魂斗羅 ザ・ハードコア
【こんとらざはーどこあ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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メガドライブ
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メディア
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16MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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1994年9月15日
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定価
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9,000円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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良作
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ポイント
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セガハード唯一の魂斗羅
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魂斗羅シリーズリンク
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概要
アーケードやファミコンでスマッシュヒットを叩き出し、のちにシリーズ化した2Dガンアクション『魂斗羅』。
そんな魂斗羅をメガドライブ用に新たに開発したものが、本作である。
ストーリー
エイリアン戦争から5年後、人類は復興への道を歩んでいた。
だが、いまだ戦後の混乱は続いており、戦災を逃れた一部の地域への人口及び物資の極端な集中により、都市は犯罪の温床となっていた。
さらに、戦争によって急速に発達した遺伝子工学やサイボーグ技術は、従来では考えられなかったような新型の凶悪犯罪を生み出していた。
これに対抗すべく政府は特別チーム「統合軍機動部隊特殊任務班K-X」を設立、プロ中のプロが集められた。
そして、人々は彼らをエイリアン戦争時の英雄になぞらえて「魂斗羅部隊」と呼んだ。
西暦2641年のクリスマスイブ。都市の防衛システムを制御する軍のコンピュータに何者かが不法侵入し、無人の機動兵器が暴走を開始した。
無差別に人々を襲い、すべてを破壊していく機動兵器群を鎮圧せよとの指令をうけた「魂斗羅部隊」は直ちに現場へ向かった。
が、しかしこれは更なる巨大な陰謀との戦いの序曲にしか過ぎなかったのだ…。
特徴
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基本的なゲームシステムは、シリーズお馴染みの「8方向に撃てる自由な操作」でひたすら右へ進んでいくサイドビューアクション。
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これまでのシリーズ作品にあったトップビューなどは廃止され、全ステージサイドビューに統一されている。
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最初に、自分が操作するキャラクターを選ぶ。キャラクターは以下の4人。
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レイ・パワード…リーダー格の青年。攻撃力がやや足りないが、癖のない性能で使い勝手は良い。
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シーナ・エトランゼ…シリーズ初の女性キャラクター。レイ同様使い勝手が良く、使いこなせば使いこなすほどうまく立ち回れる性能となっている。
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ブラッド・ファング…遺伝子操作とサイボーグ技術で生み出された、狼のような姿の兵士。攻撃力は高いが癖のある性能で、上級者向け。
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ブラウニー…小柄な戦闘ロボ。ボディが小さいため射撃高度は低いが、ジャンプボタンを空中で押すとほんのわずかの間ホバリングとして空中飛行ができる。
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キャラクターを選ぶとゲームスタート。ただし本作は、操作方法やライフシステム、そしてルート分岐等の、シリーズとしては異色な要素が多数存在する。
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操作はコントローラにある3つのボタンでそれぞれ、ジャンプ・射撃・武器チェンジとなっている。
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武器チェンジ、とだけ聞けば前作『魂斗羅スピリッツ』のようだと思われるが、前作とは違いこちらはアイテムA~Dの武器4種を一度に持つことが出来、任意に切り替え可能。また、同じアイテムでもキャラクターごとに性能が全く違うので、うまく使い分ける戦略性がある。
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また、射撃ボタンを押しながら武器チェンジボタンを押すと、「歩きながら進行方向(とその斜め上下)に撃てる」か「立ち止まって任意の方向に撃てる」かの仕様を変えられる。
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そしてしゃがみながらジャンプボタンを押すとできる技「スライディング」が実装。スライディング中は完全に無敵となるので、敵を蹴散らすのに便利。
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本作はシリーズでは珍しく、残機とは別に3つのライフがある。
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攻撃を受けるたびにライフが減っていき、ゼロになるとその時使っていた武器は没収され(A武器の場合、マシンガンに戻る)、残機が一つ減る。穴に落ちてもライフが減るだけで即死ではない。
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また、本作は同社の『悪魔城伝説』にも採用されたキャラクター間の会話やルート分岐があり、分岐によって攻略するステージやエンディングが変わってくる。
評価点
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同じアイテムを取ってもキャラクターによって攻撃方法が変わるという点や、会話の内容がキャラクターごとに違う点により、キャラクターを変えて何度でも攻略する楽しみが生まれた。
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また、一度に持てる武器が4種類もあることで、あらゆる状況に応じて使い分けるという戦略性を持たせる事に成功した。
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グラフィックの面では、前作の『魂斗羅スピリッツ』同様に「オブジェクトの回転・拡大・縮小」を最大限に利用したことで表現の幅を広げ、迫力あるアクションを演出している。
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だがMD本体には「オブジェクトの回転・拡大・縮小」という機能がハードウェアレベルでは搭載されておらず、これらの演出をすべてソフトウェア上で表現している。このあたりは流石コナミといった所。
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ラスボス含め、ほとんどのボスは形態変化が用意されており、多彩な攻撃を繰り出してくる。MDらしい多関節キャラも多い。
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音楽はコナミ+MDのFM音源という最強の組み合わせ。当然聞き応えはバッチリで、ステージごとに雰囲気や曲調が違いメリハリが効いてカッコ良く「メガドラでナンバーワンのBGM」と評する人もいる。
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そのためか、シリーズの中でもマイナーな作品でありながら後の『魂斗羅ReBirth』では4曲が採用された。
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ルート分岐によって辿り着くエンディングが複数用意されており、プレイする度に新たなエンディングが見つかるのは楽しい。隠しED・バッドエンド含む全6種類ある。
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終盤は完全に異なるステージに分岐し、ラスボスもルートごとに異なる。
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また、選択肢分岐があるため会話シーンも用意されており、ストーリー面にも力が入っている。ライバルキャラのデッドアイジョーなどキャラクター描写も良好。
賛否両論点
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グラフィックの進化により生物系の敵はグロさに磨きが掛かっている。
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ステージ5の恐竜など、くびれが一切無く首からアゴまで寸胴なので、どことなく不自然で気味が悪い。
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怖くなってプレイできなくなるという事はさすがに無いが。逆にプレイヤーの戦意を駆り立てる方に上手く働いている。
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シリーズお馴染みのボス「天王鬼龍神ジャバ」や「陰獣キムコウ」も登場するが、パッと見では気づきにくい。攻撃パターンから「それ」だと察知できる程度。
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ちなみに本作の生物系の敵のグラフィックや動きは、スタッフ一同が目黒の寄生虫館に行って動きを研究したかららしい。
道理で
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バカゲー色が強くなってしまった点。
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本作では「プレイヤーキャラを乗せたトラックが敵の密集地帯へ突撃しゲームスタート」「疑似3Dスクロールでハイウェイをプレイヤーが全力疾走」「『荒っぽい着陸』と称して研究所に不時着」「敵の攻撃で橋が落ちた後の着地先が何故か恐竜の首の上」と前作の名シーンである「ヘリコプターから敵のボスに向かって発射されるミサイルに捕まって空中戦」と同等かそれ以上の変でバカバカしいシーンが多く存在している。
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また、敵も敵で「ハイウェイ上を走るプレイヤーを、手を振り上げた変なポーズをしつつ拡大縮小しながら追いかけてくる変態メカ」、「鼻を撃つと即死攻撃の鼻息でお返ししてくれる恐竜」、
「後方から全力疾走で現れ、プレイヤーが乗る列車を追い抜いたと思いきや、そのまま列車を超力で食い止める巨大ロボ」「組体操の如く陣を組んで攻撃してくる大量の敵兵士」、
果ては「『Vampire Killer』のアレンジBGMと共に登場する、某たいやき君の歌の歌手とベルモンドの血族を合体させた姿を持つメカ」…等々思わず笑いを誘う奴ら揃い。
その他にも「ワンダーバード」「マッハ777」「タケッダーロボ」などといった、パロディ感あふれる名称の敵が多い。
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……と、この様に前作から更にスケールアップしているどころか、力を入れる点を間違い過ぎてもはや「バカゲー」と言うべき物になっており、シリーズ全体に漂っていたシリアスな雰囲気が本作でぶっ壊されてしまったという意見も多い。
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なお、後続作品ではこの「おバカ」っぷりが更にパワーアップした作品も登場してしまう事に……
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女性のプレイアブルキャラを採用した事。
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今は兎も角、昔は「魂斗羅」という「マッチョマンがドンパチやる漢のゲームの雰囲気にそぐわない」という意見もあった。
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一定の評価は得られたのか、以降もルシアを始めとした女性のプレイキャラが採用されている。
問題点
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武器の切り替え等の細かい部分での操作がややこしい。
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ただしポーズ中での切り替えも可能となっている。
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また、本作は6ボタンパッドに対応しているため、そちらを使うのも手である。
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難易度が凄まじく、本作が残機+ライフ制のゲームであるという事実を忘れるほど。しかも難易度設定は無い。
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従来と違ってライフ制になっていて、ステージをクリアすると自動的に全回復するのはいいが、回復アイテムなどが一切無いため、ステージ中で減ったライフを回復できない。ステージ5のようにボス戦がやたら長丁場だと、かなり苦しい。
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新アクションであるスライディングも使いこなしていく必要がある。
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一応、本作独自のシステムを活用できるようになれば、むしろ魂斗羅シリーズの中ではとっつき易いほうだという意見もある(内容の濃さは別として)。
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また、ボスの攻撃パターンはどれも比較的わかりやすいので、慣れればかわすのは難しくない。
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ちなみに4人の中では、ブラウニーが最強キャラとして挙げられることが多い。小型なので敵の攻撃が当たりにくいうえ二段ジャンプ可能、更に4種類の武器のうち2つがホーミング系。その1つ「超電磁ヨーヨー(※正式名称)」は追尾性能こそ甘めだが攻撃力が極めて高く、一部のボスはこれを近接で連発するだけで瞬殺できてしまう。
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『魂斗羅スピリッツ』と同じくコンティニュー回数が無制限、かつ再開が中間地点やボス前からとなっている点はシリーズの中では優しい方である。
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今作でも、スコアは表示されない。されるのは
ゲームオーバー時とエンディング後だけ
と、「スピリッツ」よりさらに酷い。
総評
間違いなく、メガドライブ最高傑作の一つに数えられるであろうアクションゲーム。
ただでさえ派手な『魂斗羅』を、アクションゲーム向きのMD用に誂えたことで、よりいっそう磨きがかかったと言えるだろう。
余談
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長年、プレイ困難であった。
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本作が出たのはMD後期だったため、流通量が非常に少ない。故に、中古で6万もの値が付いたりする。
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本作はバーチャルコンソールやプロジェクトEGG等への移植・配信が行われず、後述のハードスピリッツに移植されたステージを遊ぶ事でしか現行機でのプレイが出来ない状態が長らく続いていたが、2019年6月12日よりSwitch/PS4/XboxOne/Winにて配信開始の『魂斗羅 アニバーサリーコレクション』および同年9月19日発売のメガドライブミニにてようやく解消された。
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また2021年10月よりサービス開始の『メガドライブ for Nintendo Switch Online』でも初期配信タイトルに選ばれており、かつての時代が嘘のようにプレイ環境が充実している。
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同じコナミで開発時期が近く、一部スタッフも共通している『バンパイアキラー』とはその境遇の多くが共通している。
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海外版(北米版、欧州版)は日本版と比べ、難易度が高く調整されている。
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本作はライフ制を採用しているが、それは日本版だけの話。
海外版は従来通り一撃死であることに加え、コンティニューにも回数制限が設けられており、日本版よりも大幅に難易度が高い
。
なお、海外版も『アニバーサリーコレクション』に日本版と併せて収録されているので、実際にプレイして比較してみるのもおすすめ。
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ちなみにDS『魂斗羅 Dual Spirits』に収録されたギャラリーでの本作の説明は海外版基準の説明になっているので、国内版も同一仕様だと勘違いしないよう注意。
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欧州版では上記の変更点に加え、「プレイヤーキャラや一部の敵がロボットに差し替えられている」「ゲームスピードが遅い」という特徴がある。
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魂斗羅シリーズが欧州で発売された際は基本的にプレイヤー及び敵兵士といった人間キャラクターがロボットに差し替えられている程度の変化であった。だが、本作の欧州版はこれまで同様にキャラクターの差し替えが行われている他に、特定のステージでは国内/北米版で登場していたキャラクターの出番がカットされていたり、これに伴い一部ボスキャラクターの設定変更も行われている様子。
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『アニバーサリーコレクション』では、日本版及び北米版と同じゲームスピードで遊べるモードも収録。
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メガドライブミニでは、本体の言語設定を切り替える事で日本版・北米版・欧州版全てに切り替える事が可能となっている。
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開発チームの名称は「TEAM 機知GUY」。
声に出すと放送禁止用語。
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開発チームメンバーの1人はかつてデータイーストで『エドワードランディ』のプログラムに携わっており、本作の中にも、エドワードランディを彷彿とさせる場面が幾つか見られる(飛行機の翼の上での戦闘など)。
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その後『真魂斗羅』『ネオコントラ』でも一部スタッフが制作に参加し、チーム名もそれぞれ「TEAM キJIRUSHI」「TEAM NEO キJIRUSHI」と変化する形で
機知GUY要素が受け継がれた。
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本作の一部ステージは『魂斗羅ハードスピリッツ』にも登場する。
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『ハードスピリッツ』はWiiUバーチャルコンソールで配信されていたため、先述の移植版が発売されるまでは現行機で手軽に出来るハードコアの代替品になっていた(移植度が低いので、本当の意味で代替品と呼べたのかは正直怪しいところだが)。
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後に海外のみで発売されたシリーズ作品『Contra: Legacy of War』及び『C:THE CONTRA ADVENTURE』において、本作の魂斗羅の一人であるレイ・パワードが再び主人公として登場することとなった。…のだが、
あまりにも違い過ぎるキャラ造形の人物に変貌している
(本作においてはどちらかといえは美形キャラといえる容姿であった)。海外作品ということや、本作から数年後という設定を鑑みてみても
全然顔が違うムサいオッサンと化してしまっている
。
誰お前?
デザイナーは間違ってビルを参考にしてしまったのだろうか?
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国内版のパッケージイラストは、『機動戦士Zガンダム』『A KITE』『ウィザード・バリスターズ 弁魔士セシル』等でおなじみの梅津泰臣氏が手がけた。
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本作の流れを汲む作品としてPS3/Xbox360用DL専用ソフト『Hard Corps: Uprising』(開発はアークシステムワークス)が配信されている。
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時代設定が初代『魂斗羅』よりも過去となっており、本作のある人物と同名のキャラが登場している。
最終更新:2025年04月10日 12:20