BURNOUT 2: POINT OF IMPACT
【ばーんあうとつー ぽいんと おぶ いんぱくと】
| ジャンル | レーシング |  | 
| 対応機種 | プレイステーション2 | 
| 発売元 | サミー | 
| 開発元 | Criterion Games | 
| 発売日 | 2004年4月1日 | 
| 定価 | 5,800円 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 国内初の『バーンアウト』 前作から正当な進化
 チェイス、クラッシュモード初登場
 ブーストを使えば盛り上がるBGM
 アクレイムマーケティングの被害者
 据置機版『スリルドライブ』
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| バーンアウトシリーズ | 
 
概要
破壊系レースゲームの代表作『バーンアウト』シリーズの第二作目。
前作『BURNOUT』ではセガが『グランドヒート』という名称で発売される予定が中止となってしまったが、本作はサミーから正式に発売された。
海外版は2002年10月3日にAcclaim Entertainmentから発売されており、PS2の他、ゲームキューブやXboxでも発売されている。
特徴
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基本的なシステムは前作と同様だが、ゲームのボリュームやバリエーションが増加しており、ゲーム性、演出性の強化や、シリーズウリの「クラッシュ」も強化しているのが特徴。
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レース、タイムアタックの他にドライビングスクール、チェイス、クラッシュのモードが登場した。
 
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本作からメダル制となり、ブロンズメダル以上を獲得すれば次に進める仕様となった。
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複数のコースを繋げたマラソンコースは一本道コースに変更された。
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前作と同様、開発元のCriterion Games製のRenderWareエンジンを採用している。
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本作のゲーム内での翻訳は最低限の部分くらいしかされておらず、ほとんど英語表記になっている。
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説明部分はしっかりと翻訳されているので、ゲームを進める上での支障は特にない。
 
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本作のゲームモードは以下の通り。
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Driving School
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チュートリアル。最初に行う事になるモードで、すべてのレッスンで最低でも銅メダルを獲得しないと他のゲームモードは登場しない。
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このモードで使用する車は教習車で、レッスンを全てゴールドメダルを獲得すれば他のモードで使えるようになる。性能は並。
 
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Championship
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グランプリしかなかった前作から1対1のレース、シングルレース、チェイスが登場。
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グランプリは順位毎にポイントを獲得するシステムとなった。
 
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Single Race
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Time Attack
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シンプルにタイムアタックを行う。本作では何周でも走れるようになった。
 
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Crash
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本シリーズの特徴であるクラッシュシーンに焦点を当てたモード。車の列に突っ込みどれだけ大きなダメージを与えたかを競うモード。
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ダメージ(被害額)は車の破損と吹っ飛んだ距離によって増加し、巻き込んだ車の数の分スコアが倍増する。
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事故現場を発見した車はブレーキをかけてくるが、故障しているかと思える程ブレーキが全く効いていない。事故を避けようともせず次々突っ込んでいく姿はシュール。
 
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Chase
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ターゲット追いかけてダメージを与えていき、逃げられる前に止めなければならない。
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ターゲットには耐久力が存在し、ぶつける度に減少していき、徐々にターゲットが破損していくようになり、全て減らすとクラッシュして「逮捕」となる。
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追跡可能距離がコースによって異なり、一定周走られるか、マラソンコースでは最後まで走られると失敗となる。
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Chanpionshipからではプレイヤーはパトカー固定だが、シングルモードからだと自分と相手の車を選べるようになり、プレイヤーの車両はサイレンが付くようになる。
 
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Custom Series Championship
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Championshipを制覇すると出現。強化版であるカスタムカーがメインのレースシリーズ。
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難易度は高いが、その分強力な車を入手することができる。
 
評価点
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ゲームエンジンが進化した事によって、グラフィックが進化し、より過激な演出が強化された。
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この手のゲームで肝心なクラッシュも勿論強化。インパクト重視になり、クラッシュすると車のパーツが吹き飛ぶようになり、車がより派手に吹っ飛ぶようになった他、火花の描写も進化。
 
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ボリュームやバリエーションが大幅に増加された。
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レースをするくらいしかなかった前作とは違い、チェイスやクラッシュモードといったゲームモードの種類が追加された。
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Chanpionshipの数や、車両やコースの数が倍に増えた。
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コンパクトカー、スポーツカー、マッスルカー等に加えて、パトカーやチューンドカー、ホットロッドといった多彩な車種が登場した。
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車のステータスが明確になり、分かりやすくなった。
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ただし、前作にあった大型車は使えなくなった。
 
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コースは、空港や海岸沿い、砂地や雪山などのコースが登場。それぞれのコースに特徴があり、バリエーションが豊か。
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本作では天候の変更が可能になった。一部コースでは雨や雪を降らすことができる。
 
 
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スピード感の改善。
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ブーストゲージ増加量が大幅にアップし、ブーストが使いやすくなった。難しかったブーストチェーンも簡単になった。
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車の最高速度もアップした事により、ブーストでぶっ飛ばせばスピード感抜群。
 
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レース部分の改善。
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特定の操作をする事でスタートダッシュが可能になった。
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前作では全てのコースは3周走る必要があったが、本作はコースの長さによって周回数が調整された。またコースの長さも短めになった為、長くてダレがちだったレースもスムーズに進めるようになった。
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グランプリでは1レース毎にセーブが出来るようになった。レースが多いグランプリもある為、途中再開が可能。
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少しキツめだった制限時間が長めになり、チェックポイント通過時のタイムも大幅に増えた。よほど下手にやらない限り時間切れになる事はまずない。
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チェックポイントを通過すると前後順位とのタイム差を確認できるようになった。
 
 
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BGMも高評価。
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BGMはロック中心となり、雰囲気にピッタリ合っている。
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コース毎に複数のBGMが収録されており、ブーストなし、ブースト中、リプレイ中の3パターンが存在する。
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ブースト中はBGMまでブーストがかかったように盛り上げてくれる。
 
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ロード時間が短い。PS2シリーズはロード時間の長さが問題視されていたが、本作ではロード時間によるストレスを感じさせない程の短さになっている。レース開始前のロード時間はたったの5秒で済む。
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相変わらずフレームレートは常時60fpsで動作する上、処理落ちは皆無なので快適。
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ランキングの種類が増加。タイム、スコア、被害総額の他にスキル面でのランキングが追加された為、やりごたえがある。
賛否両論点
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Supercarが強すぎる。
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本作最強の車であるSupercarだが、何とステータスがほぼカンストしてしまっている。
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Championshipの終盤で入手できる為、これを使えば後のCustom Series Championshipがヌルくなってしまう。
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強すぎてゲームバランスを崩壊させているという声もあれば、Custom Series Championshipがクリアできないプレイヤーへの救済措置との声もある。
 
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派手になったクラッシュ描写。
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本作はクラッシュの派手さを重視した為か重力が全体的に軽くなり、車が滑る上にかなり吹き飛ばされるようになっている。
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前作ではクラッシュの派手さは控えめだったものの、リアリティのある描写になっていた為、リアリティ派、インパクト派で意見が分かれた。
 
問題点
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クラッシュのリアリティは退化した。
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前作ではあった物理演算で車が歪む事がなくなり、賛否両論点でも述べたがクラッシュは派手さをした過激な描写となった為、リアリティ面としてはむしろ劣化してしまった。
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また、クラッシュした車両が地面に衝突すると「ボトッ」という、まるでプラスチックが落ちたような音がする。
 
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Championshipに関する問題点。
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序盤は3レースだが、Championshipが進む度にレース数が水増し気味に多くなっていく。
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最終的には7レースもこなさなければならなく、更にほとんどが長めのレースなので面倒になる。レース毎にセーブができるのが救いか。
 
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グランプリは全レースを1位でフィニッシュしなければ、二つのイベントの内一つがアンロックされないようになっている。
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前述のレース数が多いグランプリではこの問題に拍車をかけている。
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更にグランプリのみポーズメニューでメニューに戻る項目がなく、代わりに「棄権する」項目になっている。これを選ぶと最下位でフィニッシュした事になり、次のレースに進むようになっている。
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その為レース中からグランプリを中断する事は不可能。完全クリアしたいけど勝てそうにない場合はリセットした方が早い。
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ただクリアするだけなら全て一位になる必要はない為、逆に棄権を利用してレースを短縮する方法も可能だったりする。
 
 
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全車の内半分がペイント不可能。
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XboxのDeveloper's Cut版(日本未発売)では、ペイント可能車種が増えている。
 
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レース中のクラッシュのリプレイは見れなくなった。
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クラッシュモードはクラッシュしてから終了するまでの時間が短い。
総評
破壊系レーシングというジャンルを上手く活かした作品。ボリュームだけでなく、バラエティ面においても圧倒的な進化を遂げている。ゲーム内容のバリエーションも幅広くなり、ただレースをするだけでなく、チェイスモードでぶつけ合ったり、クラッシュモードでどれだけダメージを与えられるかを競ったり、シングルレースでデッドヒートを繰り広げたりときっと楽しい時間を過ごすことができるだろう。…だが、半年後に発売された次回作の『バーンアウト3:テイクダウン』の陰に完全に隠れてしまったのが非常に残念である。
余談
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本作が国内で発売された時点では、Acclaim Entertainmentは既に虫の息だった。
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Acclaimはこのゲームを宣伝するために、スピード違反を犯したドライバーに対し罰金の払い戻しを行うキャンペーンを計画していた。それもゲーム内ではなく現実世界で。それに対し英国政府からは「危険運転を助長している」とのバッシングを受けてしまい、未遂に終わった。→ソース
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お陰で
元々評判が悪いアクレイムに加えて
発売前から本作は悪い印象を与えられたという。Criterionとファンにとってはとんだとばっちりである。
 
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他にもAcclaimは様々な問題行動を起こしており、これまでに批判(主にマーケティング)や訴訟を起こされた事が何度もあった。その内容が常識を覆すようなものが多い為、気になる方は各自ググってみよう。
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更にAcclaimは2000年代に入ってからはソフトの売上が乏しくなり、2004年8月末にチャプター7に基づく破産申請により倒産した。
 
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一方、開発元のCriterion Gamesは2004年8月にエレクトロニック・アーツに買収されEA傘下のデベロッパーとなった。
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EAは北米を代表する大手ゲームメーカーであった事から、EAから一流スタッフ達が集結して『バーンアウト3:テイクダウン』を開発、発売し世界中で大ヒットさせた事により、Criterion Games及びバーンアウトシリーズはEAの傘下で新たに生まれ変わるという、アクレイムとは真逆の道を歩む事となった。
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同年には本作の廉価版がEAから発売されている。こちらは日本未発売。
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因みによく勘違いされやすいがCriterionは元々Acclaimの傘下ではなく、キヤノンの傘下である。
 
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本作で初登場した「Custom Coupe」(パッケージの緑の車)は、後のシリーズで多数登場しており、シリーズのマスコット(?)として定着した。
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Championshipを一定まで進めるとチートが使用できるようになる。
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ブーストが無限に使えたり、クラッシュしなくなったり、トラフィックが出現しなくなる等のチートが使用可能となり、本編とは違った遊びができる。
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ただし、有効にしているとChampionship等ではメダルを貰えなくなり(クリア扱いにならなくなる)、またレコードやランキングに記録されなくなるので注意。
 
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後にCriterion Gamesが開発した『Need for Speed: Hot Pursuit (2010)』は、本作の要素を意識した部分が多く、ある意味リメイク作品とも言える。
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本作は据置機版で出来る『スリルドライブ』だと言われている。
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本作のベースになった『初代』のゲームシステムが酷似していた為。本作も例外ではない。
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本作は新モードの増加などで差別化はできてはいるが、それでもまだ似てはいる。
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雰囲気なら『初代』の方が似ているが、その作品が国内で発売中止になってしまったのが非常に惜しい。
 
最終更新:2023年04月09日 13:59