本項では以下を取り扱います。

  • 『頭文字D Arcade Stage Ver.1』
  • 『頭文字D Arcade Stage Ver.2』
  • 『頭文字D ARCADE STAGE Ver.3』

頭文字D Arcade Stage

【いにしゃるでぃー あーけーどすてーじ】

頭文字D Arcade Stage Ver.2

【いにしゃるでぃー あーけーどすてーじ ばーじょんつー】

頭文字D ARCADE STAGE Ver.3

【いにしゃるでぃー あーけーどすてーじ ばーじょんすりー】

ジャンル レースゲーム
筐体
対応機種 アーケード
使用基板 NAOMI2
発売元 セガ
開発元 セガ・ロッソ
稼動開始日 Ver.1 2002年7月6日
Ver.2 2002年12月10日
Ver.3 2004年1月27日
判定 全作 賛否両論
ゲームバランスが不安定
ポイント 丁寧な原作再現仕様
爽快だが不自然な挙動
歯応えあるゲームバランス
頭文字Dシリーズリンク


概要

セガラリー』や『セガツーリングカーチャンピオンシップ』を手掛けたセガ・ロッソ(旧AM5研)が、カーバトル漫画の金字塔であるしげの秀一の『頭文字D』を題材に開発したレースゲーム。プロデューサーは『セガラリー2』でアシスタントプロデューサーを務めた「あらちゅう」こと新井健二氏。

原作漫画『頭文字D』にて主人公の藤原拓海が、「やっていこうぜ、セガラリー」と意識した台詞を発したことが、シリーズ展開の一つのきっかけに繋がったとされる。

初代のタイトルは純粋に『頭文字D Arcade Stage』であったが、『Ver.2』以降に公式含めて『Ver.1』の呼称が付与された。
また「ARCADE STAGE」のタイトル表記が『Ver.2』までと『Ver.3』以降で異なっており、前者が「Arcade Stage」、後者が「ARCADE STAGE」と全て大文字になっている。

「Ver.」と書かれている通りシリーズ的にはバージョンアップ扱いであるものの、製品自体は新作としてリリースされている。総じてゲームシステムの基礎自体は全作で共通しており、追加要素も車種やコースにモードと言った程度である。強いて大きな差異が見受けられる点を挙げれば『Ver.3』でグラフィックインターフェースが刷新されたくらいである。

『Ver.3』制作中の2003年10月1日にセガ本体によるグループ再編を理由にヒットメーカー(旧第3AM研究開発部・通称AM3研)に吸収合併されたが、名義上はセガ・ロッソのままである。

『Ver.3』稼働から半年後の2004年7月6日には競合会社のナムコから『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE(湾岸マキシ)』が稼働開始したため、現在に至るまでの競合相手として君臨することとなった。


筐体説明

筐体

  • 筐体は1999年10月に稼働開始した同社発売の『救急車』で使用された筐体をベースとしている。
  • 29インチモニターを採用しており、スピーカーはシートにも搭載されたものとなっている。ボタンは視点切り替えとスタートボタンだけである。
  • ハンドルは『リッジレーサー』のDX筐体で使われているナムコ製のもの。友人繋がりでもあり『湾岸ミッドナイトR』の制作に携わっている小山順一朗氏を介して調達している

記録媒体

  • 記録媒体としてゲーム中で「頭文字Dカード」と呼称されている磁気カードを採用。カード自体にも複数の柄があり、コレクションとして楽しむ事も出来る。『頭文字D』のキャラとバトルを行い、愛車をチューニングする要素が盛り込まれている。
  • 磁気カードの印字方式はカードの印字部に約180℃の高温を急速に与え、常温へ急速冷却すると発色・150℃程にすると消滅する「ロイコ染料」を使用している。
    • カードは1枚50プレイまで使用可能で、使い切った場合は引継ぎが必要。単なる磁気カードとしては、同社『Club Kart』やナムコの『湾岸マキシ(1~3DX+)』のみならず、一般的な磁気カードと同規格であり、他社の代替品などを使う事も可能であるため、カードリーダーが故障していない限りは理論上現在でも磁気カードにデータを保存することが可能である。
  • メニュー画面自体は後の『湾岸マキシ』と同じ「ページ送りをする」スタイルであった。

モード説明

公道最速伝説

  • 1人の走り屋として原作『頭文字D』に登場するキャラクター達とバトルする、いわゆるストーリーモードである。コース毎に決められたキャラから順不同に選択・バトルし、制覇していく。最終的にはプロジェクトDの高橋啓介と藤原拓海と対決する。その舞台も「八方ヶ原(Ver.1)」「いろは坂(ver.2)」「土坂(ver.3)」と異なる。
    • 『Ver.2』以降は、2回目のバトルでは(降雪しか用意されていない『秋名(雪)』を除いて)天気は必ず雨になる。この内「中村賢太」「坂本」は原作でも雨天の中でバトルをしていた為、1回目も雨となっている。
+ ネタバレ注意!

vs藤原文太

  • プロジェクトDの藤原拓海に勝利したあと、秋名に解禁される最後のバトル相手。プロジェクトDの3人より速いことが明言されているだけあり、難易度も相応。そして全員を制覇した上で文太に勝利すれば晴れてエンディングとなり、以後2周目以降は最初から選択可能となる。
    • 2周目以降で全員を制覇していない状態で勝利すると、妙義峠の最初のライバルに飛ばされる。

タイムアタック

  • 各コース、コンディションを自由に選択し、タイムを競うモード。
    • コースごとに各車種の性能が微妙に異なっており、最も性能が高くなるものを番長車、通称『番車』と言う。詳しくは後述。

店内対戦

  • 店内同士の2人で対戦するモード。『Ver.1』のみはプレイしても何も報酬は貰えなかった正真正銘のお飾り同然のモードであったが『Ver.2』で一転。「対戦レベル」が追加され存在意義のあるモードとなった。同じ対戦レベル以上の相手に勝てばレベルアップし、一定のレベル以上からは更に自車からオーラが発生する。
+ オーラの色

対戦レベル0〜10(初心者レベル)

  • レベルダウン無し。特にオーラは発生しない。

対戦レベル11〜20(中級者レベル)

  • ここから負ければレベルダウン。青色のオーラが発生し、レベルが上がるとオーラも大きくなる。

対戦レベル21〜30(上級者レベル)

  • オーラの色がLv21,22が「緑」、Lv23,24が「クリムゾン」、Lv25.26が「オレンジ」、Lv27が「赤」、Lv28が「黄」、Lv29が「紫」、Lv30が「シアン」となる。

対戦レベル31〜99(達人レベル)

  • 一律オーラが白色になるが、10連勝すれば以後は虹色に変化する。ただし一度でも敗北すれば白色に戻ってしまう。

文太に挑戦!!

  • 『Ver.2』より追加された上級者向けモード。最初にポイントを賭け、選択したコースの下りルートで伝説の走り屋「藤原文太」と勝負する。ポイントが必要なため当然カードを使わないと「ポイントが足りません」となりプレー自体ができない。バトル後は勝敗を問わず強制的にカードが排出されるため、コンティニュー自体ができない。
    • 必要ポイントは、『Ver.2』では文太の本気度を表す「文太レベル」毎に変わり、Lv.1~10までは1,000pts、Lv.11~20は2,000pts、Lv.21~30までは3,000pts。Ver.3では一律4,000pts。
    • 選択コースは『Ver.2』では上級以上のみだったが、『Ver.3』では全コースが選択可能。勝てば他モードより多くのポイントが貰えるが、敗北するとポイントは全没収となる。
    • 文太の搭乗車種はVer.2では10の倍数、Ver.3では5の倍数のレベル毎に「AE86トレノ」→「AE86トレノ(レース用エンジン換装)」→「文太仕様インプレッサ」へ強化される。
    • 文太はいずれのコースでも非常に速く、本気でない状態の低レベルでも「公道最速伝説」の高難易度CPUと同等の速さを見せる。最終的には車種とコースの組合せ次第ではクリア不可能になる程の、文字通り無理ゲーレベルの難易度となる。一応、原作で明確に「プロジェクトDの3人より速い」とされている数少ない人物なので、原作再現と言う意味では間違ってはいない。

収録車種

収録車種は原作のキャラ達の愛車がメインで、それ以外は稼働当時現実の走り屋に人気だった最新車がセガにより厳選されて数台登場するのみ。

+ 収録車種一覧

掲載順序は初出作が若い順。 搭乗キャラ欄は『Ver.3』までに登場したキャラのみ記載しており、『4』以降に登場したキャラについては記載していない。

メーカー 車種 初出 搭乗キャラ 備考 ゲーム内備考
トヨタ スプリンタートレノ 3door GT-APEX(AE86) 1 藤原拓海 前期型
カローラレビン 3door GT-APEX(AE86) 秋山渉
カローラレビン SR(AE85) 武内樹 『Ver.1』ではCPU専用車
MR2 G-limited(SW20) 小柏カイ 中期型
MR-S S EDITION(ZZW30) - 前期型
アルテッツァ RS200(SXE10) 2 秋山延彦
セリカ GT-FOUR(ST205) 御木 中期型
日産 スカイライン GT-R V・SpecII(BNR32) 1 中里毅 最終型
スカイライン GT-R V・SpecII(BNR34) - 中期型
シルビア K's(S13) 池谷浩一郎 前期型
シルビア K's AERO(S14) - 後期型
シルビア Spec-R(S15) 東京から来た二人 前期型
180SX TYPE II TYPE X(RPS13) 健二 中後期型
シルエイティ(RPS13改) 佐藤真子&沙雪 「日産」扱い
『4』以降と一部異なる点あり
シルビア Q's(S14) 2 中村賢太 最初期型
スカイライン 25GT-TURBO(ER34) 3 川井淳郎 前期型
ホンダ シビック SiR・II(EG6) 1 庄司慎吾 前期型
シビック タイプR(EK9) 二宮大輝
舘智幸
後期型
インテグラ タイプR(DC2) スマイリー酒井 前期型
S2000(AP1) - 最初期型
マツダ サバンナRX-7 ∞III(FC3S) 1 高橋涼介 後期型
アンフィニRX-7 タイプR(FD3S) 高橋啓介
岩瀬恭子
最初期型
ロードスター RS(NB8C) -
RX-7 スピリットR タイプA(FD3S) 2 - 最終型
ユーノス ロードスター S スペシャル(NA6CE) 末次トオル 最初期型
RX-8 タイプS(SE3P) 3 - 前期型
スバル インプレッサ WRX タイプR STi Version V(GC8) 1 藤原文太 後期型 『Ver.1』ではCPU専用車
『Ver.2』『Ver.3』では隠し車種
ノーマルコースのみ選択可
インプレッサ WRX STi Version VI(GC8) - 最終型
インプレッサ WRX STi(GDBA) - 最初期型
三菱 ランサー GSR エボリューション III(CE9A) 1 須藤京一 -
ランサー RS エボリューション IV(CN9A) 岩城清次
ランサーエボリューション VII GSR(CT9A) -
ランサー RS エボリューション V(CP9A) 3 ランエボVの男
ランサー GSR エボリューション VI
トミ・マキネンエディション(CP9A)
ランエボVIの男

チューニング

  • カード作成時、車種選択後にパーツ装着コースを選択される。
    • 基本的に「Aコース」「Bコース」「Cコース」「Dコース」に加えて、どのエアロも装着せずチューニングだけ施行する「ノーマルコース」を選択することができる。搭乗キャラの設定がある車種については「Aコース」、2人目の搭乗キャラの設定がある場合は「Bコース」が2人目の搭乗キャラ仕様となる。
    • チューニングは5段階であり、搭乗キャラ仕様と言った例外がない場合は全て共通のチューニングメニューとなる。「STEP 5」は基本的に駆動系チューンとなるが、一部車種には「STEP 5(一部は「STEP 3」も)」が駆動系チューンではない特殊チューニングを施される。
+ 一部チューニングメニューの異なる車種
トヨタ スプリンタートレノ 3door GT-APEX(AE86) A・B・C レース用エンジン換装
D ターボチャージャー装着
カローラレビン 3door GT-APEX(AE86) A 【STEP 3】ターボチャージャー装着
【STEP 5】スーパーチャージャー装着
B・C レース用エンジン換装
D ターボチャージャー装着
カローラレビン SR(AE85) A ターボチャージャー装着
ホンダ インテグラ タイプR(DC2) A ターボチャージャー装着
マツダ アンフィニRX-7 タイプR(FD3S) A ツインターボ交換
B ビッグシングルタービン交換
ユーノス ロードスター S スペシャル(NA6CE) A 1800ccにボアアップ
三菱 ランサー GSR エボリューション III(CE9A) A ミスファイヤリングシステム搭載

収録コース

収録コースは原作に登場した実在の峠を再現したものがメインだが、「妙義」「碓氷」は実物をイメージした景観を持つオリジナルコースとなっている。

実在の峠を再現しているコースでも、その全てで道幅や路肩の拡張・直線部の短縮・コーナー角の変更といった何らかのデフォルメが加えられている。

+ 『Ver.1』初出コース

妙義

  • 中里・庄司の地元として原作序盤に登場した「妙義山」を大幅にデフォルメして収録した架空コース。碓氷以上に緩急が激しいカーブが随所に配置された中高速コース。『4』以降とでは形状が異なる。

碓氷

  • 佐藤真子&沙雪の地元として原作序盤に登場した「碓氷峠」をイメージした架空コース。緩いコーナーが多い高速コース。『6』以降で形状が異なるが、スタートは実在する釜飯屋「おぎのや」の前・ヘアピン周辺には旧信越本線の「めがね橋」こと碓氷第三橋梁という点は共通。

秋名

  • 藤原拓海の地元で原作中盤まで登場した「秋名山」こと「榛名山」を忠実に再現したコース。高低差の急な緩急差が無いが長い直線の後に急なヘアピン…という構成が終始続く高速コース。各所にある側溝では「溝落とし」がもちろん可能。

八方ヶ原

  • 原作中盤に登場した舘と拓海の対戦コースを延長し収録。非常に狭い道に大小のS字・ヘアピンが連続する低中速コース。
+ 『Ver.2』初出コース

赤城

  • 高橋兄弟の地元で原作序盤に登場した「赤城山」をほぼ忠実に再現したコース。順走序盤は低速の連続ヘアピン・中盤は直線多めの高速地帯・終盤は中高速の連続ヘアピンで構成されている。

いろは坂

  • 原作序盤に登場した須藤・岩城の地元を忠実に再現したコースで、季節は秋。非常に狭い道幅と急なヘアピンが終始連続する低速コース。下り第3区間では「インベタのさらにイン」が計5ヶ所で可能。
+ 『Ver.3』初出コース

秋名(雪)

  • 降雪により全面が雪に覆われた秋名。通常時は非常に曲がりづらく、ドリフト時は異常に滑る。時間帯は「夜」のみで天候選択はできない。

正丸

  • 家庭用『Special Stage』からの逆移植で『Ver.3』にのみ登場。原作序盤に登場した秋山渉の地元を再現。狭小の道に大小のS字・ヘアピンが連続する低速コース。

土坂

  • 原作中盤に登場した「ランエボの男」達の地元を再現したコース。狭い道に緩いS字・ヘアピンがあるが速度域は高め。原作同様、往路第2区間の第1ヘアピンのイン側に黒いオイル・後半の直線で道路工事兼バリケードが設置されている。
    • オイルについては原作では「ランエボの男」達が主人公らの事故を狙って撒いたもので、ゲームでも踏むと外にはらんでしまう。公道最速伝説の序盤や、天候が雨では出現しない。
+ コースデータ

掲載順序は『Ver.3』の並び順に準拠。

コース名 難易度 初出 全長 ルート 備考
妙義 初級 1 3,204m×3Laps 右回り/左回り
碓氷 中級 4,242m×2Laps 右回り/左回り
赤城 上級 2 5,804m 下り/上り
秋名 1 7,308m 下り/上り
いろは坂 超上級 2 5,130m 下り/逆走
秋名(雪) 3 7,308m 下り/上り 時間帯は夜のみ・天候選択不可
八方ヶ原 1 5,754m 往路/復路 時間帯は夜のみ
正丸 3 5,812m 往路/復路
土坂 6,712m 往路/復路

これらとは別に、『Ver.1』『Ver.2』ではタイムアタック限定で4峠を走破するコースが選択可能。

コース名 選択可能Ver. 必要pts 解説
全峠走破 1 要60,000pts 「妙義(左回り3周)」→「碓氷(左回り2周)」→「秋名(下り)」→「八方ヶ原(往路)」の順に走破する。
四峠走破 2 「赤城(下り)」→「秋名(下り)」→「八方ヶ原(往路)」→「いろは坂(下り)」の順に走破する。

評価点

原作再現仕様

バトル前後のデモシーン

  • バトル前前後のデモシーンが「背景」以外は「登場人物の画像」と「テキスト」だけと『4』以降と比べて質素なものでありながらも、そうした制約中でも可能な限り漫画を意識した構成を取っており、総じて完成度が高い。
  • —原作の有名シーンの台詞等がゲーム中に上手く組み込まれている等、それぞれのキャラ描写が細かく、原作ファンをニヤリとさせる要素が目白押し。
    • 一部キャラはプレイヤーの搭乗車種やそのボディカラーにより、バトル前デモの台詞が変わる等、芸が非常に細かい。

オリジナル台詞も原作尊重

  • 一方で原作でバトル中の台詞が少なかったキャラは、セガにより原作を意識したオリジナル台詞が大幅に追加されている。
    • 特に原作で台詞が少なかった「東京から来た二人」は殆どの台詞がオリジナルで、バトル前にプレイヤーの車を貶す際の内容とその多さは必見レベル。

SUPER EUROBEAT

  • レース中のBGMにはアニメ『頭文字Dシリーズ』を盛り上げる、セガ繋がりで『STCC』でも用いられたエイベックス社の『SUPER EUROBEAT(SEB)』を採用。エイベックス社の権利物故に過去作のBGMが使いにくく、毎作入れ替わると言う問題はあるが、いずれの作品でも厳選チョイス・編集がなされている。
    • 『Ver.3』では『SEB』のアルバムからセガ独自の選曲も行われるようになったが、これもまた各コース及びキャラの雰囲気と見事にマッチしており好評。
    • 『Ver.1』のオープニングだけは他作とは異なり「TAKE ME BABY」と『SEB』からのチョイスとなっている。
    • 『Ver.2』『Ver.3』ではオープニングBGMにアニメ同様「m.o.v.e」の「Gamble Rumble」を採用。『4』以降はオープニング・エンディング共に同グループの新曲を採用している。

セガオリジナルBGMなど

  • メニューやデモシーンといったセガオリジナルBGMも総じて雰囲気にマッチしており高評価。全作で使用されているゴールBGMは特に印象的だろう。
    • 『Ver.2』まで使われているメニュー画面BGMは「LIVE ON TOKYO」を、「カードデータ確認画面・車種選択画面」「リザルト」のBGMもアニメ『First Stage』で使用されているBGMをセガによって編曲したものとなっている。

テクニック

  • 原作にもあった技を自分も使用できる他、以下は公道最速伝説でのライバルと戦う雰囲気も抜群。以下は『Ver.3』までに登場したものである。
    • 【溝落とし】原作での主人公、藤原拓海の必殺技として度々活躍している。ヘアピンコーナー手前の道路脇の側溝にタイヤを突っ込ませ、ヘアピンを強引に曲がる手法。現実では「そもそもイン側のタイヤには荷重がかからないのでタイヤが引っかからない」故にやる意味はない*1。秋名でのみ可能。
    • 【ブラインドアタック】夜間で相手の後ろを走行中にヘッドライトを消灯し、自分の位置を悟られにくくする手法。プレイヤー側は全車種で使用可能でスタートボタン2秒長押しで消灯・点灯の切替が可能。
    • 【インベタのさらにイン】ヘアピンコーナー内側のガードレールが途切れた路肩(というよりも極小の崖である)に車を突っ込み、そのまま下へ飛び降りる走法。現実では車の何処かがほぼ確実に壊れる危険行為である。テクニックを実践している小柏カイ自ら「掟破りの地元走り」と称するだけあり、CPU戦でも本人しか使わず、いろは坂でしか使えない。

車種も原作再現仕様

  • キャラクターの車もナンバープレートの数字や地名等も含めて原作仕様・TVアニメ仕様をほぼ完全に再現。
    • 外見の差異も素人目で見れば然程目立たないほどで高い再現性で、3ドアトレノの「レース用エンジン」等、チューニングパーツも一部車種では搭乗キャラに対応したものが装着されるのもミソ。
      • 一部実在パーツ*2や、チームロゴステッカー*3等の純正で実在しないオリジナルパーツは、メーカー名が「頭文字D」となっている。

ロケーション

  • 本作の収録コースは全て原作に登場したものとなっている。
    • 殆どのコースで道幅拡張やコーナー角の変更といったデフォルメが加えられており、それらの変更は「走りやすい」と好評。
    • 逆に「八方ヶ原」「土坂」は原作区間だけでは3セクション分と短い為、原作では走行していない区間を収録したうえでコース長を他の峠と合わせる形で延長している。
      • いずれも「八方ヶ原」は北半分が追加されており、「土坂」は原作に於けるスタート・ゴール地点のトンネルを通り過ぎて県境を跨ぐ。

カスタマイズ

多数の実在するエアロパーツ

  • 多数の実在するメーカーのエアロと上記の原作再現オリジナルパーツが収録されており、原作キャラの仕様をほぼ再現する事も可能。原作ファンは勿論、車好きにもたまらない仕様。当時のゲームでここまでカスタマイズできたアーケードゲームは皆無に等しいだろう。
  • エアロが部分ごとで融通が利く上、それぞれの箇所に多くて10箇所位用意されている。

反力調整機構

  • 『Ver.1』はそれぞれの車種のハンドルの重さが再現されていたが、峠と言うカーブを多くやり過ごさなければならない内容と相性が良いとは言えなかったのか「重い」「疲れる」と言った声が出てしまったもあり、『Ver.2』から反力機構の効き具合を調整出来るようになった。

賛否両論点

ゲームバランス

爽快だが独特な挙動

  • 総じてホバークラフトのように動く物理演算であり、ハンドルを切るだけでコーナーをかなりクイックに曲がれるほどにアンリアル。ブレーキはあくまで荷重移動とコーナーに適正速度で進入できるよう調整するためにしか使わないため、このことから良く言えば「峠を爽快感抜群で走れる」、悪く言えば「車を操縦している感覚になれない」挙動である。
  • 車の接触判定もドジョウのようにヌルヌルとしており、極めて独特。この挙動自体は『セガラリー2』とほぼ同じなのだが、挙動の軽さゆえにそちらほど車を運転した感覚になれるようなものとは言い難いだろう。ブロックされたらお終いの可能性を孕んでいる。
    • これらの挙動調整に関しては「急コーナーが多い峠を走るゲームなのでそのようにした」「細かい事は言わないで「イニDごっこ」を楽しんでほしい」と開発者は語っている。
    • 但し当時は爽快感重視・難解な事無しにカッコ良い走りがキメれると言う、「誰でも速く走れる」のコンセプトと合致していると言える物で、後発作の「見えない制限速度」「タイヤ温存システム」「ドリフトランプ」のように小難しいことを考えずに済むと言う意味でも好評だった。
  • 壁ヒット時のペナルティーも独特で、ヒット瞬間の減速は抑えめだが10秒ほど露骨に加速が落ちるという挙動を示す。ペナルティー中は5速の回転がまったく上がらなくなるのである意味分かりやすい。クイックな挙動が災いしてハンドルを切りすぎることによる壁ヒットも起きやすかった。ペナルティーの効果時間がやたら長いため立て直しは困難。これが後述のCPU戦のバランスと合わさると「1度でも壁ヒットしたらほぼ詰み」というシチュエーションになり、高難易度化の要因ともなった。

露骨なMT贔屓

  • 本作はMTの方が目に見えて有利である。昔からMTの方が「最高速が目に見えて高い」「シフトドリフトを使うことで無駄な減速を抑えたコーナリングが可能」「全体的に性能が高く、ATが完全に下位互換になってしまっている」ゲームをしょっちゅうリリースしていたセガらしいと言える。
    • 峠を走る以上は多数のコーナーを攻略しなければならず、レブ打ちを駆使しなければコーナーリングで回転数が徐々に落ちてしまいコーナー脱出時の加速が大きく鈍ってしまう。緩いカーブが続く所ならレブ打ちさせて失速を防ぐ走りをしないといけない。ATのシフトダウンタイミングがかなり鈍いこともあるため。
    • 一応開発サイドもこのことを意識したためか、ATでもシフトダウンだけは可能になっている(一定時間後自動シフトアップする)…のだが、下げようと思った時には一気に2速分シフトダウンしてしまい今度は必要以上に失速することはザラ…と、シフトダウンドリフトの切っ掛けづくり以外の局面では使いにくいため、結局は一層MTの方が有利である事実はどのみち覆せない。

CPU戦のゲームバランス

  • 総じて「歯応えのある原作キャラの実力の忠実再現」として中上級者を中心に好評であるが、一方で難易度低下措置に乏しいため一般層には厳しいバランス調整である。
    • 全ライバルが如何なる状況でもほぼ一定のペースで走り、プレイヤーは(当然ながら)至極真面目に速く走る事を要求される。更に急加速していきなり追い上げて来る鬼補正が掛かる箇所が必ず1箇所以上設けられているライバルも居る。
      • ただし「溝落とし」可能の箇所の直前で急加速してくる藤原拓海など、原作再現の要素が絡むものもある為、決して擁護不可能というわけではない。
    • 本作の物理演算も相まって、抜かれてもう抜かせない事態になるのも往々にして起こる。初心者が挫折しかねない要素と言って良いだろう。ゴール直前で相手が勝っているとブーストを発動して突き放されてしまったり、かたや弱いライバルは幾らでも離す事が出来る等、極端である。
      • ただし救済措置も無いわけではない。敗北してコンティニューするとCPUが若干遅くなる救済処置が『Ver.1』の時点で存在しており、データ設定でライバルの速さを「易しい」「普通」「難しい」の3段階に調整可能である。幸いなのはこれらを調整したり敗北した際の重いペナルティは特に無い点であろうか。

車種間の性能差

  • 公道最速伝説では気にする程ではないが、タイムアタック(と文太に挑戦!!)での性能格差は当時の段階でも問題視されていた。文太に挑戦!!については相手側のゲームバランスそのものの問題も絡んでいるため、ここでは割愛する。
    • 実はコース毎に車種の性能が可変するシステムがあるので、タイムアタックに関してはそれぞれのコースの番車に独占されている為(例外もあるが少ない)、別の意味で問題ではある。
      • 大抵の番車は「そのコースを本拠地とするキャラの車」で、後述のハチゴー等原作でネタにされた車種は遅め等、ここも原作再現。やり込んでいなければ気づき難いものではあるが。
    • 強いて言えば「AE85(ハチゴーレビン)」が「弱い」とされたが、それも理由が説明できる程度のものである。AE85は原作の時点で「ハチロクと比べると露骨に遅い」と扱われていたため、がある。
      • R34GT-R・インテグラ・カプチーノに関してはそれぞれ『4』『Ver.2』『5』までは寧ろ最強車種の1つとして猛威を振るい*4、続編で大幅に弱体化された経緯がある。
      • しかし総じて極端なバランスブレイカーや弱過ぎて終わっている車種は目立って存在しない。ちゃんとチューニングと練習を積めば、困らない程度には速くなる程度の微妙な弱さに抑えられている。

その他

微妙な完成度のグラフィック

  • ブレーキディスク等のディティールが再現されているが、パッと見は平凡な出来である。
    • これでもブラッシュアップされた方であり、開発段階はさらにクオリティが低く、そのせいででエアロパーツを手掛けるチューナーとの交渉が難航したほどである。因みに『Ver.2』稼働前の2002年下半期には、「NAOMI2」よりもパワフルなXbox互換の新型基板「Chihiro」がデビューしていたものの『Ver.3』になってもこちらに切り替わることは無かった。

『Ver.1』のセガオリジナルBGM

  • 『Ver.1』に限り「バトル前後のBGM」が本作独自のものとなっているが全体的に暗く単調と『頭文字D』として見れば微妙な完成度である。更に音源の使い方も「秋名スピードスターズ」「その他男性陣」「インパクトブルー」の3種類にパターン分けができてしまうほどに個性が見受けられない。特に「その他男性陣」に至っては「1つの曲を無理矢理分割した」とも言えるほどの迫力はあるギターソロサウンドは、それだけではどのキャラクターを指しているのかが今ひとつ感じ取れない。単純に劇伴として見れば上出来な完成度なだけあって実に痒いところである。
    • 一応、エンペラーの「岩城清次」と「須藤京一」とでは音程とテンポ(後者が低く遅い)を変えたアレンジを施す、東堂塾の「二宮大輝」と「スマイリー酒井」とでは出だしのギターソロの出し方である程度規則性を持たせたものとはなっている。
    • その中でも「メニュー画面2曲」「インパクトブルー」「敗北(男性陣)」のクオリティはそれなりで場の雰囲気にきちんと合ったものであるため、比較的評価されており、更に「ゴールジングル」は『Ver.3』まで続投されており『DAC』でも使用されている場面が用意されている点からも分かる通りぶっちぎりで高評価。結局ライバルとの合間に流れる曲は『Ver.2』で全て差し替えられた。

一部再現しきれなかった点

  • 各車種は概ね再現できているが、細かい点を見れば再現しきれていない点が散見される。
    • ステッカー等の細か過ぎる点を除けば、「全作で「須藤京一」のランエボIIIのホイールが純正のまま」「『Ver.2』以降の「中村賢太」のS14前期型シルビアはボディカラーがオリジナルのオレンジではなく純正色の赤」「『Ver.3』までの「秋山渉」のレビン後期仕様は細部が未再現」「『Ver.3』までの「秋山延彦」「東京から来た二人」「御木」の搭乗車は細部が純正のまま」と言った点がある。
    • スマイリー酒井のDC2のボディカラーが『Ver.1』の初期ROMに限り「イエロー」となっているが、これは当時原作側でボディカラーが定められていなかったことによるものであるため、やむを得ないことである。以後は原作通り「チャンピオンシップホワイト」になっている。

インターフェース

  • 強制終了はスタートと視点切替同時押しだが、実行した瞬間強制終了で猶予時間無し
    • 即座にやり直せるメリットがある一方、誤って押してしまい、うっかり強制終了と言った事故も起こりうる等一長一短。長押しリタイアと切り替えが出来る設定があれば便利だったのだが。

初心者には厳しめの制限時間設定

  • 実はこれでもコースや相手によってはスタート時の制限時間が最大で90秒前後と、同社がこれまでにアーケードゲームとしてリリースしたレースゲームよりかは断然マシになった方ではある。

問題点

ゲームシステム

道のりの険しいチューニング

  • 獲得ポイントこそ勝てば約10,000ptsと多いが、チューニングはリザルト後に1回しか出来なかった。そのためどれだけポイントを稼ごうが一気にまとめてチューニングを進められない。
    • フルチューンまで進めるだけなら120,000ptsで完了するため単にゲームを有利に進めたいだけならばそこまで貢にならないのが救いか。
    • この当時のチューニングの仕様は、「最初にチューニングメニューを選び、累計ポイント毎に設定されたエアロやチューニングを順番に装着していく」と言う自由が利き難いものであった。ここではポイントを消費せず単純に貯まったポイントに応じてチューニングやパーツ装着が行われる。

厳しすぎる「文太に挑戦!!」

  • ポイントが必要なためカードを使わない場合は一切の選択ができない。事実上まともなCPUと対戦できる唯一のモードであるため、カードを使わない場合に限りポイント無しでも挑戦できるようにはすべきだったと言えるか。
  • カードに1台しか登録できない仕様なのにもかかわらず、最終的に「車種とコースの組み合わせ次第ではクリア不能」に陥ってしまうケースがある。車種間バランスの問題とも絡んでいるが、こうなってしまったことがわかったら最後、文太レベルの完全制覇を諦めなければならない。
  • 文太レベルの量が異常に多く、『Ver.2』では30段階、『Ver.3』では15段階もある。その割にいきなり高難易度へ挑戦することができないため、上位のレベルに挑戦したい場合は一々一つずつのレベルを攻略しないといけない。挑戦の際にポイントが必要であることに加えてコンティニューも不可と言う仕様もさることながら、テンポ的にはどう見ても劣悪を極める。

車種・コース

収録車種の偏り

  • 原作の「バトルシーンに」登場している車種以外は殆ど収録されておらず、続編で追加される車種はいずれもライバルが乗っている車ばかり。無関係ながらもいわゆる「リアルで人気」「(頭文字Dと関係なく)走り屋から人気」と言った車種が収録される事は全体から見れば僅少。
    • その数少ない無関係車「MR-S」「S14後期型」「R34スカイラインGT-R」「S2000」「2代目ロードスター」「RX-8」「ランエボVII」「GC8インプレッサ4ドア」「2種の2代目インプレッサ(前期型・後期型)」の計10台も原作登場車と関連する車種である。この内、登場順に「R34/S2000(『4』)」「ランエボVIIと2代目ロードスター(『4改』)」「MR-S(『5』)」ゲームの後に原作にも登場した。
      • 原作漫画でも「二代目ホンダ・CR-X」「三菱・GTO」「スバル・アルシオーネ」と言った端役として登場していた国産スポーツカーは多数確認されているのだが、そうした車種も悉くオミットされてしまっている。しかもライバルカーとして登場する「マツダ・ユーノスロードスター」や後に『5』で収録される「トヨタ・スープラRZ」もまた初出はアニメ版の端役である。

極端にデフォルメされた「妙義」「碓氷」

  • 「妙義」「碓氷」の2峠については周回コースにされた上で大幅にデフォルメされているものの、いずれも「全く似ていない」と言う理由で原作を知るファンや実在の峠の再現性を求めるユーザーを中心にことごとく不評である。
    • 「妙義」に至っては対戦時の勝負どころがヘアピン1つだけとファン感情抜きに「レースゲームの周回コース」として見た場合でも問題のある造形である。
      • 後に『Special Stage』に本物を再現した「真・妙義」が新規収録されたうえ、こちらは「真・碓氷」と異なり「「赤城」より難易度の低い峠」「距離も道幅も適度」であるためそのまま収録しても問題無く、そちらを収録して欲しかったという意見が当時から噴出した。
    • 「碓氷」は「C-121」を意識したコーナーやヘアピンから見える「めがね橋」など、妙義と比べれば再現しようとしている姿勢は見えてくる。さらにタイムアタックの走りを意識したと開発者が語るだけあり、勝負どころになる急コーナーやヘアピンがそれなりにあるため、ゲーム性という観点で見れば問題は無いが、どちらかと言えば本作の「碓氷」は高速コース寄りである。そうした意味では低速コーナーが密集する碓氷峠らしさは見事にスポイルされてしまっている。
      • その後『Ver.2』の移植にあたるPS2版『Special Stage』に実際の碓氷峠を再現した「真・碓氷」が収録された。スタッフ曰く「原作そのまま(14.8km)だと完走に8分以上も掛かる」「コーナーが184個もあって集中力が持たない」「その上でS字が密集している箇所がある」と言った理由で、西側約半分に短縮(7,429m)の上で収録したほどに調整に苦心したことが窺える。それでも平均走行時間はシリーズ中最長の4分超でコーナーの数も約90個になってしまっており、更に全体的にストレートと言えるストレートが僅少なコーナーだらけのコースであることに変わりなく、シリーズ黎明期であること(と、真・碓氷の走行区間にめがね橋が見えるコーナーが無いの)も加味すればやむを得なかったかもしれない。
    • 原作の舞台が舞台なだけに、特に初中級コースのモチーフ自体が必然的に不足することに加えて、収録峠間のゲームバランス面での調整も考慮されたための措置と思われる。だとしても当時放映されていたアニメでも『4』以降の初級コースに抜擢される「秋名湖」はバトルは一切無かったとは言え主人公たちは休暇などで何度も訪れてもいるため、『サイドバイサイド2』に榛名湖をモチーフとしたコースが登場していたこともひっくるめて当時から「極端にアレンジするくらいならこちらを収録して欲しかった」と言う声もあった。

極悪難易度の「正丸」

  • この峠は『Special Stage』から『Ver.3』へ逆移植された峠である。移植元は対戦モードの無い完全1人用ゲームでありそれを前提とした調整がなされたものであるが、あろうことか対戦要素のあるアーケードゲーム向けに道幅が拡張されると言った調整もされないまま逆移植されてしまった。結果、他のどの峠よりも極悪難易度と化した。
    • 全編を通して2車線ながらもギリギリ2台が並走できるレベルの道幅の狭さ。所々にある待避区間だけでしか実質追い抜きができず勝負にならなくなることが頻発したため、やり込んだ上級者からすらも不評と言う有様だった。非公式大会で意図的にハブられている事も多発していたことからも、その嫌われぶりが垣間見えるだろう。
      • 結果、「正丸」が収録されたのは『Ver.3』限りとなり以後復活しないまま現在に至ってしまった。ところが正丸峠自体が主人公と積極的な繋がりのある秋山渉と原作でも複数回バトルに使われていたため、原作尊重という観点で見れば大問題である。よって今度は「デフォルメしてでも収録してほしい」という声が強くなる顛末となってしまった。

未収録峠

  • 埼玉北西エリア連合チームのホームコースでもあり、原作における坂本とのバトルの舞台となった間瀬峠が収録されていない。
    • これについては「バトル区間が県道287号線との接続点を起点として約3kmと2セクション分の長さしかない」「コース構成が主に直線・高速コーナー主体」「道幅が狭め」であるからだとされている。それならば同「八方ヶ原」「土坂」のように後半を延長したうえで収録すれば良い話である。県道13号線側までを延長すればちょうど7km程度となるためなおさらだろう。さらに道幅が狭いという点も他のコース同様に「適度な」道幅拡張と言ったデフォルを施せば済む話であり、直線が多いと言う点に限っても後の『8∞』で直線とイージーコーナー主体の「箱根」が収録されているため、難易度バランス的にも収録されて問題ないはずである。
  • 東堂塾の現役メンバー2人とのバトル舞台である塩那峠も収録されていない。こちらは『Special Stage』に収録されたが、正丸と異なり逆移植されることはなかった。
  • これとは別にインパクトブルーと池谷浩一郎との恋愛を中心に描写したOVAの『Extra Stage』や中里毅がR32に乗り換えたキッカケに迫るドラマCD『頭文字D番外編 黒い稲妻 新たなる不敗伝説』に登場した峠など、完全新規要素の追加を望むファンが多かった。

その他

記録される情報&引き継ぎ関連

  • トランスミッションの変更タイミングが「カード更新(50回分)」だけであり、それ以外のタイミングでは如何なる手段でも変更出来ない。そのため「最初はAT、慣れたらMTに変える」ことが『4』以降よりもとても面倒。普通にオプションから変更出来るようにすれば良いだけの話なのだが。

前作から引き継ぎできないデータが多い

  • 『Ver.2』以降では前作及び『Ver.1』からデータの引き継ぎが可能であるのだが、その際「チューニング状況」「対戦戦績」「公道最速伝説の進行具合」「走り屋レベル」「対戦レベル」「文太レベル」が引き継がれない。幸いポイントこそ引き継がれるのだが、「4峠走破」などでポイントを使い切ったり「公道最速伝説」を周回している、と言ったやり込みユーザーからすれば実質データリセットも同然である。
    • 当時は本作以外で磁気カードに「直接」保存するアーケードゲームが皆無と言える状況であり、技術的な面での問題があるのではないかと推測される。その割にはこの仕様はAimeに対応して引き継ぎ自体が容易になり技術的制約と無関係になった筈の『DAC』に至るまで続投されてしまっており、以後のシリーズの足を引っ張り続ける因習として君臨し続けることとなってしまう。

総評

漫画『頭文字D』を再現した要素は他の追従を許さず、原作ファンが興味を示すような要素を盛り込んだ所こそ大ヒットを飛ばした最大の要素だろう。

そしてアレンジされながらも実在する峠コースに、実在チューニングメーカーの協力による細かいエアロパーツ等、車好きも大いに喜ぶであろう要素もあり、こう言う所でも本格的である。

その中でも『Ver.3』は「次作『4』が稼働開始するまでの期間が3年と長かった」「引き継ぎ自体ができない仕様に阻まれた」「ゲーム性の大幅な変化と大量に削除された要素の存在」といった理由により、『4』稼働後も継続してプレーする熱心なユーザーを輩出する影響力を与えた。

一方で非常にクセがあり扱い辛く挙動、面倒なチューニングシステム、総じて厳しく不安定なゲームバランスもあるため、純粋なゲームとして見ると目に余る部分がそれなりにあり、普通にレースゲームとして楽しみたい人にはお勧め出来るとは言い難い要素が見受けられるが、全体を標榜すれば「公道最速伝説」「文太に挑戦!!」をはじめ、歯応えある難易度もさることながら、ハマる人にはハマるゲームと言える。

現在でもカードリーダーが故障していないのであれば、理論上(代用品のカードを含めて)磁気カードを使った上でのプレーも可能であるが、筐体寿命に故に撤去が進んで久しいため、稼働している店舗は着実に減り続けている。運良く見つけたプレイヤーは当時を懐かしんだり過去のシリーズ作を知る意味でも手にとってはいかがだろうか。


余談

  • 本シリーズは過去に何度か据置型及び携帯ゲーム機に要素を追加した上で移植されている。
    • 『Ver.2』ベースのPS2版『Special Stage』、『Ver.3』ベースのPSP版『STREET STAGE』、『4改』ベースのPS3版『EXTREME STAGE』の三作が存在する。
      • この内PS2版は後のクソゲーオブザイヤーのパイロット版となる2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)のスレッド「クソゲーオブザイヤー2003」で大賞を受賞している。もっとも、「四八ショック」以前の基準につき現在の基準からすればただのガッカリゲー止まりなのでアテにしない方がいいだろう。
  • 『Ver.1』~『Ver.3』の登場車種の内、『Ver.1』初出の車・『Ver.2』以降の一部追加車は、2001年に元気が発売した『首都高バトル0』からモデリングを流用している。
    • 当然ながら元気の許可を受けての流用で、『Ver.3』までのスタッフロールのスペシャルサンクス欄には同社の名がある。
    • 出典のシリーズでは、『0』まで各メーカーに無許可で車を収録していた為、ディティールやエンブレムが意図的にもじられていたが、今作では何れも実車同様に手直しされている。
      • この内、AE86・BNR32・S14前期型・EG6シビック・FD3S前期型・インプレッサ2ドア・ランエボIVは、原作での年式・仕様に合わせたモデリング修正もされている。
        一部車種はセガがモデリングを行ったのか、大本は同一車種であるインプレッサの4ドアと2ドア、ランエボIVとV・VIではモデリングのクオリティに差が生まれてもいた。
+ タグ編集
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  • セガ
  • 頭文字D

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最終更新:2024年03月30日 23:48

*1 実際プロD編に入ってから「溝の上を走る」という真逆のテクニックを使っている。またラリーでのインカットもやはりイン側のタイヤにはグリップが無い故に行われるテクニック。

*2 「藤原拓海」のトレノのカーボンボンネットやリアゲートは日本のj.blood、「二宮大輝」のシビック・「御木」のセリカのホイールはイタリアのスピードライン社製ホイールほぼそのものだが、何故か許諾を取っていない。

*3 原作・新旧アニメの全てで異なる秋名スピードスターズのロゴは、原作仕様の黄色いロゴを採用している。

*4 このうちR34GT-Rとインテグラは、弱体化前の作品ではトップクラスの安定性や加速性能を誇っていた。但し『Ver.3』以前のカプチーノと『4』でのR34GT-Rはそれぞれ小回り/大きな図体に見合わぬクイックさが利き過ぎており、扱うには慣れを要する癖の強い挙動となっていた。