WORLD CLUB Champion Football
【わーるど くらぶ ちゃんぴおん ふっとぼーる】
| ジャンル | トレーディングカードアーケードゲーム/スポーツ(サッカー) | 
| 対応機種 | アーケード(LINDBERGH) | 
| 発売・開発元 | セガ | 
| 開発元 | ヒットメーカー | 
| 稼働開始日 | 2002年6月 | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要
通称「WCCF」。現在では市民権を得ているアーケードトレーディングカードゲームの元祖と呼べる一作。2002年から2018年まで稼働を続け、2019年現在は新規筐体の続編が稼働中という、極めて息の長い作品である。
みんなが知っているサッカーチーム(各国のプロサッカー)を題材としており、
自分の好きな選手カードを組み合わせてチームを作り、育成と試合(オンラインによる対人戦)をこなしていく。
登場当初は大ブームを巻き起こし、元来ゲームセンターと縁がないと思われていたサラリーマン層や刺青の入った外国人など、多彩な客層が並んでまでゲームをするという異例の状況が生まれた。大柄なヤンキー兄ちゃんといわゆる秋葉系のオタクがカードトレードで仲良くなっているなど微笑ましい異文化交流が各所で見られたほど。
現在でも「ゲーセンのサッカーのカードゲーム」と言えばゲーマーのほとんどには通じるであろう有名作。
ゲームシステム
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選手が記されたカード
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それぞれセリエAなどのクラブに所属する実在の選手となっており、写真と能力値、特技が1つ記されている。
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その他、選手にはポジションによる能力発揮の度合い、相性、性格などがある。これが実に細かく、カードに記載されていないような、微妙な動きに現れてくるので無視できない。
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カードはプレイ後1枚排出される(店舗側設定により排出無しにもできる)。
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この他にデータ保存&認証用の監督カードが必要となる(後にAimeを使用する形になった)。
 
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サッカーのフィールドを模したデバイス
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ゲーム筐体は大きなテーブル型のフィールドになっており、選手カードをこのフィールド上に配置する。配置がそのまま4-4-2などのフォーメーションとなる。
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各選手は、なにもしない場合AIによって自動で動く。フィールド上の選手カードを移動させるとその位置に動こうとするが、操作から反応まではタイムラグがあり、また試合状況を完全無視した動きはせずに自然な流れの中で動く。リアルタイムで選手を操作するアクションゲームではなく、あくまで監督として大まかな指示(サイドを上げる、ディフェンスラインを下げるなど)を伝えているという感覚である。
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ただしシュートの瞬間などはプレイヤー自身がボタンでタイミング操作を行う。
 
 
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チームマネジメント
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試合の合間に、練習をして能力値を伸ばしたり、選手を呼び出してコミュニケーションしたりする。コミュニーケーションは選手により相性がある。
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また新規カード登録や戦術のセットなど、試合前の準備もここで行う。
 
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前部大型モニター
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個別のモニターの他に大型モニターがあり、過去や現在進行中の試合が放送される。
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それぞれの卓が秘匿性が高いだけに静かなため、これで賑やかして雰囲気を作る効果もある。
 
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斬新にして革新
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フィールド+カードの組み合わせが極めて斬新。ひと目で選手が誰かや配置が解る視認性、複数を素早く操作可能な操作性があり、非常に直感的で分かりやすい。加えて相手から見えない秘匿性も有する。
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これらは家庭用機などではできない点であり、家庭用機の性能向上・ネットワーク機能標準化により優位性を喪失し、先行きに暗雲が垂れ込めていたアーケードゲーム業界が再生する大きな流れとなった。
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これらと、丁度日本から海外リーグに移籍する選手が増え、海外リーグの話題が市民権を得ていく時代に合ったのもある。海外リーグの選手を使ってプレイできるゲームというのも当時では斬新であり、海外リーグに興味を持った人がそこから本ゲームを始めることも多かった。
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またカードが筐体から直接排出されることで、トレーティングカードとしてやり取りでき、ゲームセンターに直接行く必要性をもたせた。トレーティングカードでもあることで、不要なカードを誰かが要るならばと置く場所を設定したり、プレイヤー間でやり取りするなどコミュニケーションを取れるツールともなった。これらもゲームセンターならでは、の点である。
 
評価点
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カードをデバイス(コントローラー)として扱うゲーム性や、ユーザーにスターターパックを購入させたり通信費やカード代をゲームセンターに負担させる見返りに高いプレイ料金を成り立たせる販売形態、ゲームをするとカードが1枚もらえるプレイすればするほどユーザーのカードプールが増える基本的ゲーム性など、ゲーム全体が極めて革新的で、2000年以降のゲームセンターを生き延びさせた貢献者とまで言えるその革新性。日本のゲーセン史を考える際に避けては通れない。
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元祖でありながら完成されたゲーム性。
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後発の三国志大戦に比べてもラグなどが介在しづらい全国対戦が可能で、コレクターや対人戦にさほど興味がない層でも強めの育成要素である程度満足できる。要するに間口が広い。やり込み要素も太い。
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またチームに入れるカードのレアリティなどによる"レギュレーション"が存在し、いわゆるコモンカードにもゲーム的な価値を与えている。
 
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監督に専念できるシステム
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前述の通り、本ゲームでのプレイヤーはあくまで監督である。それに専念できるよう、周囲のシステムを十分構築してある。
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選手の能力や選手同士の相性はひと目で分かるようになっている。さながら優秀なコーチがいるかのよう。
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その分、プレイヤーはそれが実戦でどれだけ機能的に動いていたか、弱い部分は選手を変えて様子見するか、シフトで補完するのか、または新しい選手をどこに入れるか…などに専念できる。
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こうしたシミュレーションを考えるだけでも楽しい、というのは本ゲームにハマった人ならだれでも共感できるだろう。
 
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一方で、シュートとそれを阻止するキーパー飛びだしという決定的な点は直接操作である。決定的な場面だけに自動で動いた結果が不成功、なんて結果だとストレスだっただろう。
 
問題点
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非常に場所を取るセンターモニター
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カードを左右だけで無く奥手前に動かす仕様上サテライト1台の大きさは仕方が無いが、それ以上にセンターモニターがサテライトより遥かに横幅を取ってしまう。
 
    
    
        | + | アップデートで改善された問題点 | 
プレイ料金の高さ
稼働初期から13-14までは1プレイ300円、2プレイ500円とカード排出料を考えても安いと言えない設定だった。
それでは敷居が高く初心者が入りにくい事を考慮したのか、15-16ではAimeカード使用者は初回プレイ無料、5プレイ目までは1プレイ100円となった。
16-17現在では1プレイ200円、3プレイ500円にした店が多く、ライトユーザーにも継続プレイヤーにも遊びやすくなっている。
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総評
2002年から2018年に至るまで、実に16年間も現役として稼働を続けてきた、まさにアーケードゲームの金字塔と呼ぶべき作品である。
さすがに末期は最盛期ほどの売上はなく、筐体の老朽化も目立ったが、料金値下げや時間貸しなどの延命策をとった店舗も多く、最後まで一定のインカムを稼ぎ続けていた。
現在は新規筐体の続編『WCCF FOOTISTA』の登場により見事に人気を再燃させ、ゲーセン界の中心的位置を占める花形ゲームの座に返り咲き…と思われていたが中身は既存客置いてけぼりの完全改悪、かつ新型コロナウイルスによるゲームセンターの営業停止による業績低迷も相まって、2022年3月31日をもって稼働終了。約20年続いたシリーズであった。
余談
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後発の『三国志大戦』『悠久の車輪』『LORD of VERMILION』『ガンダムカードビルダー』『アクエリアンエイジ オルタナティブ』『BASEBALL HEROES』といったゲーム群、低年齢層向けの『ムシキング』などといった製品は、すべてWCCFが商業ベースに乗ったからこそ登場した商品といって差し支えない。
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他社の模倣品に対して、訴訟等を行わないセガの度量も評価されるべきだろう。ゲームセンター経営大手でもあるセガは、アーケードゲーム全体の隆盛を歓迎する立場だという面もあるのだが。
 
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また、元スクウェア・エニックスの安藤武博がカードバトル系ソーシャルゲームの始祖の1つに挙げているなど、アーケードトレーディングカードゲーム以外にも与えた影響は大きい。
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余談であり、また時効でもあり、性善説に立って…もありの事だが、発売されてからおよそバージョン2になるかならないかの辺りまでの短い時期、つまりWCCFが市場に出回ってしばらくの間、排出されるカードは開封前にレアかそうでないかがわかってしまう事がオペレーターの間で問題になった。レアカードの処理の、ノーマルとの差が開封前に持った感触で判別可能で、これを知ったプレイヤーにはドキドキ感が無くなる位だが問題はオペレーター側が「レアカードを抜いて流す事が可能」だった事。殆どの店舗は、金庫管理やプレイ回数と補充数管理をするなどの徹底した運営を行っていたが、従業員が流したとされる物がオークションや買取店に出回る事があった。すぐ改善されて感触ではわからなくなったが、始祖にはありがちの「スタートしないとわからない」案件の一つである。
続編について
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筐体を完全一新して、タイトルも改めた続編新作『WCCF FOOTISTA 2019』が2019年3月14日に稼働開始。
 セガの標準ネットワークサービス「ALL.NET」に完全対応。またカードがオンデマンド印刷式になった。
 過去バージョンのカードは、稼働開始時点では2017年版(2017-2018)の全てともっと前の物の一部をインポートして使用可能である。
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筐体の印刷ユニットには欠陥があり、三国志大戦、艦これAC、FGOACに比べてはるかに劣ると評されている。
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2022年3月31日にサービス終了。オフライン化もされなかったため現在では遊ぶことができない。なお、サービス終了後のFOOTISTAの筐体は2022年3月10日稼働開始の『英傑大戦』にコンバートされ、引き続き使用されている。
 
最終更新:2024年05月12日 15:22