チョップリフター
【ちょっぷりふたー】
概要
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『ロードランナー』『バンゲリング ベイ』と並ぶ、バンゲリング帝国三部作の第1弾でパソコンゲームの名作タイトル『チョップリフター』のFC移植版。
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ただし、ベースとなったのはセガがブローダーバンド社から許諾を得て開発した業務用アレンジの移植版。
特徴
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輸送ヘリコプターを基地から発進させ、バンゲリング帝国の捕虜収容所に閉じ込められた捕虜を救出するゲーム。
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ヘリが全機撃墜される、または一定以上の捕虜を救出できない場合はゲームオーバーとなる。
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ヘリは十字ボタンで移動。慣性が効いており、操作によって進行方向がすぐには変わらない。向きの転換はボタンにより行われ、十字ボタンでは向きは変わらない。進行方向と反対側にキーを入れると、後退しながら移動する事となる。
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前進中は前傾姿勢となり、地上を攻撃できる。後退中はその逆。正面を向くと下方に攻撃できる。
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救出するためにはまず施設の門を爆弾で破壊する必要がある。すると捕虜が中から出てくるので、近くまで行き着陸すると乗り込み始める。その後、基地に戻り着陸すると救出成功。
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燃料があり、救出が成功した際に補給される。燃料切れを起こすとミス。
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周囲の対空火器や戦闘機を如何に対処するかがポイント。
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機銃を装備しているため一応対抗することができるが、ゲームの目的はあくまでも捕虜の救出であり、無理に戦う必要はない。さらにこの機銃攻撃は捕虜に当たると死んでしまうので、無闇に撃つべきではない。また捕虜の真上に着陸しても、死んでしまう。この時代のゲームにしては過剰に細かい所に凝っている。
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ヘリには人数制限があり、撃墜されるとそのときの救助者は死亡扱いになってしまう。
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捕虜救出中にも、着陸したヘリを狙い敵が迫ってくる。基地に戻るタイミングがゲーム攻略のカギになる。
問題点
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移植ベースとなっているのはセガのアーケード版だが、FC版は残念な出来になってしまった。
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オリジナルAppleII版の本作は、ヘリコプターの浮遊感と、連射弾数の多い攻撃による敵をなぎ倒していく爽快感、そして救出の達成感という三つの要素のある作品。
アーケード版もこれを継承し、さらにステージの種類を増加、敵も大幅に増やした。そして燃料という、時間制限要素も取り入れられている。
AppleII版より多様性が増したが、かなり難易度も上がっており日本では不評だった。しかし高難易度のゲームが好まれる海外では人気があるようだ。
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FC版はアーケード版をベースにしているが、敵の数が減っているので難易度は幾分下がっている。しかし連射弾数が乏しく、動きが鈍く浮遊感も今一つとなり、本来の面白さはかなり弱くなった。さらにアーケード版にあった、敵弾への相殺要素もなくなっている。
評価点
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前述のとおり、難易度は多少下がっているので、アーケード版よりはクリアしやすい。
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そうは言っても元々のアーケード版が高難易度なため、やはり本作も難易度高め。特に弾速が速いため、鈍い動きは足枷となる。
総評
見かけこそ『チョップリフター』だが、本作の最大の面白み、操作の浮遊感や連射の爽快感が欠けており、十分な移植とは言い難い。アーケード版の尖った所を丸めたようなゲームで、大して面白みのない凡庸なゲームと化してしまった。
余談
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概要で触れた通りPC版は良作といえる出来である。
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国内PCでもリリースされていたが磁気メディアゆえ、今からでもプレイしたい人はROMカセットのMSXか後述するSG-1000版をオススメする。
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セガがSG-1000用にアーケード版に先んじて移植し発売されているが、本家にかなり近い仕様。
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コチラはセガ移植のアーケード仕様ではなく、Apple II版の移植。
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アーケード版はSMSにも移植されているがそちらをプレイした人の評価は概ね好評。
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このゲームはカーター政権時に実際に起きたイラン大使館人質事件の救出作戦「イーグルクロー」失敗を揶揄したものと言われている。
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開発はNMK名義になっているが、これは当時の任天堂が一部のメーカーを除いて年間販売タイトル数の制限をしていたので、その制限から逃れる際に他社から名義借りをしただけで、実際にはジャレコが開発または移植している。
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その後、ジャレコは1995年にアーケードで『湾岸戦争』をリリースする。自機=ヘリコプター・人質救助・離陸&着陸・燃料メーターの導入など、チョップリフターとの共通点が多い。
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同タイトルはシリーズ化しており、さらに海外では根強い人気があることから、2012年1月11日にUnreal Engine3でリメイクされた『チョップリフターHD』(PS3/360/Win)の配信が開始された。
最終更新:2024年01月06日 05:24