ソニックと暗黒の騎士
【そにっくとあんこくのきし】
ジャンル
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超高速騎士道アクション
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対応機種
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Wii
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メディア
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Wii用12cm光ディスク 1枚
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発売・開発元
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セガ
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発売日
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2009年3月21日
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定価
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7,140円
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プレイ人数
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1人~4人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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周辺機器
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Wiiリモコン、ヌンチャク対応
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判定
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賛否両論
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ポイント
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リモコンとヌンチャクを活かしたソニック剣戟アクション 久々にソニック以外がプレイアブルとして使用可能に 足が止まるパートが多いため、ソニックファンからは賛否両論 シナリオや台詞回しは安定の軽妙さ
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ソニックシリーズ
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概要
『ソニックと秘密のリング』に続く『ストーリーブックシリーズ』の第2弾にして現時点での最終作。通称『黒騎士』。
今回はリモコンとヌンチャクを使用したまた新しい操作方法となっており、リモコンを振ることでソニックが剣を振って戦う。
題材となっているのはアーサー王物語であり、ソニックキャラの一部が同作の登場人物として活躍する。
前作と同じくスキルを付随して強化していくカスタマイズ制の他、ゲージを消費して使用する「ソウルサージ」、ソニックのプレイスタイルを選べるシステムなど、『秘密のリング』の続編でありながらその中身はまったくの別物となっている。
ストーリー
ある日、待ち合わせをしていたソニックは、突如大魔術師マリーンの孫娘であるマリーナによって、アーサー王の世界に召喚される。
マリーナは、名君として讃えられていたアーサー王が、湖の貴婦人ニミュエに手渡されたエクスカリバーのさやの力で変貌し、悪に心を奪われてしまったのだという。
黄泉の騎士団を率いて世界を闇に陥れようとするアーサー王を止めるべく、ソニックは言葉を喋る聖剣カリバーンとともに、冒険の旅へと出る。
特徴
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本作のソニックは、右手に聖剣カリバーンを装備しており、プレイヤーがWiiリモコンを振ることでアクションする。
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剣の振りは、リモコンの振りやヌンチャクのスティックなどと連動して様々なものに変化する。これをマスターするとボス戦などでも一方的に相手を切り刻むことも可能。
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剣で攻撃するゲームになった為か、今作のホーミングアタックは敵を倒すことが出来ず、敵に接近する手段として用いられる。
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今作では騎士としての評価に関係する『騎士道』という概念があり、騎士としてふさわしい振る舞いを行うことも要求される。
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公式サイトであげられているように、騎士として好ましいとされる行動をすることで評価があがる。敵を真正面から素早く倒す、ステージ中にいる住民に施す、民家の障害物を無闇に壊さないなどがある。
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逆に、敵を背後から切り伏せたり、住民に攻撃したり、民家の物をやたら滅多に壊したりすると評価が下がってしまう。
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新システム「ソウルサージ」。
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ゲージを消費することで、ソニックは急加速してステージを駆け抜ける、この点は前作の「スピードブレイク」に近いものがある。
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しかし、走行中に敵と遭遇するとスローモーションとなって相手をロックする。そしてタイミング良くリモコンを振ることで瞬間的に敵に接近して強烈な斬撃を叩き込む。さらに近くに敵がいれば次の敵をロックし、同じように攻撃していく。
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これはソニックの場合であり、他のキャラではまた違った特性となる。
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カスタマイズ要素はさらに拡張。
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前述のスタイルごとにスキルが用意されており、評価をあげることでスタイルを修練していき、新たなスキルを覚え、装備していく。
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くわえて今作では剣の強化が可能。ステージ後手に入るアイテムを合成していくことでパワーアップすることが可能。
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出来たアイテムはフレンドコードを交換した友達と交換することも出来た(2014年5月20日にWi-Fiコネクション終了に伴いサービス終了)。
評価点
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スピードアクションと剣戟アクションを出来る限り上手く合成し、スピード感を失わないようにしている点。
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剣の振り方を覚えれば、例えば縦に並んでいる敵をバッサバッサと斬り倒していくことが可能、上手くいくとかなり爽快感がある。
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ソウルサージは出始めは確かに足が止まるが、タイミング良く振っていくことで次々と敵に向かって瞬間移動していくため、必ずしもスピード感が完全に失われたわけではない。
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アクションスタイルを選ぶことが可能で、プレイヤーの好みでこの作品を遊べること。
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ナイトスタイル:パワー・スピードともに平均的なスタイル。尖ったものはないが安定して戦うことが出来る。
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パラディンスタイル:攻撃面重視のスタイル。敵を倒すことに長けたスキルが詰まっているスタイル。
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カヴァリアースタイル:スピード重視のスタイル。走行速度やアクション速度に関連したスキルが詰まっているスタイル。
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ソニックの仲間達の起用範囲が広まり、ゲスト出演が増加、プレイアブルキャラの増加。
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前作ではおまけ程度だった仲間達も、今回はソニックにより深く協力し、さらに対決パートも用意されている。
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中でも人気だったシャドウ・ザ・ヘッジホッグと、近年じわじわと支持率をあげているブレイズは前作にもおらず、大きな追加点と言える。
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なお、シャドウ(ランスロット)、ナックルズ(ガウェイン)、ブレイズ(パーシヴァル)は、後半から一部のステージで使用可能となる。
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貴婦人ニミュエはエミーが配役され、普段とは違うおしとやかなエミーを見ることが出来る。
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パーティゲームモード限定だが、加えてガラハッド(シルバー)・ラモラック(ジェット)も登場する。ジェットはライダーズシリーズ限定のキャラだったが、今回初めて別作品に登場となった。
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安定したストーリーの良好さ
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前作に比べるとややストーリーは短くなったが、今までにない個性を備えた説教好きの聖剣カリバーンとの掛け合いは、前作のシャーラとの掛け合い以上に洋画チックで軽妙。
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ストーリーそのものも「騎士道の遵守を求められ調子を狂わされ、世界のルールを理解はしつつ、ここぞという時には自分の道を貫き通そうとするソニックの姿」は秘密のリングと同様にヒロイックで非常に爽快。
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また最後に驚きのどんでん返しもあり、それに至るまでの理由付けもなかなか考えさせられるものとなっている。
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ステージ中の掛け合いも特に秀逸で、お互いに憎まれ口を叩き合うソニックとカリバーンはなかなかの良コンビ。
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本作はゲームとしての評価は海外を中心に決して高いとは言えないが、シナリオとしては比較的高評価を得ている。『カラーズ』以降にガラリと雰囲気の変わるソニックが始まる直前の作品ということもあって、本作におけるソニックの自由でヒロイックなキャラクター付けは好評。
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以降始まるシリーズのシナリオクオリティ低下を憂いたファンからは「シナリオ面で優れた最後のシリーズ作」という声も上がるほどである。勿論この辺りは好みの面もあるが。
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Crash 40による主題歌・瀬上純作曲のステージBGM。
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本作では数年ぶりに主題歌をCrash 40が担当。ボーカル曲は前述の主題歌とボス戦のみと狭まったが、どれも良質。EDやラスボスBGMは新規起用の女性のボーカルだが、こちらも評価が低いわけではない。
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ノーボーカル曲は瀬上純作曲。ファンタジー色を意識した熱いギターサウンドを堪能出来る。
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各キャラクターのテーマ曲は過去作からのものをアレンジして使用されておりファンであればニヤリとできる。
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ステージ数は前作とほぼ同様に豊富。
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ミッション系のものが多く、タイムアタックに向かないものは増えたものの、ステージ自体はまた世界観を活かした新しいものとなっている。
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ステージ演出も安定しており、『秘密のリング』以上にテンポ自体はさらに良くなっていると言って良い。
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ゲスト声優は今回も豪華に取り揃えられている。
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ゲーム中で一番よく会話するだろうカリバーン役には平田広明氏、ヒロインのマリーナ役に能登麻美子氏、悪に魅入られたアーサー王役に柴田秀勝氏と今回も有名所だらけ。
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WiiリモコンによるWii肉痛が、コントローラのスタイルを変えたことでやや緩和。
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最終戦におけるエクスカリバーソニックのゲージ消費攻撃がかなりの爽快感。
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前作のようにぽこぽこ殴るシュールな図ではなく、ゲージある限り剣で超高速めった斬りをかますというもの。
問題点
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騎士道システムによるストレスの増加。
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評価を安定させるには、前述のような騎士らしい振る舞いというか、丁寧なプレイが要求される。
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障害物を好きに壊せないというイライラもさることながら、一番の難所は住民への対処である。彼等は敵に近い位置に配置されていることの方が多く、傷つけるつもりがなくても攻撃が当たってしまうことがしばしば。なお、住民に攻撃が当たると、カリバーンに「
たわけ!
」と叱られる。
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住民の攻撃ミス関しては、後々手に入るアイテムでそのペナルティを免除してもらえるのだが、免除後も住民に攻撃が当たるとカリバーンに叱られるのでストレス自体は消えない。
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一方で、ゴリ押しによる雑なプレイを防止させる良い手段だ、という意見も見受けられる。
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住民とのやりとりが冗長。
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一定の住民に施しをしたり、取引をしたり、会話する場面があるのだが、ソニックが足を止めて住民と会話しなくてはいけないのでスピード感が削がれる。
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バックでは瀬上純のギターサウンドが流れる中で、この微妙に緊張感のないやりとりがなされるのは結構シュール。
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やりこみ要素と言われる部分はほとんど作業的になっており、人によっては苦痛。
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前作とは違い、ソニックのスタイルごとにレベルをあげないといけないうえ、駆け抜ければ良いというゲーム性ではないため、成長まで時間もかかる。
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同じステージを延々とプレイして稼がないといけないのは、やはり飽きるし苦痛と感じるのも無理は無い。
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グラフィックは前作よりマシになったものの、相変わらずそこまで良いものとはいえない。
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ソニック達の質感は依然のっぺりとしている感が否めない。
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『ソニック ワールドアドベンチャー』のWii版の発売が約1年前と近かったため、比較されることもしばしばだった。
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ボス戦が前作に比べるとストーリーの扱いを含めてあっさり。
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これはプレイヤースキルにもよるが、上手い人であれば上手くコンボを決めて速攻で倒すことが出来る。
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特に最初のボスであるランスロット(シャドウ)の扱いは雑。そもそも何故シャドウを最初のボスとして持ってきたのかも謎。
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しかもガウェイン(ナックルズ)、パーシヴァル(ブレイズ)は戦闘後の会話がシナリオ上存在するが、ランスロットはその後特に何もなく、しかもどういう経緯かあっさり愛剣を奪われるという地味に情けない扱い。
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ただし、このランスロットは後に本気バージョンのミッションをプレイすることも出来る。本気バージョンは通常のボスバージョンの微妙さがどこへやら、とんでもない超強ボスとして現れ、攻撃を加えるのも一苦労な異常な強さを持つ。
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前作ではシャフリアールとして登場したエッグマンが、今回は何の役割も与えられず、結果本ゲームはシリーズで初めてエッグマンが登場しない作品となった。
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まさかアーサー王をエッグマンにするわけにも行かず、彼が登場する必要がないためであるが、ファンはやはりガッカリである。
総評
前作以上にWiiというハードを活かした作品となっている。
しかし、やはりというべきかソニックが足を止めて攻撃するという要素が災いし、合わない人にはとことん合わないゲーム性となった。
これが仇となったか、ストーリーブックシリーズは現在この作品を最後にリリースされていない。
だがプレイ次第では高速クリアなどを狙うこと自体は可能であり、決してハイスピードアクションの看板に偽りありというわけではない。
余談
ゲームの出荷自体は少なかったようで、中古市場では『秘密のリング』以上に出回っていない。
最終更新:2024年08月01日 21:24