この項目では『脱獄 -PRISONERS OF WAR-』のアーケード版とそのアレンジ移植のファミリーコンピュータ版を取り扱っています。
判定はいずれもなしです。
脱獄 -PRISONERS OF WAR-
【だつごく ぷりずなーずおぶうぉー】
| ジャンル | アクション |  | 
| 対応機種 | アーケード | 
| 発売・開発元 | SNK | 
| 稼働開始日 | 1988年11月 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 配信 | アーケードアーカイブス 【PS4】【Switch】2020年3月5日
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 重低音が響くハードアクション ベルトスクロール2人同時プレイ
 ボス的な存在がいないのでメリハリがあまりない
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概要
1988年11月にアーケードに導入されたSNKのベルトスクロールアクションゲーム。
タイトルが示す通り、主人公のスネークとバートが脱獄し敵地を脱出する。ゲームとしては全般的に肉弾戦で戦い、クリア地点まで行く着くことを目的とする。
2人同時プレイが可能。
内容
世界観
地獄の収容所を脱出し、その手に自由を勝ち取れ!!
システム
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横ベルトスクロール方式のアクションゲーム。
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時としてハシゴを登ったり飛び降りたりで縦(高さ)の動きをすることもあるが、それはすべてデモ処理で行われゲームとしては横の動きオンリーとなる。
 
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主人公の2人「スネーク(1P)」「バート(2P)」を操作して、大量に襲い掛かる敵を蹴散らしながら脱獄のために先を目指して進んでいく。
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二人とも基本的にはパンチやキック、頭突きといった肉弾戦で戦う。
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武器としてはナイフと銃があり、これは吹っ飛んだ敵が落としたものを拾って使用する。
 「ナイフ」………敵に投げ強力なダメージを与える。振り回すことはできない。
 「銃」………最強の武器で弾数は12発。撃つだけでなく銃底で殴ることもできる(発砲するよりは威力が落ちるが強力)。
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この2つの武器は、スネークやバートが持っていた場合でも、敵の攻撃で吹っ飛ばされると落としてしまう(再度拾い直しは可能)。
 
 
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敵は基本的に1発では倒せないので、何発も殴ったり蹴ったりを繰り返すことになる。
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とどめを刺すと「ボゴォーン」と普段よりも長い打撃のSEが鳴り、大きく吹っ飛んでいく。
 
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穴などはあるが敵に吹っ飛ばされても落下死することはない。
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これは敵も同様で、とどめを刺した場合以外はまるで見えない壁でもあるかのようにギリギリの位置で止まる。
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見た目は穴ではあるが、動ける区画を狭く縛るような役目になっている。
 
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ステージは上記の通り、横オンリーで行き切った区画に大勢の敵が一斉に襲ってくる。
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これがいわゆるステージボス的な扱いで、これを全滅させるとクリアーとなる。
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ステージクリア時は一枚絵と文字によるストーリーデモを挟んで次のステージに移行する。
 
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敵による手榴弾やバイク横転による爆発などのダメージは莫大で、爆心ほどダメージが大きい(爆風にギリギリ触れた程度なら即死はしない)。
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ただ、これらのダメージは敵にも有効で同士討ちさせることもできる。
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またドラム缶をマシンガン撃つと爆発して火柱が上がり、これも巻き込んでダメージを与えられる(当然スネークやバート自身も触れると爆発と同等のダメージ)。
 
評価点
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ハードなアクションで突破する爽快感。
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1発で倒せない敵が多く手間がかかるものの「ドカッ ボスッ」という打撃音はドラマなどの効果音のように重く響きプレイヤーのアドレナリンを高めてくれる。
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ナイフやマシンガンではこのような打撃音はないが、その威力で敵を次々を倒しまくれる威力をたっぷり感じられる。
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敵がやられる時の悲鳴などはかなりリアル。
 
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2人協力プレイの価値。
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特に本作では大勢のタフ敵と戦う機会が圧倒的に多いので、敵の散らしや挟み撃ちなどコンビネーションの価値も高い。
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タフさだけでなく後述の通り、敵の動きも狡猾でうまくハメなければならないバランスも相まって相方をカバーできるだけでも進行しやすさが段違い。
 
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肉弾戦に関してもかなり技が多彩。
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パンチの振りが速いので、リーチが短いハンデをカバーできている。この当時ゲームではよくあった悪癖「パンチはリーチが短いだけ」ではない。
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前を向きながら裏拳でそのまま後ろにも攻撃ができる。
 
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爆発などは敵も公平にダメージを受けるので、それを利用した手段が有効。
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特に銃はドラム缶やバイクなどを撃つことで爆発を発生させる機会を大幅に増やせるので、その有効性も高いし、ゲームでは軽視されがちなリアル感も大事にしている。
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もちろん自身もダメージを喰らうので気を付ける必要はある(特にバイク転倒時)。
 
 
問題点
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技は多彩なのは良いが少々バランスの悪い一面もある。
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頭突きにこれといって特徴がなく特に有効距離短く特別強くもないので存在意義があまりない。
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また、このようなゲームでは投げ技というのも王道型だったことを考えると、それがないのは不足感が否めず。
 
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回復ができない。
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特にこれが痛くノーダメクリアに近いものを要求されている。
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一応、ダメージはステージクリアで回復するのだが大勢に囲まれることが多いので辛いところ。
 
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敵の数が多く、全体的にタフなので、1人プレイではハメが主体となるバランス。
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一応武器も拾うことで使うことができるとはいえ数に限りがあるのでそこまで多用はできない。
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そのため難易度は高めと言えるだろう。
 
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あくまでも目的が「脱獄」であるためか、兵士の集団と戦うばかりでメリハリがない。
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他は重機のフックなどは敵というよりギミックでしかないし、異形の敵はオートバイ兵ぐらいしかいない。
 
総評
プレイ面は快適で打撃のSEの重低音が響き、そして大勢を相手に戦うハードアクション。しかもただ殴る蹴るだけでなく敵が投げる手榴弾やオートバイなどの爆発、果てはドラム缶を撃ちぬいて爆発させたりとリアル感も充実している。
敵の動きは狡猾なこともあって協力することで突破を容易することが多く、より一層2人プレイの価値が高められている。背景などのビジュアルも非常にリアル。
ただどうにも同じような兵士との戦いばかりに終始しており、ステージの最終区画でも、それが大量に出てくるだけとメリハリが今一つないのは気になる所。
その後の展開
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翌年の1989年6月にファミリーコンピュータのロムカセットソフトとして移植されている。
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詳細は後述の通りで、こちらではボスキャラが新規追加されているが2人同時プレイができなくなっている。
 
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単独移植としてはPS4とSwitchで「アーケードアーカイブス」として2020年3月5日に配信された。
余談
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海外では「PRISONERS OF WAR」を略した『P.O.W.』というタイトルで発売されている。
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「POW」(パウ)といえば、ファミコン初期の頃、パワーアップアイテムとしてよく使われてた単語でもある。
 
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武器の銃を敵に攻撃で落としてしまい、それを一旦敵に拾われ、その敵を倒して落としたものを拾うという奪い返した形になると弾数がまたマックスの12発に戻る(敵の手を介さず直接拾った場合は元通りの数)。
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もっとも前述通り、回復手段がないので意図的に狙うのはあまり実用的ではないが。
 
脱獄 -PRISONERS OF WAR-(FC)
【だつごく ぷりずなーずおぶうぉー】
| ジャンル | アクション |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| 発売元 | ケイ・アミューズメントリース | 
| 開発元 | SNK | 
| 発売日 | 1989年6月30日 | 
| 定価 | 5,600円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 新規アイテムやボスキャラの追加 2人同時の協力プレイがオミット
 ゲーム本編では硬派なイメージがダウン
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概要(FC)
前述のSNKのアーケード作品『脱獄』をファミリーコンピュータ向けにアレンジ移植したもので1989年6月にケイ・アミューズメントリースから発売された。
2人同時プレイがなくなり1人プレイ専用となった。
本項目では上記アーケード版との相違点・変更点を中心に扱うものとする。
変更点(FC)
世界観
A国陸軍に所属する軍人、コードネーム「バート」は司令官の命令により最高幹部「GOD総帥」の命を奪うべく敵基地に捕虜となって潜入した。
そしてまず二人は牢屋を爆破して脱出し、与えらた命令を遂行すべく動き出すのであった。
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上記の通りバックストーリーもアーケード版とは少し違う。
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1985年に公開されたアメリカ映画『ランボー 怒りの脱出』に近いものになっている。
 
ゲームシステム
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1人プレイ専用となりプレイヤーキャラはアーケードの2Pキャラ「バート」のみとなった。
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それにともなってステージクリア時の一枚絵はバート1人になっており台詞も「我々は」が「俺は」になっている。
 
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新アイテムの追加。
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AC版ではナイフとマシンガンぐらいしかなかったが、様々な追加アイテムがある。
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カイザーナックル………パンチ力を2倍にアップ。
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アーマージャケット………敵弾やナイフでダメージを受けなくなる。
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手榴弾………投げて爆発させる。後述のヘリや装甲車などにはこれでなければダメージを与えられない。
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ライフアイテム………ライフを満タンに回復させる。
 
 
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ステージボスの追加。
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ヘリや装甲車など大型のボスキャラが新しく追加された。
 
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アーケード版になかった水に半身浸かって進む冠水区画が導入。
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この中ではジャンプとキックができない。
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この区画専用の敵として「アクアラング兵」が登場。
 
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ボタンが少なくなった都合上、一部でオミットされたものや、出し方が変わったものがある。
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ジャンプすると強制的にジャンプキックになる。
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後ろを押しながらAでバックパンチ。
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頭突きはオミットされた。
 
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爆発などによる敵の同士討ちはなくなった。
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アーケード版では手榴弾やオートバイの爆発などは敵も触れれば公平にダメージを受けていたが、ファミコン版ではバートのみが受ける。
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しかも触れればどんな場合でも即死と極端になった。
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銃でドラム缶を撃って爆発させることもできなくなった。
 
 
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建物の入り口が入れるようになり、中には敵が待機している。
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敵を全滅させないと出られないが、全滅させた場合はアイテムが獲得できる(初回のみ)。
 
評価点(FC)
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新アイテムの追加。
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アーケード版ではナイフとマシンガンのみだったが多彩化した。
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ライフ回復のアイテムが導入されたことで難易度そのものは相対的に若干下がっている。
 
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アーケード版よりもゲームとしてのメリハリがついた。
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ボスキャラとのバトルが追加より途中途中の目的がより明確化され、特にヘリなどのマシンはいかにもで、これを倒すことでクリアーと直感的にとらえられる。
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ジャンプやキックができない冠水区間も、不便ではあるがこれも1つの障害として、違った戦闘を体感できる。
 
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操作ボタンの減少により肉弾戦の技数は減ったものの残すべきツボは抑えている。
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頭突きはオミットされたが、もともと性能的に没個性で必要性があまりなかっただけにそこまで気にならない。
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ただのジャンプがなくなりジャンプキックの強制発動化。
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元々ボタンが少ないファミコン向けにカスタマイズした都合だが、ただのジャンプをするメリットがなかっただけに強制的にジャンプキックが発動するのは手間が1つ減ったことにもなるため好材料。
 
 
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BGMは重低音が響き、アーケード版の雰囲気はしっかり維持されている。
賛否両論点(FC)
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ビジュアルはACを思えば劣化しつつもファミコンにしては、わりと優秀なレベル。
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やはり当時のファミコンでは再現が難しく、アーケード版を思うと同じ背景や一枚絵でもかなり簡素な描かれ方で見劣りする。
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反面ファミコンソフトにしては割と良く描けている方で特に背景のグラフィックは徳間書店の『ファミコンロムカセット オールカタログ』でも「やけにリアル」と褒められているほど。
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ストーリーデモでは当時のファミコンでは使えなくて当り前だった漢字が使われている。
 
 
問題点(FC)
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2人での同時プレイができなくなった。
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「ベルトスクロールアクションの2人同時プレイ」も持ち味の1つだっただけにオミットされてしまったのは残念な点である。
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似たような前例として『ダブルドラゴン』が挙げられるがこれはファミコンでは1年ほど前の話。
 
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当り判定の微妙な感覚がなくなり大味気味に。しかも自分だけが一方的にやられる仕様に。
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わかりやすいのが手榴弾やバイク等の爆発で、AC版のカスった程度ならちょっと大きいダメージ程度で済むなど爆炎に触れる深さで変わっていたが、本作ではどこであろうが触れると死んでしまう。
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これに付随して理不尽に感じられるのが高所から手榴弾を連続で投げてくる敵で通り抜ける範囲が狭くちょっと逸れただけで触れてしまい、あっさり即死。そんな敵が最初のステージから登場する。
 
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さらに前述の半身水中に沈む区画でも爆弾は容赦なく爆発する。
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また爆弾を投げる敵を逆用できなくなった。
 
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SEは全体的に劣化が激しい。
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やられた時の断末魔の叫びが貧弱さが否めない。
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まるで子供か赤ん坊が泣いているような声になってしまい、元々硬派なスタイルだっただけイメージを壊している。
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これならいっそ声の再現そのものに拘らない方が良かったぐらい。
 
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敵を肉弾戦で攻撃した時の「ドカッ ボスッ」と重低音も「ガサッ ザスッ」と草でも払うような軽めの音になって今一つ迫力がなくなった。
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攻撃を受けた時の動きもカクついたものになり、とどめを刺して吹っ飛んでいくアクションも軽々しいものに劣化。
 
 
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AC版よりも敵キャラの動きロジックに焦らしが多いためイライラしやすい。
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こちらに向かって積極的に攻撃してきたAC版から一転して後方にバックしたりする挙動が多くなった。それが頻発するとイライラさせられるし進行をモタつかせることが目立つ。
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2Pによる協力プレイがなくなったこともあって、挟み撃ちにしたりすることもできない。
 
 
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評価点とは逆にアイテムの多彩化の弊害で、それを失った時、そのままズルズルやられやすい。
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特にアーマージャケット(A)はもはやそれありきと言わんばかりのバランスで、やられて失うとかなりのムズゲーと化してしまう。
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回復アイテムこそ追加されたものの爆風やバイクの体当りなどはすべて即死で、その機会も多い。
 
総評(FC)
ボスキャラの導入によりメリハリがついた点や、新規アイテムの導入、中でも体力回復アイテムの導入によりダメージを受けても取り返しがきくようになった点は良い。
反面2人協力プレイができなくなりプレイにおける縮小感は否めない。敵の行動ロジックに焦らしが多くなったこともあり、ここで2人プレイできればともどかしく感じるところも少なくない。
また爆発の判定がやや大味になったり、SEやアクションはかなり貧弱になってしまったりと劣化を感じてしまう部分も多い。
全体的にはアーケード版とは一長一短といったところ。
その後の展開(FC)
余談(FC)
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基本的には移植であるため「脱獄」というタイトルは引き継いでいるが前述通り主人公バートは軍人で秘密指令を遂行するために行動しているためタイトルとはちょっと違うものになってしまっている。
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アーケード版と違ってゲーム中に脱獄するのはステージ1のみ。
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「PRISONERS OF WAR」をメインタイトルに持ってきた方が良かったかもしれない。
 
最終更新:2025年08月22日 12:52