この記事ではアーケード版『サイドバイサイドシリーズ』とPS移植版『スペシャル』と廉価版を取り扱います。
サイドバイサイド
【さいどばいさいど】
サイドバイサイド2 エボルツィオーネ
【さいどばいさいどつー えぼるつぃおーね】
サイドバイサイド2 エボルツィオーネRR
【さいどばいさいどつー えぼるつぃおーね あーるあーる】
ジャンル
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レース
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対応機種
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アーケード
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メディア
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JCシステム
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発売・開発元
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タイトー
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稼動開始日
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1
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1996年
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2
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1997年
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2RR
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判定
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良作
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ポイント
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実在車両を積極的に活用 現実を追求した計器類等 日本公道モチーフのコース バトルギアシリーズの前身
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バトルギアシリーズ
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概要
恐らく業界初の実在車両を本格的に題材としたレースゲームシリーズ。実在車両とリアルな挙動という、当時としては一線を画した要素を特徴とする。
1996年に1作目が稼働開始。初代でも各種バグ修正・バランス調整等を施した中期ロムと後期ロムが存在し、後期ロムでは隠しコースの弩級が最初から選択可能となっている。
翌年の1997年に続編『サイドバイサイド2 エボルツィオーネ』、同年にバージョンアップ版『2RR』が登場した。
今シリーズは後に同社から1999年にリリースされた『バトルギア』シリーズの前身作であり、開発スタッフも共通している。
特徴
一般的なアーケードレースゲームの作りに準じている。コースと車両、トランスミッション(オートマチック/マニュアル)を選んでレース開始。
持ち時間が無くなるとゲームオーバーだが、時間内にチェックポイントを通過すると持ち時間が加算される。
基本はCPU相手の全8台によるレースで、最大4人のプレイヤーが参加・対戦も可能。『2』ではCPUカーが登場しない「真剣勝負」が追加され、
『2RR』では逆走(Reverse)・ゴール後のリプレイ(Replay)追加の他、AT選択時のシフトポイントの変更等一部改良・調整が施されている。
車種
登場車両は全て実際に存在する車両。
『1』での参入メーカーは「トヨタ」「日産」「ホンダ」「マツダ」の4社で、低出力・高出力車の2台ずつ、全8車両が登場。
『2』ではこれに加えて「三菱」「スバル」の2社が新規参入、既存車も殆どが入れ替わり、全13台+CPU専用車1台となった。
ほぼ全ての車種で社外製ホイールやエアロパーツの装着、ローダウンといった外見的な改造が施されている。
この中で漫画『頭文字D』に登場済みだった車種は、その殆どが作中の登場人物の仕様に近い外見となっている。
ボディカラーの変更は全作で不可能。太文字は家庭用で変更された色。赤文字は実車では選べない非純正色。
+
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収録車種
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太文字車種は『2』で初登場した車種。
この内、レビン・レガシィの隠し車種2台は、車選択画面にてトレノ・インプレッサにあわせてギアを操作すると選択可能。
メーカー
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車種
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ボディカラー
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備考
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『1』の収録車種
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トヨタ
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スプリンタートレノ 3door GT-V(AE86)
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白/黒ツートン
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後期型・純正リアスポイラー装着
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スープラ RZ(JZA80)
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銀→白
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中期型・作中唯一の6速ギア車
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日産
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シルビア K's(S13)
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ピンク
→赤
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後期型・エアロパーツ装着
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スカイラインGT-R(BCNR33)
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青
→銀
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中期型・他社製エアロミラー装着
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ホンダ
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シビック SiR(EG6)
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緑
→赤
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NSX(NA1)
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黄/黒屋根
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前期型
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マツダ
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サバンナRX-7 ∞(FC3S)
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赤
→白
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後期型・他社製エアロミラー装着
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アンフィニRX-7 タイプRZ(FD3S)
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黒→黄色
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4型
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『2』の収録車種
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トヨタ
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スプリンタートレノ 3door GT-V(AE86)
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白/黒ツートン
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前作からTRD製エアロが追加 2RRでは架空の6速ギアに変更
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カローラレビン 2door GT-APEX(AE86)
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赤/黒ツートン
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隠し車種 前期型・TRD製エアロ装着 2RRでは架空の6速ギアに変更
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セリカ GT-FOUR(ST205)
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白
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厳密には前期型の特別仕様車「WRC仕様車」 実車同様ミスファイアリングシステム装備
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日産
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180SX タイプX(RPS13)
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青
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中期型・他社製エアロ装着
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スカイラインGT-R(BNR32)
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黒→紺
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中期型・Veilside製フロントスポイラー装着 2RRでは加速力低下
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ホンダ
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CR-X SiR(EF8)
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赤
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後期型・前期用無限製エアロ装着
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シビック SiR(EG6)
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黒→赤
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他社製エアロ装着
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マツダ
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サバンナRX-7 ∞(FC3S)
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白
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高橋涼介仕様風エアロ装着
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アンフィニRX-7 タイプRZ(FD3S)
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黄色
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高橋啓介仕様風エアロ装着
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三菱
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ランサー GSR エボリューション IV(CN9A)
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銀→白
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ミスファイアリングシステム装備
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スバル
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インプレッサ WRX STi Version III(GC8)
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紺
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厳密には特別仕様車「V-limited」 ミスファイアリングシステム装備 ワゴンはAC版のCPU専用車 |
インプレッサ スポーツワゴン WRX STi Version III(GF8)
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レガシィ ツーリングワゴン GT-B(BG5)
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白
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隠し車種 後期型
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コース
コースは殆どが峠道で、走り屋風味。視点切替ボタンを押しながらゲームスタートすると、選択画面で隠しコースが追加される。
『2RR』ではコース選択画面でシフト操作する事で、全コースで逆走可能。
+
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登場コース
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難易度とコース名
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デフォルトBGM
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解説
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『1』の通常コース
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初級 「春 -SPRING-」
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BLUE WIND
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春の山道をイメージしたコース。 初級でありながら、最初に思い切ったブレーキングが必要なコーナーがある。 その後は桜に囲まれながら進むかの如く、緩いコーナーに直線が続く。
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中級 「夏 -SUMMER-」
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真夏の山をイメージしたコース。 中盤までは海岸沿いの舗装路を走るが、終盤の山間はグラベル区間となり、操縦が難しくなる。 序盤では海から突き出た巨岩や灯台があるが、PS版では削除されている。
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上級「秋 -AUTUMN-」
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RED ROAD
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秋の渓谷沿いの観光道路をイメージしたコース。 前半は緩やかなコーナーとトンネルが続くが道幅がほぼ1車線分しか無い。 そして後半は一転して落ち葉まみれの広い道にブラインドヘアピンが連続する難所を走る。 スタートには金剛力士像・大仏・土産センターの看板があるが、これもPS版で削除されている。
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超上級 「冬 -WINTER-」
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冬の集落をイメージしたコース。 道幅が広いものの、ホームストレート以外は全て雪道で、ヘアピンだらけ。 後の雪道コースと比べると、断然こちらの方が難しい。
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『1』の隠しコース(後期ロム及びPS版は通常選択可能)
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弩級 「極 -SPECIAL-」
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BLUE WIND
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シリーズ唯一の周回弩級。渓谷に無理矢理道路を敷いた様なコースで道幅も狭くカーブも多い。 洞窟を抜ける度に道路がグラベル混じり・雪道とコロコロ変わり、ある意味最強の峠道だろう。 制限時間・CPUカー共に非常に厳しいが、このコースで1位でゴールすればエンディング。
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『2』の通常コース
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初級 「卯月」4月
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Theme of Spring
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榛名湖を元ネタとした湖畔を周回するコース。季節が春なのも前作から相変わらず。 コース形状は前作と違って高速コーナーが多く、最終コーナー以外にブレーキングは必要無いだろう。 元ネタ同様にスタート地点には「とうふ」と書かれた幟が複数あり、『頭文字D』風の豆腐店もある。 トップを走る車は隠し車種の「レガシィ ツーリングワゴン」。
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中級 「弥生」3月
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Thawing
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夕方の碓氷峠をイメージしたコース。 スタート地点には釜飯屋「おぎのや」や列車、コース中盤にはめがね橋があったりと雰囲気抜群。 コースは高速コーナー主体・終盤のヘアピンも道は狭いが角度は緩め・全舗装路と、難度は抑えめ。 トップを走行している車はやはり『頭文字D』のシルエイティ風な「180SX」。
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上級 「文月」7月
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Midnight
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日光市周辺が元ネタと思われる夜間コース。スタート地点の神社や途中で打ちあがる花火が印象的。 コース序盤は高速ブラインドコーナー、中盤以降はヘアピンが連続し、ワンミスでのロスも大きい。 トップを走る車は『頭文字D』を意識したと思われる「スカイラインGT-R R32」。
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超上級 「神無月」10月
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Red leaves
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真昼の妙義山を元ネタとしたコース。中盤までは蛇行カーブ、ブラインドヘアピンが連続する。 終盤は路肩に紅葉が積もり舗装路が1車線しかない山間や橋を渡り、工事中区間の未舗装路を走る。 最後は再び舗装道路となり、「急カーブ注意」と書かれたヘアピンを抜けてホームストレート。 トップを走る車は「インプレッサ GC8」。
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『2』の隠しコース(『2RR』及びPS版は通常選択可能)
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超弩級 「亥の刻」22:00
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Midnight
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榛名山を駆け降りる、シリーズ初の一本道コース。以後のシリーズでも収録され続けている。 コース選択ではスタート地点しか描かれておらず、レース中にはコースマップも表示されない。 CPUカーは全て『頭文字D』の登場車種で構成され、ほぼ全車で装着ホイールが変更されている。 CPUの速さも全コース中最速で、勿論トップ車は『頭文字D』仕様の「スプリンタートレノ AE86」。 このコースで1位でゴールすればエンディング。
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評価点
ACレースゲーム業界初、実在の市販車と日本の公道を題材にした革新的なゲームデザイン
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車の挙動も当時の他のレースゲームと比べるとリアル風に味付けされており、運転する楽しさを阻害しない程度に実車の挙動再現が試みられている。
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車が曲がり難く、止まり難く、ドリフト時の減速も激しいが、それらの挙動を理解してコースを攻略する楽しさを巧みに表現していると言える。
非力な基板性能ながらリアリティ重視を実現したグラフィック
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グラフィックの出来は粗いポリゴンなりにリアリティを再現出来ている力作もの。
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例えばマフラーやリアウイング、ミラーがポリゴンで再現されており、『2』ではリトラクタブルヘッドライトが夜間コースでしっかり展開する。
ライト類やホイール等、ディティールの殆どは実車から2Dテクスチャとして取り込み、各メーター類も実車に基づいてドットで再現されている。
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全車種で何らかの外見改造が行われている点も大きな特徴であり、『1』では社外製ホイールの装着や派手な非純正色程度だったが、
更に『2』ではエアロミラーや派手なエアロパーツを装着した車種が殆どとなり、足回りを「ネガキャン」化した車種もある。
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各コースの背景も雰囲気よく作られている。『2』では上記の通り、漫画『頭文字D』で有名な実在峠を再現した一本道コースも登場した。
「ZUNTATA」が手掛けた秀逸なサウンド
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ZUNTATAを擁するタイトーだけあって、レースゲームらしい疾走感を感じさせるロック系のBGMは良曲揃い。
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担当者は『1』が三澤宏行(SAWAMMY)氏、『2』が高萩英樹(Dr.Haggy)氏。『2』でBGMが一新されたが、同作の曲は特に人気が高く、後に高萩氏が作曲担当した『バトルギア2』にて音源を変更した『SBS2』曲のリメイク版が収録され、以降の作品でも選択可能である。
『頭文字D』の影響を強く受けた演出。
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『1』時点でOPデモや一部登場車種、弩級ランキングが『頭文字D』を意識しており、「峠での合法レース」という雰囲気を盛り上げている。
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『2』ではその傾向が加速し、殆どの登場車種やボディカラー・装着パーツ類が『頭文字D』のそれらと合致するように変更。
OPデモ、コースの雰囲気やCPUカーの順位、超弩級コースでの演出と、ほぼ「『頭文字D』のゲーム化」と言って良い程の内容となった。
加えて超弩級コースでは後の『バトルギア』シリーズのチューンド車に繋がる、『頭文字D』仕様の車両がCPU専用車として初登場した。
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この傾向は『バトルギア』シリーズでも加速(悪化?)し、2002年にセガ製の公式ゲーム稼動後に登場した『バトルギア3』では、ついに両プレイヤー間で両社の製作陣のモラルにも絡んだ論争が発生することになってしまった。
賛否両論点
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『頭文字D』を意識した結果か、『2』の登場車種に少々偏りが有る。
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『1』では96年当時の最新車と一世代前の旧車がバランスよく登場していたが、『2』では旧車の比率が高くなっている。
その為、『1』で登場したA80型スープラ、R33型スカイラインGT-R、S13シルビア、NSXと人気車両が4台も削除され、新鮮味が若干薄まっている。
『2』では最高速重視・夜間等のバラエティに富んだコースや、三菱・スバルの最新車が登場しただけに、この4台が削除された点は非常に勿体無い。
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再びこの4台が揃い踏みするのは下記の『スペシャル』、アーケードでは約7年後の『バトルギア3』となってしまった。
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一応、『2』ではスカイラインGT-Rは前モデルのR32型、S13は姉妹車である180SXが代替的に登場したが、トヨタとホンダは代替無し。
ホンダに至っては2台とも性能がほぼ同じで、どのコースでも最下位近辺を走っていたりと、他社よりも不平等に扱われている様に見える。
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CR-Xとシビックはどちらも前輪駆動(FF)で、搭載エンジンやボディサイズもほぼ同じ。実車でもこの2台は代々兄弟車の関係にある。
『2』に登場しているCR-Xはシビックより一世代前のモデルで、そのシビックも『1』稼働開始の時点で一世代前のモデルと化していた。
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上記の工夫はあるが、同時期の競合他社のポリゴンゲームと並ぶと粗いことは否めないグラフィック。
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基板の3D描写力が非力なため、テクスチャーは家庭用機のプレイステーションに近い低解像度・歪みがあり、タイヤも8角形、処理落ちも発生する。
汚いテクスチャーは峠道のザラザラした質感には一役買っているが、前作の『デンジャラスカーブズ』から改善が見られないのも確かである。
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ただし、こちらも上述しているように、ゲームの内容や車の挙動などのグラフィック以外の要素はクオリティが高く、高い評価を受けている。
本作と同基板で開発された『電車でGO!』と同じく「グラフィックは貧弱なぶん、ゲーム内容に相当なこだわりが注がれている作品」と言える。
問題点
全体的に難易度が高い。
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昔のレースゲームの例に漏れず、工場設定では制限時間が大分短い。生半可な実力では1位どころか完走も難しい。
その上、CPUカーはミス無く素早く走る為、1位狙いなら更に難易度が上昇する。峠道主体なのだからもう少し難易度は調整して欲しかった所か。
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因みに初代では明確な「タイムアタックモード」が未実装だった関係なのか、レースゲームとしては珍しく1位からのスタートとなっている。
その為、『2』よりは1位狙いが幾分か容易だが、スタート時に2位のCPUカーに加速補正が掛かる為、ブロックしなければ抜かれてしまう。
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実は初代からあったリアリティを殴り捨てるか如きの理不尽補正。
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妨害走行への対策としてなのか、イン側から他車に接触するとイン側の車のグリップ力が一時的に落ちるという仕様が存在している。
接触してもorされてもどちらも目立って減速せず、今シリーズでは補正が緩めなので気づきにくく、当時はあまり問題視されなかった。
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だが、『バトルギア』シリーズに突入してからは、難易度上昇と見ても看過出来ない位に悪化していく事に。
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『2』の超弩級コースにて登場するCPU車の不条理な強さ。
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「加速補正」「特定区間でのブースト補正」「プレイヤー操作では曲がれない速度でのドリフト」を駆使する為、初中級者では優勝は非常に難しい。
特に問題なのは「特定区間でのブースト補正」で、トップを走る『頭文字D』仕様のAE86のゴールタイムに若干のランダム要素が発生してしまっている。
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超弩級CPU戦での優勝には3分5秒以内での完走が必要となっているが、補正によりAE86のゴールタイムが目標タイムよりも2~3秒速くなる事が多い。
稀にAE86が異常なペースで独走する状態となる事もあり、その場合はプレイヤーが余程の上級者でなければ追いつく事が出来ないという状況に陥る。
お世辞にも良いとは言えない車種間バランス
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今作では後の『バトルギア』シリーズと異なり出力性能によるクラス分けが存在しない為、低出力車と高出力車との車種間格差が大きかった。
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一応低出力車に関しては、アトラクトデモで流れる車紹介のスペック表にて馬力・トルク表記に「+α」の表記があり、チューニングにより高出力車と同等の動力性能を持っている事が示唆されてはいた。
後述の通り2RRで性能調整こそ行われたものの、それでも低出力車と高出力車の性能差が完全には埋まってない感はある。如何せんクラス分けの概念が存在しないので、プレイヤーの腕だけでは覆せないマシンパワーの差を実感させられる。
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特に無印2のスカイラインGT-R(BNR32)はあらゆる性能がずば抜けて高く、殆どのコースにおいてタイムアタックランキングを独占するという事態が発生していた。
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流石に問題となり2RRでBNR32の加速力が低下し、レブリミットも9000回転前後にまで下げられた他、それ以外の車種に関しても全体的な性能の上方修正に加え、AE86兄弟のギアが6速化される等の調整が施された結果、下記補足内の様々な次点車種たちが使用されるようになってはいた。
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『2』におけるR32一強問題の詳細
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無印2ではスカイラインGT-R(BNR32)一強状態と言っていいほどバランスが悪かった。高い加速・最高速性能と、レブリミット1万回転というGr.Aレース仕様さながらの高回転に加えて回頭性も悪くないといった性能であった。
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後に2RRへのバージョンアップに伴う調整によりこの問題は解決したかに思われたが、それでもコースによっては変わらずR32がTAランキングの上位グループを占領していた。
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端的に言うと、弱体化したのは「低回転域での加速力」であり、「高回転域での加速力」に関しては然程弱体化されておらず、加えて旋回性能や全車種トップクラスの最高速性能は据え置きであった為、タイムアタックでは依然としてR32の使用率が高いのも全くと言って良い程に変わっていなかった。
強いて言えばR32の次点として上げられるFD3S、エボIV、GC8がTAランキングで以前より若干見かけられるようになった位であった。
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問題点(2RR)
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無印2より更に厳しくなった各コースの制限時間設定。
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無印2の初期設定では初級が45秒、中級と上級が55秒、超上級が65秒なのに対し、2RRでは初級のみ50秒と緩和されたがその他は無印2より短くなっている。
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同社の『ダライアス』や後の『Gダライアス Ver.2』と同じく、より回転率を上げるべくバージョンアップ時に難易度が全体的に引き上げられたものと思われる。
ただでさえ無印2の段階でも半端な実力では完走すら難しかったのだが、2RRではこのような制限時間の厳格化で更に初心者に不親切な仕様となってしまった。
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因みに逆走コースの制限時間は順走と異なり比較的甘めの設定となっている。とは言えそれでも初心者にはやや厳しめの設定であることには変わりないので、油断は禁物。
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逆走コースにおけるCPU車の露骨な走り方
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今作の地点ではまだ逆走コースがシリーズ初の試みかつバージョンアップによる実装であることからか、CPU戦の難易度において調整不足が悪目立ちしている。
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上位のCPU車は追い抜かれてしばらく離れると、突然猛烈な勢いでブーストを掛けてくることがあるため、たとえ腕前で逃げ切ろうとしても追い付かれやすい。
それに加えCPU車のミスなくハイペースで走るという思考パターンは据え置きの為、ワンミスが命取りになる場合が多い。
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コースの難易度が上がるほどこの仕様が凶悪化し、最終的に超弩級逆走コースではCPU車のインチキな行動ルーチンも相まって、プレイヤーによっては時に「順走なら真面目に実力を付ければ優勝できるが、逆走だとゲームバランスがぶっ壊れている」と愚痴が出るほど。
優勝するには真面目に速く走れる腕前は勿論、ガリやブロックを駆使して無理矢理にでも逃げ切る技術を含む相当な実力がなければ非常に厳しい。
総評
当時はまだ珍しかった各国産メーカーの自動車・コースに峠道を採用し、「走り屋がテーマのリアル風レースゲーム」という新たな作風を切り開いた作品。
難易度やグラフィックの面で粗はあるものの、良作と言えるクオリティであることは間違い無く、後の『バトルギア』でも更に独自に進化することとなる。
稼働から20年以上を経た現在も、発売当時の出回りが良く基板自体も堅牢なのか、最終作品の『2RR』が小規模なゲームコーナーで稼働していることが多い。
後の『バトルギア』と同じく国産スポーツカーやレースが好きな方はもちろん、俗にいう走り屋文化が好きな方も、見かけた際に遊んでみては如何だろうか。
余談
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ゲーム中英語によるナレーションが入るものの、「さーいばいさい」「えきせんたーい」といった棒読みな日本語英語であり、妙に味がある。
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前述のように実在車両を題材にするということで、タイトーは登場車種の自動車メーカーに収録台数毎のロイヤリティを支払い、収録を実現させている。
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これについてディレクターである酒匂弘幸氏は「当時、『セガラリーチャンピオンシップ』でセガさんは「ゲームに登場する車種の宣伝」という名目でロイヤリティの支払い無しで使用許諾を得ていた」、
「タイトーがセガと同じような契約を結ぶことは知名度・信頼的に難しく、かつ実車宣伝名目の無償収録という契約も長続きしないと推測し、各メーカーへロイヤリティを支払った」旨を述べている。
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現在の実車系ゲームでは「自動車メーカーとのライセンス契約を結んで使用許諾を得る」ことは当然の話となっているが、氏は「当時は開発費がその分上乗せされるので、同業者から非難や怨嗟の声が来ることも多かった」と述懐している。というのもこれ以前に実在車種をゲーム内に登場させるに当たって、タイトーと同様に「著作権料を支払う契約を正式に締結して使用許諾を得る」といった日本のゲーム会社はまだなかったからである。
サイドバイサイドスペシャル
【さいどばいさいどすぺしゃる】
サイドバイサイドスペシャル 2000
【さいどばいさいどすぺしゃる つーさうざん】
ジャンル
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レース
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 無印版
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 廉価版
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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タイトー
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発売日
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無印
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1997年12月4日
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2000
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1999年11月11日
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判定
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良作
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劣化ゲー
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ポイント
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『1』『2』をカップリング移植 家庭用ならではの追加要素 劣化の激しいグラフィック 鬼畜な『2000』での高難度設定
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概要(SP)
『サイドバイサイド』『サイドバイサイド2 エボルツィオーネ(無印版)』のカップリング移植。
1・2のコースと車種を収録、2RRからの一部追加要素としてリプレイ機能、TAモードのみ逆走可能要素の他、隠し要素として家庭用オリジナルの隠しコース3つ、隠し車種(タイトー営業車風架空車種)3台を追加。
1999年11月11日には廉価版『2000』が発売。
無印版、2000共にナムコ製「ネジコン」に対応している。
変更・追加要素
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音関連
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BGMは『2』のもののみ。
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システムボイスの変更。それに伴い一部のセレクトボイス削除。
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車種・コース関連
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アーケード版で隠し車種だった「レビン」「レガシィ」は通常車種に変更。
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一部車種のエアロやホイールが変更。
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特に「シルビア」「シビック SiR II」のグラフィックは大きく変更された。
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「セリカ GT-FOUR」の車種名が「セリカ GT-FOUR WRC」となり、特別仕様車と明示化。
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CPU専用だった「インプレッサスポーツワゴン WRX STi」が「インプレッサ WRX STi Version III」に差し替えられる形で削除。
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隠しコース3つ、タイトー営業車風架空車種3台追加。
追加コース
新規3コースが追加。複数コースで優勝する事で追加される。何れも赤城山に実在する峠道をモデルとした難易度「超弩級」の一本道コースで、CPUカーのレベルも高め。
+
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追加コース一覧(解除条件・優勝特典の紹介有、ネタバレ注意)
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これらのコースはそれぞれ6・8・10つのコースで優勝する事で追加。これらのコースで優勝すると、タイトー営業車が選択可能となる。
難易度とコース名
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デフォルトBGM
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解説
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ORIGINAL 1 「水無月」6月
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Thawing
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真昼の赤城北面道路「奥利根湯けむり街道」を舞台としたコース。 緩い蛇行カーブの高速区間と多数のS字ヘアピンで構成されているが、道幅は広めで見通しも並と、難易度は超上級レベル。 トップを走る車は「サバンナRX-7」。優勝でライトバンが追加。加速と安定性重視の性能だが、旋回性が少々低め。
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ORIGINAL 2 「子の刻」0:00
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Midnight
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『頭文字D』でお馴染み、深夜の赤城山「群馬県道4号前橋赤城線」を舞台としたダウンヒルコース。 道幅は比較的広いが、序盤は低速・中速ヘアピンが入り混じり、中盤は高速コーナー、終盤は5連続ヘアピンで構成されている。 「亥の刻」同様、CPUカーも『頭文字D』を意識した車種で構成され、上位2位の車は「FD3S」「FC3S」の2台のRX-7である。 このコースは『バトルギア2』にて「上級」コースとして復活し、『バトルギア3 Tuned』以降は「弩級B」として再復活した。 優勝で1BOXが追加。加速と旋回性重視の性能で、外見に反した高い機動性を発揮する。
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ORIGINAL 3 「丑の刻」2:00
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深夜の赤城北面道路「群馬県道62号沼田大間々線」をモデルとした高速コース。制限時間はゲーム中で一番短い。 トップを走る車は「スカイラインGT-R BCNR33」。CPUカーがゴール時にコース横の駐車場に停車する小ネタも存在する。 優勝でトラックが追加。最高速重視の性能だが、外見通りに全長が非常に長いため、コーナリング時は壁に接触しやすい。
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特徴(2000)
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デュアルショックの振動機能『のみ』に対応するようになった。
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モード選択から発売当時のタイトー製プレイステーション用ソフトの宣伝動画を閲覧できる「INFORMATION」が削除され、一部フォントの変更、不具合修正等細かい仕様変更がある。
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難易度で制限時間だけで無くCPUカーの速さも変化するようになった。
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無印版では速さは「Easy」から変わらず、制限時間のみ短くなっていた。『バトルギア』シリーズで言う敵車レベルの☆に例えれば、
「Easy」が1~2、「Normal」が3、「Hard」が4、「VeryHard」が隠し難易度5にそれぞれ相当する所か。
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高難易度になればライバルカーが不自然な角度でドリフトする等、取って付けな所もある点はややマイナス。
更にコースによっては特定の車種を使用しなければクリア出来ない位に難しくなる事も。
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優勝したコースであれば、コース選択画面でL1・R1ボタンで逆走コースの選択が出来るようになった(TIME ATTACKモードのみ)。
評価点
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操作性自体は損なわれておらず、『サイドバイサイド』を楽しむのならば問題無く堪能可能。
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後述のグラフィックの劣化や一部未実装な要素は看過し難いが、少なくともプレイに支障の出る範囲ではない。
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追加要素や基本的な所は概ね良好。やはり黙々と好タイムを目指すゲームなのだから、それだけでもまだ不満は軽減されるだろう。
問題点
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アーケード版から大幅に劣化した車両グラフィック。
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ゲームの主役である車がアーケード版とは似ても似つかぬ粗いグラフィックに劣化しており、「メーカー許諾を得て実車を登場させている」意味が少々薄れている。
ポリゴン数が大幅に減ったのは勿論だが、アーケード版では実写取り込みで再現されていたディティールはその全てが粗いドットで代替されている。
ボディカラーはメタリック感やグラデーションが再現されず、ほぼ原色。アーケード版からカラー変更された車たちのカラーも、何れも似たものばかりで地味。
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ハードパワーの都合上致し方ない所かもしれないが、アーケード版で同じ基板を使用していた『電車でGO!』は大きな劣化や処理落ち無しで移植できており、
一方で今作のコースグラフィックは一部背景物の削除程度でさほど劣化していない為、工夫次第ではもっと細かく車を再現できたのではないだろうか。
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アーケード版「2RR」の追加要素のほぼ全てが未収録。
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今作での「2RR」の要素はレース後のリプレイのみで、AE86のギアは5速のまま。逆走コースもレースモードでは選択不可能である。
後の『バトルギア』シリーズに於いても、『3』のアーケード・移植版双方でこの問題が発生、前者はこれよりも酷い問題点となってしまった。
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コースの難易度表示を除き、ゲーム中で使用されている言語がロード&セーブ時も含めて全て英語表記。
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ロード&セーブ時の表記に関してはゲーマーなら分かるかもしれないが、ライトユーザーや英語力の弱いプレイヤーにとっては理解がやや難しい。
せめてロード&セーブ時のメッセージに関しては日本語表記にしてほしかった所か。
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当時のアーケードレースゲーム移植作の例に漏れず、2人対戦モードが収録されていない。
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これもハードパワーの都合上致し方ない所だが、せめてTVと本体、ソフトを2つ用意した上での通信ケーブル対戦に対応していれば良かったのだが…。
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後のPS2版『バトルギア』シリーズでは、『2』はI.LINKケーブルを用いた2人対戦に対応、『3』でようやく画面分割の2人対戦が実装された。
問題点(2000)
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デュアルショックのアナログ操作に非対応。
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方向キーのみでしかハンドル操作ができない。振動のみに対応する位なら、手間をかけてでもアナログスティック操作に対応させるべきだっただろう。
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ハンドルのアナログ操作には「ネジコン」が必要となる。しかしネジコン自体が需要に対して生産数が多かったとは言えず、入手も容易ではない。
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SBS1弩級コース「極」で難易度「VeryHard」時の制限時間が設定ミスかと思うほど極端に短い。
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無印版での制限時間は60秒だが、廉価版では何とたったの45秒。基本的にアーケード版より時間設定が甘めが普通な筈の移植版にそぐわぬ程の短さな上、
しかもアーケード版以上に極めて短い時間設定という『セガツーリングカーチャンピオンシップ』も真っ青な超絶鬼畜仕様。
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はっきり言って鬼畜以前にクリア不可も同然で、廉価版でこのコースを高難易度で楽しむなら「Hard」で遊ぶしかないと言っても過言では無い。
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しかし腕に自信があれば、高性能な隠し車種であるタイトー営業車3種を使用することでギリギリクリアできるようだ。
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疑問に残る、夜間コースでの速度計とギア表示の色調変更。
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何故か廉価版では夜間の速度・ギア表示が、無印版の「薄白緑の背景色/薄緑影」から「ビビットな薄赤の背景色/濃赤影」へ変更。
無印版の色調はアーケード版の忠実再現であり、数字の視認性は解像度の都合で落ちてはいたが基本は良好だったのにもかかわらず、
廉価版はアーケード版よりも小さい黒ドットで表示される数字と濃赤色の影が被り、特に速度計上部が非常に見辛くなっている。
総評
プレイそのものに支障の出ない範囲ではあるものの、劣化した所や中途半端な未実装要素のせいで、移植として見るのならば問題のある出来と言えるだろう。
しかし単独のゲームとして見るのならば完成度は高い方であり、PSのゲームで兎に角実車を爽快に走らせたい人や、初めてシリーズに触れる人には十分オススメ出来る範囲である。
体験版
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PS版『電車でGO!』に体験版が収録されている。ゲーム内でも注意書きがあるが、プレイした後『電車でGO!』側のハイスコアデータやゲーム設定が初期化されてしまう仕様があるのでその点は注意。
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同じディスク内に同時収録と言った形であり2枚組では無い。その弊害か『電車でGO!』側の隠し路線が未収録。
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没データとして山陰本線LONGが存在することが確認されている。
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体験版で遊べる内容
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コースはサイドバイサイド2の「初級」「中級」が選べる。
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車種は「RX-7 FD3S」「スカイラインR32」「ランエボIV」が選べる。
最終更新:2025年03月22日 11:28