この項目では『ロスト プラネット エクストリーム コンディション』と、拡張版である『ロスト プラネット コロニーズ』を同時に紹介しています。
ロスト プラネット エクストリーム コンディション
【ろすと ぷらねっと えくすとりーむ こんでぃしょん】
ロスト プラネット コロニーズ
【ろすと ぷらねっと ころにーず】
ジャンル
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アクションシューティング
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対応機種(無印)
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Xbox 360 Windows プレイステーション3
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対応機種(拡張)
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Xbox 360 Windows
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発売・開発元
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カプコン
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発売日(無印)
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【360】2006年12月21日 【Win】2007年7月12日 【PS3】2008年2月21日
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発売日(拡張)
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【360】2008年5月29日 【Win】2008年6月5日
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定価(無印)
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【360】8,618円 【PS3】6,469円
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定価(拡張)
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【360/Win】6,469円
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廉価版(無印)
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【360】プラチナコレクション 2007年11月1日/3990円 【PS3】PLAYSTATION3 the Best 2010年3月11日/2047円
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廉価版(拡張)
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【360】プラチナコレクション 2010年3月11日/2047円
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備考
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PS3では『コロニーズ』の販売はなし
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判定
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良作
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ポイント
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カプコン発の本格TPS 独特の世界観&ハマれるオンライン 物語とゲームバランスは粗さが目立つ イ・ビョンホン主演は賛否両論
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ロスト プラネットシリーズ エクストリーム コンディション(コロニーズ) / 2 / 3 / エクストルーパーズ
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概要
カプコンが発売したサードパーソンシューティング。独自開発したエンジンMT Frameworkを使用している。
韓国俳優でありハリウッド映画でも活躍するイ・ビョンホン主演、主人公ウェインのモデル・声を担当している。
「バイタルスーツ」という二足歩行ロボット・「エイクリッド」という怪物・キャラクターの造形・日本製SFの色彩が強い世界観と、海外勢が強い3Dシューティングにおいてしっかり「日本らしさ」を持つ作品。
ストーリー
未来の世界において人類は全球凍結下にある地球型惑星EDN-3rdにおいて入植実験を行う。
しかし人類は惑星の原住生物「エイクリッド」の前に為す術もなく敗北。一時撤退を余儀なくされた。
しかし人類は「エイクリッド」から得られる新資源「サーマルエナジー(T-ENG)」を諦めることはできず、「エイクリッド」に対抗しうる新兵器「バイタルスーツ(VS)」を投入、再入植を開始する。
再入植を主導する企業「NEVEC」内でも資源の独占をもくろみ様々な思惑が渦巻く中、撤退時に見捨てられながら極寒の大地で命と世代を繋いでいた「雪賊」と呼ばれる人類も絡み、EDN-3rdは混迷を極めて行く…。
ハードごとの差
3ハードで発売されているが発売時期はそれぞれ異なっており、基本的には後発のものほど追加要素が多い。また、実績解放関連で若干の差異がある。
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【360】最も最初に発売された。追加マップはDLコンテンツとして順次有料追加されたが、後に一部マップは無料開放されている。
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【Win】グラフィックを向上させているほか、ロックマン等自社の別ゲーキャラをアバターとして追加している。
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【PS3】メディアがDVDからブルーレイに変更。それに伴い、DLCマップはオフセットされている。Win版の追加キャラに加えて、作中のヒロイン「ルカ」が使用できる。さらに和ゲーらしい裏技(隠しコマンド)がある。コマンドについては公式サイトを参照。
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なお、360/Winでは後に追加要素を加えた拡張版『ロスト プラネット コロニーズ』が発売されているが、PS3では発売されなかった。
特徴
ゲームモードについて
ゲーム内容としては大まかにキャンペーン(シングルプレイのみ)と、オンラインバトルに分かれている。
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キャンペーンは、主人公である「ウェイン」となり、そのストーリーを追って行く形になる。基本的には敵を倒しながら進んでいき、最後にいるボスを倒せばステージクリアという形になっている。
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CO-OPなどは無く、シングルのみ。
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「ウェイン」は「ハーモナイザー」という装置を装備している(装置自体がストーリーにも絡んでくる)。ダメージを受けた際はT-ENGを大量に消費する代わりにHPが回復される。ただしあまりに大きなダメージを受けた場合はそのまま死亡してしまう。
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また、T-ENGが0になると逆にHPが減少していく。T-ENGは時間経過でも勝手に減っていくが、エイクリッドや敵NPC、VSを倒すなどで補給できる。
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ハーモナイザーについて
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ハーモナイザーは「NEVEC」が開発した生命維持装置で、今作に登場するのは試作型。T-ENGを消費する代わりに驚異的な身体回復能力を実現している。加えて過酷環境での生命維持や、老化防止まで行ってくれる。
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しかしT-ENGが無くなると逆に命を削っていく上、試作型に加え経年劣化のため不安定で、劇中でも気絶や記憶障害といった副作用がたびたび起こっていた。
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オンラインバトルは、最大16人(8VS8)での戦闘が行える。
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ルールは「サバイバル(全員敵)」「チームサバイバル(8VS8)」「データポスト争奪戦」「フォックスハンティング」の4つ。
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結果が世界ランキングに反映されるランクマッチと、反映されない代わりにより自由度の高いプレイヤーマッチがある。
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キャンペーンとは異なり、ハーモナイザーは無し。
ゲーム内容について
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自由度の高いワイヤーアクション。
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壁などにアンカーを打ち込み、それを巻き取ることで三次元的な移動を実現している。壁の際に撃って壁をよじ登ったり、天井に撃ってぶら下がったりなど、自由度が高い。
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「バイタルスーツ」の存在
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星の原住生物「エイクリッド」に対抗するために開発されたマシン。二足歩行が多いが、バイクに変形したり、戦車に変形したりする機体も。機体によって歩行速度の高低があるほか、長距離を跳躍可能な機体もある。
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VSは基本的に両肩に武装を取りつけることが出来る。これらは手持ちして直接使うこともできるのだが重たいため動きが制限される。また、取り外し不可能の固定武装のものも存在。
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武器は少なめだが、個性的。
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近距離専門のショットガン、スコープ付きライフル、安定した性能のマシンガン、T-ENGを打ち出すプラズマガン、弾速は遅いが追尾機能とVSからパイロットを強制排出させるエネルギーガン、高威力ながら弾数が少ないロケットランチャー。
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これら手持ち武器に加えて、前述のVS武装と、グレネードという形になっている。
評価点
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オンラインバトルが非常に魅力的。非常にシンプルで大雑把な作りであるが、味がある。
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武器の数は少なくシンプルであり、また武器ごとにも優劣は割とあるのだがそう言ったバランスの悪さを補って余りある楽しさを誇る。
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マッチの自由度もかなり高く、ルールに加えて最大人数や最初に所持している武器、ステージまでホストが細かく指定できる。
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武器自体の優劣は割とはっきりしており、ライフルは射程が無限遠な上にゼロタイムで命中し、胴体で2発ヘッドショットは距離にかかわらず一撃、その上連射も効いて近接もある程度こなせるという、非常に強力な武器。ロケットランチャーはとにかく威力が魅力。
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反面マシンガンはいまいち中途半端と言う具合。しかしこの作品ではマッチの性質上「全員同じ武器」でスタートする。ライフルなら全員ライフルもちであり、マシンガンなら全員マシンガンからスタートする。
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FPSによくある「ミドルレンジならAという武器をセットして、それからスタート」といった要素はない。
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スタート武器以外のものもマップには落ちているが、弾を確保し続けるのは難しい上リポップのタイミングも絶妙で「強武器を真っ先に取って無双」という形には非常になりにくい。HP回復の手段が無いのも一因。
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無双は困難である一方、アンカー移動など細かくプレイヤースキルが反映される箇所があり、うまい人はちゃんと強い。
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ワイヤーアクションはロスプラを語る上ではずせない要素である。三次元的な移動、戦闘を実現している。加えてアンカーの撃ちこむ場所、解除のタイミングなどで移動速度にも割と差がでるため、上手な人はちゃんと映える仕様になっている。
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投擲したグレネードを撃つことで時間をまたずに爆破でき、さらに爆発の威力が高くなるという仕様も魅力。時間だけでなく任意のタイミングで爆発させることが出来る反面、近くで爆発させると自爆するし、エイムがいまいちだと当たらないしで、うまい下手が出やすい要素となっている。
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このほか、緊急回避を行いながらショットガンを発射するゴロバンというテクニックもある。
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VSの存在も魅力的。弱いVSしかないマップや、強いVSで大規模に立ちまわれるマップ、VSが一切存在しないマップと、いろいろ揃っている。
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ステージも良質なものが多く、レーダーフィールドでライフル対決など「定番」のセットがいくつも生まれた。
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キャラクターの造形は独特であるが評価が高い。オンラインバトルでは雪族たちを使う形になるのだが、それぞれモーションに細かい差があり、特に挑発モーションから「尻ペン」や「ガッツ」といった愛称(?)が付けられていた。
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ゲームの世界観は良質。「全球凍結した惑星」が舞台であったり、「エイクリッド」といった怪物との戦いありVS同士の戦闘あり、生身の人間同士の戦いありと、SFとしてしっかりした土台の上に、魅力的なストーリーを構築している。
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マップも、入植時に建築されたビルや火山地帯など豊富。廃墟や一面の雪原はその世界観をうまく構築している。
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同社のモンハンにも通じるところがある超巨大エイクリッド戦など、いわゆる「洋ゲーの劣化版」とは一線を画している。
賛否両論点
主人公のモデル周り
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当初は金髪碧眼の白人設定でオリジナルモデルの開発が進んでいたが、どういう訳かイ・ビョンホン氏へと急遽変更されてしまった経緯がある。発売当時の韓流ブームに乗っかろうとしたのだろうか?
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「そもそも世界観に韓国人が合っていない!」と言う意見もあるが、モデルの出来そのものには問題がある訳ではなく、結局は好みの問題だろう。他のキャラは当時のカプコン製ゲームによくいるようなCGキャラだが、浮くことなく割と馴染んでおり違和感は少ない。ただ、美形ではあるが特別個性的という顔立ちでもないため、ファン以外には実在の俳優を使った意味が薄くも感じる。
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只、結果的に肖像権などの問題から続編に登場させる事ができず、『タツノコ VS. CAPCOM』シリーズでは素顔が出せなかった。
問題点
キャンペーン周りの問題
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ボリュームはやや少なめ。割とサクサク終わってしまう。
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キャンペーンは、ストーリーは魅力的であるものの粗い部分も目立つ。またキャンペーンのゲーム性自体はそこまで優れたものではない。
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やり込み要素は少なく、ターゲットコインという実績系はあるものの、やりこみというよりはうっかり見落とすような代物を探すだけと言うような感じである。
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ストーリーについて、SFらしい世界観が魅力的である半面、わかりにくさも目立つ。特に「いまこの星はどういう状態にあるのか。またそれはどのような経緯を経た結果なのか?」という部分がわかりにくい。登場人物もかなり少なめで、世界観の広さの割に、個々の問題や対立軸が矮小化してしまっている。
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星の命運をかけた戦いであるはずなのだが、わずか数人の争いと行動でそれが左右されてしまうのである。
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公式サイトを読んだりすればある程度わかってくるのだが、ゲームのみをやっていると「?」な部分は結構ある。
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ストーリーの最後のほうはかなり駆け足で、上記の「世界観の割にストーリーが狭い」という問題に拍車をかけている。
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加えて細かい部分で変な所がある。ハードボーラーはロールアウトから30年経っても最強とアーティファクトレベルの代物。オーパーツじゃあるまいし。
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大型エイクリッド戦は迫力はあるものの覚えゲーに近い部分があり、爽快感といったものとはやや縁遠い。
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キャンペーン最終ステージがあまりにも異質。
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オンラインはもちろん、キャンペーンのなかでも操作性等あらゆる部分が異質である。
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さらにはかなりもっさりした動きに加えてゲーム性もいまいちで、「これのせいで台無し!」という意見すらある。
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以上のボリュームの薄さ、ゲーム性の低さ等から「キャンペーンモードはオンラインのおまけ」という評価も。
オンライン周りの問題
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オンラインマッチも、細かい作り自体は粗い
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ランクマッチでほとんどのことができてしまうため、プレイヤーマッチで遊ぶ意義は薄い。
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ただし、これは「どんな無茶苦茶な設定でも知らない人とランクマッチでガチバトル」ができるということでもある。
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擁護不可能なレベルでバランスが取れていないマップ、ステージが結構存在する。
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リスポン地点は固定、初期武装も固定という性質上、強VSが出てくるステージは一方的な戦いになってしまうことが多い。
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最初に強VSを確保したうえで、エネルギーガンを確保してVSにこもってしまえば、もう逆転される要素はほとんどなくなり、一方的な虐殺に終始してしまう。
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上記ほど酷いものでなくても、リスポン地点で有利不利が出るマップも多い。ただ、強VS確保からのワンサイドゲームに比べれば気になるほどではない。
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ただ、こういったワンサイドが頻出するステージは不人気なので部屋自体が非常にすくない。「面白くなければやらなければいい」を地で行く状態ではあるが、こういった質の悪いところを意図的に避けることができるため、悪バランスについてはそこまで気にならないと言ったところ。
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いわゆる「回線抜き」に対するペナルティは無い。不意の回線落ちでもペナが来ないと言う利点はあるものの、不利になるとどんどんいなくなってゲーム自体が不成立になってしまうことさえあった。
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ラガーに対する処理も良くない。軽度のラガーについては画面上の見た目と実際の位置が常にずれるためとにかくダメージが入らない(ライフルを直撃させても死なない。プラズマグレネードなど広範囲攻撃を当てると、痺れたまま位置が補正される…)。重度のラガーについては突然現れたりと言ったことが頻出する。
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ランクマッチに罠部屋を張れてしまう。
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典型的なのは大型マップでフォックスハントで参加枠2(狐側が有利な仕様に加えて広いマップでは一度も敵に出会えずに狐の勝ちになってしまうことも多々)、強VSのあるステージにチームサバイバルで参加枠2(入ってきた人を一方的にボコる)。
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悪質なとこでは、参加枠を16にしていても3人目が来た時点で開始、そして最初にいるホスト+1はグルで2:1でボコってくるという部屋も。おまけにこういう部屋の場合、グル同士が別チームになったり、相手が強くて負けそうになったら回線抜きで不成立に持ち込むと言う極めて悪質な行為を行ってくるプレイヤーさえいる。
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ただ、ランク自体も非常に大雑把なもので階級のようなものもなく、何より「罠だとわかったらすぐ抜けてしまえばいい」という考えもあり(この考えが良いかは別として)、そこまで気にされない。上級者のなかには罠なの承知の上で入って、逆にボコボコにすると言う遊び方をしている人もいた。
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全体的にややもっさりしており、常に処理落ちしているような感じ。ダッシュ等もなく足が遅いと言う意見は多い。
総評
「氷の星に巨大な怪物」という独特の世界観と、単純ながら「ハマれる」オンラインバトルが光る。
細かく見て行くとストーリーは突っ込みどころも多く矛盾点も満載しているし、オンラインのゲームバランスは割と劣悪な部類でもある。
だが、カスタマイズの少なさが結果的に平等性の獲得につながっており、ユーザーが多く集まる人気ルールの面白さは格別になっている。
また「TPS」という洋ゲーが強いジャンルにおいて、はっきりと日本テイストが感じられる世界観・ストーリーを持つ作品はあまりない。
そう言った点では貴重な作品であり、オリジナルモデルのウェインで日本語ボイスに対応したリメイクを望む声は多い。
拡張版『コロニーズ』の特徴
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360からの新規ゲームタイトルであったが、販売が好調だったため追加パックや続編が発売されている。
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マップ、武器、アバターキャラやバトルルールの追加が行われている。こちらは360/Winで発売され、双方同じ場でオンラインバトルを行えるクロスプラットフォーム方式を取っている。
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しかし、その反面Win版の追加キャラと作中のヒロイン「ルカ」は使用できない。
余談
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以前カプコンから縦スクロールシューティングゲーム『シルフィード ザ・ロストプラネット』がPS2で発売されている。“ロストプラネット”ってひょっとして…。
その後の展開
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2010年5月20日にナンバリング第2作『ロスト プラネット 2』がPS3/360/Winで発売された。CO-OPの実装や武器を含めたキャラカスタマイズの多様化、「武器の大幅増」といった追加に加えて、上記マッチの問題点はほぼ潰している。詳細は作品ページを参照。
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2012年11月22日に本作と世界観を共有した『エクストルーパーズ』が3DS/PS3で発売された。新規タイトル扱いで作風も大きく異なるが、本作と世界観を共有している実質的なスピンオフである。詳細は作品ページを参照。
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2013年8月29日にナンバリング第3作『ロスト プラネット 3』がPS3/360/Winで発売された。本作の前日談を描いた「シネマティックシューティング」だったが、大爆死してしまいシリーズが途絶えることとなる。
最終更新:2024年03月30日 16:00