RULE of ROSE
【るーる おぶ ろーず】
ジャンル
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サイコミステリーアドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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パンチライン
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発売日
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2006年1月19日
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定価
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6,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:15才以上対象
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判定
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なし
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ポイント
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陰鬱な世界観 謎の多いシナリオ 後味の悪い結末 ロリコンホイホイ
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概要
パンチラインが開発し、ソニー・コンピュータエンタテインメントによって発売された3Dアドベンチャーゲーム。
ジャンルは「サイコミステリー」と謳われているが、不気味で薄暗い世界観からは「ホラー」の印象が強い。
システム面でも典型的なホラー系3Dアドベンチャーゲームの体裁を取っている。
発売当時はホラーゲームしては目新しさがない事や出荷量の少なさから知名度は低かった。
主人公ジェニファーを操作し、あやしげな少女達に支配された孤児院を探索していく。
ストーリー
1930年、イギリス。ある夜、ジェニファーはバスの中で謎の少年から絵本を手渡され、森の中へと誘われる。
ジェニファーが少年の後を追いかけていった先は、ローズガーデン孤児院。
そこでは「赤いクレヨンの貴族」と呼ばれる階級制度を作った少女達が支配していた。
そこでは、子どもたちによる、バラの掟に縛られた、赤いクレヨンの貴族の社交界があった。
毎月薔薇の姫からお達しがあって、貢ぎ物を探してこなくてはならない。
それは蝶であったり、ウサギであったり、だんだんとエスカレートしていく……。
システム
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オーソドックスな映画風3Dアドベンチャーゲーム。
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『バイオハザード』や『SILENT HILL』と同様、定点カメラと追尾カメラを併用し、スティックで移動する。
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台詞のには小説のような装飾線が付いたり、メニュー画面は子供が黒板に落書きした様で特徴的。
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シナリオ同様「捜し物」と「お使い」が主題となっている
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場面により「探索パート」と「戦闘パート」に分かれている。
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戦闘パートは探索中に見つけた武器(フォーク、ナイフ、鉄パイプ等)で応戦することができる。
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遠隔武器はとても稀少であり、主に近接武器を使用するのも同ジャンルとしては独特。
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パートナー犬「ブラウン」を使用した探索
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シナリオを進めていくと、ブラウンという犬がNPCとして同行し、行動を共にする
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命令コマンドを使って指示することでアイテム探索を行う事ができ、それを活用した謎解きもある
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終始1人で行動するジェニファーにとっては唯一の"頼もしい味方"である。
登場人物(メインキャラクターのみ)
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ジェニファー
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主人公。普通だが『非力で不幸で気弱』とされる19歳の少女。バスの中で少年に出会ったことを機に、お姫様と呼ばれる少女達が支配する不思議な世界に迷い込む。貴族の位は最下層の「びりっけつ」。
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ブラウン
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ジェニファーが道中で助ける犬。従順で物探しを手伝ってくれる唯一の味方
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ダイアナ
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勝ち気なお姫様。「赤いクレヨンの貴族」のリーダー。肩書きは「こうしゃくふじん」。気が強く、高慢で身勝手な性格。右腿に包帯を巻いている。
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メグ
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賢そうなお姫様。常にノートを手にしている優等生タイプの眼鏡っ娘。肩書きは「だんしゃくふじん」。ダイアナに付き従い、異常なまでに慕っている。
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エレノア
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冷ややかなお姫様。ショートカットの無口な少女。肩書きは「はくしゃくふじん」。
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無口で何を考えているか分からない、冷めた印象を与える少女。空っぽの鳥かごを大事そうに持っている。
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アマンダ
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小さな心のお姫様。歯に矯正器具を付けた、ミシンが好きな太った少女。肩書きは「ひんみん」。冒頭ムービーで口紅を塗りたくる姿が印象的。
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同じ下層階級扱いだが自分の方が優位と思っており、執拗にジェニファーに絡んでくる。
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ウェンディ
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寂しがり屋なお姫様。病弱だが、優しく健気な性格。唯一ジェニファーと友好的に接する少女。「ピーター」という名前の兎の世話をしている。
評価点
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美麗なオープニンググラフィック
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白組が担当したオープニングに関してはプレイステーション2としては非常に美麗である。
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美しくもどこか不安にさせるBGM
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ピアノとストリングスによるクラシック風BGMが主となる。
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曲もただ美しい旋律を奏でるだけでは無く、音色の中に時折入る狂気のような不協和音と、ゲームの盛り上がりに一役買っている。残念ながら、サントラは国内未発売である。
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心に闇を抱えたキャラクター
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人魚になろうとして足を切ろうとしたり、親友が自分だけをみるように残酷な手段に手を出すなど、各キャラクターの見た目は可愛らしい少女だが、どこか陰湿で不気味な面を潜めているといった部分で各キャラクターの持つ独特さが際立っている。
また、敵も息子が死んだことで精神に異常をきたした大男や孤児院の子どもと姦淫する院長などこちらも相当闇が深い。
これらの要素も良くも悪くも世界観に深みを増している。
賛否両論点
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陰鬱な世界観
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子供によるいじめやグロテスクなシーン、同性愛や未成年への性的虐待を仄めかす表現が多く含まれており、人によっては大きな不快感を催す。
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例えば足をグルグル巻きにされ、逆さ吊りの人魚に見立てられた少女が突然降ってきて嘔吐物を吐いて攻撃してくるボス、
孤児院の子どもたちが主人公を押し込めた箱に虫などの嫌悪感を催すモノを順番に入れていくというイベント、棒に巻きつけたドブネズミを顔に無理やりくっつけてくる、少女が少女に馬乗りなって滅多打ち等、枚挙に暇がない。
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ただし、この陰鬱な雰囲気がたまらないという意見も多くあり、評価が非常に難しい点である。このところはやはりプレイヤーの感性や嗜好によるところが大きいだろう。
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前述の通りシナリオは「捜し物」と「お使い」が主題となっているため、「少女たちから依頼されたアイテムや人物を探してアイテムを入手し、依頼主に渡す」が繰り返される。
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アドベンチャーゲームによくあるお使い要素であるが、人によっては単調に感じられる場合も。
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謎の多いシナリオ
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結末後の後味が悪く、随所にある日記や資料からある程度察することはできるが事件の全容は謎のまま終わってしまう。「妖精さん」の正体や、主人公ジェニファーの生死についても不明のまま。
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プレイヤーに想像や考察の余地を委ねる作りであり、その点でも人は選ぶ。
問題点
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シナリオ面
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ゲーム進行におけるテンポの悪さ
シナリオ自体の奥の深さを持ち味としているが、何が何だか理解できないまま同じような作業を繰り返すこともあり、後述のアクション性の悪さも相まってゲーム進行のテンポが悪いためダレやすい。
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極めて劣悪なアクション性
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操作キャラの動きが鈍い。
走っても歩いてるんじゃないかと思うぐらい遅く、探索がメインとなる本作では死活問題になっている。また、方向転換時にも小回りするため煩わしい。
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カメラワークが悪すぎる。L2orR2ボタンで三人称視点をグルッと180°回転できるが、通常の操作時にもある程度画面は動くため、同じような景色が多いことも相まって何が何だか分からなくなってしまう。マップ機能がないもの辛い。
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武器のリーチが短い・当たり判定がわかり辛い。
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本作では武器という武器は一部を除いて存在せず、戦闘時にはナイフ・包丁・アイスピックと行った本来の用法とは異なる短いものを武器として使用する。
一応武器は後に入手できる物ほど威力が高いように設定されている。
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本作の汎用敵である「妖精さん」は子供体型であり、19歳のジェニファーとの身長差から当たり判定が小さく設定されている。
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ジェニファーが繰り出す攻撃は小振り、小振り、大振りの三弾攻撃となっており、攻撃はどの段階でも任意で止めることができるが攻撃時の判定が非常に分かり辛い。
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明らかに攻撃が当たっているようでも実際には空振りだったり、その逆も然りでゲーム的な部分で見るとかなりガバガバな作りになっている。
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汎用敵、ボスキャラに関係なく起き上がり時は無敵状態になるため、攻撃が可能なるのを毎回待たなければいけないというストレスの溜まる煩わしい仕様になっている。
一応ダウンしている相手に踏みつけ攻撃が可能だが攻撃判定が非常にシビアかつ分かり辛く、結局敵が起き上がるまで攻撃が空振ってしまうという事故が頻繁に発生する。
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一応序盤の終わりから鉄パイプやスコップなど比較的リーチの長い武器も手に入るものの、ボス戦では有用だが「妖精さん」には数で押し切られることもあり、十分とは言いがたい。
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本作では度々狭い通路や柵の中での戦闘を強いられる場面が多く、上記の操作性の悪さも相まって袋だたきに合うことも多い。アクションが苦手な人は何度もゲームオーバーを見る程であり、ストレスが貯まる。
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ストーリー重視のアドベンチャーのため、そこまでアクション性の重要性は高くないという意見もあるが、メリハリのない中途半端な戦闘システムがストレスになる要素としては否定できないのも事実。
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ブラウンの性能
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犬が味方のホラーゲームと言えば『DEMENTO』が有名どころであるが、今作のブラウンの能力は探索のみであり、威嚇したり、噛み付くことで敵の行動を遅らせることができない。
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特にジェニファーが「妖精さん」を筆頭に飛び付き攻撃を受けた際、振り払い動作中にもブラウンを呼ぶことはできるが助けてはくれない。
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またブラウンに探索をさせる場合はアイテムの匂いをプレイヤー自身が指定してマークさせておく必要がある。
『DEMENTO』のパートナー犬のようになんでも指示すれば探索してくれる便利屋さんという訳ではない。
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オプション機能
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保存機能が無い。音量等を変えても、一度電源を切ってしまうと、再プレイの度に設定し直さなければならない。
総評
「陰鬱な世界観・心に闇を抱えたキャラクター・謎の多いシナリオ」という、いかにもホラーらしいダーク感あふれるお膳立ては人によって好みが分かれるものの中毒性は高く、音楽や設定がヨーロッパ諸国を思わせる演出はホラー映画のらしさを上手く醸し出しており、「体感する映画」を意識させる。
世界観としてはバイオハザードやサイレントヒルではなく、非力な少女がどうにかして窮地からの脱出や事件の解決を試みる『クロックタワー』や『DEMENTO』に近い。
一方でシステムやUIといった面で痒い所に手が届かない部分が多く、ユーザービリティを含めゲームとして見た時に良作と言い切るまでには至らなかった。
ただアクション面の操作性の劣悪さも「非力な少女」の設定ともある意味結びついており、没入感を高めていると言えなくもない。
さらにこの作品は語られない伏線が多く考察の余地が十分すぎるほど含まれており、物語を味わうことに楽しみを見出せるプレイヤーであれば奥深いストーリを楽しめるだろう。
世界観・ゲーム性含め、肌に合わない人には無理に進められる作品ではないが、こうしたテイストを好みとするプレイヤーにオススメできる作品である。
余談
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ポーランドではこのゲームについての議論が巻き起こり、教育省は暴力・性表現(同性愛的表現)が未成年者にとってふさわしいかとどうかは疑わしいとした。
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また、EUの司法大臣フランコ・フラッティーニはこのゲームを「みだらで暴力的だ」と批判した。
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生産本数が少なく、ゲームアーカイブスでも2015年1月現在未配信のため、中古価格でも発売当時の新品価格と同等で取引されていたが、2015年12月頃にまさかの再生産がされた。
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それでも供給が足りていないのか、PS2ソフトで上位に入るプレミアゲームとして扱われている。
最終更新:2025年04月16日 11:10