バンパイアキラー

【ばんぱいあきらー】

ジャンル アクション
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対応機種 メガドライブ
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売・開発元 コナミ
発売日 1994年3月18日
定価 7,800円
判定 良作
悪魔城ドラキュラシリーズリンク


概要

  • 悪魔城シリーズ11作目。メガドライブで発売された唯一のドラキュラシリーズ。
    • 日本では唯一『悪魔城』も『ドラキュラ』も『キャッスルヴァニア』も付かない作品であり、当時のプロモーションでも『ドラキュラ外伝』とされていた。
    • 現在では正統な悪魔城ドラキュラシリーズの一作に数えられる。
    • 海外では『Castlevania』の名を冠して発売されている*1

ストーリー

1897年、吸血鬼ドラキュラと人間との長い戦いに終止符が打たれ、ドラキュラは永遠の眠りについた……ベルモンド家の血を引くキンシー・モリスによって……。

平和を取り戻したヨーロッパであったが、ある事件をきっかけに第一次世界大戦が勃発し、殺戮と破壊が渦巻く暗黒の世界へと変貌してしまった。

第一次世界大戦の発端となったある事件……1914年6月サラエボで起こった、オーストリア皇太子暗殺事件、その影に1人の美女が関わっていたことを誰も知らない。

エリザベート・バートリー。彼女は叔父にあたるドラキュラを復活させるため、邪悪な儀式により戦争を引き起こし、ヨーロッパ中の人間の魂を手に入れようとしていた。

そして今、ドラキュラ城に近づく二つの人影があった・・・ジョニー・モリス。キンシー・モリスの子で、吸血鬼ハンターの名門ベルモンドの血を引くモリス家の宿命に従い、日夜吸血鬼と戦っていた。

エリック・リカード。恋人を吸血鬼に変えたエリザベートに復讐するためやってきた。

ベルモンドの血の宿命に従って……再び戦いが始まろうとしている!

(説明書3ページより抜粋)

特徴・評価点

同時期のシリーズ作品にも引けを取らない、高い完成度

  • 難易度は従来のシリーズ作品に比べるとかなり抑えられている。元々が非常に高い難易度を誇ったシリーズだったため、ようやく一般的なユーザー向けの難易度に納まったとも言える。
    • オプションで難易度が設定できるため、より手応えを求めるユーザー向けの調節もある程度は可能。それでも従来の作品に比肩するほどの難しさではないとされる。
      勿論、悪魔城シリーズにおいての話であり、アクションが苦手だったり初見ではそれなりに厳しい難易度となる。
  • キャラクターが選択式になり、伝統の鞭バンパイアキラーを受け継ぐアメリカ人「ジョニー・モリス」と妖槍アルカードスピアを振るうスペイン人「エリック・リカード」を任意に選んでプレイできる。操作性の差によりそれぞれ違った攻略法が求められるため、リプレイ性も高い。
    • ジョニーはジャンプ中のみ真下と斜め上に鞭を振れるほか、天井に鞭を引っかけて空中を移動するワイヤーアクションを有する。
      エリックは横、斜め上、真上に槍を振るうことができ射程も長いが、攻撃スピードが若干遅く、手元に判定が発生しないため懐に入られると弱い。槍を利用して大きく跳躍するハイジャンプが使える。
      • なお、本作以降は、ベルモンド一族が使用する鞭が全て「バンパイアキラー」に統一されることになる。
  • 横方向以外にも攻撃が可能、ジャンプ中に階段に直接止まれる、階段からでもジャンプができる、サブウェポンがワンボタンで使用できるなど、サブウェポンを落とす専用のロウソクが登場すると言う様に従来の操作性を残しながらも細かい点が改善されている。動作も全体的にスピーディーになっており、操作性は良好。
  • サブウェポンの数がブーメラン・斧・聖水の三種類に減った代わりに、ジュエル*2の消費が多い強化攻撃、さらに武器が最強状態時では画面全体を攻撃できる特殊攻撃を放つことができる。
    使いどころは難しいが、使いこなせば難易度を下げるほど強力。
  • 本作のステージ内の蝋燭は他のシリーズ作とは異なり、「ジュエルやパワーアップなどのアイテムが出現する物」と「サブウェポンのみが出現する物」の2種類のデザインが用意されている。
    • この出現アイテム毎に指定された蝋燭のデザインは後続のシリーズ作品ではあまり引き継がれておらず、本作独自の味わいと言えるだろう。
  • ボスキャラクターは部位ごとにスプライト分けがされており、それぞれを別々に動かす多関節アニメーションで非常に滑らかに動く。
  • 背景にも工夫が凝らされており、場面の転換が視覚的にはっきり分かるようステージ毎に雰囲気が一辺し、ギミックにも大きく関わってくるなど、高い技術力が窺える。
    • 質感溢れる大理石の神殿が水の満ち引きとともに変化し、それらが透明感ある湖面に鏡のように映し出されるギリシャ、背景にそびえるピサの斜塔がプレイヤーの移動に合わせてリアルタイムで立体的に向きを変えるイタリア、一転して剥き出しの鉄骨や無機質な歯車に覆われた重厚感漂うドイツの兵器工場など。
    • 破壊された女神像、鮮血の吹き出す噴水、巨大な繭の絡みつくベルサイユ宮殿など、美しいばかりでなくホラーらしい禍々しい演出もちりばめられている。

世界観の大幅な変化

  • 同時期の『血の輪廻』と『X68k版』が過去作のオマージュ等で古参プレイヤーを惹きつけたのに対し今作は世界観を一新させて新しい設定を付随させている。
  • これまで中核を占めていた地であるドラキュラ城は最初の1ステージのみの登場であり、その後は第一次世界大戦の元凶を倒すため、ヨーロッパ全土を巻き込んで各地を転戦するという内容で、後続作品を含めても最もスケールの大きいストーリー。
    • 呪いの封印』や『奪われた刻印』など悪魔城外を舞台とした作品は他にもあるが、これほど広域に渡った例はなく、近代的な時代設定と合わせてシリーズの世界観を大きく広げている。
  • キャラクター面でも新設定が付随されている。
    • ジョニーは鞭を使用し遠縁とは言えベルモンド一族では無く、エリックは当時『悪魔城伝説』でしか登場しなかったアルカードの品を用いて戦うなどこれまでの悪魔城シリーズの中ではかなり異色なキャラ設定がなされている。
    • 「ベルモンド一族の未登場」「アルカードがこれまでのドラキュラの戦いに関与していた可能性」という設定が結果的にシリーズの拡張性を高め、様々な切り口で悪魔城シリーズの続編を出せるようになったのは大きい。
  • 上記の通り、本作は当初「外伝作品」として扱われていた。それ故にこのような思いきった方針転換に踏み切れたものと考えられる。やがて番外扱いだった本作が正史に取り入れられたことにより、シリーズ全体の世界観を大きく広げる役割を果たすこととなったといえる。

シリーズ特有の質の高いBGM

  • 今後の戦いの激しさを予感させるハイテンポな「Reincarnated Soul」、静かな美しさのある「The Sinking Old Sanctuary」などは評価が高い。
  • 知名度の問題か、クオリティの高さに反して他の作品で使用されることは少なかったが、『Circle of the Moon』や『ドラキュラ伝説 ReBirth』などで上記の曲が使用されている。
  • 最終決戦で流れるのが「Theme of Simon」であるなど、『X68k版』や『SFC版』をオーバーラップさせるようなシリーズファン向けの演出も隠されている。
  • ちなみに、本作はシリーズを代表する作曲者である山根ミチル氏のシリーズ初参加タイトルである。
    • 本作当時は『ロケットナイトアドベンチャーズ』や『魂斗羅ザ・ハードコア』等、魂斗羅チーム主導作品で楽曲を製作し本作はそれのついでとしての参加の模様だが、後に『月下の夜想曲』での参加を経てシリーズの作曲家として定着する事になる。

問題点

  • ジョニーに比べてエリックが有利な部分が多い。
    • それぞれにメリット・デメリットが設定されておりバランスを調整しようという工夫は感じられるのだが、エリックの攻撃方向の広さと射程の長さが活かせる場面が多く、クリア重視なら多くのプレイヤーがエリックを選択してしまう。
    • 性質上、フライングスケルトンやハルピュイアなど厄介な飛行敵に対して相性がとても良い。またステージボスも飛行していたり弱点が高いところにある敵が多い。
    • 更に問題となるのが上記の特殊移動で、ジョニーは鞭を引っかける場所がないとワイヤーアクションを使用できないのに対し、エリックはあらゆる場所でハイジャンプを使用できる。
      • 特殊移動中は無敵状態であり、移動のみならず回避や攻撃にも利用できるため、ボス戦を含めた好きなタイミングで使用できることはかなりのアドバンテージである。
      • 更に上へ上へと昇っていくタイプのステージが多いため、エリックのほうがショートカットできる箇所が圧倒的に多い。
    • とはいえプレイヤーの腕や好みでカバーできる範囲ではあり、エリックだけが一方的に有利というわけではない。
    • シリーズの伝統として『悪魔城伝説』のグラント、『血の輪廻』のマリアのように「初心者向けに鞭使いのメインの主人公より性能を優遇したプレイヤーキャラ」が登場しており、これを意識した性能差にも見受けられる。今までのキャラが「主人公の面目を潰している」という意見もあったがエリックもジョニーと同格の主人公であること、他と違って途中交代ができないということもありこういった批判はない。
  • エリックのハイジャンプが一部のボスに対して強すぎる
    • とにかく無敵時間が長く対空の敵には無類の強さを発揮する。基本横スクロール進行であることやボスの大半が地上にいるのでゲーム全般をみれば壊れではないのだが一部のボスが常に空を飛んでいる者がいて誇張抜きでハイジャンプ連打だけで勝ててしまう。
    • よりにもよってラスボスの最終形態でこの「ハイジャンプ連打」が有効。縛らなかった場合はとたんにヌルゲーと化し、味気ないものになってしまう。
  • BGMの評価が高い一方、SEの評価はあまり良くない。
    • 全体的に妙に高い音が設定されており、カラスの羽ばたきがビッビッビッビッというビープ音のような音、鞭を振るう音が軽いなど。
    • 中でも2面の石像や柱を叩き落したときの「びょ~ん」や、アーマー系の中ボスに攻撃がヒットしたときの「もへ~っ」は脱力すること必至。
    • 同時期の『XX』がSEに関しては出来が良かったため、比較されやすいのも一因と言える。
  • 前述の多関節アニメーションは斬新ではあるが、アーマーロードやギア・スチーマーなど一部のボスは滑らかさが転じてコミカルにも見える動きになっており、硬派な雰囲気にはそぐわないという声もある。
    • もっとも、この点については前述の『ロケットナイトアドベンチャーズ』や『魂斗羅ザ・ハードコア』と同じ事が言える為、「制作チームの作風」と捉える事も出来る。
  • おなじみの回復アイテムである肉は、とにかく数が少なく手に入りづらい。そのため、とにかくダメージを喰らわないようにする慎重なプレイが重要となる。
    • また、配置バランスもかなり悪い。「1UPが2つも出てくるかと思えば一度も出てこないステージ」や、「2ブロック目でいきなり登場し、以降もう出てこないステージ」や、「ジョニーのみ進める分岐ルートでしか入手できないステージ」など、どういう意図で配置したのか思わず悩んでしまいたくなるステージも。

総評

ゲーム性、グラフィック、音楽といずれも高いレベルで完成されたアクションゲーム。
ハードの都合により埋もれてしまったが、シリーズでも独特の雰囲気を持つことから、普段と違ったドラキュラに触れたいユーザーにも推奨できる作品と言える。

余談

  • メガドライブ後期に販売されたため流通本数が少なく、公式ページでも「入手困難なプレミア品」と明言されているほど。そのためシリーズファンでもプレイ経験のある人は少ない。
    • 同時期の『血の輪廻』や『X68k版』も同様の状況にあったが、バーチャルコンソールでの配信や『悪魔城年代記』への移植によって補われていた。
      それに対し本作は長年に渡って移植や配信が行われてなかったのだが、2019年5月16日発売の『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』(Switch/PS4/One/Steam)や同年9月19日にセガから発売された「メガドライブミニ」に本作が収録され、ようやくファン念願の復刻が実現することになった。
    • また2021年10月よりサービス開始の『メガドライブ for Nintendo Switch Online』でも初期配信タイトルに選ばれた。これによりSwitchを持っているプレイヤーならより手軽に遊べるようになっている。
    • 開発時期が近い『魂斗羅ザ・ハードコア』とは一部のスタッフが共通しており、多関節で派手に動き回る敵など共通点が多い作品である*3。そして流通本数が少なく復刻の機会に恵まれなかったためにプレミアソフトとして知られるようになったことなど、その境遇にも共通点が多い。
  • 続編的な作品として多くの設定を引き継いだ『ギャラリーオブラビリンス』がある。
    • また、セガサターン版『月下の夜想曲』の追加アイテムに「アルカードスピア」があり、本作プレイ者ならニヤリとできる要素となっている。
  • 謎の老婆ドロテア・ツェンテス。
    • 最終戦はドラキュラ第一形態→ドロテア→ドラキュラ第二形態と繋がる三連戦なのだが、ドロテアがドラキュラに変身したようにも見える演出となっており、プレイヤーを驚かせた。
    • 説明書にイラスト付きで掲載されている、魔物達を操る能力を持つ、ドラキュラやエリザベート・バートリー同様に実在の人物をモデルにしている、エリザベートの配下でありながらエリザベートより後に登場する……など意味深な点も多いため、様々な憶測を生んだ。
      • 実在のドロテア・ツェンテス(Dorottya Szentes)は、エリーザベト・バートリーの共犯者として逮捕され魔女として火刑に処された3人の老婦人の1人。元々はエリーザベト・バートリーの子供たちの乳母イローナの友人だった。
    • 「『ドラキュラ伝説II』のように、力の損耗により肉体を維持できなくなったドラキュラがドロテアの体を憑代としている」「全ての黒幕はドロテアで、エリザベートの集めた魂を我が物として変身した」など。
      • いずれも公式の見解ではない。
    • 続編であるギャラリーオブラビリンスにおいてもドロテアの存在が言及されることはなく、未だに謎に包まれた存在である。
  • キンシー・モリスは、ドラキュラの原典であるブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』の登場人物。
    • 原典のキンシー・モリスは、求婚していた女性をドラキュラに殺されヴァン・ヘルシング教授らと共にドラキュラ退治の一員となり、深手を負いながらもドラキュラの胸を短剣で突き刺してとどめをさした後に死んでいる。
    • 原典だとキンシー・モリスがドラキュラを倒した舞台設定は1885年。
      • 本作では変更して、小説『吸血鬼ドラキュラ』が刊行された年である1897年をドラキュラ討伐の年にしている。
  • 今作で登場したエリックはジャッジメントとギャラリーオブラビリンスにも出演しているが、ジャッジメントでは精神的にも成長途中の少年期の姿で、ギャラリーオブラビリンスでは年相応に年季の入った渋い雰囲気の中年期の姿で登場している。
    • 悪魔城のキャラが別作品に出演した際にデザインが変更されること自体は珍しくないが、エリックは出演作によって年齢も大幅に変わるという少し特殊な立ち位置にいるともいえる。
  • 発売地域(日、米、欧)のリージョンごとに違いがある。
    • 日本版もテキストメッセージが全て英語でありながら海外版とは一部メッセージ、グラフィックなどが変更されているほか、パスワードが発行されるタイミングが日本版ではゲームオーバー時だったのが面クリア毎に変更されている。
      • また、欧州版は北米版からサブタイトルの変更や一部のグロテスクな描写が削除されている。

最終更新:2021年11月05日 05:42
添付ファイル

*1 北米版は『Castlevania:Bloodlines』、欧州版は『Castlevania:The New Generation』のタイトルでリリースされた

*2 サブウェポンを使用するために必要なコスト。他作品におけるハート。

*3 多関節プログラミングはプログラマーの武田長(TAKEDA☆TAKASHI)氏のお家芸だったという。氏のセンスは後の『キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲』でも遺憾なく発揮されている。