マジカルテトリスチャレンジ featuring ミッキー
【まじかるてとりすちゃれんじ ふぃーちゃりんぐ みっきー】
ジャンル
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パズル
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対応機種
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アーケード(ALECK64) ニンテンドウ64 プレイステーション
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発売・開発元
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カプコン
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稼動開始日【AC】
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1998年
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発売日【N64/PS】
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1998年11月20日
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判定
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なし
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テトリスシリーズ
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ディズニーシリーズ
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概要
ディズニーの看板キャラクター『ミッキーマウス』を題材として採用した『テトリス』。
登場キャラクターはミッキー/ミニー/ドナルド/グーフィーで、彼らを使用キャラとして選択することも出来る。
AC版は任天堂許諾の下、セタが開発したN64互換基板「ALECK64(アレック64)」が使われている。
システム
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基本システムは一般的なテトリスと同じで、落下するピースをボタンで回転させ、横一列に並べると消滅となる。
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本作は対戦に特化しており、一人プレイでもCPUとの対戦しかできない。
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移植版では、従来のようにCPU対戦なしで純粋にハイスコアを目指すモードが追加されている。
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『テトリス武闘外伝』のNEXT共有システムを一部改変して採用している。さらにハードドロップ、ゴースト表示が使用できるため欲しいNEXTを同作よりも素早く獲得できる。
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共有NEXTとは別に各プレイヤーのフィールド上にもNEXTが表示される。獲得した共有NEXTはまず自分のフィールドのNEXTに送られ、その次の手で操作できるようになる。
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ただし対戦相手から送られた「おじゃまピース」(後述)が自分のNEXTに溜まっている場合、それらをすべて使い切るまで共有NEXTを獲得することはできない。
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本作独自のシステムとして、2ライン以上同時に消すと、相手に「おじゃまピース」となる5個以上のブロックで形成された様々な異形のピースを降らせることができる。連続でラインを消している間なら1ラインずつ消してもおじゃまピースが発生する。
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このピースは消したライン数に応じた数だけ相手の「次の手」に押し付ける事ができる。相手プレイヤーは場の状態やテクニック次第でこれを生かすことも出来るが、基本的にはエキセントリックなその形状で計画が狂う事になる。
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相手にこのピースが送られても、自分がそのピースを使う(NEXT表示に入ったままで、どこに置くか決めるようになる)前ならば、1ラインでも消せば「カウンター」となっておじゃまピースを相手に送り返す事ができる。
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そしておじゃまピースを送りまくったりカウンターを繰り返したりすると、とんでもないピースが降ってくる。
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おじゃまピースの中には縦に5つ並んだピースが混ざることがあり、これを使うと5ライン同時に消す「ペントリス」が可能。大量のおじゃまピースを送り返すことができる。
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従来の対戦テトリスと同じく、相手のフィールド下部からピースをせり上げる方式を選択することもできる。ストーリーは共通。
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本作独自のシステムその2、マジカルゲージ。
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マジカルゲージは1P側は画面左下に、2P側は右下に表示され、ピースを1ラインだけ消すごとにゲージがたまっていく。
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ゲージが最大までたまると自動発動し、一定段を残したピースが全て重力にしたがい落下し整列。その後、一定ライン以上全てのピースを消滅させる。この消滅は攻撃扱いではないが、おじゃまピースを使って攻撃に転じやすくもなるため、基本的には一発逆転の要素として機能している。
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マジカルゲージは発動するごとにだんだんと長くなっていき、発動が難しくなっていく。
評価点
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一般的なテトリスとは異なった本作固有のシステムゆえに対戦要素が熱く、さらにそのシステムデザイン故に大人対子供でもそれなりに白熱する。
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場の状況にあわせてヌルヌル動くディズニーキャラクター達は愛嬌がある。
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特に勝利すると相手を小ばかにするように大笑いするドナルドダックは、まさにイメージ通りの動きをしている。
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キャラクター性能は無いが、選択可能キャラ4人それぞれに個別のシナリオが用意されている。
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4人は同時進行というわけではないが、別のキャラクターでプレイすると「この時こいつはなにしてたんだ」というのがわかる構成となっている。
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BGMは「ミッキー」そのものよりも「ほのぼのとした世界観での対戦ゲーム」を意識しているらしく格好いい物が多い。
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地味に壁蹴り対応。ただ壁蹴り法則は他のどのゲームとも一致しないオリジナルの物で、中には「2マス下までブロックで埋まっている場合、棒を水平に置いてから回転は可能だが、2マス下が空白の場合立たない場合がある」というかなり複雑な物もある。
問題点
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そのデザイン故にゲーマー層からの認知度は高くない。
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明らかに子供向けを狙ったミッキーという題材、それでいてアーケード版ではインストカードに「カウンター」と書かれているなど、不釣合いなデザインバランス。
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『テトリス』というゲームがそもそもとしてそうなのだが、本作はその中でも特にプレイ時間が長くなりがち。
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特に「負けなければ終わらない」という対戦ゲームの仕様上もあるが、一人でもCPU戦6回を通しでプレイする事になる。
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なお難易度「むずかしい」のCPUはインチキ臭い強さで、RTAの上位勢でもノーコンテニューではクリアできないほど。
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シナリオはミッキー編を除き、ドナルドが釣り上げた石を中心とした展開になっているが、内容からして(ピート一味との絡みを除き)間にテトリス勝負を交える必要性が薄く、元々このゲームの為に作ったシナリオではないように思える。
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一方でミッキー編は『序盤で仲間達がピートに催眠術をかけられ、ミニーはピートの求婚を受け入れ、ドナルドとグーフィーはミッキーに高圧的な態度をとる』という対戦ゲームとしては真っ当な内容になっている。まあこちらも催眠術にかかる前のミニーの料理を手伝う際にテトリス勝負になったりしているが。
総評
「ディズニー+テトリス」といういかにもライトユーザー向けタイトルではあるが、その実態はテトリス有数の対戦ツールである。カウンターの存在ゆえに、CPU戦でも油断ならないゲームで、その難易度は高い。
というより、このゲームは従来の『テトリス』が得意ならば、「一気に消すよりも、1列2列をガシガシ消した方が攻守両方に対応できる」という本作の仕様に慣れる必要がある。
もちろん、ある程度慣れてくるとタイミングを見計らっての4列消し等といった駆け引きも出てくるが、意外な事にテトリスになれていないライト層、例えば子供等がやると結構長い時間遊ぶ事が出来る。
もしゲームセンターや中古ショップで見かけたりしたなら、一度「ミッキー」に持つ偏見を捨ててコインを投入または購入し、その武闘派バランスに酔いしれてみるのも良いだろう。
本作はガチ対戦も接待対戦も寛容するバランス故に、子供や親と一緒になって対戦してみるのも面白い。
最終更新:2025年04月17日 16:55