ウルトラセブン
【うるとらせぶん】
| ジャンル | 格闘アクション |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| メディア | 8MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | バンダイ | 
| 開発元 | ベック | 
| 発売日 | 1993年3月26日 | 
| 定価 | 8,800円(税別) | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 前作『ウルトラマン』から正統進化 セーブ不可能という難点も
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| ウルトラマンゲーム・リンク | 
 
概要:スーファミで倒せ!火を吐く大怪獣
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SFCで発売された『ウルトラマン』のシステムをベースに製作されたゲーム。
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ウルトラセブンのストーリーにそったSTORYモードと2P対戦モードを搭載。
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前作に負けず劣らず原作再現などが充実している。
ゲーム内容:ウルトラ2つのモード
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STORY:ウルトラセブンのストーリーを追体験するモード。全12ステージ。
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対戦怪獣は、エレキング・メトロン星人・イカルス星人・キングジョー・ガンダー・ギエロン星獣・ボーグ星人・ダリー・ガッツ星人・にせウルトラセブン・パンドン・改造パンドン。
 
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VS:2人対戦モード。パンドンと改造パンドンはSTORYモードを難易度NORMAL以上でクリアすると使用可能。
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STORYモードの流れ
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まず、各話の怪獣登場までの流れが簡単に説明される。
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その後、カプセル怪獣を使用するかどうかを選ぶ。
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カプセル怪獣を使用すると、セブンが戦う前に怪獣と戦って相手の体力を削ることができる。ただしカプセル怪獣単体で敵を撃破することはできない他、体力が自動で減っていく(体力が尽きると撤退する)、特定ステージでは使用できないなどの制約もある。
 
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ウルトラセブンと怪獣との激闘が始まる。システムは基本的に『ウルトラマン』と同じで、相手の体力を削り切り、「FINISH!」の表示が出ている間にLv4必殺技を使用する事でトドメを刺し、ステージクリアとなる。
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ウルトラセブンの必殺技としてLv1・ハンディショット、Lv2・クロスショット、Lv3・エメリウム光線、Lv4・アイスラッガーが用意されている。トドメ技としてはアイスラッガーの他に、専用でワイドショットがあり、どちらを使うかは相手(ステージ)によって決まっている。またゲージ1メモリを消費してバリアを出す事も可能。
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前作では時間切れになると即敗北となったが、セブンには明白な地球上での活動時間制限がないため、時間切れになっても即敗北ではなく徐々に体力が減少していく形になっている。
 
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ステージを3つクリアするごとに、ミニゲームとしてウルトラホーク1号で宇宙人の円盤を撃墜する横スクロールシューティングゲームが入る。
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ダメージ許容回数は画面下に表示されたパーツで表現される。攻撃を食らうとパーツの背景が青から赤に変わり、3回被弾するとミニゲーム終了となる。ノーミスでクリアすると残機が1増えるほか、ステージの途中ではカプセル怪獣の使用可能回数を増やすアイテムが手に入る。
 
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ガッツ星人のステージではボーナスではなく正規のステージの一種であり、まずウルトラホーク1号を操作してセブンを救出するシューティングゲームを突破しなければいけない。ここに限り、3回被弾で撃墜されると1ミスとなり、トライ回数が減る。
 
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VSモードについて
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画面の幅の都合で必殺技を使用するのに必要なゲージ量が半分になっている。
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とどめを刺す必要はなく、体力がFINISH表示に追い込まれた時点で負けという形に変更されている。
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使用キャラ決定時に隠しコマンドを入力すれば、入力したコントローラ側のキャラクターがCPU操作になる。両方入力すれば観戦も可能。
 
評価点:宇宙遊戯303
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前作から引き継いだゲームシステム
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前作の良好なシステムを受け継いでいるため、ウルトラシリーズのお約束などがしっかりある。
 
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原作再現が多い
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前作ではSFC版・AC版共に怪獣の登場順が原作から大きくかけ離れていたが、本作ではあらすじ説明が追加されたことに伴い、原作に沿った順番となった。
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各話エピソード紹介では劇中の写真が表示される。有名な「ちゃぶ台を挟んで対話するメトロン星人とダン」「銀色の光り輝く背景の中でシルエットとして映し出されるダンとアンヌ」もある。
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原作でアイスラッガーでとどめを刺した相手ならちゃんと切断して倒している。
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切り方もエレキングなら首を切断し、ギエロン星獣なら喉を裂いて体液噴出、改造パンドン戦では不意の反撃を更に跳ね返して倒し切る等、原作を可能な限り再現した描写になっている。現在ではCEROのレーティングの関係上、切断技の描写は残酷さを極力抑える傾向にあるため、本作はおそらく原作そのままの怪獣切断描写が見られる最後のゲームだろう。
 
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ステージ背景もほぼ登場怪獣に合わせたものになっている。
 
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難易度設定機能
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EASY・NORMAL・EXPARTとあり、ゲームに不慣れなユーザーでもゲームを進めることができる。
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ただしEASYモードではエンディングが中略されるというペナルティがある。
 
 
賛否両論点:ゲーム世界の戦慄
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あくまで原作に則った演出ではあるが、プレイヤーの年齢層や原作知識の有無によっては受け入れがたい表現も含まれている
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上述のとおり、とどめのアイスラッガーは敵怪獣を容赦なくブッタ斬るため中々エグい。特にガンダーは原作通りとはいえ、かなりバラバラにされて倒れる。
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平成以降のウルトラシリーズではこれらの切断技による表現が軟化されていったため、当該世代のプレイヤーにとってはかなり過激に映るかもしれない。
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前作のAC版でも「バルタン星人を八つ裂き光輪で真っ二つにする」という描写があったものの、バルタン星人の本体のスプライトと影のスプライトをズラすことによって真っ二つを表現していたため、さほどエグさはなかった。
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一方、ワイドショットの場合は破片も残さず爆散する(ダリーのみ力尽きて倒れる)という比較的マイルドなやられ方で、対戦モードのセブン以外のキャラも爆散に統一されている。
 
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ダリーステージは「ダリーに寄生された少女を救うために、極小サイズに小型化して少女の体内に入り込み、直接ダリーを撃退する」という展開ゆえに、背景がかなり生々しい体内の描写になっている。字面だけ見ると変な意味にも解釈できそうだが、当然そのような雰囲気は一切ない。
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ちなみにVSモードでは基本的にステージはランダムで選出されるが、プレイヤーのどちらか一方でもダリーを選択すると体格設定の関係上必ずこのステージが選ばれる。
 このため、ダリー以外で選んだキャラによっては「電撃や冷気や放射性物質が体内を飛び交う」という色々とマズイ絵面になったりする。
 
 
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カプセル怪獣のうち、アギラはvsにせセブン、ミクラスはvsエレキングとvsガンダーという原作通りのマッチアップが可能であるのに対し、原作でウインダムが登場したvsガッツ星人では直前にウルトラホークによるセブン救出作戦を挟むためカプセル怪獣が使用できず、結果的にSTORYモードでは彼のみ原作再現ができない。
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もっとも、原作ではウインダムはガッツ星人に翻弄された末レーザーを浴びて大爆発を起こし、以降登場せず生死不明となっていた。このような描かれ方に対し、本作ではウルトラホークにより原作再現性を確保しつつ、カプセル怪獣を敢えて交戦させないことでウインダムをはっきり生存させたという解釈もできなくもない。
 
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ラスボスに恥じぬ最強の敵と化した改造パンドン
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原作における改造パンドンはアイスラッガーで切り落とされた手足を補強した応急処置的な側面が強く、炎攻撃は使用すらしなくなるなど今ひとつ強敵としてのイメージが薄かったが、本作ではその炎攻撃の射程範囲が異常なまでに強化改造されており、ただでさえ満身創痍で追い詰められていた原作以上にセブンを苦しめる強敵として立ちはだかる。
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原作のイメージを離れた改変ではあるが、ゲームとしての手ごたえを保つためには妥当な措置と言える。
 
 
問題点:ジャンプキックを乗り越えろ!
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相変わらずの飛び蹴り&バリアゲー
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前作で猛威を奮ったジャンプキックだが、本作でもかなり有効。というより相変わらず格闘ではジャンプキック以外リスクが大きい。前作ではジャンプとハイジャンプが分かれていたが、本作ではワンボタンでハイジャンプに統一されたのも大きい。
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しかし本作では宇宙人の敵が増えた為か相手もジャンプキックを多用する事が多く、かち合うとセブンが負けやすくなっている。また前作の飛び蹴り多用を見越したのか、若干避けられやすくなっている。高難度だと顕著。
 
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ゲージ1メモリで即座に出せ、相手の光線はもちろんジャンプキックや突進もはね返せるバリアも相変わらず強力。制限時間が少なくなる程ゲージの伸びが早くなる仕様もあり、下手にゲージを温存して格闘に徹するより、Lv1のハンディショットやバリアを多用した方が安全に倒せる事も多い。もっとも、タイムボーナスは減ってしまうのでバランスは取れているが。
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また対戦要素の追加のために敵怪獣の必殺技の威力が前作と比べてかなり高くなっており、しかもCPUはゲージに関係なく連発してくるうえ、近距離からの連射やダウンからの起き上がりに重ねる回避不能なコンボなど嫌らしい攻撃パターンも繰り出してくるため、地上からの攻撃はなおさら不利で安全なジャンプキックばかりになってしまう。
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特にガンダーの冷凍ガス、パンドン・改造パンドンの火炎ブレスは威力もさることながら持続が長いので連発されると地上からまともに接近することすら困難。
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反面、セブンの必殺技も対戦バランスのためか前作のウルトラマンと比べるとやや威力が低めで、ウルトラマンのスペシウム光線で半分ほど削れたのに対し、通常使用のレベル4のアイスラッガーでも1/3を削れるかどうかといったところ。苦労してまで溜めたゲージを空にしてまで使う意義が薄い。
 
 
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イマイチなカプセル怪獣システム
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前述の通り、カプセル怪獣の使用回数が残っている場合はセブンの本戦の前にカプセル怪獣を使って戦う事が出来る。しかし時間経過で少しずつ回復するセブンと敵怪獣と異なり、カプセル怪獣は異様な早さで体力が減っていき、相手怪獣が2~3発攻撃を当てただけで撤退してしまう事も。
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トドメの必殺技を持っていないので当然ではあるが、いかに達人級の腕前でもカプセル怪獣で相手怪獣を倒すことは出来ない。どんなに相手の体力を削ってもセブン本戦では結構回復した状態になっており、そもそも最初からある程度相手の体力が減っていようが、ゲージが満タンになるまでトドメを刺せない本作のシステムと致命的に食い合わせが悪く、お助けシステムとしてははっきり言って無意味に近い。せいぜい原作再現したいファン向けの要素と言わざるを得ない。
 
 
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ゲーム的な都合から原作を再現出来ていない部分もチラホラ
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STORYモードでのトドメはアイスラッガーとワイドショットの2種類で、ステージごとにどちらを使用するのか決まっているのだが、アイスラッガーのほうはほぼ原作に則った撃破演出になっているのに対し、ワイドショットはアイスラッガーで倒していない・原作通りの表現をしづらい有名どころの怪獣に取り敢えずあてがった感がある。例えばメトロン星人・キングジョーへのとどめがワイドショットになっている。
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そもそもワイドショットは確かにセブンの切り札ではあるのだが原作での使用回数自体が少なく、原作でアイスラッガーと並んでトドメに使用されたエメリウム光線がトドメ描写のないLv3必殺技なので使用される事が殆ど無いというのは少し寂しい。
 
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ギエロン星獣のステージ背景がセブンと戦った場面と異なる。
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ゲーム内ではセブンと怪獣の戦いを主題としている関係上、ストーリー説明はかなりあっさり気味。最終話でも原作の見どころであるウルトラ警備隊を始めとした人間達のダンを巡る心情描写や、アンヌを通じてその正体を知った彼らが満身創痍のセブン(ダン)を必死に援護する奮闘劇は一切描かれない。
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原作に沿った形で正体を明かされるアンヌを除けば隊員達の描写は改造パンドン撃破後のエピローグしかなく、共闘シーンが皆無なため彼らの台詞にも今ひとつ感慨が伝わってこない。
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そもそも原作でアンヌの制止を振り切って最後の変身を遂げたのは、ゴース星人の基地の爆破作戦に巻き込まれそうになったアマギ隊員を救出するためだったのだが、本作では単に改造パンドンと決着を付けるために変身したかのような描写になっている。
 
 
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セーブ機能がない
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パンドン・改造パンドンをVSモードで使うにはゲームを起動するたびにSTORYモードをクリアする必要がある。
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また、ハイスコアも保存できない。
 
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VSモードの不備
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1本勝負先取であり、格闘ゲームでイメージされるラウンド制ではない。
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敵怪獣を使用する場合、ゲージの仕様によりSTORYモードのCPUのように必殺技を多用して戦うことができないため、少々肩透かしを喰う。逆にCPU操作の場合はSTORYモードのアルゴリズムそのままである(=ゲージを無視して必殺技を使用してくる)ため不公平感が強い。
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版権の問題等もあり実現が難しかったのかもしれないが、2Pカラーが存在せず、同キャラ対戦を行うと見分けがつかなくなる。
 
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セブンの掛け声
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前作のウルトラマンと比べると1種類しかないうえ音質が大きく劣化しており、声色に人間らしさ(というより生命体らしさ)が感じにくく、ロボットじみた無機質な印象を受ける。
 
総評:勇気ある良作
『ウルトラマン』に引き続いて発売された本作は、前作のシステムの優秀さを証明しファン納得の優良キャラゲーとなった。
エピソード紹介を挿入したり、VSモードのみとはいえ怪獣も操作できるようになり夢の対決を可能にしている点も見逃せない。
かつてウルトラセブンのファンだった人には是非一度プレイしてみてもらいたいソフトである。
余談:消された音楽
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パンドン戦終了後から改造パンドン戦突入へのシーンまでの間は、全てのBGMと効果音が聞こえなくなる無音演出が入る。
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場面とも相まって非常に熱い演出となっているのだが前振りなしで始まる展開のため、異常と勘違いしてテレビ側の音量を調整してしまい、別の意味で驚かされたというプレイヤーも居たとか。
 
最終更新:2025年10月18日 20:39