単品版も同時配信された。
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2016年8月9日に本作のリメイク『ラチェット&クランク THE GAME』がPS4で発売された。初回限定版には同作をフルCGで映画化した『ラチェット&クランク THE MOVIE』のブルーレイと、コロコロコミックとタイアップした50ページにおよぶ特別冊子が同梱。
最終更新:2024年11月18日 06:14