修正依頼」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。
依頼内容は『II』『Re:2』についての情報追記です。


LORD of VERMILION

【ろーど おぶ う゛ぁーみりおん】

ジャンル トレーディングカードアーケードゲーム
対応機種 アーケード(Taito Type X2)
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 シンクガレージ
スクウェア・エニックス
稼働開始日 I:2008年6月17日
II:2009年10月27日
Re:2:2011年7月26日
デバイス 専用筐体。ICカード、カード
判定 なし
ポイント 奥深いゲーム性
魅力的なカード群
偏りがちなゲームバランス
LoVシリーズ
I / II / Re:2 / III / Re:3 / IV / Arcana / Arena


概要

スクウェア・エニックスのオンライン対戦型トレーディングカードアーケードゲーム(以下TCAG)。通称LOV(LoVとも。読みは「ろぶ」)。
ゲーム全体が志向しているのはダークファンタジーであり、歴史モノやスポーツモノが多いTCAG界では異彩を放った。
同社販売の『悠久の車輪』と不自然なほど稼働日が近い。この辺りの事情には色々と憶測も飛んだが、少なくとも『悠久の車輪』と本作の開発が並行していたのは間違いないと思われる。最終的に同社のTCAG主力はLOVの方に一本化される事になった。

幾度かの大型・小型VerUpを経て丸5年ほど稼働し、現在はゲーム性が様変わりした後継作LORD of VERMILION IIIにバトンを渡して稼働を終了した。


ゲーム性

プレイヤーは主人公カードと好きな使い魔カードを選んで(コスト上限は決められている)デッキを編成し、それらを使ってオンラインで対戦相手と戦う。
筐体手前のカードゾーンは画面の使い魔カードの位置関係に関連しており、その画面自体は左手の8方向レバーで動かす(つまりカードを動かしてもカメラ自体は移動せず、逆にカードを動かさなくともレバーを動かすとカメラが動いてフィールドを移動できる)。
カードゾーンの使い魔カードは主にスマッシュ(カードが特定の動きをすると強力な攻撃ができる)や、陣形(細かいカードごとの位置関係の調整)のために動かすといった形。
二つの移動入力法があるという点は目新しく、他のゲームにない特徴となっている。

フィールド上の敵アルカナストーンに侵入すると敵のアルカナを壊すことが出来、アルカナを割り切るか、タイムアップ時に自アルカナ量多い方が勝ちとなる。
その他敵全滅などでもアルカナは掘削でき、ゲートやサーチといった特殊効果のある施設が戦場には存在し、敵の施設を破壊すれば優位になる。
体力を削り合っての戦闘の他、この施設の奪い合いがゲーム性のキモとなっている。

なおいわゆる"勢力"の概念が存在し、このゲームでは種族として表現されている。
初期は超獣、亜人、神族、魔種、海種、機甲、不死の7種、2以降は人獣(超獣+亜人)、神族、魔種、海種(機甲も含む)、不死の5種族。
それぞれ相性があり、攻撃属性によって弱点を突き合う関係。

コスト制であったり、使い魔ごとの必殺技に当たる"アーツ"があったり、使い魔が死亡してからカウントで復活したりと、ある程度先発のセガの『三国志大戦』を意識した要素が見られる(実際に開発や広報などスクエニ公式側の人間にも元大戦プレイヤーが多かった)。


評価点

  • 深いゲーム性。
    • 複雑ながらも様々なセオリーがあり、様々な戦略が実行できる奥深いゲーム性。前に出して城を殴るというのが基本的な動きである「大戦」シリーズに比べると、施設を取り合う事が重要となっているLOVは「勝ち筋」の幅が広く、その辺りの詰め甲斐がある。
    • 戦闘、速度、施設などといった多数のファクターから導き出される戦術の幅の広さが面白い。
  • 魅力的なカード。
    • 基本的に原作が存在しないゲームなのだが、スクエニ特有の神話をモチーフにしたお馴染みのモンスター(バハムートなど)が登場。
    • 著名イラストレーターを起用し、美麗な絵柄が多い。絵柄違いも多数。
    • 稼働年月が経つと様々な作品からのコラボレーション使い魔も増えて賑やかなカードプールとなった。
      • ただし、これらの要素の一部は、いくつかの問題点をもたらすことになるのだが…。
  • 音楽が良い。
    • 植松伸夫氏、崎元仁氏らの質の高い音楽がゲームを盛り上げる。
  • 一人用モードの充実
    • 一人用モードのストーリー演出に関しては三国志大戦に勝っていると言えた。
      • 戦闘中に突然プレイヤーキャラの何倍も大きくなった敵に踏みつぶされるなど印象的な戦闘はファンタジー世界ならでは*1

問題点

ゲーム自体の問題点

  • バランス調整の甘さ。
    • 毎Ver明らかなぶっ壊れカードが蹂躙する、というこの手のゲームで起こりやすい展開が多々見受けられた。これらは開発が意図したものから意図しきれなかったと思われるものまで様々であるが、初期から末期まで結局この方向性に変化は見えず、少なくないユーザー離れを引き起こした。
      • 特に、カード追加後のVerでゲスト使い魔などの高レアリティカードが無双するような環境は多くみられた。「そのカードを持っていない人はどうしようもない」といった事は、大戦シリーズなどの他ゲー以上によく起こった。
    • そもそも、このゲームは意欲的で奥が深い要素を多数搭載したため戦略デザインの懐が深いのだが、カードプールが増えてからは開発自身も全体の戦略の把握に手間取っており、ある程度博打でデザインしていたような面が無きにしも非ずなところがある。
      • どちらかというと、既存の世界観のある三国志に比べて、1人用ストーリー展開を重視していたとも言える(強いカードがあるのも攻略の助けとして見れば…)対人バランスは犠牲となったのだ
  • 根本的にゲーム性がキャッチーではなく、分かりづらい部分がある。
    • LOVはアルカナストーンの残量で勝敗を決める(というところだけを見ると分かりやすい)ゲームだが、他にいくつかの施設や"奥義"に当たるアルティメットスペル、さらに後期からは"降魔"などのシステムも登場し、とにかく初心者が覚える事が多い。
      • また使い魔のキーワード能力をはじめとしてとかく無駄に横文字が多く、知識がない初心者がカードに書かれている事から直感的に読み取れる情報がとても少ない。
    • 予備知識ゼロでモニターのプレイ画面を見るだけでは何をするゲームなのか今一つ分からないというのがゲームセンター向けのゲームとしては割と致命的なところがあり、「目の前の城を破壊する」事が目的である大戦シリーズなどに比べると一見さんにはつらいゲーム性な感は否めないところがある。

その他の問題点

  • 初期の異様なレアカード含有率の低さ。
    • 稼働初期は他のATCGに比べて抜けて低いレアカードの出現率で(1パック中50枚中SR1枚、R4枚、C45枚)、強力なSRカードは高騰して資産ゲーが加速していた。
      • 一応、初期の三国志大戦もR以上の枚数は同程度ではあった。ただしあちらはUCというレアリティがワンクッションあったため、こちらほどは気にならなかったと思われる。CとUCの比率は、体感的には3:2位であった。
      • コモンカードには、レアカード以上のカードと同じように*2に光る仕様(EXTRA COMMON)が期間限定で追加された。性能・絵柄はコモンの同名カードと同一。(Iのみ)。キラカードの少なさを何とかしようと努力したのだと思われる。
    • これだけが直接の要因ではないだろうが、初期のインカム低下が著しかったために最初のカード追加Ver.Upは稼働から約3か月という異例のスピードで行われた。
  • タガが外れたゲスト乱発。
    • ゲストキャラが参戦するのはLoVの目玉でもあるのだが、末期ともなるともはや何処のゲームか分からないほどに他社のゲストが大活躍し、初期のダークファンタジー路線を好んでゲームを続けてきたプレイヤーの中には嫌厭して引退する者も多かった。
    • ゲストの選定も謎なものがあり、ファンタジーゲーが多い自社のキャラを使っている内は雰囲気ブレイクもさほどではなかったが、末期には『まおゆう魔王勇者』などのラノベ作品や一部18禁原作、挙句の果てに非商業体裁の『東方Project』などが参戦し、もはや雰囲気どころか「何のゲームなんだ」状態。節操がなさすぎる。
      • このころ東方Projectはスクエニの他のゲーム*3ともコラボしていたこともコラボのやりやすさ的な意味で関係はしているだろう*4
      • さらにゲストキャラの多くがレアリティも高く高性能であったことも、資産ゲー度を加速していた。
        特に、IからIIに変わった影響で追加カードが多かった2.0のSRは「トール・バハムート・オーディン・シヴァ」以外の13枚は全員ゲストというひどい有様。後ろ3人もFFのイメージが強いキャラ付け(ドラゴンのバハムートや斬鉄剣を振り回すオーディンなど)なので、かなり厳しく見るとゲストでないSRはトール1枚のみ。
      • 自社コラボのキャラにしても「原作をわかっていなさすぎる」特徴付けのキャラが多い。特にヘイスガを使うリディア*5や防御力を下げるソウルスティールのクジンシー*6が顕著である。
  • 不正カードの横行。
    • カードの認識に使われる模様のパターンが単純であったため、カードを半分に切り他の半分にしたカードとを組み合わせることにより全く別のカードとして認識が出来てしまった(通称:キメラ)。
    • 配列の渋さのためか高レアリティカードが高額であったため、コモンカードだけで高レアリティカードとして認識出来るキメラが流行ることとなってしまった。
  • 運営の不誠実さ。
    • 末期に「Re:2までのカードは次回作でも使える」などといった大嘘を安易に発して悪びれない(実際はカードどころかゲーム性も大きく変わった3に取って代わられた)運営側の不誠実さは間違いなく問題であった。
    • その他、開発に関わっている公式側の人間が公式ラジオで「こんなカード使えない」など常識では考えられないような発言をするなど、開発側のモラルに大きな問題があったのは否めない。
      • ゲスト称号の引継ぎに関しては各ゲスト先企業と交渉を重ね、結果全称号のLOV3への引継ぎが成るなど運営の努力が見られる箇所もある*7

総評

TCAG界における所謂「WCCF-三国志大戦の子供たち」ゲーの中ではかなり成功した部類であることは間違いなく、ゲーム性にもオリジナリティが多分にあり、肝心のカードも魅力的なものが多数。
スクエニのファンや、歴史に興味が持てない層なども参加しやすかったと思われる。
ただし全体的なバランス調整を筆頭に、運営の不誠実さが目立つなど問題も多かった。
結果的にはゲーム性が違う後継作のLOV3に後を譲ったが、稼働当時のインカム自体はそれなりに優秀でありそのゲーム性のファンは数多く、今でも何らかの形での「Re:2以前のLOV」の復活を望む声は根強い。


余談

  • 結果的に、『悠久の車輪』を踏み台にして稼働した(ような形となった)。
    • このゲームの3ヶ月前に稼働した同社の『悠久の車輪』は、『LOV』に呑みこまれる形で一生を終えた。この事に関して作為的なものを感じるユーザーは多く、普通に考えて両方を同時期に稼働させるのではなくどちらかに注力するべきだったのではないか? という声は大きい。
      • 前作『アクエリアンエイジ オルタナティブ』が今一つ振るわなかったタイトー製の『悠久の車輪』とスクエニ純正の『LOV』とでは期待度が大きく違った事、また『悠久の車輪』が出だしで躓いたことで『LOV』が稼動開始するとこちらに置き換わったゲームセンターも多い。