エターナルアルカディア

【えたーなるあるかでぃあ】

ジャンル RPG
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対応機種 ドリームキャスト
発売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 オーバーワークス
発売日 2000年10月5日
定価 7,140円
レーティング セガ審査:全年齢推奨
判定 良作


概要

  • ドリームキャスト髄一の大作RPG。
    • 王道を突き進めたシナリオ、冒険すぎるほど冒険的なエッセンス、きめ細かく時に大胆な演出、セガが力を入れて開発をバックアップといった共通点から、『グランディア』と比較される事がある。
    • あちら側が続編に恵まれていない為か、グランディアの本当の続編扱いされる事もあるとかないとか。

特徴

  • 海の代わりに無限の空が広がり島々が浮かぶ世界で、主人公ヴァイスは空賊として世界を駆け巡る。
  • 大航海時代をモチーフとした世界観や宝島、ロビンソン・クルーソー、白鯨、海底二万マイルなど海洋小説の古典的傑作をモデルにしたイベント群などが特徴。
  • 発見物システム、本拠地&船の改造、クルーの勧誘、砲撃戦といったシステム面から、世界一周、新大陸発見、宝探しなどといったシナリオ面まで、『世界の探求』『未知なる冒険』という要素がこれでもかというほど詰められている。

シナリオ

  • 古代において大国同士の戦争を引き起こした超兵器ギガス、空賊である主人公ヴァイスはギガスを復活させて世界の覇権を握ろうとするバルア帝国との争いに身を投じる。
  • ヴァイスは最初は舵取りも満足にさせてもらえない半人前の空賊である。しかし帝国本土からの仲間の救出、ギガスとの命を賭けた戦い、無人島からの脱出といった冒険を経ることによって遂には自分の船を持つ船長になる、といった成長要素がある。
    • ヴァイスには『男気』というパラメータがあり、シナリオ中の選択肢によって上下する。男らしい言動や的確な状況判断をすることで上がり、各地のお店やNPCの反応が男気のランクに応じて変わっていく。クルー(船員)の勧誘条件などにもなっている。
    • 船長になった後でも、クルーを集めたり、本拠地の設備を整えたりと更に空賊としての箔をつけていく。
      • 本拠地システムは、他のRPGの箱庭要素(ブレス オブ ファイアシリーズの共同体やドラクエVIIの移民など)と比べればやれることは少なく物足りないが終盤でここを敵に襲撃された後の一連のイベントは必見である。演出の道具としての使い方が上手い。
  • 世界観は大航海時代をモチーフにしている。
    • 例えば敵のバルア帝国はスペインや大英帝国、新大陸の国家はインカ帝国をモデルにしている。
    • 船を改造して行動範囲を広げ、新たな土地に向かうのであるが、その際も『新大陸発見』『世界一周』など大航海時代の発見になぞらえていたりする。
    • ダンジョンや発見物のいくつかもピラミッドやマチュピチュ、モアイ像、ナスカの地上絵など実在の地球の遺跡や地形をモチーフにしたものがある。
    • その他にロック鳥やエルドラド、アトランティスなど伝説をモチーフにしたものもある。
    • 空を舞台とした独特の世界観はマップにも現れており、例えばとあるダンジョンでは地下道の床に穴が開いていて、そこから雲間が見えるといった演出が行われている。
  • 各地に眠るキーアイテム(このゲームの場合ギガスを起動させる月晶というアイテム)を集めていく、というシナリオの大筋は多くのRPGで使われる王道展開だが、入手経緯が王道なりに変化球をつけていて面白い。
    • 入手のためには何らかの原因で月晶を起動させられ復活したギガスと砲撃戦を行い、倒してから月晶を手に入れるという流れが多いが、ギガスの封印を解いて暴れさせるのが必ずしもバルア帝国だけではなく一つ二つ捻りが加えられている。
    • また、ギガスとの砲撃戦の演出も非常に熱い。巨体で迫力があり、それぞれ容姿や攻撃手段に個性のあるギガス自体の設定もさることながら、小さな船でそれに挑んでいく味方側の勇敢さがシチュエーションを燃えさせる。
    • ギガスを倒す方法も、中盤以降強力な船を手に入れるまでは『強いギガスではなくギガスを操っている敵艦を狙い打つ』『ギガスを狭い谷におびき寄せて身動きを封じる』といった知恵を絞った方法で戦うなど、工夫が凝らされている。
    • これで砲撃戦の戦闘テンポ(後述)さえよければ…と惜しまれている。
  • また音楽の評価もなかなかのもの。明るくテンポのいい良曲が揃っており冒険や戦闘を大いに盛り上げてくれる。
    • ただし全体的に音質が鋭いため、場面によっては曲はいいのに音のせいで耳障りになるものもある。
  • シナリオ面で上げられる不満で多いのは実質的な敵の大ボスの最終目的の動機付けが薄く、あまり魅力を感じないことである。全体的に敵キャラの描写は掘り下げが浅くてプレイヤーの想像で補完しなければならない部分がある。
    • ちなみに、シナリオライターの津川一吉氏が後にシナリオを手がけることになる幻想水滸伝Vも同じく敵の描写が薄いことがよく不満にあげられている。(ただしこちらもエターナルアルカディアと同じく全体的なシナリオ評価は高い)

戦闘システム

  • パーティー戦
    • 戦闘は普通のコマンド形式のRPGだが、戦闘中は時間が立つごとに溜まるガッツというパラメータを消費して煌術(魔法)や技を使う。ガッツはガッツを溜めるというコマンドを使うことでも上げられる。
    • 常時ガッツを使いまくって堅実に戦うか、防御やガッツを溜めることに徹して後のターンで大技を出すかという判断が必要になるため戦術性が試される。
  • 砲撃戦
    • 船での戦闘。主に敵対するバルア帝国無敵艦隊(アルマダ)やギガスという古代の巨大兵器との戦いで行われる。
    • クルーを集めたり艦船装備を揃えたりすることで強化した自分の船で、敵対する船と戦う。
    • 基本的なルールはキャラの代わりに船を使うということ以外普通の戦闘と同じだが、敵の攻撃タイミングを推測する要素が一番の違いである。
    • 敵の行動や距離、弱点を読んで、強力な一撃『主砲』、連射が出来る『副砲』、タイミングをずらして攻撃できる『魚雷』などを使い分けて攻撃し、また防御や回復に回ったりする。
    • そしてここ一番のタイミングだけで使用可能な強力攻撃『必殺砲』を繰り出し強大・巨大な敵を撃破する爽快感は迫力もあって素晴らしい。
    • 敵の行動は、戦闘中に行われる味方の会話とその後の選択肢で決まる。例としては『敵が何かおかしい行動をしている→A 接近して何かされる前に攻撃して阻止する  B 一度離脱して様子を見る』など。
      • 特に前半のギガス戦では、貧弱な味方艦では真正面からでは到底ギガスに勝てないため選択肢の重要性は高い。

探索システム

  • 発見物
    • フィールド上に隠れている奇景や名所などを発見しコレクションするシステム。見つけた発見物の情報はギルドで売買することができる。
    • 沈没船やロック鳥の巣といった冒険小説定番のものから、紙飛行機やペンギンといったネタ半分のものまでかなりの数が存在し、船で世界のあちこちを行き交うことが多い本編の移動にアクセントをつけている。
      • ただし、発見物の発見にあまり時間をかけていた場合は他のNPCに先に発見物を見つけられてしまいせっかく見つけた情報の価値が半減してしまうことになるため、ゲームを有利に進めるためには迅速な発見・攻略も要求される。
  • クルー
    • 各地の町のNPCを自分の船のクルーとして勧誘することが出来る。勧誘したクルーは本拠地に店を構えてくれたり、砲撃戦で専用の技を使ってくれたりする。

評価点

  • 大航海時代と空賊をコンセプトにした世界観。
    • 登場する国も、オーソドックスな西洋風の国、中東風の国、和風な国、ジャングル風の国と多様。
      • 地名などの用語は世界史や世界地理から取っている名前が多く、元ネタを知っているとニヤリとさせられる。
    • ストーリー自体は王道なのだが、世界観・シナリオがとてもよく練られているため陳腐さは全く感じない。
      • 本作の雰囲気は、暗い展開も多少はあるものの基本的に明るく爽快さがある。
  • キャラクターは、敵味方問わず好感の持てるキャラが多い。
    • また、キャラクターたちの動きがなかなか凝っている。
      • NPC一人取り上げても『様々なポージングを変えながらカウンターに立つ武器屋の主人』『足を組み、酒をあおりながら語りかける飲んだくれ』など芸が細かい。
  • 演出面も優秀。
    • カメラワークも秀逸で見栄えもいい。
    • パーティー戦の戦闘エフェクトは過剰といっていいほど派手で気持ちがいい。
    • BGMはその場の雰囲気にあったものが多く、本作の世界観を見事に表現している。
  • 本作のコンセプトをうまく消化したシステム。
    • 本作では通常のパーティー戦のほかに、船で戦う砲撃戦が存在する。迫力も爽快感も大きい。
    • 自由度が高く発見物やクルー探しなどもあるため、自分で探検する楽しみが味わえる。

問題点

  • シナリオや演出の評価が高い一方、戦闘バランスについては調整不足との評価が多い。
    • エンカウント率が高い
      • 実際は理不尽に高いわけではないのだが、マップ上のあちこちを探索するゲームであるため想像以上に敵に出会い続けてしまう感覚がする。
      • 中盤にエンカウント率が下がる装備が手に入るので、それがあればなんていうことはなくなる。
      • また、エンカウントの際に必ずディスクの読み込みが始まるため(ロード音が出る)、なんとなく敵の襲来が分かってしまい、緊張感が削がれてしまった感が否めない。
      • その上、逃亡の際には男気ポイント*1がダウンしてしまうため、戦闘が面倒だからとあまり逃げ続けると挽回が難しくなる。
    • 戦闘のテンポが悪い
      • 一度に現れる敵の数が多く(平均して4体くらい。8体くらいは普通に出る)ロードは長め、そして戦闘エフェクトは味方の技は飛ばせるのに味方の魔法は飛ばせないという変仕様。(敵は技も魔法も飛ばせない)
      • 砲撃戦では敵も味方も1ターンに4回の行動をするためロードの長さが更に際立ってしまっている。しかもターン毎に移動シーンが挟まるため余計テンポが悪い。
    • 戦闘は味方と敵が戦闘フィールドで入り乱れて戦い、範囲攻撃などもあるシミュレーション的な戦闘…かと思いきや自由に移動させることは出来ない。
      • このため、ボスの範囲攻撃に対して配置をばらけさせたり、有利な位置取りをするといった事が出来ない。
    • 味方の技がバランスブレイカーすれすれなほど高性能。(主人公の最強必殺技を3~4発叩き込めばラスボス戦でも終わる、雑魚戦は全体攻撃技1・2発あれば大抵終わる)
      • 攻撃技だけでなく補助技も非常に強い。特にボス戦ではアイカ(ヒロイン)はデルタシールド(全ての魔法を無効化)、エンリック(仲間の一人)はエスクード(味方全体のダメージを半減)を使い続けていればまずピンチになることはない。
      • 入手困難な最強武器があるがわざわざそんなものを入手しなくても大丈夫である。
      • ガッツを溜めればどんな技でも無限に出せるという仕様もあって、以上の要素から戦闘が作業と批判されやすい。
    • 魔法が役に立たない。といっても魔法そのものが弱いわけではない。
      • 魔法はガッツだけでなくKPという能力値を消費するにもかかわらず、攻撃魔法は味方の技が強すぎるために使われない。
      • 補助&回復魔法は役には立つがほとんどがアイテムで代用可能。しかも安価で大量に買うことが出来、何よりガッツを消費しないためアイテムのほうが高性能である。
      • 砲撃戦でもこの仕様は健在で全回復アイテムが安価で購入でき、敵が大火力でこちらへ5千も8千もダメージを与え続けてもその後修復アイテム一つ使うだけで一度に数万のダメージを回復できてしまう。よってアイテムが十分であればまず負けることは無い。
  • 豪華声優を起用しているのに、劇中ではキャラボイスのついた台詞が殆ど存在していない。
    • 堀江由衣、若本規夫、緑川光といった有名声優ばかりだが、どういう訳か掛け声ぐらいのセリフしか喋らない。正しく声優の無駄遣い。
    • その癖に、ディスクをドリキャスのミュージックで再生しようとするとなぜかキャラの声で警告する。
    • 一応、冒険小説を読むような感覚でテキストを読むことに専念できるのでかえってそれがよい、という意見もある。

総評

清々しい程の王道主人公による、これでもかと言わんばかりの王道シナリオ。世界を冒険して何かを発見し、そこから更に世界観を想像する楽しさ。
現在の視点では若干ローポリ気味なグラフィックでさえ、カメラワークを始めとする演出によって「臨場感のある、生き生きとした情景」に変えてみせる。
本作はまさに「遊ぶ冒険小説」とでも評すべき、ドリームキャスト屈指の名作である。

惜しむらくはどうしても目に付く戦闘バランスの劣悪さと、当時のセガを取り巻く状況が災いし今一つ知名度が上がらなかった、この二点であろうか。

今からでも決して遅くない。もし幸運にも遊ぶ機会に恵まれたならば是非とも腰を据えて、波乱と歓喜に満ちた青の空賊達の物語を楽しんでみてほしい。


余談

  • 本作は@barai(あっとばらい)版も販売された。いわゆるシェアウェアに近い存在であった。
    • が、シェアウェアと違い前半しか無料で試せない・後半部分を楽しむためには定価を払うことになる・ハードルが高いなどユーザーには受け入れられなかった。
    • そのため本作と『ハンドレッドソード』の2作で採用されたのみで、2002年3月31日にサービスを終了している。
    • 発売直後、@barai版のソフトそのものがファミ通に付録で付いてきた号があった。もちろん後半部分を遊ぶには課金によるアンロック解除が必要だったが、それでも当時では斬新であった。
  • 海外でも『Skies of Arcadia』の名で発売された。
    • 違いとしては主人公の父がくわえているタバコが無くなっている、等。
    • その評価は非常に高く、海外ゲームサイト「IGN」による「2006年版歴代全ゲームソフト名作ランキング」で58位にランクインしている。
  • かつてスペシャルデータが配信されていた。