マーヴェラス ~もうひとつの宝島~
【まーう゛ぇらす もうひとつのたからじま】
ジャンル
|
アクションアドベンチャー
|
高解像度で見る 裏を見る
|
対応機種
|
スーパーファミコン
|
メディア
|
24MbitROMカートリッジ
|
発売元
|
任天堂
|
開発元
|
任天堂 エスアールディー
|
発売日
|
1996年10月26日
|
定価
|
6,800円
|
配信
|
バーチャルコンソール 【WiiU】2014年2月12日/823円
|
判定
|
良作
|
プロローグ
かつて恐れを知らぬ荒くれ者の海賊達が暗躍した大航海時代。
その海賊達の中でも、広い知識と優れた才能で名を残した伝説の海賊「キャプテン・マーヴェリック」がいた。
新しい文明や法治国家の軍力に圧され、海賊達の時代が終わろうとしていた時に彼はある声明を発表し、いずこかへ消えた。
「私の財宝を手に入れたい者は、私の仕掛けた謎解きに挑戦してみよ。」
以来数多くの冒険者や賞金稼ぎが彼の財宝を求めたが手に入れた者は誰もいないという。
彼の残した見たこともない宝―「マーヴェラス」は、今もどこかで冒険者が来るのを待っているのだ。
概要
伝説の宝「マーヴェラス」が隠されているという宝島に偶然キャンプにやってきた3人の少年を操作し、マーヴェリックの残した壮大な謎解きに挑むアクションアドベンチャー。
任天堂を代表するアクションアドベンチャーとして名高い『ゼルダの伝説』の開発スタッフが制作に関わっている。
『ゼルダ』の雰囲気を残しつつ、それでいて全く異なるアドベンチャーゲームとして完成されている。
SFC末期の作品であり相応のクオリティを誇る。
システム
-
主人公は3人おり、3人1組のチームとして行動することになる。
-
3人の少年達はそれぞれ特徴を持っている。
-
「ディオン」:チビですばしっこく、彼をリーダーにすれば3人一緒の時でも素早く動ける。
ダッシュシューズでダッシュ&体当たりが可能。また野球ボールを投げて遠くの敵を攻撃したり、ハンマーで杭を打つ事もできる。
また、彼一人でしか通れない小さい穴もある。
-
「マックス」:太っていて力持ち。他の2人には持てない重いアイテムも持つことが可能。
また見た目に合わずスポーツ万能で、キックシューズで物を蹴ったり、水中眼鏡で潜ったり、パンチグローブで強力なパンチ攻撃ができる。
-
「ジャック」:長身。機械の操作や組み立てが得意。
ジャンプブーツで裂け目を飛び越えたり、釣り竿で様々な物を釣ったりと色々器用。3人の中では唯一攻撃手段を持たない。
-
プレイヤーはリーダーハット(帽子)を被るリーダーのみ操作でき、誰をリーダーにするかは、リーダーハットを渡す事で自由に切り替えることが出来る。
-
基本的にはYボタンで「ホイッスル」を吹いて集合をかける事によって、ほかの2人がリーダーの後をついていくという形で移動する。
-
特定の場所で3人行動している時は後述の「チームワーク」を使える。
-
団体行動だけでなく、ときにバラバラに行動する事も可能。
-
その仲間でしか進めない場所を進んだり、時間短縮のために単独行動を取れる。
-
1人で別マップへ進む事も可能で、「トランシーバー」で別マップの仲間ともリーダーチェンジが可能。
-
仕掛けを役割分担で作業したり、バトルにおいては一人が敵を引き付けてリーダーチェンジした直後に敵のバックを突くという攻撃も行える。
-
アイテムも個別に所持するようになっており、3人の役割・得意分野を明確にしている。
-
ゲームの謎解きにおいて、非常に重要なポイントとなってくる。
チームワーク
-
コマンドウィンドウから使用できるコマンドの一つ。その名のとおり、3人で協力して謎解きを行う。
-
大きな岩などの障害物を取り除いたり、高いところにあるスイッチを押すために肩車をしたり出来る。
-
先述したとおりそれぞれ役割が違うため、どのキャラをどのように配置して動かすかを考えなければならない場面も。
サーチシステム
-
スーパーファミコン初と銘打たれたシステム。謎解きに重要な2つ目の要素。
-
Aボタンを押す事で画面内の時間が止まり、「サーチ画面」となる。但し特定の場面では時間経過で強制的に解除される。
-
「サーチ画面」では指差しカーソルが現れ、三人組ではなくカーソルを操作する。物や人物にカーソルを合わせることで、そのオブジェクトを調べることが出来る。
-
サーチシステムで調べることによって表示される「コマンドウィンドウ」で、人物に話しかける・アイテムを使用する(人物に渡す)といった様々な行動が可能。
-
特定のものは、コマンドウィンドウ内でより詳しく調べることが出来る。
例:電話をサーチシステムで調べる→コマンドウィンドウで拡大→ダイヤルを回す
-
サーチシステムで調べる→アイテムを使用するといった流れで謎を解く場面は多いため、頻繁に使用することになる。
ラックロック
-
ゲーム中の所々で手に入る、綺麗な黄色い石。
-
マーヴェリックの船を手に入れてからは、次の島への移動に燃料として特定数必要。他にも謎解きにも使用したり、ゲームクリア時にどれだけ所持していたかでジーナ先生からクリア評価を貰える。
評価点
-
謎解きメインのゲーム性でありつつ、3人の主役をフル活用しなければクリアできないという設計が巧み。
-
謎解きに詰まったら、とあるキャラにヒントをもらえる。
-
これがどこにいても呼び出しが可能なので、払うコストさえあればヒントがすぐに聞けるというプレイヤーへの配慮がある。
-
上記のヒントに加えて、謎解きのストレスを抑える工夫が随所にある。
-
調べることが出来るオブジェクトにカーソルが当たると、大きなハテナマークが表示されるのでわかりやすい。
-
しらみつぶしにカーソルを動かしてとにかくボタンを連打!…というような面倒な作業にはならない。
-
謎解きには特に関係ない物も調べることができ、ゲームを楽しめる要素にもなっている。
-
釣り上げた魚の「そのうち戻りますので…」というシュールなメッセージを読めたり等。
-
シナリオが秀逸。過去へのタイムトリップやバイオハザードめいた怪植物の謎など、冒険の舞台は様々。
-
キャラクターのバストアップが表示されたり、引き込まれる演出が多々ある。
-
ラストダンジョンはまさに謎解きの集大成。ここでは例外的にヒントをもらえないことも相まって難易度が高いが、盛り上がりも最高潮。
問題点
-
ラストは割とあっさりめ。
-
3人の目的は宝探しではなく、あくまでマーヴェラスのダンジョンに閉じ込められたジーナ先生の救出であり、タイトルにもある宝「マーヴェラス」は若干影が薄い。
-
一応、最後の最後に書き記されているマーヴェリックのメッセージを読めば、結構感慨深いものがあったりするのだが、そのメッセージが見られるのは最終盤、制限時間内にダンジョンを脱出しなければならない場面で見逃しやすい。
-
最終章は広大なダンジョンに何個も設置されたマーヴェリックの謎解きやパズル・アクションをひたすら攻略していく形式となる。
一旦ダンジョンに入ると喋れるキャラはマーヴェリックの用意したロボットくらいになり、それまでの島のような敵との対決やドラマも無くなり、淡々とパズルやアクションを攻略する事になる。謎解き自体は骨太でやり甲斐はあるが、盛り上がりには欠ける。
-
プレイヤーへの配慮やヒントはあるものの、謎解きの時のテンポが悪い。
-
メッセージウインドウの表示などゲームを止めてしまう演出が足を引っ張る。
-
主役3人のキャラクター性
-
性能やアイテムでは明確に区別化されている3人だが、ストーリー中のキャラクターやウインドウ中のセリフは全く同じで差別化されていない。
-
明確にキャラクターを付けてセリフもシーンごと個別に書き分けようとすると、パターンが膨大になってしまうため仕方ない部分もある。
-
ただお遊び的な部分で、3人それぞれの個性が何となく察せる箇所が何個がある。
-
一部ミニゲームの難易度が高め
-
ミスがほとんど許されないようなミニゲームが多い。
-
ただし失敗してもすぐにリトライできるようになっており、失敗すること前提な設計になっている。
総評
『ゼルダ』のシステムを踏襲しつつ、「サーチシステム」「チームワーク」等全く異なる感覚で楽しめる。
また「サーチシステム」や「島間の船旅」等後の『時のオカリナ』『風のタクト』のプロトタイプとも言える点も見受けられる。
少年達の大冒険を楽しめる、まさに隠れた名作と言える一本であろう。
余談
-
ゲーム序盤でサーチシステムを利用してジーナ先生の胸を触る事が出来る。
-
CEROの審査には引っかからなかった模様。
-
胸ポケットを調べることができるだけである。何度も調べていると怒られるが、触っているという描写は無い。
-
本作の発売前後には体験版を兼ねたイベントゲーム『BSマーヴェラス タイムアスレチック』と『BSマーヴェラス キャンプアーノルド』がサテラビュー専用データ放送番組として供給された。
-
パッケージ裏のアオリ文句にある「『BSマーヴェラス タイムアスレチック』の本編」とはこれのことである。
開発裏話
-
元々はスーパーファミコンCD-ROMアダプタ用のゲームとして、1991~1992年に企画が立ち上げられた。スタッフはスーパーファミコン版と同じメンバーであった。
-
スーパーファミコンCD-ROMアダプタとはプレイステーションの原型となったハードである。
-
CD-ROM用にアニメーションムービーも作成された。そのムービーでは、スーパーファミコン版では登場しないキャプテン・マーベリックがメインキャラクターとして登場していた。
-
更にマーベリックと対峙するライバルの海賊キャラクター(※名称不明)も登場していた。
-
マーベリックのデザイン画、海賊のデザイン画は『任天堂公式ガイドブック:マーヴェラス もうひとつの宝島(小学館)』の109ページに掲載されている。
-
マーベリックは若き日のインディー・ジョーンズのようなキャラクターで、ディオン達と同じデザインの帽子を被っている。ライバルの海賊は海賊キッド風の如何にもな悪役である。
-
ちなみにアニメーションムービーの製作を手掛けたのは、後に「涼宮ハルヒの憂鬱」等々を制作し有名になった京都アニメーションであった。
-
しかし、スーパーファミコンCD-ROMアダプタが後にお蔵入りとなった巻き添えで今作の企画も頓挫してしまい、スーパーファミコン用ソフトとして一から作り直されるに至った。
-
近年発掘された没データによると、開発途中まではCD-ROM版とほぼ同じストーリーで作られていたようである。(参考リンク)
-
サーチシステムはCD-ROM版にはなかったシステムで、ディレクターの小野塚英二(現:青沼英二)氏曰く、「アニメーションが不可能となったので、何か違う方法で画面を切り替えられないか、という発想の元から生み出された」とのこと。
-
今作の発売前からサテラビューにて特別版が放送されていた。ゲームが発売前に楽しめる、メディアミックス的な展開ができないかという企画の元で実現されたとの事。
※参考資料:『任天堂公式ガイドブック:マーヴェラス もうひとつの宝島(小学館)』スタッフインタビューより。
最終更新:2024年04月12日 14:37