スーパードラッケン
【すーぱーどらっけん】
| ジャンル | アクションRPG |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売元/開発元 | ケムコ(コトブキシステム) | 
| 発売日 | 1994年8月26日 | 
| 定価 | 9,800円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| セーブデータ | 3個 | 
| 判定 | 良作 | 
| ドラッケンシリーズ ドラッケン / スーパードラッケン
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概要
『ドラッケン』の続編。原作の版権を持つインフォグラムからライセンス許諾を受けた上で開発されたものである。
主人公は戦士の町ファイタスで修行する戦士アレクス。
アレクスは邪悪な魔術師ギザに仕える妖術師アルゴスによってさらわれた恋人カテリーナを救うために旅立つ。
北米地域では『DragonView』のタイトルで発売されている。
特徴
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前作の4人パーティー構成RPGから、主人公一人旅の横スクロールアクションRPGになった。その上でフィールド移動は前作の3Dフィールドを引き継いでいる。ただし時間や朝夜の概念は削除された。
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ダンジョンにおける横スクロールアクションパートは『からくりゴエモン』のように奥行きがある。
 
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アレクスは近接攻撃の「ソード」と、ブーメランのような挙動の飛び道具「ハウザー」の二種類の武器を使うことができ、イベントをこなして武器のレベルを上げるとHPを削って放つ必殺技も使えるようになる。ソードの必殺技は切り上げ、ハウザーの必殺技は貫通性能を追加した投げ攻撃。どちらも最大HPが攻撃力に反映される高火力の攻撃となる。
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ソードはアレクスと敵の位置関係によって自動的に斬り方が変わるが射程が短め。ハウザーは常に正面に投げつけるが、背が低い敵に攻撃できない。これらを使い分けると消耗を避けて戦いを有利に進めることができる。
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サブウェポンも弓矢、多彩な魔法攻撃と充実している。これらを利用してダンジョンのトラップを突破していく場面もある。
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各種武器、魔法、アーマーにはレベルの概念があり、各所に隠された「フォース」を入手することで強化して性能を上げたり新しい攻撃手段を獲得することができる。
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ソード、ハウザー、アーマーはLV5まで上がり、上がる度に該当する装備品の色が変化していくのでパワーアップを実感しやすい。魔法は炎、氷、雷の三種類が存在し、それぞれLV3まで上げられるが、この内クリアに必須なのは雷の指輪LV2のみで残りは任意。
 
 
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敵の種類、ダンジョンの仕掛けは豊富であり、その都度それらを突破するための攻略の工夫が必要になってくる。
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アレクスのレベルが低い内に敵の動きを読まずに闇雲に切り込んでも、大抵の場合倒しきれず被弾は避けられないため、いかに少ないダメージで乗り切っていくか攻略法を構築していく楽しみがある。
 
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ダンジョン内ではシームレスに敵と遭遇するが、フィールドではシンボルエンカウント方式。
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フィールド上でのセーブができなくなったが、基本的に街中にあるセーブポイントでセーブができる。
評価点
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グラフィックのクオリティが高く仕上がっている。
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前作の3Dフィールドが進化しており、草や雲、山などの表現が追加されてより地形が分かりやすくなっている。
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キャラクターも居眠りする店員の挙動、アレクスを突き落として笑う悪魔、地上と地中を往復するサンドワームなど、細かいところまで作りこまれている。
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地味なところだと、アレクスが町の仕掛けでワープする場面がいくつもあるが、全て演出が違う。
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アレクスが氷の魔法を使用した時の天に拳を突き上げるモーションを歓喜する場面に使用したり、雷の魔法を使用した時の拳を地面に突き立てる動作をアレクスが己の不甲斐なさで地面を殴りつける場面に使用する等、アレクスのアクションをイベント中に流用した表現も上手い。
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文章もファミコンから延々と流用していたおなじみのケムコフォントから、漢字を用いた高品質フォントに進化している。
 
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前作(SFC版)にあった味わい深い音楽などは健在。
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印象に残る曲が多く、曲数も50曲以上と多い。また裏技でサウンドテスト機能があるので自由に聞ける。
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特にファイタス、雪原フィールド、氷の要塞、オルタ神殿、セクレッタ神殿、バドセール山前半等が曲が流れる状況もあいまって情緒深い曲に仕上がっている。
 
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アクションゲーム性
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今作ではアクションパートになっており、デフォルメの無い等身大キャラなので高い臨場感が味わえる。それでいて軽快に操作でき、動作も豊富なのでプレイヤーを楽しませてくれる。
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敵の動きも序盤の雑魚から複雑で、切り抜けるには縦軸ずらしなどのテクニックが要求されるが、それらが出来るようになるとノーダメージで部屋を突破できるようになり、上達を実感できる。
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敵にダメージを与えた時や、逆に攻撃を受けた時は攻撃を食らった側が派手な音と同時に仰け反るので戦闘中の爽快感と緊迫感がある。
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このように土台がしっかりしており、後述の問題点の多さにも目を瞑ることができる良さがある。冷静に考えると色々とおかしいが、プレイ中はそれらを不思議と感じさずに楽しむことができる。
 
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ダンジョン
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フィールドとは違い、基本的に敵を無視する事が可能。ただしその部屋の敵を全滅させないと解けない仕掛けもある。
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マップが上下左右に連結、更に手前奥にも繋がっており立体感がある。
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謎解きやトラップの突破をしくじってダメージを受けた時の焦燥感、進めなかったところを進めるようにする達成感はよく出来ており、前作ありきの続編だと考えずにプレイすればSFCの中でもかなり良質なアクションRPGである。
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例として挙げると、中盤のダンジョン「オルタ神殿」はマップの構造が複雑な上に各所にアレクスを攻撃する石像(破壊不可)、レーザーが射出される壁などがあり、雑魚敵やボスの強さもあって難所となっている。そのためクリアした時の喜びもひとしおである。
 
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自由度の高さと探索要素。
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序盤で中盤以降の高難度の場所へ行くことも出来る。
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それ故にマップ地理的・攻略の道順的共に迷いやすいが、不親切なわけではなく、イベント毎に行先は明示されて地図もしっかりしており、エリア切り替えの際は曲も周囲の背景も変わる。特に指示が無ければ同じエリア内でイベントがこなせるようになっている。
 
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山(壁)で一つのエリアが囲まれるようになっているので、前作よりは一応親切になっている。
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この自由度の高さを利用することでレベル上げを楽に行うことができる。
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そしてこの広大なフィールドと複数の隠しダンジョンには貴重なアイテムがいくつも散りばめられており、これらを収集するのがこのゲームの攻略法の一つであり、醍醐味でもある。思いがけない場所でアイテムを入手したり強化してもらえた時はとても嬉しい。
 
賛否両論点
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前作とは根本的にゲーム性が違う
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前作は敵にエンカウントすると4人のパーティキャラがオート戦闘を行うシステムであり、本作とはまるで異なる。
 良くも悪くも別物としてプレイすべきだろう。
 
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一部のネーミングセンスに難あり。
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ギザ関連が顕著で、ラストダンジョンの名前が「
ギザパレス
」、ラスボスの名前が「
ネクロマント
」とどうにも安直。ちなみにネクロマントはマントを着ていない。ギザはマントを着ているが、このマントがネクロマントなのかどうかは作中で言及されていない。
 
問題点
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取って付けたようなドラッケン要素
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前作との繋がりを感じさせる点と言えば3Dフィールドと通貨の名前(ジェイド)くらいしかない。後は前作に登場した書籍の著者の子孫(メスラトン)が登場するくらいか。
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国内のデベロッパーが作ったので当たり前だが、普通のJRPGのような雰囲気になっている。
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シナリオはあくまでもアレクスとギザの物語に終始しており、前作と比べるとこぢんまりとしたスケールの内容になっている(一応世界が滅亡しかけたりはするが)。シナリオの顛末も特段深いものではなく、かなりありふれた話になっている。
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タイトルに反してドラッケン(人型ドラゴン)はほんの少ししか登場しない。
そんなところまでJRPGのようにならなくても…
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強いて言うならラスボスが変身してドラッケンのような姿になるが、ラスボスの力の源(魔界の核の力)とドラッケンに関連性は無い。
 
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一応は続編であるためか、前作のドラッケン王族8人がとある場面で登場する。
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しかし前作で身内同士で対立してどちらかが死ぬまで殺し合っており、改心も和解した様子も無い面子で人間(アレクス)に助力するために協力し合っているのを見ると、なかなかシュールなものがある。8人中3名が冷酷な台詞を吐きながら島中の人間を虐殺して回ったり弟や妹を殺害しようとしていたのだが…
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細部が分かりづらくお世辞にも質が良いとは言えない前作のグラフィックから新規にドラッケン王族のデザインを書き起こしたからか、ほぼ全員前作とは似ても似つかないだいぶ苦しい容姿になっている(こちらのドット絵のクオリティそのものは高い)。ナクトケン王子とナクトカ王女のみ元々分かりやすい見た目であるためか一目で判別できるほど再現度が高いが…