トライアングルストラテジー

【とらいあんぐるすとらてじー】

ジャンル タクティクスRPG
対応機種 Nintendo Switch
Windows(Steam)
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス
アートディンク
マジックポット
発売日 【Switch】2022年3月4日
【Steam】2022年10月14日
定価 【Switch 通常版】7,680円
【Switch Collector's PACK】16,500円
【Steam 通常版】7,680円
【Steam Deluxe Edition】8,180円
プレイ人数 1人
セーブデータ 【Switch】10個+オートセーブ1個
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
ポイント リアリティのあるシリアスなシナリオ
考え甲斐のある奥深い戦闘
さらに進化したHD-2Dグラフィック
痒い所に手の届くシステム
育成の自由度は薄め
HD-2D作品
OCTOPATH TRAVELER / トライアングルストラテジー
ライブアライブ / OCTOPATH TRAVELER II / ドラゴンクエストIII


概要

OCTOPATH TRAVELER』に続く、ドット絵と3DCGを融合させた「HD-2D」シリーズの第2弾。
王道RPGだった前作と打って変わり、今作は戦記モノのシミュレーションRPG。
貴重な資源である「塩」を巡って三国が争う中で、戦乱や差別に苦しむ人々の生き様を赤裸々に描く。


ストーリー

三つの大国が争いを続けてきた戦乱の大地「ノゼリア」。
塩と鉄の利権をめぐる戦い「塩鉄大戦」が勃発した歴史のあるこの大陸では、
塩の利権を有する「聖ハイサンド大教国」、雪と氷に覆われた鉄の国「エスフロスト公国」、
その狭間にある森の国「グリンブルク王国」の三国が均衡を保ってきた。
しかし、ある事件をきっかけに三国の均衡が大きく崩れはじめる…

(Steam版公式サイトより引用)


キャラクター

初期パーティキャラ(信念の天秤参加メンバー)

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  • セレノア・ウォルホート(CV.小野賢章)
    • 主人公。グリンブルク臣下の御三家筆頭「ウォルホート家」の一人息子。 物語冒頭で、病弱なシモンに代わり若くして当主となる。
      • 誰にでも分け隔てなく接する誠実な性格。多くの領民を預かる立場と、自身の感情との板挟みになり幾度となく苦悩する。
    • 戦闘では豊富な剣技を活かして戦う。
  • フレデリカ・エスフロスト(CV.津田美波)
    • エスフロスト公国の第一公女で、総帥グスタドルフの異母妹。 セレノアとの政略結婚のため、彼女がウォルホート領にやってくるところから物語は始まる。
      • 母親が違うことと、被差別部族「ローゼル族」のハーフであることから、 グスタドルフの実弟タラース・実妹エリカから執拗な虐めを受け続けていた。
      • 長年の虐めに耐え抜くほど我慢強く、芯の強い性格。困っている人を見過ごせない優しさを持つ。
    • 戦闘では火属性の魔法を駆使する。
  • ロラン・グリンブルク(CV.中村悠一)
    • グリンブルク王国の第二王子。セレノアとは親友同士。 兄に比べ奔放な性格で、お忍びで城下に繰り出すことが度々ある。
      • 反面、周囲から期待されていないことや、自身が王の器ではないことを感じ取り悩んでいる。
    • 戦闘では騎馬による高い機動力と、槍技を武器に立ち回る。
  • ベネディクト・パスカル(CV.上田燿司)
    • ウォルフォート家の執事。 塩鉄大戦時代から先代当主・シモンに仕えており、ウォルホート家への忠誠心は人一倍強い。
      • 常に冷静で合理的な判断を下す現実主義者。戦術眼が鋭く、彼の奇策はしばしば膠着した状態の突破口となる。
    • 戦闘では味方に様々なバフをかける補助役。意外に耐久力も高い。
  • エラドール・バランタイン(CV.白熊寛嗣)
    • ウォルホート家の兵長。ベネディクトとは共に塩鉄大戦を戦い抜いた戦友の間柄。 性格は真逆で喧嘩も絶えないが、ここぞという場面ではピッタリと息が合う。
      • 豪快な性格だが、時に年長者らしい頼もしさも見せる。声が大きいのが玉に瑕。
    • 全キャラトップの物理防御を誇り、タンク役として戦線の要になる。魔法攻撃が弱点。
  • アンナ・パスカル(CV.千本木彩花)
    • ウォルホート家の密偵。敵陣視察や情報収集に活躍する。
      • ベネディクトの養子であると同時に、師弟のような関係でもある。
      • 寡黙な性格で、顔色一つ変えずに敵を始末することも。
    • 2回攻撃が可能な高速アタッカー。トップクラスの速度・回避も売り。
  • ヒューエット・バクラー(CV.小林ゆう)
    • グリンブルク王族を守る親衛隊の一人。ロランを敬愛しており、彼のお目付役でもある。
      • 生真面目な性格で、常に鍛錬を欠かさない。度々城を抜け出すロランに頭を悩ませている。
    • 巨大な鷹・フリューゲに乗って戦場を飛び回る弓兵。
  • ジーラ・ブレイス(CV.佐藤利奈)
    • フレデリカの教育係。彼女の従者としてエスフロストからやってきた。 辛い境遇に置かれていたフレデリカの幸せを誰よりも願っている。
      • 探求心が強く読書好きで、豊富な知識を蓄えている。
    • 戦闘では回復魔法でパーティを支える。

サブキャラ(グリンブルク王国)

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  • シモン・ウォルホート(CV.矢野正明)
    • セレノアの父。塩鉄大戦を終結に導いた伝説的武人。その高名と偉業は国を越えて轟いている。レグナ王とは旧友の間柄。
      • 持病の状態が思わしくないことを理由に、ウォルホート家当主の座を息子に譲る。
  • レグナ・グリンブルク(CV.藤沼健人)
    • グリンブルクを治める賢王。三国間の友好関係のため、共同採掘を立ち上げた。 息子2人の確執や、ロランの王子らしくない振る舞いを心配している。
      • 温厚な人柄だが、それ故に王党派貴族の横暴を許し、政治の実権を奪われている。
  • フラニ・グリンブルク(CV.佐伯匠)
    • ロランの兄にして、グリンブルク第一王子。
      • 王族の務めを第一に考える責任感の強い人物。ロランとは考え方の違いからそりが合わない。
  • コーデリア・グリンブルク(CV.上田麗奈)
    • グリンブルク第一王女。フラニとロランの妹。控えめな印象だが、家族と国を思う気持ちは強い。
      • 慈愛に溢れた心優しい性格。対立しがちな兄2人の姿に心を痛めている。
  • マクスウェル・トライア(CV.子安武人)
    • グリンブルク一の実力を誇る伝説の槍聖。ロランの武術指南役でもある。
      • 常に仮面をつけており、その素顔を知る者は少ない。
  • パトリアト・カンザーブ(CV.永野善一)
    • グリンブルク王国大臣。歴史の古いグリンブルクの政治的慣習をよく知ることを利用し、 王党派貴族を味方につけて勢力を築き、 レグナをお飾りの王にして実権を握っている。既得権益を貪り、国内の政治腐敗をもたらしている元凶。
  • ランドロイ・ファルクス(CV.武田幸史)
    • グリンブルク御三家の一角、ファルクス家の当主。領土には広大な穀倉地帯がある。
      • グリンブルクに絶対の忠誠を誓う誇り高い武人。弓を持たせたら右に出る者はいない。
  • シルヴィオ・テリオール(CV.吉野貴宏)
    • グリンブルク御三家の一角、テリオール家の当主。水源の管理を任されている。
      • 常に自己の保身を優先する日和見主義者。ついた仇名が「風見鶏」。
  • ユリオ・ライトマン(CV.駒田航)
    • パトリアトの補佐をする武官。しかしパトリアトの不正を告発しようとしたことで決別。 自らの正義を貫くためにウォルホート家に加担する。
    • 敵味方のTPを操作するサポート技を多く持つ。
  • ジェロム・ライズミ(CV.石谷春貴)
    • ウォルホート領内にある、ローゼル族の村を治める若き首長。
      • ハイサンドから脱走した自分達を受け入れ、住処を与えてくれたウォルホート家に深く感謝している。

サブキャラ(エスフロスト公国)

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  • グスタドルフ・エスフロスト(CV.星野貴紀)
    • 圧倒的なカリスマ性を誇る、エスフロスト総帥。フレデリカの腹違いの兄。
      • 徹底した自由主義・実力主義を掲げて競争を促し、富国強兵を進めた。
      • 絶対の自信を持つ傲慢不遜な男。彼が信じる者は己自身のみ。
  • タラース・エスフロスト(CV.奥村翔)
    • エスフロスト宰相にして、グスタドルフの実弟。
      • エリカと二人で、長年に渡りフレデリカを虐めてきた。 他人の命や尊厳を顧みない、卑劣にして残虐な男。
  • エリカ・エスフロスト(CV.藤田曜子)
    • グスタドルフの妹で、タラースの姉。
      • タラース同様に身勝手で残酷な性格。宝石や美術品に目が無い。
  • スヴァローグ・エスフロスト(CV.楠見尚己)
    • 先代総帥の弟にして、グスタドルフやフレデリカの叔父。 甥の手で辺境の「双塔の門」の警備に追いやられた。
      • グスタドルフへの復讐の機会を、虎視眈々と狙っている。 一方で、フレデリカの不遇な立場には理解を示す。
  • ドラガン・エスフロスト(CV.松本洋平)
    • スヴァローグの息子。フレデリカの従兄弟にあたる。
      • 父の威厳を取り戻すため、「爆裂丸」を開発して三国共同採掘事業の先頭に立つ。
  • アヴローラ(CV.本田貴子)
    • エスフロスト最強と名高い剣技を振るう将軍。
      • 元は孤児だったが、実力のみで今の地位に上り詰めた。自分にも他人にも厳しい性格。
  • シクレス・デュート(CV.大泊貴揮)
    • エスフロスト憲兵隊長。規律を重んじる実直な性格だが、 何か事情がありそうなルドルフには目をかけている。
  • ルドルフ・ミューラー(CV.加瀬康之)
    • 凄腕の狩人。ある事情から違法な塩の運び屋となり、連行された。
      • 密売人の確保に協力することを条件にシクレスから恩赦を受け、セレノア達とも共闘する。
    • 戦闘では、弓を使った遠距離攻撃を得意とする。
  • フラナガン・グルート(CV.井上和彦)
    • かつて「血塗られた盾」と呼ばれた元エスフロスト軍人。 グスタドルフのやり方に賛同できず、ウォルホート家に仕えることを選んだ。
    • ヒューエットと同じく飛行移動が可能。機動力のあるタンク。
  • ジバンナ・コペル(CV.相沢舞)
    • エスフロスト書院で研究に励んでいた地質学者。 ノゼリアの大地の秘密に迫る実地調査をするため、ウォルホート家の一員となる。
    • 戦闘では、自分が立っている地形に応じた技を繰り出す。

サブキャラ(聖ハイサンド大教国)

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  • イドー・デルミラ(CV.中博史)
    • ハイサンドを治める「七聖人」の一人。七聖人最年長にして実質的なリーダー格。 七聖人の長である、教皇の声を聞くことを許された唯一の人物。
      • 一見すると穏やかな老人だが、その何事にも動じない佇まいは底知れぬ迫力を感じさせる。
  • エグスアム・マーシャル(CV.古川慎)
    • その剣の腕で、若くして七聖人の地位を勝ち取った俊英。軍事全般を任されている。
      • かなりの野心家で、いずれはハイサンドの頂点に立つことを考えている。
  • ライラ・ビザークラフト(CV.森なな子)
    • 七聖人の紅一点。医法院の院長でもあり、医療・研究を指揮する。
      • 七聖人の中では比較的常識的な感性の持ち主。薬学や魔法学など、多方面に精通している。
  • カンセル・パレント(CV.前田雄)
    • 七聖人の一人。憲兵隊長として国内の治安維持を担う。 塩の女神の加護を盲信している。
  • エニグマ・ミステル(CV.藤沼建人)
    • 七聖人の一人。歴史の編纂や書物の管理を担当する。
  • ソルスレイ・エンデ(CV.林大地)
    • 「塩の番人」の異名をとる七聖人の一人。塩湖の管理を任されている。 金と欲にまみれた醜悪な男。
  • ブッカー・ペイノイス(CV.松本忍)
    • ソルスレイの右腕。エンデ家の利益のために、影となり日向となり奔走する。
  • ミロ・ユーウェル(CV.恒松あゆみ)
    • 妖艶な雰囲気を纏うハイサンドの密偵。イドーからの密命を受け、踊り子を装って暗躍する。
      • CERO:Cとは到底思えない程にセクシーな服装をしている。
  • コーレンティン・ジェンナー(CV.花輪英司)
    • 医法院で働く研究者。 ハイサンドの閉鎖的な体制のために、思うような研究が出来ないことに辟易している。
      • 魔法オタクで、珍しい魔法を目にすると興奮し始める。また実は酒癖が悪い。
    • 戦闘では、氷魔法で地形を凍らせながら戦う。
  • メディナ・アリウム(CV.三上枝織)
    • 医法院に勤める薬師だったが、人の命の重さに差がつけられている実態を目にしたこと、 救えたはずの命を救えなかったことで医法院に失望。 命の価値を追い求めるため、ハイサンドを出てウォルホート家に仕官した。
    • 戦闘ではアイテムで味方を回復しつつ、TP供給役も担う。

サブキャラ(その他)

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  • トラヴィス(CV.大塚芳忠)
    • 盗賊団「トラヴィス一家」を率いる頭領。 無法者だが根っからの悪人ではない様子で、どこか憎めない。
  • トリッシュ(CV.青木瑠璃子)
    • 男勝りな性格の、トラヴィスの娘。 寄る年波から腰痛に悩まされている父親を心配している。
  • クラルス・ブロッカ(CV.安部川賢治郎)
    • 三国のいずれにも属さず、中立な立場から流通を取り仕切る「ノゼリア商会」の元締め。 交渉術や立ち回りに長けたやり手の商人。
      • ただし利益になると踏めば、戦争に加担することもある。
  • ルーフー・タイラント(CV.杉崎亮)
    • 粗暴な性格の傭兵。通称「英雄殺し」。 高名な武人を叩き潰すことだけを生き甲斐とする荒くれ者。
  • ピコレッタ(CV.大川春奈)
    • 幼くして戦災孤児となり、サーカス団に身を寄せていた曲芸師の幼女。
      • しかし戦乱の影響でサーカス団が解散し、再び天涯孤独の身になっていたところをジーラに助けられる。
    • 敵の攻撃を引きつける「デコイちゃん」を生み出す、デコイと自身の位置を入れ替える等トリッキーな技を多数持つ。
  • ナルヴ・オパーリン(CV.堀総士郎)
    • 自称、大魔法使いグランダンテの孫にして最後の弟子。 「じっちゃんの汚名を晴らす」ことを目標に、ウォルホート家の戦列に加わる。
    • 全属性の魔法に加え、回復魔法まで使える器用万能な魔道士。
  • エザナ・クリンカ(CV.清水理沙)
    • 天候を操る技を持つ祈祷師。その力で苦しむ人々を救う旅の中でセレノア達と出会う。
    • 雨や嵐、雷などを呼び寄せて戦う。
  • グローマ・ユルギナ(CV.片岡富枝)
    • 飄々とした印象の拳法使いの老婆。 その正体は塩鉄大戦で名を馳せた、元エスフロスト将軍。セレノアの信念に共感し、協力することになる。
    • 回避からのカウンター戦法を得意とする。
  • コハク(CV.室伏佑哉)
    • 未来を見通す力を持った少年。その力から神の子と崇められてきたが、 セレノア達に協力する未来を見たことからウォルホート領を訪れる。
    • 時間を止める、ユニットの位置を入れ替えるといった時間と空間を操るテクニカルな術を使う。
  • デシマル(CV.釘宮理恵)
    • 自我を持ち、人語を解する謎のからくり人形。
      • ややポンコツ気味で、前の「ご主人様」に捨てられたところをアンナに拾われ、以後彼女を「ご主人様」と呼ぶようになる。
    • 敵の高さや現在HPを参照する、数字に関する特殊な攻撃技が特徴。またあらゆる状態異常を無効化する。
  • イェンス・メイカー(CV.河西健吾)
    • ウォルホート家の詰所で鍛冶屋を営む青年。 新たなスキル習得のために欠かせない存在。
  • アーチボルト・ギノ(CV.塩屋翼)
    • ウォルホート家の詰所のよろず屋。 戦巧ポイントとアイテムの交換や、クラスアップを行ってくれる。
  • ライオネル・カピタ(CV.森川智之)
    • 詰所の商人。戦闘や育成に役立つアイテムを購入できる。
  • ホスハバラ・フレア(CV.斉藤貴美子)
    • 詰所で酒場を営む女将。 セレノア達に「想定バトル」を提供し、レベリングを助けてくれる。

特徴

シナリオ

  • 登場人物が非常に多い群像劇で、様々な立場の人物の思惑が交差する。 主人公達以外の視点も度々挿入される。

多数のルート分岐

  • 後述する「信念の天秤」によって大きく運命が変わり、 180度違うストーリーになる場面が多々ある。
    • 最終的には3つのED(+隠しED1つ)のいずれかの結末を迎える。

戦闘

  • 高さと向きの概念がある、クォータービューの3D戦略シミュレーションRPG。 地形や障害物などを利用して有利な戦況を構築していく。 『タクティクスオウガ』『ファイナルファンタジータクティクス』等のフォロワーと言える。
    • あちらと同じく非ターン制で、素早さ順に敵味方が入り乱れて行動していく。
  • 魔法や技などのアビリティ使用には、規定数のTPが必要。TPは1ターンに1ずつ自然回復するが、それ以外の供給手段も多数ある。
  • キャラロストは無い。HP0で死亡しても次のマップではまた出撃可能。その代わり、死亡したマップ内で戦線復帰させる手段は限られる。
  • キャラの行動とは別に、メニューから「切札」が発動できる。『スーパーロボット大戦シリーズ』の精神コマンドのようなもの。
    • 切札は同マップ内で、一種類一度のみ使用可能。
    • 「切札ポイント」が残っている限り、好きなタイミングで何種類でも使える。 切札の種類によって消費するポイントが異なる。切札ポイントはマップをクリアすると全快する。
    • 「敵1体の一切の行動を1ターン封じる」「味方1人のTPを3回復」「死亡した味方を蘇生」など強力な効果が多い。
  • ステージをクリアすると、ゴールドとアイテムに加えて「戦巧ポイント」を獲得できる。
    • 「高所から攻撃」「背後から攻撃」「複数の敵を同時に攻撃」といった効率的な行動を取る度に、貰えるポイントが増える。
    • 戦巧ポイントを消費することで、よろず屋で「切札」「切札ポイント」「クラスアップアイテム」などを購入可能。

育成要素

  • 戦闘中に使用できるコマンドアビリティやパッシブスキルは、以下の方法で増えていく。
    • キャラクターのレベルを上げる。
    • 鍛冶屋にゴールドと一定数の素材アイテムを支払い、スキルツリー内の任意のアビリティやパッシブを習得する。
      • 同じく鍛冶屋にゴールドと強化素材を渡すと、武器自体の強化を行える。 スキルツリーの次の段階が解放され、取得できるスキルが増える。
    • よろず屋にクラスアップアイテムを渡し、上位クラスにチェンジする。
      • レベルアップで習得可能なアビリティが増える。ステータスも全体的にアップする。
      • クラスアップは完全な一本道。複数のクラスから選ぶといったことは出来ない。
  • 酒場で「想定バトル*1」を行うことで、経験値・ゴールド・素材アイテム等を入手できる。
  • 装備品はアクセサリのみ。一人2個まで装備でき、ステータス強化・属性耐性などの効果が得られる。
  • 武器は元々装備しているものを鍛冶屋で鍛えるのみ。付け替えは出来ない。防具は存在しない。

RPGパート

  • 一般的なRPGのように、この後バトルが始まるマップや城下町を探索できるパートがある。
    • アイテムの入手や情報収集、バトルで使えるギミック確認、後述する信念パラメータの上昇などが行える。

評価点

重厚でシリアスなストーリー

  • シナリオは非常によく練られている。
  • 「何かを得るために、何かを犠牲にする」「正義とは何か」「人間の愚かさ」「戦乱の残した爪痕」「人種差別」など、 重苦しいテーマを多数扱う作風はまさしく『タクティクスオウガ』『ファイナルファンタジータクティクス』の系譜。そして最終的にそれらを無理なくまとめ上げている。
    • いずれも現実でも度々議論される永遠の命題であり、事細かに描かれる鬱々とした描写も相まってかなり考えさせられる。
    • 人間以下の扱いをされるローゼル族、戦争で両親を失って心が壊れていく幼子など、悲惨な境遇に置かれた人々の描写はリアリティがあり涙腺を刺激する。
    • ほとんどのEDで円満な解決とはいかず、後味の悪い終わり方をしたり、今後も問題が山積みであることを予感させたりと、上記の諸問題が簡単には解決できないことを感じさせてくれる。
  • 塩を奪い合って謀略・根回し・騙し合いを繰り返す三国の立ち回りは見応え抜群。息もつかせず戦況が二転三転していくので、戦記ものが好きなプレイヤーなら寝る間を惜しんでプレイしてしまうこと請け合い。
    • 実力主義を掲げているために容赦ない振る舞いが目立つエスフロスト、秩序ある国家に見せかけて宗教に裏から支配されているハイサンドに比べ、グリンブルクは一見良識ある国に見える。しかし一枚岩ではなく、グリンブルク内でも利権争い等で陰謀が渦巻いている様がリアル。
      • セレノアらウォルホート家はグリンブルクに仕える立場だが、完全に従順というわけではなくあくまで自分の信じる道を進む。ルート次第ではグリンブルクの利に反する行動もするので、いい意味でハラハラさせられる。
    • 数多の思惑が絡み合う物語でありながら、難解にはなっておらずすんなり理解できる点も長所。
  • 世界観も作り込まれている。本編中で名言はされないがノゼリアは外界から隔絶された高地であり、塩の希少価値が高いことが様々な描写からうかがえる*2
    • この辺りの事情は、RPGパートで入手できる「ノゼリア見聞録」や、ショップで購入できる「手記」を集めることで断片的に見えてくる。
      • これらのアイテムはゲーム上はおまけ扱いだが、かなり読み応えがあり世界観に深みを与えている。本編から数十年前に起こった「塩鉄大戦」についての記述もあり、そこではセレノアの父など親世代の活躍が垣間見える。 「塩鉄大戦をテーマにした前日譚のゲームを出して欲しい」との声が挙がるほど濃い内容。

「信念」「天秤」システム

  • 会話中の選択肢や戦闘中の行動などによって、セレノアの信念が変化していく。
    • 信念は「Moral」「Benefit」「Freedom」の3通り。信念パラメータの値によって、加入する仲間キャラが変わってくる。
      • 大まかに言うと倫理的・自制的な選択をするとMoral、実益を優先するとBenefit、 奔放な言動をしたり感情に従ったりするとFreedomが伸びる傾向がある。
  • そして本作のキモと言えるのが「信念の天秤」。 要は初期キャラ7人の投票で重大な選択を決める多数決なのだが、 投票の前に説得を試みることで、仲間の意見が覆る可能性がある。
    • ここで関わってくるのが信念パラメータ。例えばMoralの値が高ければMoral寄りの意見に変更させ易いが、逆にBenefitルートへ行くための説得には応じない…といった具合。
      • 信念パラメータは1周目ではマスクデータであること、説得の成否は投票までわからないことにより、良い緊張感をもって投票を見守ることが出来る。
    • 信念以外にも「相手が掌を返したくなるような情報を提示できたか」も説得を左右する。故に、RPGパートでの情報収集もかなり重要。
  • 天秤にかけられる選択肢も、セレノア達の命運を握るようなものが多い。 例を挙げると「敵国の要求を呑み、要人を差し出すか否か」「塩の不正取引の片棒を担ぐか、告発するか」「領民を敵国に引き渡すか否か」など。
    • どれも「彼方立てれば此方が立たぬ」といった究極の選択の類。どちらを決断しても何らかの犠牲が出るのは必至で、到底八方丸くは収まらない。 選択次第では、仲間と永遠の別離になることもある。鬱展開が続くシナリオにさらなるシビアさと切なさを上乗せし、本気でプレイヤーの心を抉りに来るシステムである。
    • セレノア自身も選択の度に心を痛めるので、主人公とプレイヤーとの一体感が否応なしに高まる。

個性溢れるキャラクター

  • 記号的なキャラクターは一人もおらず、脇役・敵方も含め全員が血の通った人間らしい多面性と奥行きを持っている。
    • 舞台設定が設定だけに、迫害されて生きてきたフレデリカ、幼くして天涯孤独となったピコレッタなど可哀想な境遇のキャラが多く、ついつい感情移入してしまう。
    • 若者達だけでなく、塩鉄大戦を経験しているベネディクト・エラドール等のおっさん勢も、豊富な人生経験・戦争体験から来る哀愁や含蓄のある台詞で強い存在感を放つ。
      • 一方、一定回数出撃させることで読めるようになる「挿話」では、重い背景を背負ったキャラ達がコミカルな一面を見せることもあり、殺伐とした本筋の清涼剤となってくれる。
  • サブキャラクターは、仲間入りした後は本筋にはほぼ絡まないものの、関わりの深い敵キャラと対峙した際は互いの信念を掛けた熱い掛け合いをしてくれる。
    • メディナとライラ、ホスハバラとグスタドルフなど意外な組み合わせでの掛け合いボイスもある。
      • 極めつきに、真ラスボス戦では全キャラに専用の掛け合いが用意されている。最終決戦をこれ以上なく盛り上げてくれる。
  • またサブキャラはメインシナリオでの出番が少ない分、サイドストーリー的な「挿話」でしっかり内面を掘り下げてもらえる。
    • 挿話は全仲間キャラに用意されていてフルボイスな上に、ドラマ性や台詞回しも本編に負けず劣らず力が入っている。これを網羅するためだけに全キャラの出撃回数を稼ぐプレイヤーもいるとか。
  • 声優陣は大御所から中堅の人気どころ、新進気鋭の若手まで幅広く起用しているが、 皆魂のこもった熱演でシナリオに花を添えてくれている。
    • 中でも序盤での冷静な忠臣っぷりを脱ぎ捨て、 終盤のとあるシーンで包み隠していた本心を吐露する、ベネディクト役:上田燿司氏の鬼気迫る演技は必聴。

奥深く歯応えのある戦闘

  • 「高所からの弓は性能が上がる」「ターン毎に回復していくTP」 「背後からの攻撃は威力と命中率アップ」など、『タクティクスオウガ』をリスペクトしたような要素も多いが、 決してただの模倣にとどまってはいない。
    • 特徴的なのが「追撃」システム。味方同士で敵を挟んだ状態で直接攻撃をすると、反対側にいる味方が追撃をしてくれて大きくダメージを稼げる。
      • これにより、SRPGにおける「位置取り」の重要性が一層高まっている。また非力な魔法キャラの打撃にも意味が生まれている。
  • 「範囲内の敵を即死させる」「遠距離まで瞬時に移動できる」といった 戦況を一変させるギミックも多く、上手く活用できるかどうかで難易度は激変する。
    • ただしステージによっては、ギミックを敢えて使わなかった場合のみ聞ける台詞も存在する。 上級者向けに縛りプレイの余地も残しており、遊びの幅も広い。
  • 仲間は総勢30人もいるが、役割のないキャラや完全な下位互換は皆無。 全員が際立った個性を持っており活躍の道がある。
    • 初期メンバーは「断トツの物理防御を誇るタンク」「移動力が売りの飛行弓兵」「回復専門職」など強みのわかり易いキャラばかりだが、 信念パラメータを上げていくと「敵をノックバックさせる罠を張れる罠師」 「1ターン前に時を戻せる時間術師」「3/4/5の倍数のHPの敵を狙う全画面攻撃持ち」など 尖った性能のサブキャラが続々と加入する。
      • 彼らを活かすパーティ編成を考えているだけで、あっという間に時間が過ぎる。 組み合わせはまさに無限大で、プレイヤーの数だけパーティがある。
      • 一見すると使い道が乏しそうなキャラでも、シナジーを考慮すれば一気に化けることもある。 自分で考えた戦術がピタリとハマった時の爽快感はかなりのもの。非常に中毒性のあるバトルと言える。
  • 難易度はSRPGの中では高い方。難易度ノーマル(上から2番目)でも敵の火力が高く、漫然とプレイしていると容易に敗北する。
    • 特に終盤ステージは一筋縄ではいかないものばかりで、しっかり戦略を練って挑む必要がある。 その分難関ステージを突破できた時の達成感もひとしお。
    • 切札、一部キャラのスキルなど救済措置も複数ある。また難易度はいつでも変更可能。
  • 4つのEDをクリアする度に、高難度の想定バトルが1つずつ解放される。 また死亡者ゼロでEDを見ることでのみ手に入るアクセサリも存在*3。 長時間のやり込みプレイにも耐え得る懐の深さがある。
    • 難易度ハードでの死亡者ゼロ縛りは廃人の域。達成できたらSRPGマスターを名乗っても良いだろう。

周回プレイ

  • 2周目からは、マスクデータだった信念パラメータの現在値・3種の信念の上昇条件・サブキャラ加入に必要な信念の値が全て開示される。
    • 不足している信念を能動的に補充していけるようになり、天秤投票時の説得や、仲間加入が格段にやり易くなる。
    • 一度上がった信念は下がることは無いので、3周目辺りで3つの信念全てが数千を越え、全ての説得が余裕で成功するようになる。
      • 1周目ではままならなかったルート選択だが、最終的にはプレイヤーが自由にルートを選べるも同然になる。
  • 周回時に引継げない項目はほぼ無い*4。信念の累積値・仲間の加入状況・育成状況・所持アイテムなど全て持ち越せる (終盤で加入するはずの仲間がパーティにいるとシナリオに矛盾が出るので、物語上はいないものとして扱われる。また加入済の仲間が敵として出てくるマップでは、その仲間は出撃できない)。
    • 高次周回になるにつれて仲間が埋まっていったり、強力なアクセサリを幾つも入手したり、未取得のスキルがなくなったりするのはコレクター魂を満たしてくれる。
      • 自軍もどんどん強くなっていくため以前苦戦したマップを軽くいなせるようになっていき、周回が非常に楽しい。
  • イベントをしっかり見つつ、4種のEDを全て回ると100時間を軽く越えるプレイ時間となる。
    • さらに全キャラ育成・高難度想定バトルなどのやり込みまでこなすと200時間に迫ることも珍しくない。SRPGとしてのボリュームは申し分ない。

快適なシステム

  • 一戦に時間がかかるSRPGのゲーム性と、難易度が高めであることを踏まえて、 極力プレイヤーにストレスを与えない工夫が凝らされている。
    • 現在地まで届く敵からの攻撃が赤線で示される(ボスの攻撃は太い赤線)。 攻撃範囲を一々確認する必要がない。
    • 敵味方の行動順が常に画面下に表示されている。先を見据えた作戦が立てられる。
    • レベルの低い仲間は取得経験値に補正がかかり、一瞬でレベルを上げられる。 新しく加入したキャラもすぐに前線に投入できる。
    • 敗北しても得た経験値を引継ぎ、消費したアイテムをリセットして再戦できる。
    • 倍速戦闘、イベントスキップなどの時短要素も完備。

美麗なグラフィック

  • 『OCTOPATH TRAVELER』でも評価されたHD-2D技術はさらに進化。
    • ドット絵のモーションパターンがかなり増えており、キャラクターの息遣いがより生き生きと感じられる。
    • 背景も細かく描き込まれている。太陽光がキラキラと反射する水面、夜のライトアップされた風景などは息を呑む程の美しさ。 Unreal Engine 4の性能を存分に活かしている。

耳に残るBGM

  • 『OCTOPATH TRAVELER』の流れを汲み、音楽は主旋律の主張が強い、昔ながらのゲームBGM。
    • 作曲は『機動戦士Vガンダム』などで有名な大御所の千住明氏。 メインテーマ、14話のアヴローラ戦、真ラスボス戦など、所謂「泣きメロ」が印象的な良曲が多数提供されている。

賛否両論点

シナリオパートが長い

  • 本作は群像劇で多数の人物の視点を描く必要があり、一つ一つの描写も丁寧なため、シナリオをじっくり読んでいくとそれなりの時間がかかる。 ボイスを全て聞いていると、戦闘と戦闘の間が30分以上経っていることも。
    • だが文章の質は高く、刻々と三国間の状況も変化するため読んでいて退屈になるようなものではない。 また体験版の範囲(1~3話)のシナリオ量が特に批判されたが、序盤が最も文章量が多く4話以降は減っていく傾向にある。

育成の自由度が低い

  • オウガバトルサーガ』や、近年の『ファイアーエムブレムシリーズ』のような自由なジョブチェンジや職を越えたスキル取得は出来ず、各キャラの出来ることは固定されている。 育成上の選択肢はあくまで「誰にリソースをつぎ込むか」「どのスキルを先に取るか」といった優先順の範囲に留まる。
    • ただ本作の戦闘バランスが高評価を得た一因にもなっているので、一概に欠点とも言い切れない。 本作は「育成の自由度」の代わりに「パーティ編成の自由度」にスポットを当てた作品と言える。

想定バトルのやり込み甲斐に乏しい仕様

  • 想定バトルでは経験値・お金・アイテムが入手できるが、店売りされない特殊アイテムやイベント解放などの報酬はない。そのため金策や経験値稼ぎに有用な想定バトル以外の大半の想定バトルはクリアするメリットが少ない。
  • クリア時のターン数などのプレイレコードの記録などもなく、上記のように周回ごとにクリアマークがリセットされるのも周回時のやり直しに繋がるという点でモチベーションを削ぐ。
  • もっとも想定バトル自体が自己満足のやり込み的な側面があり、サイド要素をプレイするのはあくまでユーザーの自由なのでそこまで多くを要求するべきではないという意見も。

キャラに性能差がある

  • SRPGで避けて通れない問題ではあるが、やはり本作にもキャラの強弱は存在する。
  • 強キャラとしてよく名前が挙がるのは、薬師のメディナと幽術士のコハク。
    • メディナは「アイテムで回復した味方のTPを回復させる」パッシブを持つ。 メディナは遠距離からアイテムを投げられる上、範囲回復アイテムの場合は全員のTPが回復するので、 安全地帯から最大5人に一気にTPを供給できる(単純計算で、一度の行動でTP+5)。
      • 本作はTPの確保がかなり重要になるゲームデザインであり、メディナがいるといないとで行動選択の幅に雲泥の差が出てくる。
    • アビリティ「即行薬」も「味方一人を即座に行動可能にする」という強力な技。
      • ベネディクトの「今だッ…!」と同じ効果だが、あちらがTP3使って発動する効果をTP2で付与出来る。
    • いずれの技もアイテムを消費するため「金がかかる」という一応の弱点はあるが、想定バトルを繰り返して金策をすれば全く気にならなくなる。
  • コハクは「時間差攻撃」「時間の巻き戻し」など、一見すると癖の強い技が多い玄人向けキャラ。 しかし少し性質を理解するだけで、大きく有利な状況を作れるアビリティが目白押し。
    • 例えば「空間巻戻の言葉」は味方一人の状況を1ターン前に戻すが、付与されていたバフも戻せるので無敵/2回行動といった強力な効果を再度使える。
    • 「空間入替の言葉」は自分と任意のユニットの位置を入れ替える。離れた位置から攻撃してくるボスを、自軍のド真ん中に無理矢理連れてきて集中攻撃できる。
    • 「時間追撃の言葉」は敵1体に1ターン後にダメージを与える。一見地味だが割合ダメージであるため、敵の防御力を無視してHPを削れる。
    • 奥義「世界巻戻の言葉」はTP3消費してフィールド全体の状況を1ターン前に戻す。 自分以外が使ったTPも戻ってくる上、倒した敵は生き返らないので、TP回復アビリティを持つユリオと併用することで味方全員がTPを大量に使う大技を毎ターン叩き込める。
  • 逆に弱いと言われているのは地学者ジバンナや槍騎士ロラン。
    • ジバンナは自分の立っている地形に応じて技を発動出来る「風水士」的なキャラ。 しかしマップによっては一番弱い石礫しか撃てなかったり、それすら使えなかったりすることも多い。
      • これだけ発動条件が厳しいのに、技の性能も秀でてはいない。火力も高くないし、追加効果の発動率もイマイチ。
      • 一応奥義「母なる大地の咆哮」だけは発動条件がなく、範囲も十字方向のみだが無限射程となかなかの性能。TP3を溜めては咆哮をぶっ放す移動砲台と割り切れば戦力になれる。
      • また氷マスを作り出せるコーレンティンと組めば、何も出来ない状況は少なくなる。氷マス上で発動できる技の使い勝手も他よりは良い。
  • ロランは数少ない移動力6のキャラだが、耐久面に不安があり突出し過ぎるとすぐやられてしまう。
    • 槍使いだが自身も槍が弱点なのも、打たれ弱さに拍車をかける(全編を通して槍使いの敵は頻繁に登場する)。
      またロランの強制出撃で枠が1つ埋まってしまうステージやロランの敗走が敗北条件に設定されているステージが多い事も打たれ弱い印象を強めている。
    • 槍は「複数の敵を同時に攻撃出来る」「1マス先から攻撃出来る」ことが売りではあるが、 範囲攻撃を持つキャラは多いし、弓兵や魔道士ならもっと遠くから安全に殴れる。
    • 但し独自の強みがないわけではなく、奥義「四頭龍撃」の防御無視と高い移動力の噛み合いが活かせる。「空間歪曲の言葉」で敵将の元に送り込み、切札による再行動と命中補助を組み合わせて敵将を瞬殺することで早解きが可能であったりする。
+ 終盤加入キャラのネタバレ
  • ロランの立場を致命的に悪くしているのが、もう一人の槍使いの存在。 必要な信念パラメータが高めで加入は終盤になりがちではあるが、 「弱点を持たない」「移動力5だが使い易い移動技持ち」「自動蘇生パッシブ・TP回復パッシブ持ち」と ロランの強みを悉く食っている。
    • ただし「ノックバック技」「防御無視技」等はロランにあって彼には無いものであり、完全な上位互換とは言い切れない。 また移動力や槍の長所を重視し、2人を同時に起用するのも充分有効な選択肢と言える。
  • 勿論前述のように「全く使えない」レベルの所謂産廃キャラは存在せず、工夫次第で全員に見せ場を作ることは可能であることを念押ししておく。

シナリオ上での一部キャラの扱い

  • 特定の味方キャラの言動に共感できない、という声が一部である。
    + 以下ネタバレ
  • よく言われるのはロラン。最終的に彼の選択に従う、通称「ロランED」での言動が糾弾されることがある。
    • 一言で言うと聖ハイサンド教国への全面降伏。ハイサンドは元を正せばこの戦乱の元凶であり、 その軍門に下る選択をした彼に批判の声が挙がっている。
      • ただしこれはロランなりに苦しんで考え抜いた末の選択である。 実際、この結末によって救われた人々が少なからずいることもしっかり描写されている。
      • 彼がこの決断をした背景は、15話でロランについていく選択肢を選ぶとよくわかる。 だがこのイベントはロランEDに入る上で必須ではないので、15話でロランの心情を見れなかった人が誤解してしまった可能性もある。
      • ハイサンドに全面的に従う関係上、ハイサンドが奴隷扱いしているローゼル族を見捨てる形になってしまったのも批判される一因。 しかし他のEDでも必ず何かしらの犠牲は出ているため、ロランEDだけを取り立てて非難するのも理不尽な話ではある。
      • もっとも本来のロランは理想主義者であり、それがヒューエットなどの配下に慕われるカリスマ性にもつながっているキャラである。それ故に民衆の声に触れて心が折れ妥協案に流れてしまう姿は、覚悟が足りないと言われても仕方のないことであり、「温室育ちの未熟者」という印象をも与えてしまう。
      • フォローとして真EDでは上記の決断を反省する場面もしっかり描かれる点には言及しておきたい。
  • ロラン程ではないが、フレデリカも槍玉に上げられることがある。 「口を開けばローゼル族の心配ばかりしている」 「ウォルホート家当主/グリンブルク臣下としてのセレノアの立場を全く考えていない」というのが主な理由。

    • とはいえハイサンドへの初訪問時、ローゼルであることを理由に失礼な扱いを受けても泣き言一つ言わないなど、 彼女なりにしっかりセレノア達への配慮はしている。
    • またフレデリカは幼い頃より幸せだった期間がほとんどなく、同情の余地がかなりある。 その状態で同胞のローゼル達が家畜以下の扱いを受けているのを目の当たりにし、さらに母の壮絶な最期まで聞いたとあれば、 ローゼル解放のために躍起になったとしても彼女を責めることは出来ないだろう。

あるルートの諸々の仕様

+ 隠しルートのネタバレ
  • 特定の条件を満たすことで「真ED」「セレノアED」と呼ばれるルートに行けるが、 このルートに入る条件がほぼノーヒントに近い。
    • 様々なルートを巡ることでおぼろげに見えてくる部分はあるものの、正確な条件は最後まで明示されない。
      • その癖満たすべき条件は複数あり、どれか一つでも逃すとルートに入れない。 確実にセレノアEDを見たいなら攻略に頼らざるを得ない(条件さえ把握していれば、難しいものではないのは有難いが)。
  • このルートに入ると、自軍に所属する全キャラを3つにパーティ分割してのバトルを強制される。 1周目や2周目で入った場合は味方の人数が不足し、苦戦を強いられることが多い。
    • 充分な人数がいたとしても初期レベルのままだったりすると、そこからレベリングする必要が生じて手間がかかる。
    • またパーティ分割の直前に、かなり長い会話イベントが挟まる。 セーブ可能なタイミングはこのイベントの手前か分割した後であり、分割直前でのセーブは不可能。 「戦力の割り振りに失敗したからやり直したい」と思っても、また長い会話イベントから始めなければならない(勿論スキップは出来るのだが)。
  • 「想定される戦いを見越して、戦力をバランス良く各戦場に分散させる」という展開はSRPGでは珍しいし、 あまり使っていなかったキャラの性能を知る良い機会にもなるので、 パーティ分割自体は面白い試みではある。

問題点

セーブ数が少ない

  • セーブ数は10個。通常のRPGなら充分な数だが、分岐多数の本作では全く足りていない。 あまり周回を繰り返さず、1周の中で様々なイベントを見たり検証をしたりするタイプのプレイヤーは、 非常に窮屈なプレイを強いられる。
    • 『タクティクスオウガ』等にあったイベント回想機能があればまだ良かったのだが、メインストーリーに関してはそういった機能もない。 結局お気に入りのイベントを見返したければ直前のセーブを残しておくしかないが、セーブ箇所が少ないせいでそれもままならない。
      + Ver.1.1.0へのアップデート以前の問題点
      • 挿話に至っては、一度見てしまうと何度周回をしても二度と見られない(引継ぎなしで最初から始めるしかない)。 メイン・サブ問わず、せっかく泣けるイベントや熱いシーンが沢山あるのに、一度しか見られないのは非常に勿体ない。

ルート分岐しても大筋が変わらない

  • 分岐が多い本作だが、実は「分岐→合流→分岐→合流」を繰り返す展開が大半。
    • 「要人を引き渡す」といった重要そうな決断をしても、 最終的には結局同じ結末になることが多く拍子抜けさせられる。 また無理矢理合流させている弊害で、やや強引な展開も散見される。
  • ただし最後の天秤の後は、一切交わらない4つのルートが始まる。
  • かなり前でした選択の影響で後のシナリオが変わる場面も一部にあり、分岐に何の意味もないわけではない。

三点リーダーのSEが雰囲気に合わない

  • キャラが考え込んでいる時などに「…(三点リーダー)」のエモートが多用されている。 この時「ポツ・ポツ・ポツ…」という妙なSEが例外なく挿入され、シリアスな雰囲気にそぐわない。
    + Ver.1.1.0へのアップデート以前の問題点
    • このエモートはボイスと違って飛ばすことも出来ず、SEが鳴りきるまで2秒ほどかかるのでテンポも損なっている。

一部の探索イベントが難しい

+ 以下ネタバレ
  • 中盤の塩の不正取引を暴くイベントでは、RPGパートの探索で全ての証拠を集めた後、 その後の作戦会議で3回の質問全てで正解を選ばないといけない。 各々3通りの回答があるので、何も考えずに正解にたどり着く可能性は1/27。
    • 回答の選択肢も、一見不正解に見えるものが正解だったりとわかりにくい。
    • 不正取引を暴けなくても、展開が変わるだけでこれといった不利益は無いが 「全てのイベントを網羅したい」といった場合は壁になる。
  • 終盤、ローゼル族の村にハイサンドが攻めてくるイベントも少々難しい。
    • 村を調べて、ハイサンド軍を説き伏せる「鍵」を見つける必要があるのだが、 ただ村人全員と会話するだけでは駄目で、特定の順番で3人の人物と話さなければならない。
      • 当てずっぽうで何度も話しかけ続けるだけでもクリア出来る範疇ではあるが 「同じ人物と何度も話す」という発想がないと詰まり易い。
      • こちらは「鍵」が見つからなかった場合、問答無用でバッドエンド(ゲームオーバー)になる。
      • 全滅の避けられない行き詰まった状況で最後の最後に一致団結するセレノア達の姿が見られるため、一度は見ておきたい。

総評

ストーリー・戦闘・グラフィック・BGMと、どの要素をとっても完成度が高い。
過去に好評を博した、数多の傑作SRPGと比較しても決して見劣りしない。
行き届いたシステムと4種類の難易度、周回向きのゲーム内容により、
硬派な見た目に反してSRPG初心者から熟練者まで幅広く楽しめる間口の広さもある。
少しでもSRPGに興味があり、ダークでヘビーな物語に抵抗がないなら、万人にお勧め出来る名作である。
3話までプレイ出来る体験版が配信中なので、是非一度触れてみてはいかがだろうか。


余談・その後の展開

  • 同じHD-2D作品の『OCTOPATH TRAVELER』と同じく、海外Switch版は任天堂が販売を担当している。
  • 発売から1年以上が経った2023年6月13日、大型アップデートが実施。Ver.1.1.0に更新された。要望の多かった機能やファンサービスが多数実装された。
    • 一度見た挿話イベントを見返せる「挿話リプレイ機能」が追加。軍事録から見られる。
    • ストーリー上の敵と再戦できる「ストーリーバトルリプレイ機能」が追加。想定バトルのように酒場から行う。想定バトル同様、勝てば経験値やアイテムなどの報酬も得られる。
      • ストーリー中と同じく、敵のレベルは自軍の平均レベルに合わせて引き上げられる。
    • 「…(三点リーダー)」のエモートが表示された際、SEが鳴り終わる前でも飛ばせるようになった。
  • 追加シナリオ「Extra Story」が実装。隠しルートをクリアしている場合に限り、タイトル画面から視聴できる。
    • 時系列としては、隠しルートのED直前にあたる。補完的な内容だが、シナリオ上かなり重要なやり取りも多く含まれており必見。
    • 全編フルボイス。初期パーティメンバー全員に加え、意外なサブキャラも複数登場する。
    • アプデに先立ってYOUTUBEで公開された際は、一枚絵をバックにボイスが流れるのみだったが、ゲーム内では本編同様しっかりドット絵のキャラ達がアニメーションする。一枚絵もラストに鑑賞できる(描き下ろしイラストも多数あり)。
    • 「ウォルホート城下町の仕掛けを使ったか否か」による差分まである力の入れよう。1キャラのみだが、新規ドット絵も描き起こされている。
    • 先行公開時より大幅に尺が増え、30分近い大ボリュームになっている。
  • 周回時の戦闘バランスやドロップ品、細かな不具合などを一部修正。
最終更新:2024年06月11日 15:50

*1 ネーミングと酒場で行われることから、設定としては仲間内での戦術談義やイメージトレーニングのようなものと思われる。

*2 YouTubeのインタビューでシナリオライターの山本尚基氏が、海から数千キロ離れていて周囲には荒野しかない設定であることを明かしている。

*3 EDは4種のどれでもOK。自動蘇生のアクセサリやパッシブスキルは使っても構わないが、NPCキャラが死んだり、死んだキャラを切札で蘇生させたりするのはNG

*4 想定バトルのクリアフラグのみリセットされるが、これは攻略に全く影響しない。