ボンバーマン
【ぼんばーまん】
ジャンル
|
アクション
|

|
|
対応機種
|
ファミリーコンピュータ ファミリーコンピュータ ディスクシステム
|
発売・開発元
|
ハドソン
|
発売日
|
【FC】1985年12月19日 【FCD】1990年4月24日(書換専用)
|
定価
|
【FC】4,900円(税別) 【FCD】500円(書換専用)
|
レーティング
|
CERO:A(全年齢対象)
|
備考
|
GBA『ファミコンミニシリーズ』第一弾(2004年2月14日発売)
|
判定
|
良作
|
ボンバーマンシリーズリンク
|
概要
8ビットパソコン用ゲーム『爆弾男』の家庭用リメイクソフトで、事実上のボンバーマンシリーズ第1作。
後続作で対戦ツールとして大人気を博し、アーケード移植やアニメも含むキャラクター展開など幅広く活躍していく事になるが、その基礎がここでほぼ完成していた。
ストーリー
キミはあのロードランナーのランナーくんの過去を知っているかい?
じつはランナーくんも、むかしはロボットだったのだ。
まだロボットだったランナーくんは、ボンバーマンとよばれ、爆弾を作る仕事をしていた。
もちろんほかのロボットたちと同じように、悪の手先として地下迷宮のなかで働かされていたのだ。
そんな毎日がいやでいやでたまらなかったボンバーマンは、ある日こんなうわさを耳にした。
“地下迷宮を抜けだして地上に出れば、人間になれるらしい。”
ボンバーマンはすぐに決心した。なんとか地上に出て、人間になろう。
でも、そう簡単に地上に出られるわけがないのだ。
裏切り者のボンバーマンをつかまえるために、たくさんの敵が追いかけてくる。
ボンバーマンの武器は、自分で作った爆弾だけ。
はたして地上に出ることができるのだろうか。
そして、本当に人間になることができるのだろうか……。
(取扱い説明書より)
基本システム
-
Aボタンで爆弾を設置。しばらくすると爆弾は爆発し、十字に爆風が広がる。この爆弾を用いてブロックを破壊し、敵を倒しつつ出口を捜し出す。敵を全滅させた後に出口に入ると面クリアとなる。
-
また爆弾に爆風が当たると誘爆するためこれを用いてまとめて敵を倒すことも可能。まとめて倒すと通常よりスコアがアップ。
-
ただしプレイヤーが爆風に当たるとミスになるため「自分の仕掛けた爆弾で自滅する」という要素もある。スタート地点および右と下の各1ブロックは必ず空白となっているが、開幕早々スタート地点に爆弾を置いてしまいどう逃げても爆風に巻き込まれる状況になってミス確定となる場合もあった。このため自分と爆弾及び敵の位置取りをよく考える必要があるという、パズル要素も成立させた。
-
攻撃範囲を広げる「火力アップ」や同時に設置可能な爆弾の数を増やす「爆弾アップ」、Bボタンで爆弾を起爆させることができる「リモコン」、移動速度上昇の「ローラースケート」といった、後続シリーズ恒例のパワーアップアイテムもある。
-
アイテムを破壊したり出口に爆風を当てたりすると、大量の敵キャラが出現する。うっかり爆破してしまうと焦ることに。
-
ただ、得点目当てだったり縛りプレイを行う時には敢えて爆破するのもあり。特に出口爆破は何回でも敵を出現させられるため、パワーアップさえ整えば安全かつ好きなだけスコアを稼げる。
-
敵の種類もかなり多い(全8種)。
-
基本的に後の面に出てくる敵ほど強いが、最初の敵「バロム」ですらいきなり方向転換したりすることもあるので侮れない。
-
後に出てくる敵は、執拗に追いかけてきたりこちらの動きに追従して爆風を避けたりと、なかなか手強い。
-
画面上には制限時間が表示されている。ゼロになってもミスにはならないが、ステージ全体に強力な敵「ポンタン」が多数出現する。
-
全滅させれば、通常通り出口に入ることで面クリア可能。しかしポンタンは高速移動&壊せる壁をすり抜けてくるため、序盤でこの事態に陥るとクリアは至難の業。
-
残機を増やす方法がなんと面クリア。つまり1つの面をクリアするたびに残機が1機増えていく。
-
5面クリア毎にボーナスステージが存在。直前のパワーアップ状態に関係無くボンバーマンは無敵。壊せるブロックは無しで、敵は倒すたびに追加される。純粋にスコア稼ぎ用の面。タイムオーバーで次の面へ。
-
50面クリアすると、晴れてエンディングを迎えられる。
+
|
エンディング内容のため一応隠し
|
-
前述のストーリーの通り、迷宮を脱出したボンバーマンはロードランナーへと姿を変える。そしてゲーム『ロードランナー』へ続く…という流れなのだが、『ロードランナー』の版権元(ブローダーバンド社)から許可を取っていなかったようで、後続作品ではこの設定は無くなった。
|
-
パスワード制を採用。到達した面数や一部のアイテムを保持して再開できる。
これらのシステムは後続シリーズの基礎となったが、制限時間関連の仕様・「ファイアーマン(爆風によってミスしなくなる)」の効果が敵との接触でミスにならない限り永続…など、今作のみ採用されているものも。
評価点
-
パワーアップアイテムが揃ってからの、高火力で敵を次々と倒していく爽快感。
-
複数の爆弾を高火力で連鎖爆破させていくのは、見た目にも気持ちいい。調子に乗っていると自爆の危険もあるが。
-
更に「ファイアーマン」の獲得後は、爆弾を爆発させた後爆風内に留まりすぐに爆弾を出すことの繰り返しで、移動しつつ爆風を連打することが可能。余程の事が無い限り敵に接触するミスをしない。勢い余ってアイテムや出口も焼いてしまうのはご愛敬。
-
ミニマル系のBGM。タイトルの曲からして耳に残る独特のもの。
-
面開始時は地味だが、各面にあるパワーアップを入手すると音が重ねられ、明るい曲調に。また、「ファイアーマン」「パーフェクトマン(完全無敵。時間制限あり)」獲得時およびボーナスステージで流れる曲は、(ほぼ)一方的に攻撃出来る痛快さが感じられる軽快なもの。
-
このBGMもまた、アレンジを加えながら後続シリーズに引き継がれていく。
-
隠しキャラ(スコアアイテム)の存在。
-
特定の面で決められた行動をすると出現、取ると種類に応じたスコア(最高で2,000万点)が加算される。
-
高スコアの物ほど出現条件が厳しいが、探す楽しみがあり、取れた時の達成感もひとしお。もちろんクリアには関わらないので、興味がなければスルー可。
-
本作はタイムオーバーによる死亡が無いため(時間さえあれば)カンストが簡単であることや、得点によるエクステンドがないこと、敵を同時に倒すと獲得スコアが激増することを考えると、出現条件が複雑なスコアアイテムを狙う意味は特にない。
-
得点表示が1億の桁まで用意されている。
-
このため当時のスコアアタックのゲーム性にしっかり配慮されている。
-
またパスワードでは得点までしっかりキープされている。
問題点
-
パワーアップによる、極端な難易度の変化。
-
初期状態は火力1&爆弾設置数1&低速移動と貧弱。フラフラと移動するバロムに追いつくのも一苦労で、1面からいきなりタイムオーバー→ポンタンの群れの洗礼を受ける事も。
-
1面のファイアーアップさえ取っていれば、死んでも効果が残って再プレイが楽になるので、無駄死ににはならない。さらに1面で再びファイアーアップが入手できて、その後の展開も楽になる。
-
移動速度が上昇する「ローラースケート」は4面にしか存在しない。入手し損ねると、後の面で出現する高速移動の敵たちに対処しきれないため、最初からやり直しすることを推奨。
-
また、後の面では死なない限り有効な「リモコン」や「ファイアーマン」などが出てくるため、「パワーアップの揃わない序盤は難しく、パワーアップが揃ってくる後の面は容易」という奇妙なゲームバランスとなっている。
-
特にファイアーマンを取った後は爆風の中で連打して爆弾を置き続けて連続爆破をするだけの大味なものになりやすい。
-
コンティニュー(パスワード)有りとはいえ、全50面という構成はやや長い。
-
後の面になっても、ステージの広さはそのままに壊せるブロックが増えるくらいで、変化に乏しい。上述の通り、後の面ほど難易度は下がる傾向のため、クリアが作業になりがち。
-
ただし後の面でうっかりミスで死ぬと、リモコンや壁抜けなどがなくなって一気にパワーダウンし難易度が跳ね上がるので、決して気を抜けない。
-
敵のバリエーションでもバロム(1)→オニール(2)→ダル(3)→ミンボー(4)→コンドリア(7)→オバピー(9)→パース(14)とそれなりに短いスパンで新しい敵キャラが登場して新しい展開を作り出しているが、次(最強)のポンタンに至ってはパース登場から実に34ステージ経てラスト寸前のステージ48まで登場しないので、その間は冗長気味になる。
-
一応序盤でもタイム切れでワンサカ出てくるのでメーカーは違うものの『ドルアーガの塔』のウィル・オー・ウィスプの位置付けとも取れるが、ドルアーガでウィスプがはじめから登場するのは全60フロア中フロア21なので、やはり遅すぎな感は否めない。
-
敵キャラ「ミンボー」の得点バランスが不釣り合いに低い。
-
非常に動きが速くマイキャラにガンガン詰め寄ってくるのに、その得点は800点でしかない。4,000点のパースはさらに速いが、ミンボーはそれと比べてもそこまで見劣りしない。
-
一応ローラースケートを取った状態のマイキャラと同じなので、その状態ならば爆弾1つ置けば振り切れるとはいえ、終盤ステージにも出てくるので、そんな時期でも地味に手強いヤツである。
-
鈍足だがブロックをすり抜け追ってくるコンドリアが1,000点、同じくブロックをすり抜け不規則な動きをするオバピーが2,000点。すり抜けもないし足が速くなっただけという事でスコアが低くされたのかもしれないが、これらの敵を比較するとあの速さで800点ぽっちでは割に合わない。
総評
ボンバーマンシリーズの基礎を築いた、記念すべき最初の家庭用機作品。
BGMや洗練されたシステムは今でも評価が非常に高い。これらが磨き上げられ、後に数々の良質なシリーズ作品が生み出されて行く事となる。
関連作
-
本作の原作である『爆弾男』が1983年7月にリリースされている。皇居の半蔵門にロケット弾が打ち込まれるという事件により、本作のタイトルが直訳の『ボンバーマン』に変更されたという逸話があるが、実際に事件が起きたのは1986年であり、デマである可能性が高い。
-
また原作の『爆弾男』に関しても、ドイツでリリース直前に爆弾テロが発生し、タイトルが『エリック&フローター』に変更されたという逸話が残っている。
-
『爆弾男』のシステムをそのままに、フィールドを主観視点の3D迷路化にした『3次元ボンバーマン』なる珍品も存在する。
-
かつての旧ハドソン公式サイトには家庭用ゲーム中心の掲載のみで、『爆弾男』などは記載がなく、現在は公式サイトが閉鎖されている。
-
本作発売の2年後、カプコンから発売された『ロックマン』に奇しくも本作と全く同じ名前のボスキャラが出ている。
-
…が、残念ながらあまりネタにされるような事はない。
-
と思いきや、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』で本作のボンバーマンがゲスト出演した際、そのスピリッツバトルでは『ロックマン』の方のボンバーマンステージのBGMが使われているという同名キャラのネタが登場した。
-
同じく本作発売の2年後にファミコンで続編として『ボンバーキング』が発売されたが、これは持ち込み企画であり世界観のつながりはない。
-
1998年にはプレイステーションでリメイク作品『ボンバーマン』が発売された。
余談
-
パスワード次第ではおかしい状況でのプレイも可能。
-
バグ面が遊べたり、爆弾が通常とはかけ離れた火力になったりといった状況を作れる。
-
バグ面のアイテムは何故か獲得ではなく爆風による破壊によって効果を発揮するものが多い。大抵はフリーズして進行不可になるが、中にはBGMがバグったり凄まじい速さの敵が出現したりといった珍現象が発生するものも。
-
後のシリーズでおなじみになった「黒ボンバーマン」が出現することがある。バグ面にしか出ないとはいえ、あの黒ボンは初代作品からROM内に存在していたのである。
-
通常のパスワードでも、特定の文字を入れ替える事でアイテム出現場所や扉の位置がわかる状態になるといったプレイも可能。
-
「BABABA…」と入れるとステージ0から始まる。
-
このステージは初期状態の強さから始まるのに、敵はポンタンこそいないもののパース、オバピー×2、コンドリア、ミンボー、ダル、オニール、バロムというラインナップで、特に動きが速くて強敵のパースやミンボーがいるので非常にクリアは難しい。またオバピーも初期状態ではマイキャラよりちょっと遅い程度なので、振り切れずにやられるリスクは小さいものの、タイミングを計って爆弾を置くのはちょっと難しい。
-
もちろんアイテムも出ないので最弱状態でのクリアを強いられる。
-
これをクリアすると敵が一切出ない何の意味もないボーナスステージを介してステージ1に続く。
-
ディスクカードではハドソン唯一のソフト。ファミコン初のサードパーティとして参入したハドソンだが、ディスクシステムには当初から注力していなかった。
-
本作のディスク書換え専用移植はディスクが容量やセーブ機能といった優位性を失ったことで「書換えによる安価な提供が可能」という強み活かしてディスクシステムの新展開を目論んだ流れによるものである(1988年中期あたりからファーストの任天堂ソフトをはじめとして行われていた)。
-
しかし本作の移植発売が実現した1990年4月ともなれば本作のような1985年あたりのカセットソフトならば中古で1,000円程度で購入可能だったことも珍しくなく遅きに失したものだった。それもあってか、当時からあまり注目されず、その少し後の8月には本作をほぼまるまる収録したゲームボーイソフト『ボンバーボーイ』を発売したこともあって以降の注目度は一層下落した。
-
NES版パッケージイラストではMSX2版『ボンバーキング』のイラストを流用されている。
-
初代作ゆえのシンプルな操作性ゆえ、飽きずに遊び続ける人もいる。2011年には、26年間毎日遊び続けた99歳のおばあちゃんがテレビ朝日の番組『ナニコレ珍百景』で登場し話題になった。
最終更新:2023年07月04日 18:03