電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION
【でんげきぶんこ ふぁいてぃんぐ くらいまっくす いぐにっしょん】
ジャンル
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2D対戦格闘
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対応機種
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ALL.Net P-ras MULTI Ver.2 ALL.Net P-ras MULTI Ver.3
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発売元
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セガ・インタラクティブ
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開発元
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エコールソフトウェア フランスパン
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稼働開始日
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2015年7月28日(APM2) 2020年12月7日(APM3)
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判定
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なし
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ポイント
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前作のバージョンアップ版 新規キャラを追加も「偏り」の進む参戦作品 対戦バランスは劣化するもまだ良質 サポートからプレイアブル昇格はあったが… どんどん見放されていく電撃文庫旧作
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電撃文庫シリーズ セガ クロスオーバー関連作品シリーズ
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電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION(CS版)
【でんげきぶんこ ふぁいてぃんぐ くらいまっくす いぐにっしょん】
ジャンル
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2D対戦格闘
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対応機種
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プレイステーション4 プレイステーション3 プレイステーション・ヴィータ
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発売元
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セガゲームス
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開発元
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エコールソフトウェア フランスパン
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発売日
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2015年12月17日
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価格
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【PS4/PS3】6,990円 【PSV】6,170円(各税別)
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判定
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なし
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ポイント
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前作よりもラグが悪化 オンラインの利便性は変わらず PSV版はグラフィックの劣化あり
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概要
『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX(以下、無印もしくは前作)』の続編。事実上の大型アップデートバージョン。
前作からさらに参戦作品やキャラクターを追加し、新システムを搭載したもの。
新規参戦作品はプレイアブルキャラに関しては旬の映像化作品が主になっているが、サポートキャラは前作と同様やや古めの作品からも起用されている。
新システムの大半は従来のものを根幹から変えたりするものではなく、能力強化など時限ブースト機能などが主である。
そのため、悪く言えば代わり映えは薄いものの、良く言えば前作から大きな変化がなく、ちょっとだけ便利に立ち回れるようになったものが主。
よって、初心者や格闘ゲームに馴染みがないプレイヤーでもゲームが楽しめるという売りは健在である。
ゲームシステム
基本的には無印と変わらないが、新要素が追加された。
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ブラストキャラクター
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3人目のキャラクターをサポートキャラから選び出し、それに付加されている「パワーアップ」「コンボ」「エスケープ」のいずれかの強化を貰うことが出来る。
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キャラクターそのものに意味はなく、ボタンを押せばサポート効果を変更可能。ただしそれぞれのサポートキャラにはデフォルトの効果がそれぞれ設定されている(例としては上条当麻はエスケープタイプ)。
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イグニッション
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ラウンド終了後、プレイヤーキャラ、サポートキャラ、ブラストキャラのいずれかを選び、試合開始後強化効果を得ることが出来るシステム。
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こちらの強化もキャラクターごとではなく、どのカテゴリーを選んだかで変わり、キャラクターごとの細かい性能変化はない。
参戦キャラクター
+
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参戦キャラクター一覧
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プレイアブルキャラは太字で表記。
灼眼のシャナ
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シャナ、ヴィルヘルミナ・カルメル
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とある魔術の禁書目録
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御坂美琴、上条当麻、一方通行
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ソードアート・オンライン
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キリト、アスナ、リーファ
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アクセル・ワールド
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黒雪姫、ハルユキ
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない
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高坂桐乃、黒猫
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デュラララ!!
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平和島静雄、セルティ・ストゥルルソン、折原臨也
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ロウきゅーぶ!
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湊智花、イノセント・チャーム |
魔法科高校の劣等生
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司波深雪、司波達也 |
とらドラ!
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逢坂大河、高須竜児
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ストライク・ザ・ブラッド
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姫柊雪菜、暁古城
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ブラック・ブレット
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里見蓮太郎、藍原延珠
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はたらく魔王さま!
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遊佐 恵美、真奥 貞夫
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ヘヴィーオブジェクト
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クウェンサー=バーボタージュ、フローレイティア=カピストラーノ
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バーチャファイター
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結城晶、パイ・チェン
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戦場のヴァルキュリア
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セルベリア・ブレス、アリシア・メルキオット
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ブギーポップは笑わない
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ブギーポップ
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キノの旅
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キノ
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狼と香辛料
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ホロ
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電波女と青春男
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藤和エリオ
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ゴールデンタイム
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加賀香子
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さくら荘のペットな彼女
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椎名ましろ
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撲殺天使ドクロちゃん
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ドクロちゃん
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家庭用版からの移植キャラ
とある魔術の禁書目録
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白井黒子、初春飾利
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イリヤの空、UFOの夏
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伊里野 加奈
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境界線上のホライゾン
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浅間・智
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ゼロから始める魔法の書
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ゼロ
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ダウンロードコンテンツキャラ
ソードアート・オンライン
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ユウキ
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ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン
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レン
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ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?
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アコ、ルシアン
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その他の追加要素
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CPU戦では試合前に前作家庭用版の「ドリームデュエル」風の会話シーンが挿入されるように
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1キャラごとに全プレイアブルキャラクターとの固有フルボイス会話が用意されており、よりクロスオーバー色が強まっている。
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勝利デモ画面の台詞も、CPU戦においては試合前の会話シーンと地続きのものとなっている。
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CS版及びアーケード版Ver.2.20にて新ステージ追加
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Wonderland Warsステージ、Hi☆sCool!セハガールステージ、ワールドエンドエクリプスステージ、トレーニングステージそれぞれが追加されている。既存のステージ同様各ステージBGMはセガの作曲家陣が担当している。
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体力が劣勢の側は通常黒ずんだ色合いの体力ゲージの根元が白く変色するように
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前作同様に体力劣勢側はリフレクションガード時にゲージを消費しない仕様のため、この判別がしやすくなった。
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Aimeサイトでの購入アイテムに新キャラクター達のアイコン、キャラプレートを追加
家庭用版での追加要素
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「ドリームデュエル」モードに新規の会話イベントを追加
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前作収録分の会話イベントも引き続き視聴可能。前作家庭用版には存在しなかった結城晶、セルベリア・ブレス周りの会話イベントも追加されている。
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オプション設定でラウンドコールをそれぞれのキャラクターのものに変更可能に
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ラウンドコール以外のシステムボイスも設定したキャラのものとなる。
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PS4でも発売されたことに伴い、ネットワーク対戦がクロスプラットフォーム対応となった
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PS3~PS4間での別ハード間ネット対戦が可能に。ただしPSV版はPSV同士でしかネット対戦できないので注意。
評価点
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キャラクターの追加
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プレイアブルは既存参戦作品の『はたらく魔王さま!』から遊佐恵美、『ヘヴィーオブジェクト』からクウェンサー=バーボタージュが追加。
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後者はロウきゅーぶ!の湊智花と同じく、仲間であるヘイヴィアとミリンダも呼び出す。
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前作ではサポートだった司波達也が、サポートバージョンを残したうえで参戦している。
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これにより、他のサポートキャラもプレイアブルへの昇格が期待されていたのだが…
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女性に偏りがちだった選出も、事実上二人の男性キャラが増えたことで、より幅も広がっている。
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新規システム追加による戦略性の強化
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ブラストキャラクターと本作のタイトルにもなっているイグニッションの存在により、前作以上に奥深さが増している。
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相変わらずバランス調整は良好
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新規キャラクターの数こそ昨今の格闘ゲームとして見るとさほど多くないせいもあってか、明らかにバランス崩壊を招くようなキャラクターはいない。
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後述のとおり本作は前作以上にキャラの強弱が出てしまってはいるものの、システムが幸いしてか他作品に比べれば相変わらずマシなどころか良好な部類である。
賛否両論点
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既存キャラへの新技の追加が無い
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これに伴いモーション変更といったキャラ性能調整以外の既存キャラに対する変更点もないため、黒雪姫や湊智花の格闘スタイル等前作で目についた原作からの違和感ある改変もそのままとなっている。
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新作である以上キャラクター追加以外にもこういった目新しさが欲しかったものであるが、「キャラクターそれぞれのできることが明確に増える=初心者への間口が狭まる」不安要素とも言える。
問題点
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さらに偏る参戦キャラクター
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新規プレイアブルキャラは増加したが、前作と同じくその顔ぶれは近年の作品やアニメ化した作品オンリー。前作で待望されていた司波達也のプレイアブル化は歓迎されたが、キャラクター選出の偏りはさらに悪化する結果に。
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後の家庭用版に追加され、大会に合わせてアーケードにも参戦することが発表された黒子とユウキも、『禁書』『SAO』と既存作品からの参戦。黒子・ユウキ共に人気のあるキャラクターではあるものの、当該作品のファンでないプレイヤーからは「また禁書(SAO)か」と不満を持たれることに。
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新規サポートキャラも『イリヤの空、UFOの夏』など古参ファンから人気の高い作品からの参戦もあったが、多くが昨今の作品からの参戦である。
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SAOに至っては前作でも特別扱いが際立っていたが、本作でプレイアブルが3名、サポートも2名と、プレイアブルは最多数をキープ。さらにはCS機で移植に際して、外伝作『オルタナティブ』のレンがサポートとして参戦するなど、明らかに別格の高待遇を受けている。ただでさえ同原作はゲーム化の機会も多く、人気が高いのはわかるが「オールスターゲーでここまでする必要があるのか?」という声も多い。
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『とある魔術の禁書目録』も、プレイアブル2名、サポート3名と増量。しかもキャラクターのチョイスはスピンオフの『とある科学の超電磁砲(漫画作品)』を意識したものになっている。前作でも登場しなかったことでネタにされたメインヒロインのインデックスは未だに未参戦で、もはや出典が名目になっている。
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待望のDLC追加参戦も最近の作品である『ネトゲ嫁』であり、総じて、前作以上に古い電撃文庫のファンはほぼ切り捨てられてしまっている。
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『キノの旅』など当時15周年記念展開をしていた作品に関しても、同じ時雨沢氏の作品であるSAOの外伝作『オルタナティブ』のキャラが参戦したのにこちらは一切ノータッチ。
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オールスターもので、売りたい作品をアピールする目的があるとしてもチョイスが露骨過ぎる感は否めず、前作よりある意味悪化したキャラ選には疑問の声も多い。
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ブラストキャラクターを「選ばせる」意義
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ブラストキャラクターの強化効果は、サポートキャラの各自に設定されている。が、その気になればタイプも自由に選ぶことが可能になっている。
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性能差はなく、良く言えば選べるキャラが増えたが、悪く言えば単純に選択の手間が増えただけ。
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このうえキャラごとに強化内容が違うと、より調整が難しくなるからだと思われるが、キャラクターとして選ばせる意義は少ない。
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「キャラゲー」という側面も考えれば、全く無駄な要素というわけではなく、ブラストキャラクターのカットイン表示やその際のボイス挿入もあるのでちゃんと賑やかしにはなっているのだが。
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もちろん本作は1on1タイプの格闘ゲームなのだが、それぞれの画面にてキャラアイコンが双方3つ表示されることやサポートのクールタイム回復時のボイス挿入、前述のブラストキャラクターカットイン&ボイス挿入により『KOF』等の3on3系格闘ゲームのようなチームバトル感を体感できないこともない。
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前作より劣化したゲームバランス
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稼働からしばらくは新キャラクターと既存キャラクターの調整で安定感が増したと好評であったが、研究が進むにつれてキャラクター間の強弱が浮き彫りになっていった。
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既存プレイアブルキャラはそのほとんどが強化調整を受けているが、シャナのように前作で最強格であったキャラがさらに強化される一方、姫柊雪菜など弱キャラでありながら微調整にとどまったキャラ、実質的に弱体化してしまったキリトのようなキャラもおり、格差が広がってしまっている。新キャラクターに関しても司波達也とユウキがシャナに比肩する強キャラである一方、現状最後の追加プレイアブルキャラであるアコは最下層に甘んじているなど差が大きい。
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サポートの存在もあって現状決定的なキャラ差はないものの、上位プレイヤーの間では「それぞれの有力なサポートと組み合わせて考えるならシャナ・達也・ユウキが最上位」という認識が強く、実際この3名の使用率は高め。
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また切り札のうち前作で覚醒切り札の性能があまりに高すぎた問題は「打撃切り札の強化」という形で改善が図られているが、それでも打撃切り札と覚醒切り札の性能差は大きいうえ、打撃切り札の強化も覚醒切り札と相性が良い高性能な新サポートの登場によって相殺されてしまっている。それを証明するかのように最上位キャラクターとされる上述の三名は、そのすべての切り札が覚醒タイプである。
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サポートキャラは追加および弱体化も含めたバランス調整が行われたが、サポート間のバランスの悪さは相変わらず。
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「バージョンアップで追加されたサポートが既存サポートを喰ってしまう」という前作の問題は今作でも繰り返されており、31名という幅広いサポートキャラ人数に反して実戦投入しうるサポートは半数にも満たない。特に後期バージョンで追加された伊里野加奈、ルシアンはその性能から猛威を振るった。
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また追加サポートの存在で実質的に下位互換になってしまったサポートも多く、「手軽に使えるルシアン・イリヤのせいで『サポート攻撃随一の広範囲攻撃』というお株を奪われたブギーポップ」「『画面に残り続けて相手にプレッシャーをかける』という役割をルシアンに奪われた高須竜児」「ドクロちゃんの使用率の高さ・安定性から日の目を見ない飛び道具系サポート」など、不遇なサポートは多い。
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使用率の高いサポート
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ルシアン(ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?)
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相手の攻撃に反応するカウンター攻撃もさることながら、「小さなモンスターの群れを引き連れながら画面を横切り、より大きなモンスターを引き連れて逆の画面端から戻ってくる」という内容のサポート攻撃(モンスタートレイン)が強力。
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復路で連れてくる大型モンスターは「二段ジャンプでぎりぎり避けられるような巨大な攻撃判定が高速で画面を横切るため、半端なジャンプは潰される」「当たると相手を追撃可能な状態で打ち上げる」「ダメージもサポートとしては高い」「ガードしても強いヒットストップがかかる」「ルシアンが画面端に到達さえすれば往復のモンスタートレインの出現は保証されるため、仮に相手に切り返されても往復のモンスタートレインでコンボを阻止できる」などメリットの塊。
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阻止するには「最初に走ってくるルシアンに攻撃を当て、引き返させる」しかないのだが、ルシアンが引き返す条件は正確には「ルシアン本体が、引き連れている小型モンスターに接触すること」であるため、強攻撃を1発や弱攻撃を2発当てた程度では帰ってくれない。またサポート召喚時の状況によってはそもそもルシアンを殴れないことも多く、本体を殴りにくい短いリーチのキャラは言わずもがな不利を強いられる。
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これほどまでに強い攻撃でありながら使用後のクールタイムは標準的であり、回転率は高い。
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対策はルシアンを潰す以外に「『投げている時or乱舞中は無敵』なのを利用して、相手を投げるか乱舞系のクライマックスアーツを当てる」などがあるが、不確実。
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全体的に「出し得」感の強いサポートであり、現環境での採用率はイリヤに並んで非常に高い。自分も相手もルシアンを使用している場合など、互いのモンスターの群れで画面が混沌と化すが、対戦ではよくある光景になっている。
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伊里野加奈(イリヤの空、UFOの夏)
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「サポートボタンを入力する度にイリヤが定食を食べ、3回イリヤが定食を食べると『完食』となり相手を中心に大型の攻撃判定を発生させ、さらに一定時間自キャラの攻撃力と防御力をアップする」というサポート。
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「完食」の性能が優秀で、完食してしまえば高速で攻撃判定が出るため回避が困難。攻撃力と防御力の上昇率も非常に高く、攻撃判定をやり過ごされても優位に試合を進めることが可能。
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また「イリヤが定食を食べ終わったあと、自キャラがイリヤを攻撃することで、定食の皿が相手キャラをサーチしながら飛んでいく」という高性能な飛び道具にも派生でき、「完食」に至らない段階からこれを立ち回りや起き攻め、状況によってはコンボで利用できる。
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さらに「サポートの呼び出しモーションがない」「潰されてもクールタイムがあまり伸びない」「皿の後半部分がコンボ始動付近でヒットしてもサポートゲージが回復する」という仕様にも恵まれていて、特にユウキなどは皿と回復を利用した凶悪な起き攻めループが可能。
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欠点は「定食を食っている時は一切イリヤは動かない上、出現時間も長いため潰されやすい」こと。ただし、これも召喚タイミングを調整することである程度カバーできるし、潰されてしまっても前述の仕様により大きな問題にはならない。
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そしてもう一つの「相手キャラの背後からイリヤがスクーターで突撃」というサポートまでも優秀であり、「完食」を狙いにくいキャラとぶつかっても腐りにくい。
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これらのように、ルシアンと比較してやや癖は強いものの、こちらもあらゆるメリットを内包した強力なサポートである。
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ドクロちゃん(撲殺天使ドクロちゃん)
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前作から続投。「ドクロちゃんが自キャラ前方の上空から垂直に落下する」「エスカリボルグを斜め前方に投げる」という高性能で使いやすい二種類の攻撃を軸とした、前作のキノに近い汎用サポート。
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前作の強力サポートが今作で弱体化する中、このサポート独自の調整は「エスカリボルグ投げのクールタイムが若干伸びた」だけで済んでおり、稼働初期で特に高い採用率を誇った。サポートが増加しそれらの研究が進んだ現在も、問題なく使っていける性能であることから安定した採用率を見せている。
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ドクロちゃん落下は発生が非常に早く、相手のジャンプ攻撃やジャンプ直後のガード不能フレームに引っ掛けやすい。ジャンプを中心として立ち回ることが多い本作では強力な攻撃であり、中距離では「ドクロちゃんが呼べる」という状況にあるだけで相手を牽制することが可能。多段ヒットで受身不能時間が長いという性質も有しており、ヒット確認からの追撃やコンボでの利用、ダウンを取っての起き攻めといった幅広い用途がある。
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エスカリボルグ投げはキノなどと違い斜め上に向けて飛ぶため遠距離では機能しにくいが、コレが逆に「ジャンプや飛び込みを咎める」というメリットにもなっている。
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この3名の次点として、発生の速い当て身「却下」と相手を拘束する性質からコンボに使いやすい「蔦籠」を持つゼロ、全体的に上方修正され使いやすさの向上した前作続投組の椎名ましろ・ヴィルヘルミナ・サポート版司波達也、攻撃内容の癖の無さと当たり判定の大きさ・発生の速さから汎用性の高いセルティ、短時間で多段ヒットするため起き攻めや固めに活躍する黒猫などの使用率が高め。
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ただし格闘ゲームとしてのバランスは評価点でも記したように良質な部類であり、これらの問題点はあくまで「前作と比較した場合」であることを付け加えておく。
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前作の問題点は放置されている部分が多い
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システムのわかりづらさなど、前作における「痒いところに手が届かない」部分の大半はそのまま。前作同様デモ画面でのチュートリアル映像やプレイ開始前の操作説明挿入などは存在しない。
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例として本作の目玉である新規システムのイグニッションには様々な効果が存在するのだが、公式HPやインスト等では「キャラクター・サポート・ブラストのいずれかを強化できる」という曖昧な説明しか書かれておらず、自力では発見しづらい効果も多いため、有志による検証結果を探すしかない。システムの詳細を知っているか否かで戦術に大きく差が生まれてしまうだけに丁寧なフォローが欲しかったところ。
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対人戦においては勝利デモ画面の台詞が原作の丸写しだらけ、キャラクターボイス以外の音量が全体的に控え目といった点もそのままである。
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ただし、本作で追加されたWonderland Warsステージ、ワールドエンドエクリプスステージそれぞれのBGMだけは、何故か逆に耳に響くほどの音量となっている。
問題点(CS版のみ)
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ネットワーク対戦において、前作家庭用版と比較してラグが悪化。オンラインの部屋立ての利便性もあまり改善されていない
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時間帯にもよるが酷い時はコンボゲーにあるまじきラグを発生させるほどだった。
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現在はアップデートで落ち着きを見せている。
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プレイヤー間のモラルによるトラブル関連
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前作にも言える事だが、格ゲーの中でも特に低年齢層が多いタイトルな事もあってか敗北時の切断行為・無線による接続などがかなり目立つ。
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ただ、こういったことは本作に限らず対戦式ゲームのネット対戦においてどうしても発生しうる切っても切れない事案だと言える。
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PSV版においては前作同様キャラクターグラフィックが劣化する
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こちらも機種のスペック上どうしようもない事であるが。
総評
タイトルこそ変わっているが、基本はバージョンアップ版と見て差し支えない。
前作の良さはほとんどそのままに、新システムとして能力強化系の要素も増え、微妙なキャラクター増量ありきでもバランスの良さは健在。
ただし、オールスターキャラゲーとしてはやや首を傾げる内容はそのままなどころか悪化の一途を辿っているのも事実で、ここは改善要望もあったが変化はなかった。
サポートキャラの中には、プレイアブル昇格への要望の声も多かったキャラが多かったが、結局既存作品から選ばれてしまったことも惜しいところ。
最新バージョンのVer.2.32となり4年以上経過している現在だが、本バージョンへのアップデートを最後に公式HP、公式Twitterの告知共に基本的に更新は無い。
格闘ゲームとしての続編制作も示唆されていないため、参戦キャラクターの偏りについては今後改善される見込みがないのが現状である。
しかし、中~上級者間では前作より尖ったものとなったゲーム性が受けているようである。
公式大会の他実質的なアップデート終了後も各店舗にて精力的に対戦会等が行われており、格ゲーマー間での選択肢の1つとして受け入れられているようだ。
余談
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2020年12月7日より、ALL.Net P-ras MULTI Ver.3にて『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION APM3』が稼働開始。
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ゲームバランス等ゲーム内容自体に変更はないが、APM3同士での全国店舗間ネット対戦機能や、CS機ゲームパッドを使用したプレイ機能が新たに追加されている。
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本作を元にしたモバイルゲーム『電撃文庫:零境交錯(Dengeki Bunko: Crossing Void)』が2018年8月より日本以外のアジア圏向けに配信されている。ジャンルはターン制シミュレーションゲーム。
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開発は中国の91Act。海外イラストレーターによる描き下ろし立ち絵や背景グラフィック以外は主に本作からのグラフィック流用だが、フランスパンスタッフによって本作でサポートキャラだったものに新規ドット絵が描き下ろされていたり、いわゆる限定キャラである既存キャラの衣装変更版がこちらも新規ドット絵で作られている。
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その後のアップデートでも、『ソードアート・オンライン』からアリス・シンセシス・サーティ、『とある魔術の禁書目録』から食蜂操祈、さらにはコラボイベントで初音ミクをはじめとするクリプトン製VOCALOID達など、本作未登場の電撃文庫キャラが完全新規ドット絵で追加されている。
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既存プレイヤー達にとっては、これら新規キャラクターが追加された格闘ゲームとしての新作を願うばかりであるが…
最終更新:2024年05月11日 22:53