本項では次の3作品を紹介しています。判定は全て良作。
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『カルドセプト セカンド』:DC用ソフト。
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『カルドセプト セカンド エキスパンション』:上記の完全版であるPS2用ソフト。
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『カルドセプト』:↑のリメイク移植版である3DS用ソフト。
カルドセプト セカンド
【かるどせぷと せかんど】
| ジャンル | トレーディングカードボードゲーム |  
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| 対応機種 | ドリームキャスト | 
| 発売元 | メディアファクトリー | 
| 開発元 | 大宮ソフト | 
| 発売日 | 2001年7月12日 | 
| 定価 | 6,800円(税別) | 
| プレイ人数 | 1~4人 | 
| セーブデータ | 50ブロック | 
| 周辺機器 | ビジュアルメモリ、メモリーカード4X、ネットワーク、 ドリームキャスト・キーボード、ぷるぷるぱっく対応
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| 廉価版 | ドリコレ 2002年5月23日/2,940円(税別)
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 砦ボーナス・同盟戦の追加 | 
| カルドセプトシリーズ 初代 / セカンド / サーガ / リボルト
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概要
「ボードゲーム+カードゲーム」という独自のシステムで多くのプレイヤーを虜にした『カルドセプト (SS)』の続編。
基本ルールはほぼ同じのまま多数の要素が追加されている。
機種はDCだが、販売会社は前作『エキスパンション』以来のメディアファクトリーである。
評価点
前作から様々な要素に強化や追加が行われた。
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周回ボーナスが減らされ、未通過の砦を通る際にも砦ボーナスがもらえるようになった。
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サーバーを経由しての通信対戦に対応。
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対応しているのはDC版のみ。その上、発売後僅か2年足らずで終了してしまった。
 
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カードが100枚近く追加され(もちろん削除されたカードもある)、それぞれの能力にも後述の『領地能力』を始めとしてさらなる修正が施された。
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複数のセプターによる『同盟』が可能になった。同盟相手の領地に止まっても通行料を払う必要はなく、また連鎖も共有することができる。
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ストーリーモードでも『同盟』で戦うステージが用意されている。
 
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土地に出たクリーチャーへの「呪い」の種類が大幅に増加。マイナス効果だけでなく、プラス効果を及ぼすものも登場した。
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クリーチャーの種類に『種族』がなくなった。アイテムはクリーチャーによって使える種類が異なる。
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これに伴い、種族に関わるアイテムやクリーチャーの能力に変更が生じている。また、前述の『カルドセプトDS』では『種族』ルールが復活した一方で、本作の『アイテム制限』ルールが『種族』と別個に用意された。
 
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クリーチャーの能力に『領地能力』が追加された。魔力を払って「領地」コマンドで使用することができる。
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配置することでマップ全体に効果を及ぼす「~アイドル」と、アイテムとしても使用できるクリーチャー「リビング~」が追加された。
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アイテム破壊、奪取を無効にする能力を持つクリーチャー、アイテムが追加された。
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止まると好きな種類のカードを引ける「占い館」、連鎖は組めないがどのクリーチャーでも地形効果を得られる「複属性土地」などの特殊地形が追加。
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対戦時に細かいルール設定が可能になったり、AIを作って参加させたりすることができるようになった。
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ゲームバランスにも調整があり、使えないカードなどは見当たらない。
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シリーズ2作目という事もあって流石にどのカードも「普通に」使えると言う訳ではなく、明らかに弱かったり使用状況が限定的なカードも多く粗もあるが、「取れる戦略の多様化」「CPUや能力差の大きいセプターとの戦いでのハンデ用」と言った面から考えると決して間違ってはいない。
 
問題点
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馬鹿なAIキャラを作り、弱いブックを持たせることで簡単に勝ってカードを稼げる点は問題視されている。
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エキスパンションまでこの仕様はそのままであったが、3DS版で改善された。
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ただし、当時はまだマーケット等の効率の良いカード入手手段が存在せず、地道に一戦一戦戦って行く必要があったのでこの程度の抜け道は許されるという考えもある。
 
総評
様々な要素に強化や追加が行われた2作目。
まだ荒削りな面はあるものの、後作の基礎を築いた作品である。
カルドセプト セカンド エキスパンション
【かるどせぷと せかんど えきすぱんしょん】
| ジャンル | トレーディングカードボードゲーム |  
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| 対応機種 | プレイステーション2 | 
| 発売元 | セガ | 
| 開発元 | 大宮ソフト | 
| 発売日 | 2002年9月28日 | 
| 定価 | 6,800円(税別) | 
| プレイ人数 | 1~4人 | 
| セーブデータ | 62KB以上 | 
| レーティング | CERO:全年齢対象 | 
| 周辺機器 | DUALSHOCK1/2、PS2専用マルチタップ、 PS2対応USBモデム、PlayStation BB Unit対応
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| 廉価版 | PlayStation 2 the Best 2003年7月10日/3,000円(税別)
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 追加カード・やり込み要素「メダル」が追加 | 
 
概要(PS2)
DC版に追加要素を加え、PS2に移植したもの。
評価点(PS2)
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メダルがPS2版で追加された。
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特定条件を満たして対戦を終えるとメダルが入手でき、それにより追加マップやカードが入手できる。50種類のメダルが存在し、入手方法がシナリオクリアのような簡単なものから知恵を絞ったり天運に任せるものまで幅広く存在する。
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いわば現在のトロフィーである。
 
問題点(PS2)
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ネットワーク機能を備え追加データのダウンロード等も可能だが、残念ながら『通信対戦』はできなくなっている。
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一部のメダルの獲得が非常に困難。
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「総魔力90,000以上で勝利」「連鎖を10以上作って勝利」辺りはまだしも「パウダーイーターで全ての領地を埋め尽くす」「土地を一つも持たずに勝利」「全てのアイドルを場に設置」などはかなり面倒になっている。
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輪をかけて酷いことに、AIキャラを使うとメダルの獲得判定が無効になるのでかなり厄介。「パウダーイーターでドラゴンを倒す」など、ドラゴンを使ってくる相手自体が限られているためAIキャラで獲得したいのに…。
 
 
総評(PS2)
追加要素を加えた移植版。
カードの追加はあったが、メダルの存在はプレイ内容に直接影響を与えるものではないので、元作品と大体同じ感覚でプレイできるだろう。
通信対戦が出来ないのが残念なところ。
カルドセプト (3DS版)
【かるどせぷと】
| ジャンル | カードゲーム+ボードゲーム |  
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| 対応機種 | ニンテンドー3DS | 
| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | 大宮ソフト | 
| 発売日 | パッケージ版 | 2012年6月28日 | 
| ダウンロード版 | 2013年1月30日 | 
| 定価(税別) | 4,571円 | 
| プレイ人数 | 1人(通信プレイ時:2~4人) | 
| セーブデータ | 1個 | 
| レーティング | CERO:B(12才以上対象) | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | ゲームバランスを大幅に調整 マーケット・ハンデシステムの追加
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概要(3DS)
タイトルは1作目と同じだが、内容は『セカンド』がベース。DS版と同じくWi-Fiによる通信対戦にも対応。
特徴・評価点(3DS)
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初心者向けの各種ヒント機能・チュートリアルの充実や、いらないカード3枚と引き換えに2枚の新カードを手に入れられる「マーケット」などの便利なシステムが加わっている。
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特に(CPUとの対戦に限って)ゲーム内の時間を止めて相手が引いたカードや使ったカードの性能をじっくり見ることができる「ドローポーズ」が加わったのが大きい。従来は持ってないカードで相手が使ってきたカードの性能を把握しにくかった。
 
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ゲームバランスは『セカンド エキスパンション』から大幅に調整が加えられている。
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新カードの追加や初代やサーガに登場したカードが追加された一方、セカンドで強力とされたカードを含めた多くのカードが削除されたり、一部カードの性能がDSと同じくマイルドになっている。
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バランスの取り方も巧妙で以前までの作品で猛威を振るった反射能力付与アイテムを防具にして使用可能クリーチャーを減らし、使いづらかった呪いスペルにドロー効果の付加、毒や混乱のダメージの上昇等の調整がされている。
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全体的に風属性がやや強く、火属性が使いづらい印象があるが、どの属性もほかの色にはない特徴、強みがあり(一部の新カードを除いて、詳しくは後述)非常にバランスの良いカードゲームとなった。
 
 
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新能力「雪辱」追加。
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「相手に攻撃を無効化・反射されたときのみ発動」する特殊能力。効果は相手の体力を削ったり、魔力や手札を減らしたり様々。
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旧作では手を出しにくかったこの系統のクリーチャーが対処しやすくなったのは大きい。またこの能力を前提にして、「アプサラス」など過去では考えられないほど強力な無効化能力持ちクリーチャーも登場している。
 
 
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CPUのAI強化。
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度々指摘されていた「魔力枯渇時にセオリーに反して低額領地から売り払う」が改善された。
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無駄な侵略・ばらまきも減っている。
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また各CPUキャラに新たに「おまかせブック」機能が追加された。ある程度の固定カード+ランダムに選ばれたカードで構成されたブックで、思考パターンは同じでも新鮮に戦えるようになっている。
 
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キャラクターグラフィックはオリジナルの1作目や『セカンド』の傑怪老氏による濃い目の画風から、芳住和之氏による2000年代っぽい軽めの画風に変わっている。
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クリア後の「レベルアップステージ」による新キャラの登場、各キャラの魅力の掘り下げなど、ストーリー面でも強化されている。
 
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Wi-Fiによる通信対戦では週ごとにルールやマップが変わる、ランキング戦やスペシャル戦が行われている。また公式大会も開かれ、
多くのセプターを夢中
にさせた。
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フレンド登録している相手限定だが、ボイスチャットも可能。その場で対戦するのと何ら変わらない形でプレイ可能。
 
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3D機能との相性は、3DSソフトの中でも良好な方。
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本体が振られやすいアクションゲームと異なり、じっくり腰を据えて操作できるため画面がぶれにくいのがポイント。結構綺麗に3Dしてくれるので、普段OFFにしていても試してみるといいだろう。
 
賛否両論点(3DS)
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より楽になったカード集め
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3DS版ではルールがより細かく設定できるために、開始直後に総魔力達成しており帰還スペル撃つだけで終了と言った設定の試合を繰り返す→余ったカードをマーケットでトレードという方法で簡単にカード集めができる。
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ただ、今作では対人戦が行い易い環境になった事で、カード資産の差がありすぎるとまともな戦いが困難になることを考慮し、あえてこの様な調整にした可能性もある。一応今作は入手カードに制限があり、シナリオ終盤にならなければ全てのカードが手に入らないようになっている。
 
 
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レベルアップステージの難易度の高さ。
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ストーリー面は良いものの、レベル6以上の高レベルステージは、ストーリーとしては決着が付き、強力なハンデのかかったCPUと同じ条件で戦い続ける単調さ、運をも味方につけないとクリアできないほどの難しさで賛否両論。
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序盤大きな差がつくハンデの仕様上、対戦中「開始直後からCPUキャラから煽られ続ける」という点も人によっては不快に感じられる点か。
 
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特にデュナン村のレベルアップステージは専用ブックの構築がほぼ必須になる難易度となる。
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…とは言え、ソルティス、バックワード、ケルピー、ドレインマジック等の強力なカードやレベルアップステージの相手に効果的なカードは多く、CPUの思考もさほど強くない。
 そして中断と再開によるダイスの降り直しが無制限に可能なので、手段を選ばなければレベルアップステージをクリアするだけなら実際の所さほど困難ではない。
 
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本作からの新カードである「マジックブースト」は賛否両論。
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「使用者はそのラウンド(ターン)の間だけ半分の魔力で土地レベルアップが出来る」効果。使うタイミングは難しいが、上手くハマれば500~1000とカード一枚としては破格の魔力を節約できる。
    
    
        | + | ただし… | 
効果の関係上いつでも気軽に使えるスペルではないのがポイント。このカードを有効に使うにはレベル上げ用の領地と魔力そして何よりこのカードを引き当てることが重要だからである。
より良い条件で使用しようとすれば魔力やこのカードを温存することになり、選択肢が狭まってしまい当然相手も有効活用させないように意識して行動するようになるので、戦術にも悪影響を及ぼすことになる。
だからといって迂闊に使用しても領地を奪い取られ最悪、対戦相手を勝利させてしまうことも。
また、このカードは呪いスペルの為にホーリーワード(ダイス操作)系と重複できず、使用したがダイスの目が悪く領地を通過できず無駄遣いに終わったり、通過出来たが出目先が相手の高額領地ということもありうる。
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スペルの削除と調整について
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セカンドで強力とされた「デモニックトレード」をはじめとした魔力収入スペルの多くが削除された。カルドセプト本来のクリーチャーを配置して土地の奪い合いをすることを強調するための調整と言われているが、コアなプレイヤーからは「戦術の幅が減った」とする意見も見られる。
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ただ、デモニックトレード削除についてはサーガからレッドキャップが出張してきている以上、仕方がないという意見もある。
 
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これまで強力過ぎた「ランドトランス」も、売却時に土地価値の8割しか返ってこないよう弱体化調整が施された。
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ネット対戦という環境への考慮か、妨害スペルも削減されている。嫌がらせにしかならない「ハウント」や効果が強烈な「ジャッジメント」などはともかく、セプターの笑いと涙を誘った「マイン」の削除には惜しいとする声が多い。
 
問題点(3DS)
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同盟戦の仕様。
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過去作と異なり、同盟相手への侵略ができなくなった。シルバープロウでの意図的なレベル上げが不可能になっている。
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同盟相手の土地を自由にいじれるようになった。レベル上げに使えたりもするが、CPUは自分の魔力が枯渇してもプレイヤーの高額土地を売り払ってしまう。
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特に多くのプレイヤーから貧乏神として蛇蝎のごとく嫌われているのがピケット。「考え無しのレベルアップで常に魔力に貧窮」「親切心のつもりでこちらのデコイやオールドウィロウにターンウォールを使う」「手札に余計なファインドを常に維持して重要なカードを捨てる」…と、行動がことごとく裏目に出る。下手すれば敵として戦うより厄介とも。
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ピケット以外のCPUも思考がプレイヤーと一致しない為、プレイヤーがスペルで強化し万全な防御体制が整っている領地を領地の属性が合っていないだけで交換したり、隣の敵領地を攻め落とすために移動させる事もしばしば。
 
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オンラインでの問題
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領地能力も同盟相手のクリーチャーのものが使用できてしまうため、配置してすぐ同盟相手が領地能力を使用する、ということが出来てしまう。
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そのためオンライン同盟戦は領地能力クリーチャーばかり。特に相手の魔力を奪うウィッチや相手のカードを破壊するブックワームが強烈で猛威を振るう。
 
 
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やはり強力な反射
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上記の雪辱は攻撃後にクリーチャーが生存していなければ発動しない。その為に相手が反射能力持ちの場合、先に反射された攻撃を喰らって死亡することも多い。雪辱持ちのカードはSTの高めなクリーチャー、ST上昇効果を持つ武器が多い為にますます反射が有利になってしまっている。
 
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プレイヤー2人で協力して進める「協力戦」の仕様。
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ローカルプレイ限定で、オンライン環境があっても周囲に一緒にできるプレイヤーがいないとプレイ不可能。まずこの時点でハードルが高い。
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ハンデとして強烈な補正のかかったCPU2体を相手に、こちらはハンデ無しで相手することになり、さらにストーリーを進めると本編対CPU戦には無い「禁止カード」の概念が登場。
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禁止カードの出始めはお互いが禁止カードルールに従うことになるのだが、その内プレイヤー側のみが禁止カードに縛られる羽目になり、相手側はこちらの使えないカードでガンガン攻めたててくる。
 難易度で言えばレベルアップステージも比ではない。
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システム上1試合で1~2時間拘束される事はザラにあり、気軽に始めて気軽に終える…。とはなかなかいかない。
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言わば、やる気と実力と時間のあるプレイヤーがリアルで二人揃い、勝ち筋を定めて初めて挑める超高難度モード。あまりにハードルが高いと言われることも有れば、いざやってみればこれはこれでやりがいがある。という声もある。
 
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3DS版で追加されたCPUが何人かいるが、「協力戦」モードを進めないと出てこない。
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上記の通りローカルプレイ限定なので、オンライン環境があっても周囲に一緒にできるプレイヤーがいないとこれらのキャラと戦えなくなってしまっている。
 
総評(3DS)
基本的なところは変わっていないが、細かい調整が施された新世代カルドセプト。
特にカードバランスの良さは歴代随一。それ以外にもユーザーフレンドリーな要素が多く、初心者、ベテランどちらにもオススメできる作品に仕上がっている。
発売から数年経ってもオンラインのランキング戦は継続して実施されており、さすがに発売当時から比べると減ったとはいえ、今でも熱いネット対戦が行われている。
最終更新:2023年08月28日 23:16