本項では『バーンアウト パラダイス』と廉価版『バーンアウト パラダイス THE ULTIMATE BOX』とリマスター版の『Burnout Paradise Remastered』を併せて紹介します。判定は全て「良作」です。


バーンアウト パラダイス

【ばーんあうと ぱらだいす】

バーンアウト パラダイス THE ULTIMATE BOX

【ばーんあうと ぱらだいす じ あるてぃめっと ぼっくす】

Burnout Paradise Remastered

【ばーんあうと ぱらだいす りますたーど】

ジャンル アクションレーシング




対応機種 原作 プレイステーション3
Xbox 360
Windows(英語版UBのみ)
RM プレイステーション4
Xbox One
Windows(Origin/Steam)
Nintendo Switch
発売元 エレクトロニック・アーツ
開発元 原作 Criterion Games
RM Criterion Games
Stellar Entertainment
発売日 原作 2008年2月21日
UB 2009年2月5日
PS4/One 2018年3月16日
Win(RM) 2018年8月21日
Switch 2020年6月19日
価格 PS3 7,329円
360 7,140円
UB 2,940円
RM 3,800円(税別)
Switch 5,500円 → 3,100円(税込)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 全作 良作
バーンアウトシリーズ



リアルに、すくむ!



概要

シリーズおなじみ、対向車線の逆走やニアミスといった危険走行でブーストを溜め、一気に加速しライバル車を倒していくというクレイジーなレースゲーム。
パラダイスシティという総面積約70km 2 の架空の市を好き勝手に走り回れるオープンワールド制を採用。
ストーリーは特になく、レースなどのイベントに勝ってライセンス(免許証)をアップグレードさせることがシングルプレイの主な目標となる。
オンラインではレースなどの対戦要素だけでなく、チャレンジと呼ばれる複数人での協力要素もある。
発売後も1年以上にわたるアップデートで大幅な改良を続け、2009年2月5日には発売当時までのアップデートとDLCを収録した廉価版『THE ULTIMATE BOX』が発売された。
Spike TV・Gametrailers・GameSpotにおいて2008年のBest Driving Game賞を受賞した。日本では「バンパラ」と略されることが多い。


イントロダクション

オープニングムービーより書き起こし。

バーンアウト・ドライビングの聖地、「パラダイスシティ」へようこそ。
ホワイトマウンテンを走る急カーブから、ダウンタウンパラダイスのストリートまで、
広大で複雑な街をどう走るか、そこに決められたルールなどない。
これは、今までにはなかったドライビングエクスペリエンスって言えるわね。

パラダイスシティのすべてがチャレンジ。ロードごとに最高のラップとクラッシュが記録される。
真剣勝負がしたければ、信号で止まってホイールをスピンさせて。

すべての交差点からアドベンチャーが始まるわ。
パラダイスシティでのイベントのフィニッシュポイントは8か所。
コンパスのそれぞれの方角よ。

(中略)

最初は仮免許として「Learner's Permit」が与えられる。
イベントに勝てばライセンスにマークされ、アップグレードしたら、新しい車がアンロックされるわ。
街中にはサプライズがあって、ドライブ中にナビゲーションが流れるの。
何が起きるか、すべては…あなた次第なの。


基本的な仕様

  • 基本的な操作はステアリング以外にアクセル・ブレーキ・サイドブレーキ・ブーストの4つ。
  • ほぼ全ての車にはゲージがある限り急激な加速ができる「ブースト」が搭載されている。ブーストは基本的に3種類あり、車によって異なる。
    • ブーストは基本的に、対向車線走行、ドリフト、他の車とのニアミスと言った危険走行で得られる。
  • 敵の車に衝突して、破壊すると「テイクダウン」となり、ブーストが大量に得られる。
  • ストリートレースのため、一般車が走ったり駐車したりしている。
  • スタント要素が追加。空中できりもみ回転する「バレルロール」や空中スピンの「フラットスピン」がある。
  • 所持金の概念はなく、車は基本的にライセンスのアップグレードや、一定数の勝利で街を走り始める車をテイクダウンして獲得する。
  • ゲーム内のラジオ放送「CRASH FM」が『バーンアウト3』以来の復活。ナビゲーターも変わらずMC RYU。
  • 無料アップデートでバイクにも乗れる。
  • 時間の概念があり(要アップデート)、昼夜それぞれの風景を楽しめる。時間を固定することも可能。
  • 走行中は60fpsでヌルヌル動く。
    • コンシューマー版オープンワールドレースゲームで60fpsを維持している作品は極めて少ない。

特徴・評価点

オープンワールド・ゲームプレイ

  • 決められたコースしか走れなかった過去作と異なり、オープンワールドを最大限に生かした内容となっている。
    • どのレースでも定められたコースが存在せず、行き先を制限するバリアは一切存在しない。要するにゴール地点に到着さえすればどの道を通っても構わない。
    • レースのゴール地点は、コンパス8方角それぞれの場所にある施設。コンパス表示や自車のウィンカー点灯でガイドしてくれる。
    • 走り込んで街の構造を熟知することがそのまま勝利に直結するゲームシステムとなっている。
  • ジャンプスポットが至る所に配置されており、高低差を生かした場所、スタント向けの広い場所もある。
  • 街中には4種類のドライブスルーが点在し、通り抜けるだけで効果を得られる。
    • ジャンクヤード :今まで入手した車に乗り換えられる。
    • ガスステーション :ブーストが最大まで補充される。
    • オートリペア :車を修理する。ダメージの概念があるイベントではよくお世話になる。
    • ペイントショップ :車の色が変わる。
  • 街中には無数の発見要素があり、それらを探してコンプリートするのも目的の1つ。
    • ビルボード :このゲームのロゴが入った看板。破壊するとチェックされ記録に残る。全120個。
    • スマッシュ :ショートカットや隠しルートの柵。同上。全400個。
    • スーパージャンプ :大規模なジャンプ台。ジャンプを成功させるとチェック。全50個。
  • すべての通り道で端から端までのラップタイムと、ショータイム被害額(詳しくは後述)が記録され、フレンドと競い合える。

さまざまなイベント

  • それぞれの交差点に1つずつイベントが設定されている。
    • レース :ゴール地点に最初に到着すれば勝利。ただし決められたルートが設定されておらず、適宜最適なルートを選択しながら走る必要がある。
    • バーニングルート :決められた車で1人で走り、時間内にゴール地点に到着する。クリアすることでアップグレード版の車が入手可能。
    • ロードレイジ :制限時間内に一定数の敵車をテイクダウンする。
    • マークドマン :黒塗りの敵車に追跡されながら、走行不能になる前にゴール地点に到着する。
    • スタントラン :制限時間内にスタントを決めて、目標スコアを達成する。

進化したオンラインプレイ

  • 走行中にオンラインモードを選択すれば、すぐにオンラインに参加可能。
  • フリーランがベースで、ホストがモードを選択しプレイする形式である。
  • レースモードだけでなく、多数のモードをプレイ可能。
    • チャレンジ :他のプレイヤーと協力して、目標を達成する。
      • タイムチャレンジ :時間が決められたチャレンジ。難易度は高め。
    • ロードレイジ :逃走、追跡の2チームに分かれ、逃走チームがゴールするまでに、追跡チームがテイクダウンする。
    • マークドマン :順番に指定されるプレイヤーを一定時間内にテイクダウンする。
    • スタントラン :オフラインとほぼ同様。最終スコアを競う。
    • コップス&ロバーズ (有料DLC):警察と泥棒の2チームに分かれ、金塊を陣地まで回収する。
  • 特にチャレンジは他のレースゲームではなかなか味わえない感覚で人気が高い。

おなじみクラッシュ要素

  • ハードの世代が変わったことで、車のつぶれ方・挙動がよりリアルに。スロー演出が織り交ざり、より詳しく映し出される。
  • 過去作のクラッシュモードの代わりに「ショータイム」が登場。走行中に即開始できる。
    • 自車をボールのようにバウンドさせ、走ってくる一般車にどんどん突っ込むバカゲー的なノリである。
    • 過去作以上の壊れ方で車が鉄の塊となるまでの一部始終を見ることができる。

継続的なアップデート・DLC

  • 海外版発売から1年5か月もの間アップデートが行われた。
    • 2008年に配信されたアップデートはすべて無料。
      • オンラインモード、バイク、時間経過の追加、PS3のトロフィー・カスタムサントラの対応など。
    • 2009年には追加要素は有料となったが、DLC対応のシステムアップデートは無料で配信された。
      + 以下主なDLCを列挙する。
      • パーティー :2~8人でコントローラーを回して交代プレイして、得点を競い合うモード。UB版は同梱済み。
      • レジェンダリーカー :映画をモチーフとした車。
      • トイカー :おもちゃ風の車。
      • ブーストスペシャルカー :ブースト機能が強化された車。
      • コップス&ロバーズ :オンラインの警ドロモードと、各車の警察仕様車。サイレンも鳴らせる。
      • ビッグサーフアイランド :同名の新エリアと、さまざまな車。
  • 機能追加やバグ修正だけでなく、画面の見た目までもが大きく変わった。
  • 現在DLCは販売を終了しているため、購入不可能。
    • Remastered版ではDLCが全て収録済なので、課金の必要は無い*1

その他

  • スクリーンセーバー代わりの「Picture Paradise」要素。プレイ中に放置するとクラシック曲に合わせて街並みが映し出される。
  • グラフィックの美しさもさることながら、60fpsをキープしている。細かく作り込まれた車両や街も必見。
  • 車の種類もマッスルカー・スポーツカー・SUV・F1カー・バイクまで多種多様。架空だがメーカーも設定されており、各メーカーの個性も楽しめる。
  • ゲーム中はロードをほとんど感じさせない。
    • イベント前はマップ画面やイベントの説明音声を流し、その裏でロードしている。
  • カメラに対応しており、ライセンスやオンラインでテイクダウンされた瞬間などの写真を撮ることができる。
  • ファンサービスとして、地名や車に過去作のものが復活している。
  • BGMには約90の楽曲を収録。
    • EA TRAX(アーティスト提供曲)は40曲。日本からはB'zの「FRICTION」が収録されている。
    • BURNOUT』『BURNOUT 2』『バーンアウト3』の未使用曲も収録。アップデートでクラシック曲もゲーム中に流れるようになった。
    • 1曲ごとにオン・オフが可能なので、聞きたくない曲はオフにできる。
  • カスタムサントラ対応のため、好きな曲も流せる(Remastered版は不可)。

問題点

  • チュートリアルが不十分。オープニング以外の説明は音声とテロップで軽く流されるのみ。
    • 特にスタント関係はジャンプミスなどでよくわからないうちに流れることが多い。
  • マップ周りのシステムが不親切
    • マップの向きがプレイヤー中心ではないので、慣れない内は道が分かり辛い。
    • 目的地にマーカーを設置してルートを表示させる、といったこともできない。
      • これらの問題点のせいで、特にレースなどではライバルそっちのけでマップとにらめっこするハメになる
  • オープンワールドには必須とも言えるファストトラベルが基本的にできない。
    • 新車を手に入れてもその場で乗り換えることができず、まず最寄りのジャンクヤードまで自分で走って乗り換え、さらに自分好みのペイントがしたければオートリペア → ペイントショップと回る必要があり中々面倒。
      • 上述のマーカー設置不可の仕様のせいで、まず近くのジャンクヤードがどこにあるのかが分かり辛い。
    • アップデートでイベントリトライが追加され、多少緩和された。
  • クリアまでに同じようなイベントを何度も繰り返さなければならない。
    • レースのスタート地点はマップ全域に存在するが、ゴール地点は8方位・8地点にしか存在しないため慣れてくるとダレがち。
  • 夜のマップが暗すぎる
    • 走っている車や障害物が暗闇に紛れてほぼ見えなくなり、難易度が跳ね上がる。
    • 一応時間帯を固定することも可能だが、何故か昼間を指定できない。
    • 指定できるの朝・夕方・夜・深夜のみなうえ、車のライトも殆ど前方を照らしてくれない。
  • オープンワールド化の弊害
    • マップが広大になったことで敵車との接触頻度が減り、シリーズ伝統のテイクダウンを楽しみ辛くなった。
  • マップは同ジャンルの他のゲームと比較すると狭めで、遅い車でも10分程度で外周1周できる。
    • その分密度は高い。
  • 過去作から削除・変更された要素がある。
    • 爆発要素や、クラッシュ中に自車を動かせる「アフタータッチ」が削除された。
    • 同一進行方向の一般車に追突して弾き飛ばす「トラフィックチェック」は仕様が大きく変わり、タフネスの高い車かつ一定速度以下でないと不可能になった。
    • テイクダウンカメラ(敵車を破壊した際の特殊演出)がオフにできない。カメラが大破した敵車へクローズアップされる関係上、プレイヤーの事故を誘発しやすい。
      • 過去作ではオンとオフが切り替え可能だった。
  • 人間はほとんど登場しない。レーティング維持のため仕方ないが…。
    • 誰も乗っていない自車の運転席でハンドルが独りでに回る光景はなかなかシュール。
    • F1カーとバイクのみ人間が乗っているが、バイク乗車中にクラッシュすると、ライダーが消えてしまい不自然。
  • 各機種対応のカメラがないと獲得できない実績・トロフィーがある。気にする人は注意*2
  • 360版は専用HDDがないとアップデートが適用できない。当時はHDD以外の保存媒体の容量が小さかったためだと思われる。
    • USBメモリが本体の保存媒体として使えたが、非対応。本体内蔵のフラッシュメモリも非対応との報告あり。
  • オリジナルのWin版はアップデートが途中で打ち切られ、PS3/360のアップデート1.7の内容まで対応していた。
    • 長らくDLCの購入ができなくなっていたが、その後再びOriginにてDLCセットの購入が可能になっていた。

総評

ハードの世代交代に見合う進化を遂げ、数多くの要素を追加しながらも過去作の要素を上手くブレンドしてシリーズの集大成的な作品となった。
さらに継続的なアップデートでシリーズファンや早期購入者の評価を上げた作品である。
この世代のアクションレースゲームでも評価が高く、購入を勧める声も多い。
さらには発売から10年後に次世代機へリマスターもされたため、根強い人気があったとも言える。
ただし、目的の提示されない自由なゲーム性は人を選ぶので、よく吟味してから購入しよう。


余談

  • 日本の通常版でアップデート前の状態では、スポンサーカーとして今作に曲を提供している「B'z」のペイント車を入手できた。
    • 日本からは某大手家電量販店のスポンサーカーも予定されていたが、そちらはお蔵入りになっている。
    • スポンサーカーは地域ごとに用意されており、北米版・欧州版ではそれぞれ別の車を数台入手できた。
    • UB版・ダウンロード版*3・Remastered版ではスポンサーカーは入手できないので注意。
      • 性能的には普通に入手できるバージョンとまったく同一のため、進行上特に困ることはない。
      • 現在でもどうしても欲しい場合はオリジナル版のゲームデータを削除させ、ネットワークに繋がらない状態でゲームを起動し、オプションからスポンサープロダクトコードを入力すれば入手できる。その後ゲームデータをアップデートしても問題なく使用可能。
  • UB版・Remastered版はマルチランゲージに対応。本体の言語設定を切り替えて新たな気分で遊べる。
    • あまり推奨された方法ではないが、海外のPSストアで配信されていたダウンロード版も日本語に対応しており、問題なくプレイ可能。
    • オリジナルのWin版は日本語非対応だった。
  • 開発元がフォーラムで意見を募集していた。中には日本語のフォーラムもあった(現在は閉鎖)。
    • 開発元には日本人スタッフ1名と日本語ができるスタッフが数人いたようである。
  • 当時開発元が定期的にPodcastで動画を配信していた。
    • 開発に関する裏話や、アップデート前のテストプレイ等といった内容である。
    • 特にバイクアップデート前に配信された映像では、バイクとセスナ機のテストプレイを行っている様子が映し出されていた。
    • 現在でもCriterion GamesのYouTubeチャンネルに動画が残されている。
  • ゲームバージョンは1.9で打ち止めになっているが、開発チームは当初これ以降もアップデートを続ける予定があったらしい。
    • 飛行機やヘリコプター、ボート、地下エリア(?)、月面エリアを追加するという構想があった(参照)。
  • オンラインのグリッチ(バグ技)の研究が進んでおり、新たな楽しみ方を見出す人もいる。興味のない人、拒否反応を示す人もいるのでほどほどに。
  • 今作の後、開発元のCriterion Gamesは発売元EAのもう1つのレースゲームシリーズである『Need for Speed』シリーズの開発に移行したため、『バーンアウト』シリーズは現在に至るまで完全新作が発表されていない。
  • 2012年の『Need for Speed: Most Wanted*4』は事前情報から本作に近い作品かと期待されていたが、現在は似て非なるゲームと認知されているようである。
    • このようにCriterionの『Need for Speed』シリーズ作品は本シリーズの作風を若干感じさせるが、やはり直系の新作が出ないことを残念に思う声は少なくない。
      • こちらも、DLCが存在するのだがメインモードにおける進行上の支障はない。

その後の展開

  • 発売10周年を記念したリマスター版『Burnout Paradise Remastered』がPS4/One/Win(Origin)で2018年に発売され、2020年6月19日にはSwitch版も発売された。
    • DLC全8種の同梱に加え、グラフィックの向上、さらに4K解像度+60FPSに対応した完全版に相応しい作品となっている。また、トロフィー等の内容もオリジナル版から一部変更してある。
    • CS版ではPS4 Pro及びOne Xでプレイすると4K&60fpsの出力でプレイできる。Win版ではオリジナル版では実装されなかった一部DLCや日本語字幕・音声も実装されている。
+ タグ編集
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  • 2008年
  • PS3
  • Xbox360
  • RCG
  • EA
  • バーンアウト

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最終更新:2024年03月07日 17:00

*1 ただし、DLCを除いたパラダイスカーをほぼ全てアンロックさせる「Time Savers Pack」のみ未収録なので、車両は自力で取得する必要がある。

*2 ただし、Remastered版では変更されているので、トロフィー獲得にカメラは必要なくなっている。

*3 日本では過去にPS3で配信されていたが、現在は配信終了。

*4 2005年に発売されたシリーズ9作目である同タイトルのリメイク。これ以前にも、1998年に発売されたシリーズ3作目である『Need for Speed: Hot Pursuit』のリメイク版を手がけており、そちらは2010年にリリースされている。