beatmania IIDX 16 EMPRESS + PREMIUM BEST

【びーとまにあつーでぃーえっくす しっくすてぃーん えんぷれす ぷらす ぷれみあむべすと】

ジャンル DJシミュミレーション

対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 2枚組
発売・開発元 コナミデジタルエンタテインメント
発売日 2009年10月15日
定価 7,980円(コナミスタイル限定特別版もあるがここでは割愛)
判定 なし
ポイント 圧倒的な収録曲数をはじめとして全体的には評価が高い
ただしファンにはガッカリ要素が多い
家庭用最終作故のプレミア化
beatmaniaIIDXシリーズリンク


概要

ゲームセンターで一世を風靡したDJシミュレーションゲームのデラックスバージョンであるbeatmaniaIIDXの17作目にして、家庭用のシリーズ最終作と銘打たれた作品。
新曲を中心にした収録曲の『16 EMPRESS』と、過去の人気曲を集めたベスト盤にあたる『PREMIUM BEST』のディスク2枚組となっている。
そのキャッチコピーに違わず、収録曲は180曲以上という大ボリューム。勿論IIDXはおろか、CS向けBEMANI史上最多である。
『12 HAPPY SKY』以来、CSでもスコア争いが可能なようにAC版でスコア募集が行われていたため、発表された当初は「次世代機か!?」「二層か!?」と少々騒ぎになった。
また、過去作品のギャラリーが閲覧できるARCHIVESモードも実装された。


問題点

以下に記されているもののうち、隠し要素解禁の厳しさについては、公式サイトでも公開されている「全解禁コマンド」を使用することで、強引ではあるが解決可能。どうしても隠し曲や見たいARCHIVEに辿り着けなかった場合は、こちらの使用を推奨する。

PREMIUM BEST(以降PB)ディスクの問題

  • PBディスクのアーカイブス埋めが苦痛。
    • 自己ベストを更新することで追加されるのだが、9th・REDはPBに四曲ずつしか収録されていない上に、アーカイブスの枚数が多い。
      • その為、いったん記録消去してからもう一度自己ベスト更新、と言うチマチマした方法を推奨されることに。
        一応AC版の「撃墜王」を再現したシステムだと思われるのだが、元が不評なうえ、同様にも隠し要素に絡んでいるのが何よりも辛い。
    • また、CERO対策か水着リザルトが収録されていない。
  • EXPERTモードがなく、オリジナルコースを組む事ができない。
    • スタンダードや段位認定もないが、これらはEXPERTに比べれば余り取りざたされない。
      これはPBディスクにボスフォルダがないためスタンダードの存在意義が殆ど無く、段位認定の採用曲も全てEMPディスクに収録されている為である。
  • HAPPY SKYに収録されていた「Scripted Connection⇒」のロング版がない。EXPERTモードが無いため、疑似ロングも不可能。ロング版専用譜面が黒譜面として分割収録されてはいる。
  • CS REDに存在していたGAMBOLのANOTHERが未収録。
    • 一応、それと同等の効果が出るコマンドがあるのでそれで代用可能。

EMPRESS(以降EMP)ディスクの問題点

  • CS新曲の扱いが賛否両論。
    • CS版beatmaniaではおなじみだったL.E.D.氏提供の書き下ろし楽曲がない。
      • 一応AC版次回作『17 SIRIUS』からの先行収録曲として「DOMINION」があり、これは発売前から宣伝されていた。この作品の発売はSIRIUSの稼働前である為、書き下ろしと見なすこともできなくもない。
    • 同じくCS新曲で慣例になっていた専用ムービーがない。全て汎用ムービー(同一素材を別曲で共有するもの)に。
      • CS新曲の中にはギタドラシリーズからのアレンジ移植曲「ERaSeR EnGinE DistorteD」も存在しているが、当然汎用。原曲がかなり古いこともありムービー移植をされることもなかった。
      • 汎用ムービーにすることで容量が削減できる、と言う説もあるが、後述する事情により時間がなかった可能性が高い。
      • ただ、元の汎用ムービーのクオリティ、セレクトもあり雰囲気ぶちこわしレベルではないのが救いか。
        曲そのものの評価は「いかにも家庭用と言う感じで良い」と言う評価もあれば「コラボ曲等斬新な楽曲がない」と言う否定的意見が分かれるところ。
  • EXPERTがデフォルトの物のみ。今までのシリーズには追加EXPERTコースがあったのだが……。
  • GFDMからの移植曲である「たまゆら」も、音源は『pop'n music 16』版、ムービーもそのままであり、今までムービーを作り直しては逆輸入させてきた移植佐々木曲に比べると物足りない。

共通の問題点

  • EMPディスクとPBディスクの連動が甘い。
    • 上記に9th・RED曲がPBディスクには収録されていない…と書いたが、実はEMPディスクに9th曲が5曲、RED曲は4曲収録されている。これを含めるとそう冷遇されているわけでもない。
      • どうせセーブデータ共有なのだから、EMPディスクの分もアーカイブスに反映されていれば理不尽感がかなり減ったのではないだろうか。
    • カスタマイズ要素がEMPとPBで共有。PBはカテゴリーが多いため、邪魔に感じて不要な部分を切ったりするとEMPでも切られてしまう。
    • 連動、バージョンカテゴリー収録と言う事で一風変わった隠し要素が期待されていたが、ただバージョンごとの曲を埋めて出現するのみ。
  • カスタマイズ全般に言えることだが、CSオリジナル要素がない。
    • 特にEMPRESSの初期フレームが基本色変えと言うイマイチなものだけに、CSオリジナルフレームの需要はそれなりに高かった。
    • 選曲BGMもCSオリジナルはなし。但しPBとの兼ね合いなのか、過去作のBGMが大量追加されてはいる。
  • これまたカスタマイズ絡みなのだが、出し方が非常に面倒。従来作で用意されていた救済も無し。
    全曲埋め系はともかく、「Jewel」フレームはそれなりに腕前が絡むため、下手するとこれだけ出せないという事態になりかねない。

その他の問題点

  • やや不満な黒譜面。発売当時ガッカリ扱いされていた要素その1。
    • 黒譜面とは前作『15 DJ TROOPERS(以降DJT)』で追加されたCSオリジナル・ANOTHERの上位譜面。基本的に余った音をアサインしなおしているため、
    • 前作の超絶高難度譜面「MENDES」を超える譜面として期待されていた「卑弥呼」の難易度もノーツもMENDESに比べ抑えめ。
      …と言っても元がMENDES(ANOTHER)以上の、当時のACでは一二を争う高難度譜面のため、MENDESに及ばないだけで激烈に難しい事は言うまでもない。
      強いて言うなら、オブジェの配置が元のANOTHER譜面よりも押しづらい配置になっている。
      …と言うより、平然と「全押し」を組み込んでいたMENDESがおかしかったのだろう。
      そして卑弥呼のノーツがあまり増えないであろう事は、ちょっとよからぬ方法ですでに予見されていた。
    • その他「3y3s」「嘆きの樹」「冥」「蠍火」等の高難易度楽曲にも黒譜面追加が期待されていたが実現せず。
      ただし、元々が充分高難易度な上にノーツ数も多めなので幾ら家庭用とはいえ限度があり、実際にこういった物量譜面に辟易しているユーザーも多いため、安易な高難易度譜面の量産とならなかっただけはマシか。
    • 「Marie Antoinette」の「裏で鳴っている音は16分なのに、叩かされるのは8分」と言う不満が解消されていない、等細かい不満もある。「KAMAITACHI」ではダブルプレイにあったスクラッチが追加されていたりしたのに。
      • とは言え、黒譜面が音の組み替えである以上、用意されていない音はアサインしようがないので仕方がない。
  • 『13 Distorted』以降慣例となっていた5鍵(先代beatmania)曲の未収録。
    • この事について、L.E.D.氏は「IIDXのベストと言う事なのであえて省いた」とコメントしている。
    • これに伴い、過去作にあった「5鍵時代の収録曲は5KEYS時に5鍵再現譜面になる」という要素も削除されている。
  • イマイチな隠し要素。発売当時ガッカリ扱いされていた要素その2。
    • 「Bad Maniacs」は解禁条件が半端なくキツく、PB隠し曲はアルバムからのカット収録……と、IIDX RED以降のプレイヤーの度肝を抜くような隠し要素と比べるとどうしても見劣りしてしまう。
      特に前作DJTの隠し要素の充実ぶりは物凄かった為に余計にそう感じてしまう。
      • と言っても、音ゲーにそんな度肝を抜くような隠し要素がある方がおかしい、と言えばそうなのだが……
        前作のおかげもあり、開発者の努力と前期待が高かった故の悲劇と言える。
      • ちなみにこの楽曲、本作をはじめとして何かと不遇な扱いを多く受けている楽曲でもある。
  • 従来よりもローディングやセーブに掛かる時間が5秒ほど長くなってしまった。
  • イマイチな隠し要素。発売当時ガッカリ扱いされていた要素その3。
    • 17 SIRIUSからCN、BSSが実装されたが家庭用でもそういう曲を収録して欲しかったとの声もある。

細かい問題点

  • DJPと呼ばれる腕前を表す数値が二枚で共通なのだが、曲数が多いため9999でカンストしてしまう。修正し忘れたと思われる。
  • 「Programmed World」の汎用ムービーが「4th CYBER」から「8th TECHNO」に差し変わっている。
    非常に曲調にマッチしているものだっただけに残念。
    • しかしその汎用ムービーは明滅がとても激しく目に対する刺激が強いため、CSシリーズではことごとく差し替えの対象になったものでもある。初出の4thですら移植時に加工が施されているほど。
      • 過去作でも、容量の都合等の理由で度々ムービーの改変・未収録が行われていたりする。
  • オマケとしてエンディング操作が可能なのだが、何故かAC版より簡易化されている。
  • ディスクの入れ替えが面倒。とは言え、二層になっていたらそれはそれで読み込み不良等の問題が出たと思うので、何とも言えないポイント。

評価点

  • 大量の曲と譜面。やはりストイックなゲームだけに、曲や譜面が充実していればそれだけで不満も解消されると言うもの。
    • システムもDJTの時点で「EXTREME PREVIEW」の実装などで完成されている為、練習用としても、初めてのIIDXとしてもやりこんでいくのに最適。
    • また、曲のセレクトも投票ではなく開発者が行ったものである。それでありながら人気曲、コアな曲と譜面どちらも網羅されているため(人を選ぶとされる8thのオリジナル曲が大量収録されたり、下述する黒譜面の傾向など)
      過去のベストを謳った作品に比べ、むしろ多くのユーザーが納得できる結果になっているのは興味深い。
      ---L.E.D.氏は「四枚組にしたかった」と言うぐらい悩んだらしい。
  • 黒譜面の間口を広げる意味での充実。
    • 問題点と矛盾するようだが、前作ではとにかく高難度を押し出した譜面が多かった(ほぼ最高難易度である☆12一色)のに対し、今作では☆10~☆11クラスの中上級者向けの黒譜面が多く網羅されている。
      一応、過去作に収録されていたCSオリジナル譜面(8thのTHE EARTH LIGHT、CSGOLDの皆伝専用KAMAITACHI・VANESSA等)も黒譜面として収録されている。
      • 中難易度の楽曲を強化しているがため、ただノーツを増やすのではなく、配置を工夫して難易度を上げる(naughty girl@Queen's Palace、G2など)と言った試みが多め。
      • 総じて、なんだかんだ言って黒譜面の評価は概ね高い。家庭用でしか出せないようなネタ譜面も登場している。
  • PBにおいて1st~DJTの曲が揃ったため、ACにあったカテゴリーボイスがついに実装された。
    • なお、カテゴリーボイスの一つを担当しているマイケル・ア・ラ・モード氏はAC EMPRESS稼働後に急逝された。
      このカテゴリーボイスを実装したのは、この追憶が鑑みられたのかもしれない。
  • 多数の追加譜面と音源差し替え。
    • 「ABSOLUTE」「Clione」「LAB」はANOTHERや黒譜面追加のためか、音源を差し替えられている。
    • 黒譜面以外にも、楽曲抜けが多いカテゴリのDP ANOTHERも14譜面追加。
      いくつかはAC SIRIUSにも収録されているが、それでも10譜面は今のところCSEMP独自。
  • 余り触れられない部分だが、BEGINNER譜面もACに比べ大量追加されている。これもシリーズ恒例ではあるが。
  • ロケテ段階でイメージキャラクターであり、それなりに好評だったものの、実稼働時に消えてしまった通称「エンプレ子」がギャラリーモードで閲覧できる。
    • 尚「エンプレ子」の正体は今作のメインキャラである梅桐天土の衣装違いであったことが後にアナウンスされた。

何故こうなったのか?

コナミスタイル特別版特典である「CS Collection」のライナーノーツにて、サウンドディレクターのL.E.D.氏が「本来なら前作が最終作になるはずだったが、ユーザーの熱意により発売できた」と言う趣旨のことを述べている。
上述のDJTがやけに気合の入った出来だったのもその為であり、収録曲に「WHAT's NEXT?」があったり、隠し曲の出し方、過去のムービーを切り貼りして作られたDJTのED「THE LAST STRIKER」やその出し方など、シリーズ終了を臭わせる要素は多々あった。

つまり、元々予定されていた作品ではなかった為、専用ムービーや選曲BGM、その他もろもろのオマケ要素を仕上げる時間がなかった可能性は高い。

また、同時期にACで新要素を導入し、大幅転換を図った作品『SIRIUS』が開発中だったため、プログラマーがそちらに割かれていた可能性が高い。実際、本作のスタッフロールを見るとプログラマーは外国人と思われるメンバー3人しかいなかった。

総評

上記の複雑な事情も知るところとなり、なんだかんだ言って180曲という収録曲数、多数の追加譜面などが評価され、また全解禁コマンドも発表された現在は初心者にも、中級者や上級者の練習にもお勧めできる作品として落ち着いている。また、Amazonでの評価も高い。 初期の低評価は、元から最終作のつもりで制作されていた前作『DJ TROOPERS』で開発者が張り切りすぎてしまった故の悲劇と言えよう。

BEMANIシリーズの家庭用移植も縮小気味であり、上記の事情に加えて、一度CS6thで開発が停止した作品であるために、今作がCSIIDXの最終作となりうる可能性もある。一応、THE LAST STRIKERやBEAT2DX-FOREVERのように思わせぶりな様子はないが、それも急ごしらえの作品であったためだろうか……。

それでもプレイヤー達からの続編を望む声は多い。毎年このソフトの発売日が巡るたびに家庭用続編の話題が持ち上がり、一部のプレイヤー達によって続編を望む署名活動まで行われたほどである。
KONAMIの公式オンラインショップ「コナミスタイル」にはユーザーからの希望を受けて商品開発を検討する「カスタムファクトリー」という企画が存在し、一度開発が停止した家庭用シリーズを復活に導いたのもこの企画だったため、こちらに度重なる要望が届いていたと思われる。後にSNSからの要望を聞き入れる「ソーシャルファクトリー」に姿を変えたが、あまり目立った活動が見られず、現在は企画が無期限で中断された状態である。

更に2013年にはTwitterのコナミスタイル公式アカウントから「『beatmania IIDX』のコンシューマー版の続編については現状発売の予定はございません。」と発表されており、その上追い打ちを掛けるかのように当のコナミ自身は現在家庭用作品をスマホアプリとして制作することに極めて注力している一方で据え置き機対応作品の制作に関しては事業撤退ももはや時間の問題とも言うべき程に非常に大規模な縮小を図り続けていることもあって、現在ではPlaystation系列機の家庭版は絶望的な状態にある。

この次のアーケード作品である『SIRIUS』以降も続々と新しい要素を取り入れており、家庭用ならばさらなる新要素も加えられて十分に遊び甲斐のある作品になると思われていたため、大変残念なことである。


その後の展開

  • 本作リリースから6年、2015年末にコナステによるPC向けの新作IIDX『INFINITAS』のサービスが開始され、家でもSIRIUS以降の楽曲をプレイできるようになった。
    • 楽曲数は尖った旧曲から近年の楽曲まで550曲以上と非常に多く、システムも一新されている等の大きい評価点はあるが、一方で楽曲解禁のハードルがとても高く、更にやり込み要素や独自要素が薄い等のCS IIDX作品達に劣る部分が多い。
    • 初期版での評価は芳しくなかったが、2019年*1になってからは楽曲数がとても充実しており、SPADA以前の楽曲も遊べる等の価値が増えた。

余談

  • CS 5th以来久しぶりに、現行機が稼動している最中に移植された。
    因みに次作である『SIRIUS』は、今作が発売された6日後の2009年10月21日に稼動開始した。
  • パッケージ裏に、収録されている曲名が隠し曲も含めてうっすらと書かれている。
  • 当初「Pink Rose」「Foundation of our love」の二曲の収録がアナウンスされていたが、実際には収録されなかった。
    • 当時BEMANIシリーズはボーカル曲について色々揉めており、最終的に収録できなかったものと思われる。
  • 「Bad Maniacs」は『SIRIUS』正式稼働ではONE MORE EXTRA曲、ロケテ段階では通常曲だった。こういった経緯をたどった曲は他に存在しない。
  • 現在のところプレミアが付き、定価の3倍くらいの価格で取引されている。専コン、過去作のDJT、GOLDも共に高騰している。CS初期のタイトル(3rd-10th辺り)はAmazonでは安く販売されている。ただし新品は高値が付いている。