実況パワフルメジャーリーグ2009

【じっきょうぱわふるめじゃーりーぐ にせんきゅう】

ジャンル スポーツ(野球)

対応機種 プレイステーション2
Wii
発売・開発元 コナミデジタルエンタテインメント
発売日 2009年4月29日
定価 5,980円(税込)
判定 良作
ポイント 唯一にして待望のエディット機能搭載
シーズンは打高投低でペナント崩壊
サクセス以外はパワメジャ史上最大のボリューム
実況パワフルプロ野球シリーズリンク


概要

「マイナーチェンジしたものを毎年発売する」「ほぼシェアを独占」というパワプロシリーズの形態ゆえ「モードのボリュームダウン」や「人気のあるモードの削除と復活を繰り返す」といった行為が常態化し、いつしか「手抜き」と「出し惜しみ」と「誰得な新要素」がパワプロの代名詞となっていた。
そんな「あえて最高傑作を作らないようにしている」とさえ言われたパワプロ冬の時代において、待望のエディット搭載、5種類のサクセス、WBCモード、シーズン20年、キャッチャーマイライフ、好評なYOMIシステム、柔軟なプレイ環境など充実した内容から、知名度こそ劣るもののパワプロシリーズでは最高傑作の一つとして必ず名前の挙がる隠れた名作。

評価点

  • 初のエディットモード搭載
    • 何といっても本作最大の特徴であり、この機能だけでもシリーズ上位に食い込んでいいほど唯一無二の存在。
    • 度々「贔屓査定」などと批判されるパワプロであるが、パワメジャにおいては贔屓どころか「イメージ査定」とすら評されるいい加減なもので、本作も『イチローのパワーがB(日本版のAに相当)で守備位置がセンター』『衰えが来ているのに異常に強い著名な選手』等々、例に漏れず査定問題を抱えているが、今作は泣き寝入りする必要がない。
    • デフォルト選手の不満な点や実際の成績を参照して能力を修正したり、カーショウなどその後活躍する若手選手の能力を底上げしておく、本作には出ない日本人選手やルーキーの再現など、ゲームバランスを調整して遊ぶのが好きな人にとってはたまらない快感がある。
      • ただし、名前、顔、肌の色、年齢は変更できず、特殊能力とルックス設定(実質装備品設定)の修正にも条件が必要であり、ウイイレ級のエディットを期待すると肩透かしを喰らう羽目になる。
    • また、1からオリジナル選手を製作することはできない(サクセスの存在があるため)。
  • 意外にも好評なYOMIシステム
    • パワプロの新要素といえば13以降は気合システムや2011メシライフなど不評なものが多かったが、本作で導入されたYOMIシステムは珍しく好評であった。
    • YOMIシステムを簡単に説明すると、打撃時に投球カーソルが球が手元に来るまで一切表示されないため、今までのように予備動作でカーソルを追わずに投げてきそうなコースを予想してミートカーソルを動かし、その「読み」が当たった場合ミートやパワーに補正が入りヒットが出やすくなり、逆に読みが外れてミートカーソルを動かすと、ミートが小さくなる逆の補正が入ってしまう。
    • このシステムには、投球時にコーナーを突きにくい等のデメリットがあるものの、野球としてのリアルさが再現されており、主に対人戦やメジャーライフモード(本家でいうマイライフ)のマンネリ防止などで効果を発揮する。
      • また、YOMIシステムはオプションでON/OFFができ、『13』のように旧来のプレイスタイルを邪魔しないのも好感がもてる。
  • 充実したサクセス
    • サクセスはマイナーリーグ編で、オーソドックスな「ゴールデンアップルズ」その強豪版といえる「ギャラクシーシャークス」運要素の強い「ギガンテス」試合系サクセスの「モノモンモンキーズ」シミュレーション要素の強い「ストロベリーズ」の5種類と比較的豊富。
      • 中でも特筆すべきは「ストロベリーズ」で『試合を一切プレイしない』『自分を含む5人の仲間の内3人が一定以上の能力に到達すればクリア』という異色なもので、コツさえ掴めれば「大量のお金」を入手しつつ「テンポ良く」選手が作れる。
      • そのため、アイテムを使いまくってガンガン練習したり、短時間でそこそこの選手を作りつつ継承アイテムを製作したり、良い意味で手軽に遊べる。
    • また、本サクセスにはリセットペナルティがない。おそらくエディットによりサクセスの価値がなくなることを危惧しての措置と思われるが、おかげで反則レベルで選手が作りやすい。
  • シーズンモードは最大20年まで拡大
    • パワメジャシリーズは、本家に比べ育成要素が高いのでファンにとっては嬉しい限りであり、30球団あるために遅かった試合のオート処理もかなり改善されている。(ただ、この高速化が成績の崩壊の一因では? との声もある)
  • WBCモード搭載
    • エディットと並ぶ本作の大きなウリのひとつで、第2回WBCの出場国と選手が実名で収録されている。(これまでは架空の代表チームと対戦するものだった)
      • こちらもエディットに対応しているので、イチローに「ゲームエンダー」を付けられる。
      • 残念ながらサクセス選手を含めて選手の入れ替えが一切行えず、WBCの選手をアレンジチームへ登録したりもできないなど、他と独立したモードとなっている。
      • なお、出場選手は開幕時点のメンバーなので、途中の入れ替え選手は登場しない。日本を例にすると、村田修一選手の負傷離脱により追加招集された栗原健太選手は未登場。
  • 完成度の高いメジャーライフモード
    • ドラフトからプロフィールを決める王道の「メジャーリーガー人生編」サクセス選手でプレイする「オリジナル選手編」に加えて、現役選手に成りきってプレイできる「憧れ現役選手編」があるなど中々に豊富。
    • だが、本作の目玉は何といっても『キャッチャーモード』の存在だろう。
      • これは捕手でプレイする際、打撃の他に「リード」が行えるというものである。(リードは強制ではなく、「すべて」、「ピンチのみ」、「なし」から選べる。)
      • 視点は捕手目線による独自のもので、球の要求以外にもキャッチングする必要があり、ノーコンや信頼度が低くリードに従わない投手、ハイレベルな変化球では、本物同様キャッチング技術が求められ、失敗すると後逸してしまう。
      • マイライフの野手は基本打撃・走塁のみであった為、肩力・守備力・エラー回避は後半に守備固めで替えられるか否か程度のシロモロであったが、捕手モードとなると守備力がそのままキャッチャーのミットカーソルの大きさとなり、守備力が高低が後逸の危険度にそのまま直結する。当然、肩力・エラー回避も盗塁阻止に大きな影響を与える。
      • キャッチに失敗したり、リードが裏目に出ると投手からの信頼度が下がったり、投手がバテたり動揺した時にマウンドへ駆け寄れる、好リードを続けるとコーチから「お前は既に一流の捕手→超一流の捕手」と褒められ、特殊能力・キャッチャー○→◎を習得出来るなど芸も細かく「捕手としてゲームを作りたい」といったプレイヤーの需要を満たすに十分な出来であり好評を持って迎えられた。
      • 次回作以降のマイライフへの実装も期待されたが、現実は『献立』が実装されるという悲しい結果に終わっている。
    • 他にも、従来のマイライフでは趣味を行った際「○○をした。上手くいった。スキルが上がった」という単調なものだったが、今作では料理なら「調理器具を買う」⇒「包丁の使い方を覚える」⇒「簡単なレシピ本を買う」といったように少しずつステップアップしていく様子が描かれる。
      • また、嫁候補のデザインの質が全体的に高い。(スポーツ少女やクールな女医等つぼも押さえられている)スタート時のエディットデータがゲームに反映される、日程スキップができるなど、キャッチャーモード以外の要素も洗練されており「野球部分が水に合わない」「盗塁王に俺はなる!」(後述)といった人でなければ、マイライフとしてはシリーズ最高峰の出来といえよう。
      • ただし、メジャーの常ではあるが ???「イチローさんをワールドシリーズへ連れて行くぞ!」といったプレイをしていると ???「イ、イチローさんが、トレードされた……」ということが往々にして起こる。
  • MLBファン以外にも嬉しい選手層
    • マートン、メッセンジャー、バレンティン、モーガン、ボウカーといった、後に日本球界で活躍する選手や、史上最低の助っ人の一角ブラット・ペニーといったヒール、キャリアハイ翌年の松坂や、まだまだ元気なイチローと松井など、MLBファン以外にも馴染み深い名前が並ぶ。
  • 便利な新機能
    • 三角ボタンを押すことで、いつでも特殊能力や成績、生年月日を参照できるようになり、非常に使い勝手が良い。
  • ほぼ完璧な実名登録
    • パワメジャでは過去バリー・ボンズが架空の白人選手になっているなど、(版権上の問題の為か)大物選手を含めかなりの選手が偽名(通称・グレート一族)となっていたが、本作ではわずか9人であり、「MLB出場なし」のようなマイナーな選手ばかりなのでゲームへの支障が少なく、むしろ偽名選手は無条件で特殊能力のエディットが可能なため、若干のプラスの面とも取れる。
  • 柔軟なプレイ環境
    • 本作はオプションが充実しており、球速が3段階。ロックオンを5段階に設定できるなど、初心者から上級者まで自分にあった環境でプレイできる。
  • 評価の高い球場再現
    • メジャーリーグといえばバラエティに富んだ球場で知られるが、その再現性をたたえる声は多く、オリジナルの球場もモンモンモンキーズスタジアムの木製フェンスの大型球場などは中々に魅力的。
  • 裏技的な抜け道
    • 意図的かは不明だが、本作には救済措置ともいえる有用な裏技が存在する。
      • エディットでは名前を初め、かなりの制限を抱えているが、シーズンモードでいつでもチームを保存できることを利用し「外見や年齢のそれっぽい選手」を生贄に、サクセスでは再現が難しいB・ボンズような選手を簡単に作り出すことが可能。
      • ただし、対戦では成績が表示されず。メジャーライフモードには対応できない。
    • 他にも、サクセスのリセットペナルティがないこととメモリーカードの特性を使い、ゲーム内ポイントを手軽に稼ぐ方法が有名。(本作ではある事情で大量のポイントが必要になる)

賛否両論点

  • サクセスでのリセットペナルティ廃止
    • ストレスがなくなっていいという声もあれば、緊張感がなくなったという声もある。
    • また、リセットによる能力ダウンの廃止で超低速の投手が作りにくくなった。

問題点

  • 投手の仕様問題
    • 上述のようにパワプロの本気ともいえるボリュームを誇る本作だが、投手関連の仕様にプレイした人のほとんどから批判される大きな欠点を抱えている。
  • ①異常なスタミナ消費
    • 本作の負の特徴として「投手がすぐにバテる」ことが挙げられる。原因は不明だが、スタミナ消費が早い上に異常なまでに打たれ弱く、スタミナがAであっても、少し打ち込まれようものなら80球投げる前にスタミナが底を突きる。
      • 従来のパワプロでいうならば、全投手のスタミナが1,5~2ランク低くされ、もれなく打たれ弱さ2を持っている感じをイメージするといいかもしれない。
      • 前作「3」からブルペンの機能が実装され、リリーフ投手は適度に肩を温めないと能力を十全に発揮できなくなっている。そのシステムを使わせるために、このような極端な調整になっているのかもしれない。
  • ②そのままマウンドへ上がる代打
    • ほとんどバグに近いのだが、本作ではDHなしの試合をする際にCPUが投手に代打を出した後、次の回その代打をマウンドに送り込んでくる現象が普通に起こる。
      • 一応、変えるタイミングを逃しているだけなので投げ続けたりはせず、一人目の打者を相手にしたら引っ込むのだが、その一人目が決勝点となり『敗戦野手』になることが珍しくなく、いわゆるひとつのナ・リーグ名物と化している。
      • 現実のMLBで野手がワンポイントや敗戦処理でマウンドに上がる事は多くはないが無い訳ではない。しかしパワプロシリーズの野手は一律に投手能力が極端に低く設定されているため起こる現象である。
  • ③スターターの設定
    • 従来のパワプロは投手を「先発」「先発中継」「中継ぎ」「抑え」の4つに大まかに分けて、そこから個別に起用法を設定するスタイルであるが、本作は細かく分けられた「スターター」「スイングマン」「ロングリリーフ」「ミドルリリーフ」「シチュエーショナルレフティ」「モップアップ」「セットアップ」「クローザー」の8つに選手を当てはめる方式をとっている。
      • 一見便利なようだが、この当てはめ方式には「スターターの起用法」が設定できないという欠点があり、①の問題と合わせることで、人が操作していないと先発ピッチャーはほぼ確実にスタミナの限界を超えても投げる羽目になり、バテたところを打ち込まれてしまう。
  • 元々、打高な傾向である事に加え、上記の理由からエディットせずにシーズンを回すと、歴代記録を更新しまくる野手と防御率の壊れた投手陣が生まれてしまう。
    • しかし、シーズンの成績をある程度正常なものにするのに求められるエディットは、スタミナDのスターターを中心とした投手のスタミナの底上げ、パワーがAを超える打者を中心とした辛めな野手査定が必要になる。さらに十年以上シーズンをプレイするなら、各球団の最も若い投手のスタミナを大幅上げる措置などのも必要。
    • というかパワメジャシリーズの能力割振りははっきり言って打高である。デフォルトでパワーは最高230(上限255)を皮切りに200以上が10名なのに対し投手のコン/スタ(共に上限255)が200を超える選手は存在しない。また球速が160km/h(上限175Km/h)を超えるのも僅かに4名のみである。能力が高めの投手にはマイナス特能が付いている場合も多い。
      • 更にシーズンモードでは投手と野手の衰え方に違いがあり、出場機会の多い野手の衰えは緩やかだが、投手は例外なく加速度的に衰えてしまう。
  • 以上の事からエディットは半ば必須なのだが、単なる能力の修正であっても、30球団の選手(FAリストの選手も加えると1200人を超える)となると一筋縄ではいかない上に、エディット画面の切り替えは読み込みが重くテンポ良く作業させてくれず、細々した作業などが好かない人にはエディットをKONAMIの丸投げと感じられてしまう。
  • スモールベースボールへの冷遇
    • 野球部分のバランスの問題として「とにかく盗塁が弱い」ことが挙げられる。
      • どれくらい弱いかというと、ランナーの走力がAで捕手の肩がEという安牌ですら高めに外された訳でもないのに、高確率で際どい判定になり、D以上は低めに外れない限り刺されるものと考えるのが基本。
      • さらにマイライフのキャッチャーモード中以外は投球モーション中にウエストをするボタンを押せば、ウエストする事が可能である。こうなると肩Gレベルでも無い限りほとんど盗塁を阻止できてしまい、むしろ「肩の強さより暴投しないエラー回避」のほうが重要となってしまっている。
      • その上、YOMIシステムは好球必打が基本なため、バントやエンドランとは相性が悪く、外野手の送球が捕手とは逆に冷遇されているので、足が遅くても捕殺されないなど、全体的にビックボールが有利な設定となっている。
    • 一応擁護しておくと、従来の盗塁性能だとシーズン回した時に一部選手の盗塁数が3桁に乗るため、その調整と思われる。
  • 邪魔なだけの選手カード
    • 従来パワメジャの選手カードは余ったポイント用のおまけ要素に過ぎなかったが、本作では選手カードの獲得が特殊能力と装備品のエディットの開放条件となっている。
      • にもかかわらず、選手カードはランダムでしか獲得できず、平気で「ダブる」という嫌がらせ仕様になっている。(20枚ダブると未獲得カード1枚と交換)
      • このため大量のポイントが必要となり、お目当ての選手がいつまでたっても出ずイライラしたり、無駄にリセットさせられる。
    • その上、選手カードの解説は「○月まで不調だったが、○月からは好調を取り戻した」のように、成績に触れているだけの無内容なものがほとんどで、集める意欲がまるで湧かない。
  • 選手獲得における不具合
    • エディットの対応もあり、本作のシーズンモード自体は面白いのだが、ドラフト関係のあきらかな手抜きと敵GMの実績重視の経営思考が長期プレイの妨げになっている。
  • リーグの少子高齢化
    • ドラフトの指名が2巡目までと、あまりに少ない上に2人とも弱くて使えないという事がザラにあるため、ドラフトの選手だけではリーグ全体の戦力が不足してしまう。(特に先発投手とスラッガー)
    • そこでパワメジャの特徴でもあるFA(未所属)選手獲得という便利なシステムを使うことになるのだが、CPUの実績を重要視する傾向がFA選手獲得と相性が悪い。
    • 例えばFAの選手が、どんなに若くて能力が高く、年俸が安くとも、メジャーでの実績のない選手を敵のチームはほとんど獲得しようとしない。(特に投手にその傾向が強い)
    • 年齢が40後半になり能力がFやGだらけになった選手を、戦力外にすることなく引退するまで飼い殺したり、実績のない若手が放出されたりして、年が経つとAAAが老人ホーム状態になっている敵チームも珍しくないなど、少子高齢化と高齢者優遇という先進国が抱える問題がなぜか野球ゲームで体感できる。
  • 完全な指示待ちのスカウト
    • 本作の新人選手の調査や発掘は結果が1~3日で出るのだが、その後スカウトはこちらが指示するまで全く働こうとしないサボり魔となっている。
    • つまり、約3日ごとにいちいち指示を出さなければならないということであり、あまりに面倒臭い。
  • バグの存在
    • 前述の『敗戦野手』もそうだが、特に凶悪なものとして、いわゆる「調子バグ」が存在する。
      • これは野手のミートカーソルとパワーに投手の調子が反映されてしまうというものであり、調子によってスタメンを入れ替える、などという組み方を否定することにもなりかねない。
      • もっとも、特殊能力の発動には野手自身の調子のみが反映されるようで、絶不調にだけは気を使うが……。
    • また、試合をオートで回した場合、成績を算出する際に特殊能力のクラッチヒット*1が強く影響する。
      • クラッチヒットの4や5を持っている選手は異様に成績がよくなり、2や1を持っている選手はその逆、となる。
      • シーズンやメジャーライフでの歴代記録崩壊は、これによるところも大きい。

総評

シーズンの成績崩壊など一部に大きい欠点こそ抱えているが、パワメジャ唯一のエディット機能の搭載は大きく、サクセス以外のモードも充実している。
しかし、売り上げは伸びず、日本でのパワメジャシリーズ最終作となってしまった。
本作は単体で見れば「有終の美を飾った良作」であるが、シリーズ全体で見ると「手抜きを加速させた決定打」ともみることができる。
それだけに本作が少しでも再評価され、パワプロという優れたフォーマットが再び輝きを取り戻す切っ掛けとなることを祈るばかりである。