タクティクスオウガ外伝 The Knight of Lodis

【たくてぃくすおうががいでん ざないとおぶろーでぃす】

ジャンル シミュレーションRPG


対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 クエスト
発売日 2001年6月21日
定価 4,800円(税別)
廉価版 バリューセレクション:2006年2月2日/2,800円(税込)
判定 なし
ポイント 通常のターン制になり、ガッカリした人多し
勲章などの新システムは高評価
現時点におけるシリーズ最終作
オウガバトルサーガシリーズ

概要

  • タクティクスオウガ』(以下TO)の外伝作品。
  • 物語の時系列はオウガバトルサーガの中では最古にあたる。

変更点・新要素

  • 基本的なシステムは『TO』とほぼ同様だが、変更点や新要素が加えられている。
    • ウェイトターンは廃止され、通常のターン制になった。
      • 装備重量の概念は残っており、移動力に影響を与える仕様に変更されている。前作同様命中にも関与するがその影響は小さい。
    • 戦闘で一定の条件を満たすと手に入り、様々な効果をユニットにもたらす『勲章』
      • 具体例としては、敵の攻撃を回避することで手に入る『皆伝の書』、女性ユニットが男性ユニットを説得することで手に入る『小悪魔のささやき』など。
      • プラスの効果だけでなく、マイナスの効果が付加されてしまう勲章も。またクラスチェンジ条件に絡む勲章もある。
    • ユニットの恐怖効果や支援効果を視覚化したメンタルゲージ。
    • バイオリズム(今日の運勢)
      • オンラインヘルプで名前を調べると「今日の運勢」が表示される。運勢が悪いと予測命中率がアテにならなくなる。
    • ユニットのエレメントに、「神聖」「暗黒」の2属性が追加された。転生ユニットやアンデッドのみこのエレメントを持つことが出来る。
      • 地形効果にもこの2属性の影響がある。
    • やり込み戦闘「クエストモード」
      • クエストモードは、設定した特殊な勝利条件をクリアすることによってアイテムが手に入るという特殊な戦闘。
      • 条件が厳しいほどアイテムのランクが上がる。ここでしか手に入らないアイテムや勲章もある。
      • ちなみにこのモードで味方キャラがやられても、データ上からは消滅しないため気軽にプレイできる。
    • 出撃ユニットのサイズ制限がなくなり、魔獣やドラゴンを何体でも出撃させられるようになった。
    • 一方でオークションは廃止。もっともオークションは『TO』の舞台のみの「特産」との意見もあるためあまり非難はなく、また本作ではリーダー(主人公)以外での説得が可能になり、結果的に敵を説得しやすくなったので、オークションがあると資金面でバランスが崩壊しかねないという懸念もあったのかもしれない。
      • 説得は隣接時のみに変更されている。またクラス相性や勲章で成功率が上下する。
    • 通信でユニット・アイテムの交換や対戦ができる。
    • 武器に「攻撃力」、防具に「防御力」が設定されている。
      • 特に、武器の攻撃力は、その差が露骨に威力に反映される。弱い武器は強いキャラクターが使用しても弱いままということ。
      • オウガバトル64』まで、装備効果はパラメーター補正が中心だったため、特にユニット自体のパラメーターが大きくなる後半では武器の個性≒武器の属性ということになりがちだった。「攻撃力」「防御力」はその問題を解決するために導入されたものと推測される。

評価点

  • 『TO』で批判されたバランスの悪さが大幅に調整されている。
    • 「ニンジャ」、「アーチャー」はAGI(素早さ)の価値が下がったため相対的に弱体化。
      • 弓も全体的に弱くなっている。
    • 「ペトロクラウド」も大幅に弱体化。というよりも補助魔法全般が範囲の縮小と命中率限界により弱体化している。
      • とはいえ弱体化されたクラス、戦法も使い所を読めばそれなりに役立つ。バランスブレイカーではなくなっただけである。
    • 一方、接近戦主体のクラスは、背後から攻撃すれば反撃は受けないという仕様が追加されたこともあり、全体的に使いやすくなった。
      • 特に『TO』では使えないクラス筆頭とまで言われた「ナイト」は高い攻撃力・耐久力、さらに基本的な回復魔法が使用できるようになり、終盤まで一線で活躍できるまでに強化された。
        「バーサーカー」のようなライバルクラスが削除され、前作ではナイトのアッパーバージョンであった「ドラグーン」の成長率がナイトの下位互換になったことも、ナイトにプラスに働いている。
    • グリフォンなどの魔獣もスペシャル攻撃の仕様や効果などが見直され、『TO』より使いやすくなっている。
    • CC条件に装備品によるステータス補正が考慮されるようになった。例えば、MPさえあれば、杖などでINTを簡単に上げられるので、上位の魔法系クラスに就くことが楽になった。
  • GBA最初期ながらグラフィックレベルはかなり良質。ドット絵の職人的打ち込みも健在。
    • また魔法のエフェクト処理が非常に速くなっており、前作のテンポの悪い部分が大幅に改善されている。
      • 味方固有キャラは、専用クラスはもちろん汎用クラスにも専用のグラフィックが与えられているほか、敵リーダーの汎用キャラも色違い*1であり、キャラクターの個性と言う点では『TO』から格段に進化している。
  • BGMも崎元仁・岩田匡治のおなじみコンビが担当。GBA音源をフル活用した、GBA発売と同年とは思えない良質な出来となっている。
    • GBAとしては非常に高品位なPCMもさることながら、それらに違和感なく混ざっているGB音源の使い方も素晴らしい。
    • PCMを前面に出した崎元氏、GB音源をメインに据えた岩田氏と、作曲家ごとの個性も『TO』などよりも強く出ている。GBA音源の複雑性の思わぬ副産物である。
  • 『TO』と違い、ユニット配置時にマップを確認できるようになったので、ユニットをより相性の良い地形に置いたりすることが簡単になった。敵キャラも既に配置されているので敵配置を見ながら作戦を考えられるのも○。
    • 残念ながら、これはTOのPSP版リメイクには採用されていない。
    • ユニット配置時に向きも指定できるが、戦闘は常に味方から行動するので意味はあまり無い。
  • 除名時や死亡時のセリフはなかなか出来が良い。
    • 『TO』ではALIにかかわらずセリフの種類が固定だったモンスターも、それぞれのALIらしいセリフを言ってくれる。例えばALIがLのモンスターは気位が高く、ALIがCのモンスターは粗暴さが出ている。
  • 『勲章』システム
    • 後述の通り取り消しができない問題はあるが、条件を満たす事でクラスチェンジ可能になったり、能力値に変更があったりとそれ自体は面白いシステムで好評。

賛否両論点

  • ウェイトターン制の廃止。
    • これによりゲームバランスが見直され、敵味方共に死ににくくなったので難易度は『TO』よりも格段に下がり、より万人向けになった。
    • 一方で、原作ファンからすると『TO』といえばWTによる敵味方入り乱れる行動順の印象が強い為、「こんなのタクティクスオウガじゃない」と否定的に取られる事が多い。
  • 本作のEDについて賛否が大きい。
+ EDネタバレ
  • 本作のEDはヒロインが主人公の身代わりとなり(それも自らの意思で)ラスボスと共に封印されてしまう(通称Aエンド)。
  • しかも『TO』と繋がるEDがこのヒロインが封印されるEDである。主人公が救われないEDのため賛否両論となった。
    • 本作の主人公は『TO』でも名前を変えて登場するが、本作とは打って変わって非情なキャラなので、そこに繋げる為の悲劇のシナリオとしてある程度理解はされているのだが、やはり真EDが悲劇というのには抵抗が強いプレイヤーが多かった。
    • 一応、ヒロインが封印されないED(通称Bエンド)もあるがif扱い、すなわち史実ではないEDである。

問題点

ゲームバランスの問題
『TO』程ではないが新たにバランスの悪い部分ができている。

  • 男ウィザードの使い道がない。
    • 『TO』でもウィザードはセイレーンの下位クラス*2であったが、早い段階でクラスチェンジできること、それに対して女性は下位の攻撃魔法使いがいないため序盤は使えるクラスであった。
      • しかし本作では女ウィザードが追加されたせいで「女ウィザード→セイレーン」というクラスチェンジが可能になり、将来性のない男ウィザードの価値が激減してしまった。
    • 『TO』では男ウィザードの再就職先として有力だったウォーロックが、今作では魔法剣士という位置づけになり、クラスチェンジのためには高いSTRが必要になったのも、男ウィザードの将来性のなさの一因と言える。
      • ウォーロックが必要なら、ニンジャ*3から作ったほうが良いだろう。ウォーロックになるために必要な「文武の証」の条件も、ニンジャの特性と噛み合っている。
  • クレリックがプリーストのほぼ完全な下位互換クラスになってしまっている。
    • プリーストがヒーリングプラスを始め、ほぼすべての神聖魔法が使用可能になった。プリーストの使用できない神聖魔法『イグニスファタス』はセイレーンなどの一部攻撃魔法使いが使用できる。また、主人公の親友レクトールのクラス「ハイプリースト」はあらゆる神聖魔法が使える。
    • クレリックがナイトもヒーリングが使用可能になったのもそれに拍車をかけている。
  • 得意武器システムも『TO』より劣化している。
    • 実はユニット毎に「物理攻撃補正」というマスクパラメーターがあり、これが高いほど武器の威力を引き出せる*4。問題は、得意武器補正が物理攻撃補正の格差を補い切れていないことにある。
    • 例えば、アーチャーが弓を使った時の威力はソルジャーが使った時よりわずかしか上がらない。
      • アーチャーの物理攻撃補正よりソルジャーの物理攻撃補正の方が大きく、得意武器補正はそれを埋め合わせる程度しか無い*5ため。
      • 幸い、弓を使った場合の命中率はアーチャーに分があるのでアーチャーの面目はなんとか保てている。
    • 因みに、物理攻撃補正の最も高いキャラはソードマスターであり、他の味方クラスとは最低10%のアドバンテージがある。つまり、ソードマスターはあらゆる武器において最高の火力を叩き出せることになる。もはやウェポンマスターと改名すべきでは?

その他システム面

  • 通信機能を使わないと全てのアイテム、勲章をコンプリートできない。
    • 現在では本作のプレイヤーも少ないと思われるので、自分で本体2台とソフト2本を用意する必要がある。
  • 戦闘のテンポはややもっさりしていて重め。
  • AIがあまり賢くない。
    • トレーニングでオート操作にしておくと顕著。「なぜか能力が下がる水中から攻撃」「補助技ばかりで攻撃しない」などの行動が目立つ。
    • なぜか敵のほうは味方のオート操作に比べるとそこまで酷くない。理由は不明。
      • しかしそんな敵の中にあって、とびっきりの頭の悪さを見せる*6のが敵軍の副官「ニッカール」。
      • 「エクスワイアー」という専用クラスについている。このクラスは、最強クラスの物理戦闘力に加え補助的に攻撃魔法も使えるという極めて優秀なクラスなのだが…。
      • なぜかまったく接近してこようとせず、遠距離から魔法ばかり撃ってくる。前述の通り物理戦に特化しているため、たいした威力ではなく全く脅威ではない。トレーニングの挙動から見ても、AIは魔法優先気味の行動となっているようだ。
  • サウンドモードでは曲名と作曲者のペンネームは出てくるが、曲コメントは無い。
    • また曲名もつまらない機能的である。
  • 固有グラフィックキャラの汎用グラフィック化
    • 容量か製作期間の問題と思われるが、主人公・ヒロイン以外の固有グラフィックを持つキャラは、初期クラスからCCすると外見が汎用キャラになってしまう
      • 初期クラスからCCさせようとするとコメントが出てくるが、その時にメタ発言的に苦言を呈すキャラまでいる。
  • クエストモードは、最初に行けるようになるステージ以外は1回プレイするごとに結構なお金がかかる。
    • 本編で入手した古文書を手掛かりに探索を行う、というリアルな設定なのだが、探索費がかかるという点までリアルにしたのがアダになってしまったようだ。
      • のちに別の場所で花開いてるところを見ると目の付け所は良かったようだが。
  • アライメントの重要性が薄れた。
    • クエストモードで変更できるアイテムが入手できるようになり、またNだと通常の(転生の必要ない)クラスならいずれにもにCC出来るため、重要性が薄れてしまった。

シナリオ面

  • 本作にもルート分岐が存在するが、分岐ポイントだと気付きにくい。
    • 分岐ポイントは「とある目的地まで向かうのにどちらのルートを選ぶのか」という選択である。主要キャラクターの生死やエンディングにまで関わる選択肢であるとは、初見ではまず気付けない。
  • ストーリー描写が残念。
    • ローディスの侵攻により家族を失った敵キャラ*7に「もう昔のこと」と堂々と地雷を踏む主人公。カチュア姉さんといい勝負だ。
    • 味方キャラが妹の幻?を見る(主人公はその場にいるが、見えておらず困惑する)シーンの直後、姉妹で容姿が似ている、と語る主人公。見えてたんじゃないか
    • キャラの心情描写が全体的に足りていないため展開が唐突に感じやすいうえ、台詞回しが稚拙な部分も各所に見られる。
    • 容量が足りないのか、登場人物のプロフィールを確認したり過去のイベントを見返したりできる、『TO』のウォーレン・レポートにあたる機能も存在しない。
      • ウォーレン・レポートのヘルプ欄に相当する『かぼちゃメモ』はあるので、ゲームのシステムの理解に困る、と言うことは無い。

総評

『TO』本編にはさすがに負けるが、それでも高い戦略性など遊び応えがある作品に仕上がっている。
難易度の面では『TO』本編や他のオウガバトル関連作品よりとっつきやすく、オウガバトル初心者には最適な作品とも言える。事実、本作で初めてシリーズに触れたというユーザーも多い。


余談

  • 本作以後、オウガバトルサーガシリーズの新作が発売されていないため結果的に最終作となってしまっている今作だが、旧作のファンサービスが多い。
    • 特殊技や武器などの出典は『伝説のオウガバトル』のものが多い。例えばグリフォンの「ウィンドストーム」など。
    • ナイトがヒーリングを使えるのも、回復魔法が使えた『伝説』『TO』のパラディンを踏まえたものと考えることができる。
    • 一部キャラクターの名前が『TO』のキャラと同じである。
      • 例えば前作の重要キャラクターである「レオナール」のミドルネームを持った味方キャラ、名字を持った敵キャラが登場する*8。これは偶然かもしれない。
  • 後に本作のスタッフが中心となって製作したのが『ファイナルファンタジータクティクス アドバンス』である。そのためか本作とFFTAのグラフィックはかなり似通っている。
  • 「ユニットの運勢を占いとして表示」「ナイトがヒーリングを使える」など、『TO』のリメイクである『タクティクスオウガ 運命の輪』に採用された要素も多い。今作のシステムの出来の良さの証左と言える。
  • 本作の物語は『TO』本編に登場するあるキャラクターと関連性が非常に強い。
+ ネタバレ
  • 本作の主人公「アルフォンス・レーエル」は『TO』本編に登場する暗黒騎士「ランスロット・タルタロス」の若き日の姿である。
  • 『TO』でランスロットが武器としたアンビシオンを手にするまでの物語が本作…すなわち本作は『TO』の過去の物語ということになる。
  • もっとも舞台は違っており、物語としての関連性はやや薄めではある。しかし本作をクリアした後に『TO』をプレイすると思わずニヤリとする場面はある。当時外伝の案があったかは別だが。
  • 特定の条件を満たせば前述のAエンドの最後に『TO』OPのゴリアテ焼き討ち直前のシーンが挿入される。