ダウンタウン熱血物語ex

【だうんたうんねっけつものがたり いーえっくす】

ジャンル ドタバタ格闘RPGアクション(アクションゲーム)
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 アトラス
開発元 パオン
ミリオン (ライセンス提供)
発売日 2004年3月5日
定価 4,800円(税別)
判定 なし
ポイント くにおくん待望の復活
多数追加された新要素
好感度システムは不評
くにおくんシリーズ


概要

ファミコンなどで発売された『ダウンタウン熱血物語』のリメイク作品で、国内では10年ぶりに発売されたくにおくんシリーズ。
1995年末に倒産したテクノスジャパンの元社長である瀧邦夫氏が所属する株式会社ミリオンが版権を取得し、久しぶりの発売に至った。


評価点

  • ハードがGBAになったことでグラフィックが向上。例えばFC版ではキャラ全員の髪が黒だったが、本作では多くのキャラがイラスト準拠のカラフルな色彩になっている。
    • BGMも原曲の雰囲気を壊していないアレンジに仕上がっており、新たなフレーズが加わった曲もある。
    • ハード性能が上がったことで画面内に表示されるキャラ数が増え(主人公+味方最大3人+敵最大4人=計8人)、処理落ちもほとんど発生しない。
  • 登場するキャラクター・イベント・アイテムの種類が大幅に追加。後のシリーズでおなじみのキャラから本作で初登場もいたりとバラエティ豊か。雑魚として登場する高校の種類も増えている。
    • FC版では名前しか登場していなかった「豪田」の妹、「砂織」が登場し、ストーリーに絡んでくるといった追加イベントがある。
      • 雑魚がつぶやく名前のみで登場しているキャラも存在*1し、それまで培ってきたダウンタウンシリーズの設定を踏まえてリメイクした物となっている。
      • 説明書には各高校の設定やキャラの紹介にかなりのページが割かれており、設定資料としての見どころもある。
  • 通常技・必殺技も増量。しかもボスや仲間になるキャラはすべて固有の必殺技を持っており、より個性豊かになった。
    • 熱血行進曲』で追加された各キャラの必殺技は概ね取り入れられている(爆弾パンチや天殺拳など)
    • 一方で新技(グライドチョップやヘッドボム等)は奇抜な動きになっており、くにおくんらしくないという不満も挙げられる。
  • オプション面が非常に充実。
    • 「さくせん」では仲間CPUの行動(攻撃のターゲット、間合い、武器の使い方など)を細かい指示やゲーム内の移動スピード、攻撃&防御バランス、重力、障害物の有無など細かい設定が出来る。これらはゲーム中いつでも設定可能。
    • 1度ゲームをクリアしてからある店で売られるようになるアイテムを買うと、キャラの顔・髪・肌の色・必殺技の出し方など自由自在に作成することが可能。
      • 主人公を「くにお」、「りき」以外の登場キャラにする事やキャラの合成も可能。オリジナルのキャラを主人公にする事も出来る。
      • 特に選択できるキャラの顔グラは『くにおくんのドッジボールだよ全員集合!』から多くが流用されており、ろしあちーむのキャプテン「もるどふ」といったストーリーに関係のないシリーズキャラを作る事も可能。
      • 同様に必殺技の出し方もカスタマイズすることが可能になった。キャラのカスタマイズでの自由度の高さも『くにおくんのドッジボールだよ全員集合!』譲りと言える。
  • ゲームの進行によって最大3人まで仲間にすることが出来る。
    • 今回、新たに追加された「姿」や「前田」といったキャラや、ボスキャラのほぼすべてを条件次第で仲間にすることが可能。
      特定の場所に行ったり、ボスを倒した後、後述の好感度に応じてイベントが発生し、選択肢次第で仲間になる。
      連れて行く仲間によってはボスのセリフが細かく変更されたり新たにイベントが発生したりするのでかなりの作りこみようである。
  • 雑魚・ボスキャラの台詞バリエーション(戦闘中・逃走・やられた時など)が豊富になった。戦いで忙しい時はあまり見てる暇ないが。
  • 攻撃を与えた時や受けた際、タメージ数値が表示されるようになった。
  • FC版では一度覚えた必殺技を忘れる(使えなくする)にはそのアイテムを捨てなければならなかったが、GBA版では任意で付け外しが可能になった。ただし覚えられる技は最大12までで、それ以上他の技を覚えさせたいときはFC版同様捨てる必要がある。

賛否両論点

  • 一部便利すぎる必殺技・裏技がある。
    • 必殺技はすくりゅう、にんげんぎょらいが代表的で、使い続ければ穴などに落ちない限りどんな敵でもノーダメージで勝ててしまう。
    • 簡単にお金を貯める方法がある。
      • ある店で買える「そくせきくじ」は一つ1000円だが、使うと5等100円・4等1万円・3等10万円・2等100万円・1等はなんと1000万円が当たる。これをまとめ買いしていったんセーブしてからくじを引いて、はずればかりだったらロードしてやり直しを繰り返せば簡単に所持金を稼げる。
      • 他にも「ダウンタウンスペシャル くにおくんの時代劇だよ全員集合!」のように、プレイヤーキャラをある名前に変更すると所持金が最大になる(他にもステータスを最大にしたり、データを初期化するなどの名前もある)。
  • アイテムの種類が大幅に増えた代わりに、店で販売する品ぞろえがランダムに変化するようになった。
    • 店に入るたびに表示されるアイテムは最大6つまでなので、その店で欲しいアイテムがない場合は出入りを繰り返す必要がある。
      • こちらも設定で変化しないようにすることは可能。
  • FC版から大幅に強くなったキャラがいる。
    • 特にFC版ではあまり強くなかった望月が、距離問わず一瞬で突撃してくるにとろあたっくという強力な必殺技を使ってくるため、かなり厄介になっている。

問題点

  • 本作で新たに導入された好感度システムについて(好感度システムは公式名称ではないが、多くの攻略サイトや感想などでこう呼ばれているため本稿でも同じように表記する)。
    • この好感度というのは隠しステータスで、説明書にも一切書かれていない。
      • 好感度の数値がどれくらい変化したかは、基本的に自分である程度計算する必要がある。一応、履歴で卑怯な行為をすると上がるラフプレイや、ボスとの会話でもある程度高いか低いかはわかる。
    • 多くのイベントやキャラが追加されたのはいいが、その多くは好感度が低いと発生しない*2。好感度が普通か低い状態のときはほぼFC版通りのストーリーで進むが、好感度が低い時はボスキャラなどの台詞が「くず」「ふざけたやろう」などプレイヤーが悪者みたいな感じになるため気分を損なう人もいるだろう。
      • 好感度が低ければ共闘しているはずの「くにお」や「りき」にすら徹底的に罵られる。
    • 好感度が下がる条件は「味方を攻撃」「味方がやられる」「ボスキャラが話している最中に攻撃する」「ダウンしている敵に攻撃する」などだが、上記の通り説明書にも書かれていないため、攻略サイトなどで調べないとまずわからない。
    • 特にダウンしている敵を攻撃すると好感度が下がるのは、くにおくんシリーズならではのなんでもありなはちゃめちゃ感や爽快感を大きく損ねるため、本作の大きな不満点としてよく挙げられている。
      • さらに特定の必殺技(にんげんどりる、はいぱーがーどなど)はダウン中の敵にも命中しやすいため、好感度を高く維持したい場合は使わない必要がある。
      • ダウンしている相手を持ち上げるか、つかんで投げ飛ばすなどしてダメージを与えるのは、なぜか好感度が下がらない。
    • 下がる手段の多さに対し、上げる手段は少ない。「敵を全滅させる」「ボスを倒す」「プレイヤーがダウンする」「死ぬ」等。その為、普通にプレイすれば低好感度のイベントばかりを見る事になる。
      • 好感度を意図的に上げようとしたら壁にぶつかってコケまくるか、落とし穴で自殺しまくるという情けない作業を繰り返すことになる。テンポも悪くなるし、そんな硬派に対して素晴らしいやつなど言われても…
      • 敵の全滅については、敵を倒した後に全滅させずにマップから出た場合は下がってしまう他、出現数を最大にした場合は全滅させてもプラマイ0になるといったやや調整不足な点もみられる。
    • 好感度というシステムそのものは決して悪いアイデアではなく、実際それにより全てのイベントやキャラを見るという楽しみもあるため、せめてゲーム中で分かりやすく表示したり、高低の条件をもっと緩和していれば少なくともあまり批判されなかったかもしれない。
      • 冷峰四天王を全員引き連れて小林に挑むと反応が変わったり、豪田を引き連れていると五代があっさりと冷峰を裏切るといったイベントそのものは豊富でかつニヤリと出来るものが多い。
      • 仲間の数の上限や発生条件の厳しいイベントも多いがゲーム一周のプレイ時間は短いため、周回プレイにも十分に耐えうるシステムなのが尚更惜しい所。
  • 通常のパンチ・キックが溜め操作になった。
    • これにより通常攻撃のパンチ・キックの威力が弱・中・強と種類も増えたが、強攻撃は溜めている隙が大きく、殆どその間に攻撃されるか避けられるのでまず使えない。弱攻撃は軽くボタンを押すだけで出せるが、連打すると溜めが発生して中攻撃が出ることもある。弱・中の溜めモーションの差はほんのわずかだが、気になる人もいるだろう。
  • たまに覚えていない「むえいきゃく」が暴発するバグも見受けられる。
  • パスワード制が廃止されてセーブが出来るようになった*3のはいいが、保存可能なのはステータスのみ(好感度はリセットされる)で、ストーリーの進行状況までは記録出来ない。これはパスワード制のFC版もそうだったしクリアまでにはそれほど時間はかからないが、携帯機であることを考慮すると中断機能くらいはあっても良かったのではないか。
  • ダッシュしながら必殺技が出せなくなった(出す条件がダッシュする必要がある技は除く)。
  • FC版と比べて効果音が弱いというか軽くなっている。擬音でたとえるならばFC版では「ドカッ」「バキッ」がGBA版では「ボスッ」「パシッ」という感じに。
  • FC版では可能だった2人同時プレイが出来ない。多人数プレイもシリーズの売りなだけに残念。
    • パッケージや説明書には1~2人用と書かれているが、通信ケーブルで行えるのはキャラクターデータの受け渡しだけである。
    • 選ばれなかった主人公は単なるイベントキャラになるので「くにお」と「りき」が共闘している感じが薄くなってしまった。
  • FC版にあった豪田・五代戦の専用BGMが通常ボスの曲になっている。人気の高いBGMなだけに残念がるファンも多かった。
  • ゲーム内のテキストは平仮名のみ。
    • これはFC版やいくつかのシリーズ作品*4でも同様だったし、むしろくにおくんはこうでなくてはというファンもいるだろうが、新規ユーザーなどは単に読み辛いと感じるだろう。
+ エンディングについて
  • エンディングは続編を匂わせる文章が出た後、一枚絵が表示され一分半程度のBGMが流れてスタッフロールもない非常にあっさりした終わり方となっている。ちなみに好感度の変動でエンディング自体に変化はない様子。

総評

くにおくんシリーズ待望の復活作品ということもあり、それだけで喜んだファンも多く一時期プレミアもついていた。
好感度システムなどがきちんと活かせれば、シリーズファンならば文句なしにお勧め出来たかもしれないだけに惜しい作品。


余談

  • 海外では『River City Ransom EX』のタイトルで発売された。
    • NES版『River City Ransom』はメッセージ以外にキャラの服装や背景などの変更点が見られたが、今作ではメッセージ以外日本版と同様のものになっている。
  • 3年後の2007年、「ミラクルキッズ」(テクノスジャパンの元スタッフが立ち上げた会社)によって本作の改良版が非公式で制作された。
    • 必殺技・キャラ・イベントがさらに追加されてパワーアップしているのだが、パッチを当てるにはPC上にROMデータを用意しなければならない。
    • また元のカートリッジも当然マスクROMで書き込み不可能なため、エミュレータやデータ書き戻しが可能なGBA用マジコンといった方法でしか遊べない。
  • 本作発売から12年後、くにおくん30周年を記念して3DSで『ダウンタウン熱血物語SP』が発売された。
    • 発売元は2015年頃にミリオンからくにおくんシリーズの版権を譲渡された、GUILTY GEARシリーズ等でおなじみアークシステムワークス。
    • 内容は本作同様『ダウンタウン熱血物語』のリメイクだが、完全新作と呼んでも差し支えない程に各要素が再構築されている。詳しくは同作品の頁にて。
+ タグ編集
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  • GBA
  • 2004年
  • ベルトスクロールアクション
  • アトラス
  • くにおくん

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最終更新:2021年03月07日 09:44

*1 宝陵高校の「紫」等、

*2 好感度が低い時にだけ発生するイベントもある。

*3 FC版も周辺機器のターボファイルを使えばセーブ出来た。

*4 『熱血高校ドッジボール部』『くにおくんの時代劇だよ全員集合!』『いけいけ熱血ホッケー部』など。