テトリス
【てとりす】
ジャンル
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アクションパズル 落ちものパズル
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対応機種
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IBM-PC、Apple II、PC-8801、PC-9801 ファミリーコンピュータ、ゲームボーイ アーケード他多数
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発売元
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Spectrum HoloByte、Mirrorsoft 他
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日本版発売元
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BPS、任天堂 他多数
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開発者
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アレクセイ・パジトノフ他2名
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発表日
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1984年6月
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製品版発売日
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【IBM-PC版】1986年
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判定
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良作
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テトリスシリーズリンク
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概要
4つのブロックで構成された特定の形のピースを落とし、ブロックの山を消し続けていくアクションパズルゲーム。全ての落ちものパズルの原点になった、世界的に超有名なゲーム。
元々は旧ソビエト連邦の科学者「アレクセイ・パジトノフ」他2名が教育用として開発したものだが、やがてアメリカのSpectrum HoloByte社によって最初にゲームとして製品化。
その後、このゲームは高く聳える国境を幾重にもまたいだ交渉の数々の末に、全世界での市民権を獲得することになる。
様々な機種から発売されているが日本ではFC版とGB版が有名。ゲームボーイ用ソフト日本国内売上第3位(ポケモンシリーズを除いた場合、もしくはゲームボーイ用ソフト単体では第1位)の販売本数約422万本を誇る。
特徴
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基本ルールは非常にシンプル。
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プレイの舞台は細長い枠で囲われたエリア(標準は横10×縦20ブロック)で、その上中央からピースが落とされる。落とされたピースは(最初は)ゆっくりと下へ向かう。
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ピースは4つの正方形ブロックで構成され(通称「テトリミノ」。ゲームタイトルの由来にもなっている)、形状によって全部で7種類ある。
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操作は左右と回転。そして落下。下のブロックに接地するとピースは固定されてもう動かせない。そして新しいピースが落下してくる。
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落下後、横一行の隙間がなくなるとその行が消える。一度に複数揃った場合は同時に消える(同時に多く消すほど高得点の場合が多い)。
そして空いた分だけ、上のブロックの山が下へ落ちるが、天井ができてしまったブロックの穴は埋まらないので、上を塞ぐブロックから消すしか無い。
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エリア最上段まで落下済みのブロックが到達してしまうとゲームオーバー。そうならないように、ピースを隙間なく組み合わせ、ブロックを消していかなければならないが、プレイするうちにだんだんピースの自然落下速度≒難易度が上がっていく。
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本作のパズルらしさに箔をつけている要素として、ピースを落とした後、次に降ってくる予定のピース(ネクスト)もフィールド脇に表示されているという点が挙げられる。
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これにより、慣れたプレイヤーは次のピースの置き場所に支障を来さないように、計画的にブロックを積むことができるようになる。
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ここから、作品によって「規定ライン数を消すとステージクリアとなり得点が精算される」「天井まで積み上がっても数回リトライできるライフ制」などといった副次ルールが定められる。
評価点
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パズルにアクション性を導入。
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ジグソーパズルにせよ、クロスワードにせよ、パズルとは本来、完成を目指す過程で方法は問われないものだった。
そこに「ピースの落下時間内に過程を考えつつ組み上げる」というアクション性を導入する事によって、思考の俊敏性を求められる新たな要素を作り出した。
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テレビゲームというプラットフォームを媒体としたコンピュータパズルならではの発想であり、言うなれば本作はアクションパズルの原点でもあるといえる。
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非常にわかりやすいゲーム性
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デモ画面を見るだけでも分かるシンプルなゲームで、ゲーム自体を全くやった事がない人でもすんなり入れる。
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それでいてやりこもうとすると、ネクストピースを見ながらブロックの組み方を考えるといった先を見据えてのプレイが自然と要求される。「ラインをそろえて消す」というシンプルさと相まって中毒性が高い。
問題点
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変化に乏しいゲーム性
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「そろえて消す」というルーチンの繰り返しになることはルール上必然だが、ゲーム進行に伴う変化が「徐々にピースの落下速度が上昇する」ことしかなく、やる事は終始変わらないので根本的な面で変化に乏しい。
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後の落ち物パズルではフィールド内にあらかじめブロックを配置しておく、対戦相手を用意し敵AIの行動パターンや妨害ギミックを変化させるなどといった、能動的な変化の要素が取り入れられていく事になる。
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FC版の操作性
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Aボタンが落下、下キーで回転という仕様は慣れていないプレイヤーはもちろん、GB版を知っているプレイヤーには間違いを誘発しやすい仕様になっていた。
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またAボタンによる落下の仕様も今でいう「ハードドロップ」つまりAボタンを押した瞬間に着地・固定してしまう。GB版で下を押していた分だけ速く落ちるいわゆる「ソフトドロップ」はできなかったこと、現在はガイドラインで実装することが制定されているゴーストブロックも当時は無いことが当たり前だったためよりプレイングミスを誘発しやすかった。
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また、隙間をLまたは逆L、Iミノなどで埋めるテクニックは既に認識されていたがソフトドロップが無いため特にレベルが低いうちは隙間まで落ちてくるまで延々待たされることになり、テンポが悪くなってしまう。
総評
「落ちものパズル」というジャンル、ひいては
「アクションパズル」という概念を確立
しただけでも歴史的に充分な評価に値する。シンプルで解り易い基本ルールだが高い中毒性を有しており、様々なメーカーが様々な機種でリリースした。
そして、その作品毎によってビジュアルの雰囲気だけでなく、システム・仕様のマイナーチェンジが多種多様に施されているのもこのゲームの特徴だろう。本質を維持したまま、様々な楽しみ方が増えていくという点はなかなか面白い。
余談
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中毒性が高く今も昔もこれをひたすら遊び続けてしまう人がいる。この状態を指して「テトリス・ハイ」と呼ばれることもある。
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日本のファミコン版は当時非常に珍しい売れ方をしていた。
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発売初週(発売日:1988年12月22日)ではベスト20にすら入らないほどだったが発売から少し経った1989年1月中期あたりから売上ランキング15~20位前後に姿を見せはじめ、夏季以降尻上がりに売行きを伸ばし8月には、特別高くはないものの週間売上げランキングのトップを奪うほどになり、1990年に入っても何度か週間売上のトップを取った。また前人気ではランキングには下位にすら入らないようなノーマークな存在だった。
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当時はほぼすべてのゲームソフトの売れ方が、発売初週に大きく売れ2週目に大幅に落ち3週目以降は少しずつ落ちていくという「初週集中型」だった(『スーパーマリオブラザーズ3』のようなビッグタイトルは在庫切れにより一旦大きく落ちながら、再出荷で再び急浮上した例もあった)。
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任天堂によるGB版は初期版と後期版があり、カセットのイラストやメインBGMが異なる(初期版は「メヌエット」後期版は「コロブチカ」)。写真は後期版のもの。『テトリスDS』で使われている「イニシエノテトリス」は後期版のメインBGMのアレンジである。
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A-TYPEゲームの仕様が異なる。
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初期版はレベル9までは10ラインで1上がり、それ以降は20ラインで1上がる。後期版は開始時レベルに関係なく「次レベル×10ライン」に到達した時点で上がる。またレベルアップ時のSEも異なる。
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ロケット打ち上げの条件が初期版は5万点(小型)10万点(鉛筆型)15万点(中型)だが、後期版ではそれぞれ5万点ずつ高くなっている。
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GB版では通信ケーブルを使った2人対戦もできる。先に30ライン消すか、相手をゲームオーバーに追い込むかすれば1本。4本先取で優勝となる。
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2ライン以上を同時に消すと相手のフィールドをせり上げることができる。せり上がったブロックには一か所だけ穴が空いており、それを利用すると相手にカウンターを仕掛けられるようになっている。
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米国「Nintendo Power」誌では毎号読者投稿によるスコアランキングが掲載されていたが、そこで長らく断トツを独走していたのが、現Appleの共同創業者としてその筋では有名なSteve Wozniak氏である。その後あまりにもランキングを独占しすぎたために出禁を食らってしまったが、わざわざ家を引っ越して住所を変え「Evets Kainzow」という偽名で投稿して再びトップに返り咲いている。ちなみにWozはGB版テトリスしかやらないそうである。
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海外NES版も任天堂制作で、このGB版をさらに改良したものとなっている。
今となっては操作性こそ時代遅れではあるもののコアなプレイヤーが非常に多く、アメリカではこのソフトを使って「Classic Tetris World Championship(CTWC)」という名前で毎年世界選手権が開催されている。
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操作性の悪さの中でも「接地後の遊び時間がない」「左右長押しでの移動速度がかなり遅い」点が特徴的で、それにもかかわらずレベル19以上で1/2G、レベル29以上で1Gと非常に早い落下速度上限があるため、この移動速度では満足な操作ができないのである。そのためエンドレスモードには実質終点があると言われていた。
しかし「横貯めが遅ければそれ以上の速度で連打すればいい」という事から、方向ボタンを正確に連打しやすいパッドの持ち方が研究されてこの限界を突破。現在は「親指をキーの上に固定、パッドを下から叩いて操作する」というもっと意味不明な持ち方まで研究されているほど。
日本でも一部のプレイヤーはNESテトを個人輸入、CTWCでは2位に食い込んだ国内プレイヤーも存在する。
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この流れを受けてか、『テトリス エフェクト コネクテッド』ではこのCTWC参加の国内プレイヤーを監修に招き、NESテトを再現した『クラシックスコアアタック』をオンライン対戦として搭載している。
また、RiJ2021Winterでも4人でのスコアアタックが公開された。
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このCTWCでは2016年以降「シード値を入力することによりツモ順を複数プレイヤー間で固定可能」「100万点以上を記録するために「999,999点の次がA00,000点表記になる」等のカスタムロムを使用している。2023年以降は上のように限界点を突破するプレイヤーが多くなりすぎたため、Lv39以降落下速度が2Gになるという2度目のカスタムが行われた。
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2023年12月21日、当時13歳の男性がNES版テトリスのソフトウェアのバグを引き起こし、本来エンドレスであるはずのゲームをフリーズさせることで「撃破」したことが話題となった。なおカスタムロムでこのフリーズを回避すると「Lv255の次がLv0になる」という現象が起こり、これも2024年に達成された。
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なおテトカンでも本作の盛り上がりは認知されていて、2025年発売のTGM4では非スタンダードルールの表記がTGM3の「CLASSIC」から「TGM」へと変更されたが、これはこのNESテトのような法則を「CLASSIC」と表記するようにしたためである。
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ゲームボーイ版『対戦型テトリス』は『ファミリーコンピュータMagazine』(ファミマガ)の「1989年度ファミマガゲーム大賞」でゲームボーイ部門での大賞に輝いた。
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しかも30点満点中25.02点と同年のファミコンソフトと比べても上位に食い込めるほどで、ゲームボーイでは2位の『ゴルフ』(22.86点)を2点以上も引き離すダントツだった。
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この年のファミコンソフトはマリオやドラクエなどビッグタイトルがなかったため「それなりに良作」程度のものが異常なほど高評価を受けていたことから「どんぐりの背比べの中での高評価」などと揶揄されていることや、ゲームボーイ単体で見てもハード自体の低性能やソフト容量の小ささ、さらにゲームボーイ部門の対象ソフトはわずか16本(ファミコンは163本)と少なく草創期のため地味臭いゲームが多かったなどそれらを鑑みると手放しで大喜びはできるとは言い切れないが、任天堂の看板キャラ「マリオ」を起用したゲームボーイのローンチタイトルの看板『スーパーマリオランド』でさえ(21.72点でゲームボーイ4位・ファミコンも含めば29位)とマリオ作品とは思えないほど低評価をされてしまうなど、まさに前途多難な様相を呈していた中で別格の高評価だったことは間違いない。
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それだけゲームボーイにマッチしていたことや、それを活かしてのエキサイティングな対戦ができたことなどが高く評価された。
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3DSのバーチャルコンソールでGB版が2011年12月28日から400円で配信されていたが、2014年12月31日で配信停止となっている。
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以前は、バンダイナムコゲームス製の3DS版『テトリス』のダウンロード版や『ぷよぷよテトリス』ダウンロード版も配信されていたが、現在はニンテンドーeショップのサービスは終了している為、新規購入は不可。これにて3DSで遊べるダウンロードソフトは全て配信終了となった。
最終更新:2025年04月15日 12:49