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闘神都市II
【とうしんとしつー】
| ジャンル | RPG |  
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| 対応機種 | PC-9801(VM/UV以降) Windows
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| 発売・開発元 | アリスソフト | 
| 発売日 | 【PC-98】1994年12月10日 【Win】1997年6月20日
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| 定価 | 【Win】4,800円 | 
| レーティング | アダルトゲーム | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | ダークで衝撃的なストーリー お笑い・エロ要素も完備
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| ALICE SOFT作品リンク | 
 
概要
Ranceシリーズでお馴染アリスソフトが94年に発売したゲーム。
武闘大会で勝って女の子とエッチする、という基本のプロット自体は前作と同様であるが、全編通して明るい雰囲気だった前作から一転して極めてダークなストーリーとなっており、とりわけ「優勝後」の激動の展開は当時のユーザーを虜にし、アリスソフトの代表作とまで称される人気タイトルとなった。
なお、世界観設定自体は前作同様Ranceシリーズと同一だが、本作はあくまで前作(およびRanceシリーズ)と物語的な繋がりは無いパラレルストーリーとなっている。
ストーリー
瑞原道場の門下生である主人公シード・カシマ(名前変更可)は師匠の娘である葉月と恋仲になるも、道場で一番弱かったことから師匠からは娘婿となることを認められていなかった。
ある日、シードは師匠から、闘神大会に出場して優勝できれば葉月と結婚することを認めるが、叶わなければ葉月は道場で一番強いビルナスに娶らせると告げられる。
シードはこれを聞き闘神大会への出場を決意する。
義姉であるセレーナがパートナーを申し出て、シードを鼓舞してくれる中、数多の強者たちがひしめく闘神都市へと向かうのであった。
……しかし、シードはまだ知らない。闘神都市の真実と、その先に待ち受ける物を。
前作からのシステムの追加点
基本的なシステムは前作と同様だが、いくつかの新要素が追加されている。
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疲労度の概念の追加
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宿屋に宿泊せずに迷宮を探索していると疲労度が蓄積され、放置しておくと徐々に本来の力を発揮できなくなる。
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また、一部の必殺技に関しては1日に使用できる回数が決まっているため、必殺技の回数を回復させる意味でも宿泊は必要になる。
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ゲーム後半ではある事情から疲労度が一定値になった時点で強制的に探索が打ち切られる。
 
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女の子モンスターの捕獲には専用の捕獲ロープが必要になった。
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捕獲ロープは2種類あり、HP5以下で捕獲できるロープとHP50以下で捕獲できるロープの2種類がある。HPの条件が緩和された形だがその分アイテムの消耗が必須になった。
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なお、捕獲した女の子モンスターは連れている間は一緒に攻撃してくれることもある。
 
評価点
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アダルトRPG史上最高峰と謳われるシナリオ
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前作に比べシナリオのボリュームも大幅にアップ、それでいて長大でありながらプレイヤーを飽きさせない緩急に富んだシナリオ構成の妙、饒舌な台詞回しや不条理とも思えるギャグに隠された18禁特有の重厚なテーマ性は非常に評価が高い。
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そのシナリオの完成度の高さは、アダルトゲームという枠を超えて国産RPG屈指の傑作であるとの呼び声も高い。
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18禁ゲーらしくお色気イベントが多いものの、それ以外でも一般向けゲームでは間違いなく業界の自主規制に引っかかるような展開もあり、アダルトゲームだからこそできる表現の自由を活かしたストーリーとなっている。
 
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魅力的なキャラクター
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メインヒロインの「瑞原葉月」は正統派のヒロインでありこの手のタイプのゲームには埋もれやすいタイプでありながら存在感がひときわ大きく、メインヒロインとしての風格を十分に発揮している。
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当時としては珍しい剣士ヒロインでもある(女主人公な作品なら『夢幻戦士 ヴァリス』『ぽっぷるメイル』『雷の戦士ライディ』等それなりにあったが、男主人公な作品で剣士ヒロインは珍しかった)。まぁ現在では反って多いぐらいだが。
 
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もちろん他の脇を固めるキャラクターも男女問わず魅力的な人物が豊富にそろっており、シナリオの魅力を存分に引き出してくれる。
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特に、終盤で肩を並べる幻杜坊というキャラがいるのだが、道中不快な言動や、とあるとんでもないことをやらかすのでプレーヤーからしたら相当よろしくない感情を抱くと思われる。
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だが、そんな彼がある場面で本作のテーマを凝縮したセリフを放つことこそが、本作を単純な善悪で語りきれない奥深い名作にしている一因と言えるだろう。
 
 
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前作よりもさらに向上したRPGとしてのゲーム性
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力押しだけではどうしてもクリアが出来ないのは本作も同じであるが、属性の範囲も増えており、さらに一筋縄ではいかない戦術も要求されることに。
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とはいえ決して理不尽なバランスにはなっておらず、謎をきちんと解いていれば規定のレベルで十分クリアできる。
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また、シナリオでの選択によってその先の謎解きの方法が変更されたり入手できる装備が変わってくるといった要素もあるが、一部のイベントには悪行値が加算されるものもあり、そういうイベントに限ってゲームの展開を楽に出来ることが多いというジレンマもある。
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悪行値が蓄積するイベントは倫理的に問題がある物も少なくなく、だからこそ見たいという欲求と、見てしまった後の強烈な罪悪感は成人ゲームという媒体を最大限に生かしていると言えるだろう。もちろんほとんど見ない善人プレイでもクリアは不可能ではない、という絶妙なゲームバランスとなっているのも評価できるポイント。
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ちなみに増えた悪行値はあるアイテムやイベントを用いて減らすことは可能ではあるが、悪行値が加算されるイベントを全て経験してしまうと…その先は自分で確かめてほしい。
 
 
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大幅に強化されたやりこみ要素の高さ
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前作に引き続き女の子モンスターの捕獲という要素も健在で、その捕獲方法も一筋縄ではいかないものもいる。
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サブイベントも充実しており、それを網羅するだけでもかなりのやりこみが必要になる。
 
問題点
総評
アダルトゲームの枠を超えた国産RPGの傑作との呼び声も高く、その完成度の高さは今なお色あせない逸品である。
プレイできる環境があれば一度は触れてみて損はないだろう。
余談
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本作の後日談として『闘神都市II そしてそれから…』という作品がある。ゲーム性のないデジタルノベルであるが、ストーリーの完成度は相変わらず高い。
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レーティングは全年齢対象作品ではあるが、一部のイラストは生半可なエロゲーよりもエロいという声もあるのはご愛嬌。
 
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1997年にピンクパイナップルから本作のOVAが発売されている。制作はAIC。脚本、ストーリーボード、キャラクターデザイン、美術設定、作画監督、原画、監督は全て中山岳洋が1人で務めている。
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現在はアリスソフトの配布フリー宣言により本作の自由配布が認められている。アリスソフトアーカイブズでもPC98版をダウンロード可能なので、興味のある人はダウンロードするのもいいだろう。
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本作はPCエンジンにも移植される話が持ち上がっていたものの計画が頓挫し、その際に資料関係が返却されずそのまま散逸してしまったため、次回作の発売は14年の歳月を待たねばならなくなった。
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2014年1月30日に『闘神都市』というタイトルで、イメージエポックよりニンテンドー3DS用ソフトとして発売された。本作の内容をリファインしている。
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2021年に1月10日にNEWSポストセブンで孤独死を扱った記事が掲載された際、本作の瑞原葉月の名が冒頭に出たためアリスソフトのファンの間で話題となった。(該当記事)
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なお記事内では『闘神都市』とされているが、葉月が登場するのは『闘神都市II』である。(上記3DS版にも葉月は登場するが、記事後半で扱われた作品と年代が離れているため、可能性は低い。)
 
最終更新:2024年12月27日 18:05