ポケモンダッシュ
【ぽけもんだっしゅ】
ジャンル
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アクションレースゲーム
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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128MbitDSカード
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発売元
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ポケモン
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販売元
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任天堂
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開発元
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アンブレラ
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発売日
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2004年12月2日
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定価
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4,800円(税込)
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プレイ人数
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1~6人
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レーティング
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CERO: 全年齢対象
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判定
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クソゲー
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シリーズファンから不評
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ポイント
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タイトル詐欺 使えるポケモンがピカチュウだけ 使いまわしだらけのコース レースゲームとしての出来も悪い ポケモンである必要性が皆無
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ポケットモンスターシリーズ
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概要
ニンテンドーDSのロンチタイトルの一つ。
開発元は『ピカチュウげんきでちゅう』からポケモンにかかわっている古参メーカー「アンブレラ」。
ロンチタイトルかつポケモンシリーズで初のレースゲームと、色々話題になりそうな要素を盛り込んだ一作。
システム
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チェックポイント通過型のレースゲーム。ピカチュウを操り、全てのチェックポイントを指定された順番に回るとゴール。
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コースは5カップに5コースずつある。それぞれのコースごとに順位に応じてスコアが加算され、合計スコアで総合順位が決まる。
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そのカップで3位以内に入賞すればカップクリア。次のカップが解放される。
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難易度はレギュラー、ハード、エキスパートの3段階。下の難易度をクリアすると上の難易度が解放される。
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エキスパートモードではルールが変更され、チェックポイントを通過する順番の指定が撤廃され、順番問わず全てのチェックポイントを通過すればゴールというものになる。
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ピカチュウの操作はスライド操作。下画面でスライドするとその方向に向けてピカチュウが移動する。行きたい方向に向けて連続でスライドさせていくことになる。
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コースの地形には多数の種類があり、それぞれに特徴がある。
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たとえば道路ではトップスピードで走れる、草原や砂地ではスピードが落ちる、海、沼、溶岩と言ったエリアに入ると沈む…など。
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ところどころに落ちている「チップ」というアイテムを拾うと、特定の地形に抵抗を得ることができる。草原のチップを得ればスピードダウンせずに済むし、溶岩のチップなら溶岩エリアを渡れるようになるという寸法。
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チップは一度に一種類しか持てない。そのため、チップの必要な地形に進入する必要がある場合は周囲のチップの位置を把握し、そこを通過するようなルートを取る必要がある。
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一部コースでは適正なチップを取った先で地形と関係のないチップがばらまかれており、これらを取らずに
慎重に進むテクニックが要求されることもある。
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マップ上のギミックにはほかに「気球」と「ラプラス」がある。
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気球はマップ上では風船であらわされている。取ると画面端に「RISE」と表示され、その部分をスライドすると気球に乗って空中に行ける。
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空中では自由に移動でき、目標地点まで来たら今度は画面端の「DIVE」をスライドすると風船2つを頼りに降下できる。降下中も位置の調整が可能。タッチして風船を割ると、落下速度が速まる。
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着地点の地形によっては無事では済まないこともある。草原や砂地なら風船なしでも無事着地できるが、道路や岩原などの固い場所では気絶してしばらく動けなくなる。海や溶岩など侵入不可地形及び森に突っ込むと再び気球に戻される(これを活かして気球一個で侵入不可地形にあるチェックポイントを複数回るテクニックもある)。
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ラプラスは海岸に配置されており、乗ると本来移動できない海を最高速で動けるようになる。森しかない島に行くにはラプラスが必須。
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あくまでギミック扱いだからか、他のポケモンが取っても直後に同じ場所から生えてくる。気球の方はディグダが補充している様子がわかるのだが…。
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「スペシャルカップ」として『ルビー・サファイア・エメラルド』『ファイアレッド・リーフグリーン』のカートリッジがあれば、そのカートリッジ内の手持ちポケモンを読み込んでゲーム内にコースとして登場させることができる。
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4つのフォルムを持つデオキシスは、本作に対応するGBA版本編ではフォルムがカートリッジの毎に1種類に固定されている仕様上、同一カップ内に複数のフォルムのコースを登場させることは物理的にできない。ポケパーク来場者限定で、デオキシス4形態のコースが同時に登場するカップのデータが配信された。
問題点
キャラゲーとしての問題点
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使えるポケモンがピカチュウしかいない。この時点でタイトル詐欺であり、最早『ピカチュウダッシュ』である。
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ポケモンと言えばゲーム・アニメ・漫画問わず、本作発売時点で300種類以上いる多種多様なポケモンたちが売りなのに、その魅力を完全に殺しにかかっている。
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『ピカチュウげんきでちゅう』・『ポケットピカチュウ』のように、完全にピカチュウにスポットを当てた作品の前例はあるが、これらはいずれもピカチュウとコミュニケーションをとることを目的とした作品でタイトルにもピカチュウを冠している。レースゲームである本作とは根本的に事情が異なる。
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ポケモンごとの特殊能力が誇張抜きで無い。電撃を使えないピカチュウなど前代未聞にもほどがある。
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根本的に言えばキャラクターがポケモンの形をしている意味が微塵も感じられない。全くの別のオリジナルキャラクターであったとしても、全く以て何の問題もなくゲームとして成立する。
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特技などは使えずとも、たとえばタイプごとに得意な地形が違うなど、いくらでも差別化の工夫のしようはあったと思えるのだが。
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ピカチュウがひたすら鳴きまくる。
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可愛いとも言えるが、とにかく何かするたびひたすらピカピカ喋るので次第に鬱陶しくなる。ボイス関係のオプションは未搭載なので、嫌になったらBGMごと音を消す必要がある。
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なお、ピカチュウ以外の参加ポケモンの鳴き声は無い。ますますポケモンのゲームである意義が…。
レースゲームとしての問題点
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「使える車種(キャラクター)が一種類だけ」というのは、レースゲームとしては致命的。
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最初期のレースゲームならともかく、SFCロンチの『F-ZERO』ですらすでに車種選択要素は導入されている。
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ライバルたちが単なる障害物程度の存在。妨害アイテム・能力などもなく、純粋に自分だけでレースしている状態に近い。
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マップがあまりに広すぎ、なおかつ一度のレース参加者が6名と少ないため、下手するとほとんど遭遇せずにレースする羽目になることも。デッドヒートと言えるほどの熱い駆け引きはCPU戦ではまず望めないだろう。
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ライバルのバリエーションも難易度ごとに固定であまりに代わり映えがしない。
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エキスパートモードではチェックポイントの順番指定がなくなり、各々のルートで攻略しだすため、本格的に見かけなくなる。形式上現在順位も回ったチェックポイントの数で表示されるためライバルとしても目安にならない。
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レースの仕様
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まずそもそもひたすらスライド操作を繰り返す操作性が厳しい。「必然性も快適性もないタッチ操作の強要」という新機種ゲーにありがちなクソ要素を盛り込んでしまっている。
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プレイするとすぐに実感することになるが、腕やタッチペンやゲーム機の負担が無駄に大きい。1つのカップをクリアするために長いと10分ほど画面をスライドし続けるとなるとほぼ拷問である。どう考えても十字ボタンの長押しで事足りるはずの操作。
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マップはカップごとに固定の一種類しかない。それぞれのコースで、移動できる範囲とチェックポイントの配置を変えて別コースにしているだけ。このため、カップを進めると何度も既視感に襲われる。
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上画面のレーダーに表示されるのはアイテムやチェックポイントの情報だけ。地形の情報はない。下画面も表示範囲が狭く、周辺の地形を把握できない。
そのため、チェックポイントの方向へ直進しようとすると特殊な地形に阻まれ、チップを取るために来た道を戻る羽目になることもある。
特に攻略ルートが自由化するエキスパートモードでは地形を予め把握しておかなければ勝負にならない。上記で地形の使いまわしが多いことを問題点として挙げたが、かといって全レース個別地形であったら難易度がさらに上がってしまっていただろう。
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ギミックは「段差」「裂け目」など異様に地味なものばかり。大概のギミックは序盤で出尽くすので、終盤まであまり目新しさを感じない内容になっている。
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スペシャルカップはCPUが対応しきれないためか、制限時間制の完全一人プレイ専用。手持ちのタイプの組み合わせやレベルで制限時間が変動する。
その他の問題点
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ロンチとはいえ、グラフィックもGBAレベル。タイトル画面の3Dピカチュウが最後の良心。
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視点は真上見下ろし固定。操作性の関係上仕方ないとはいえ、パッケージのような迫力ある構図など微塵も無く、ピカチュウの顔すら見えない。
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クリア後にエンディングが見られるが途中で電源を切ると高確率でデータが吹っ飛ぶ
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ストーリーは説明書冒頭で軽く語られるだけで、ゲーム中の描写は皆無に近い。
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レースゲームに深いストーリーは不要ともいえるが、優勝しても優勝カップを手にしたピカチュウが喜ぶショートムービーが流れるだけ、というのは形だけとはいえストーリーを設けている事を考えると流石に寂しい。
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対戦プレイには人数分の本作が必要。ロンチなのにDSの目玉要素であるダウンロードプレイに対応していない。
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個人ごとに内容の異なるゲームというわけでもないのに、なぜ人数分必要になるのか謎である。
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レース中のBGMは各カップに1曲ずつ、つまり全5曲しかない。
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1カップ5コースなので5回連続で同じ曲を聞くことになり、単調さに拍車をかけている。曲の出来自体は悪くないのだが…。
評価点
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一応「わずかな手がかりだけを頼りに次のチェックポイントを探して巡る」ウォークラリー形式のレースゲームはなかなか珍しい。エキスパートモードの「効率よくチェックポイントをめぐることのできるルートを構築する」という要素の独自性は十分に有る。
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システム的にはそれなりのオリジナリティは感じられるところ。ポケモンとの関係性はほぼない上にそれ抜きでも褒められる出来には仕上がっていないが。
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スペシャルカップの仕様により、実質的なコース総数は驚きの386+25。
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登録できるのは6カップ(一つのカップに付きその時の手持ち一通り)のみだが、コースバリエーションはかなり多い。
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ただし、コースの時間制限がポケモンのレベルに依存しているためある程度育ったポケモン達でないとまともに遊べない点には注意。
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先述の通り、タイトル画面に表示されるピカチュウの出来は良い。
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モデルはGCの『ポケモンチャンネル ~ピカチュウといっしょ!~』の物をベースとしており、GC相当のモデルが携帯機で動くのはハード性能の進化を感じさせられる。
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アニメよろしくピカチュウのほっぺたを引っ張って遊ぶことができ、「ピカチュウの顔いじりが本編」と冗談めかして言われることも。
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出来の悪さを度外視すれば、DSのローンチタイトルたるタッチペン操作の入門ツールとして役立つ。
総評
「ポケモンである意味が全く感じられない」。本作を纏めるとこの一言に尽きる。
ポケモンを抜きにしても、DSの機能を使用しつつ新たなゲーム性を目指そうとした形跡は窺えるものの、使える車種(キャラクター)が一種類のみ、一見斬新に見えて実は疲れるだけの操作性、使い回しまみれで手抜きのオンパレードのステージなど、純粋にレースゲームとしてもダメな点が多すぎる。
余談
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2022年11月18日に発売された『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』のゲーム内授業で本作のタイトル名が登場した。
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「ポケモンが汚れたときにとるべき行動は?」という問いに「ポケモンウォッシュ」「ポケモンダッシュ」「ポケモンウイッシュ」の3択で解答する。
最終更新:2023年06月14日 22:39