本項ではPS用ソフト『サモンナイト2』(判定:良作)と、そのDSリメイク版(判定:劣化ゲー)の両方を紹介します。
サモンナイト2
【さもんないとつー】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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 裏を見る
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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バンプレスト
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開発元
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フライト・プラン
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発売日
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2001年8月2日
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定価(税別)
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5,800円
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レーティング
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CERO:全年齢対象 |
廉価版(税別)
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PS one Books 2003年11月6日/2,800円
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配信(税込)
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ゲームアーカイブス 2012年8月29日/600円
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判定
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良作
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サモンナイトシリーズ
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概要
『サモンナイト』シリーズの第2作。
舞台は前作『サモンナイト』から引き続き、異世界リィンバウムとなっている。
前作主人公は現実世界をベースとした世界からリィンバウムに召喚された高校生だった。
しかし、本作の主人公は生まれた時からリィンバウムで暮らす「蒼の派閥」の召喚師見習い。
ストーリーの時系列は前作の約1年後で、『4』の約5年前になる。
ストーリー
遥か遠く、聖王国領辺境の街サイジェントで起きた「無色の派閥の乱」から1年の後。
聖王都ゼラムにある「蒼の派閥」の養成施設にて、一人の召喚師が誕生した。
若者に与えられたのは、視察の旅という任務。
それは、若者を疎む者によって仕組まれた事実上の追放だった。
追い立てられるようにして旅立つ若者。
だがその瞳はうつむくことなく、しっかりと前を見つめていた…。
かくして見習い召喚師の冒険の旅が始まる…
(PS版のあらすじから抜粋)
特徴
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概要の通り、本作の主人公は召喚師の集団である「蒼の派閥」の召喚師見習い。ゲーム開始前に性別を、最初のバトル前に自分の得意な戦闘分野と召喚術の属性を選択する。
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選んだ召喚術の属性で、主人公のパートナーとなる召喚獣(護衛獣)が決定される。
この護衛獣も「状態異常無効で物理攻撃・防御力が高い機械兵士」「装備は刀だが強力な魔法攻撃を覚える妖狐」「槍による間接攻撃と回復系召喚術で器用に立ち回れる悪魔」「移動力が高く相手をマヒさせる特殊能力を覚える亜人」と個性分けされている。シナリオ面でも護衛獣ごとに一部サブシナリオが異なっている。
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『1』のパートナーのように、主人公毎の排他な組み合わせは存在しない。
前作からの変更・追加点
召喚システムの改善
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前作では魔法攻撃力に極振りした召喚師の広範囲召喚術で相手が半壊するようなバランスだったが、本作ではこの召喚術のシステムに改善が加えられた。
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まず単体のものは高威力、範囲が広いほど低威力またはMP消費が激しい、といった分類分けがされ、各召喚術および通常攻撃とのバランスがとられるようになった。
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さらに召喚術のダメージ上限が基礎威力の3倍に設定されており、どれだけ魔法攻撃力を上げても極端なダメージが出なくなった。そもそも前作では威力自体が表示されていなかったため与えるダメージが予測できなかった。
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前作では主人公しか行えなかった召喚術の作成が、他の召喚師キャラでも行えるようになった(ただし自分が扱える属性と無属性のみ)
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前作では「誓約→即発動」となっていた流れが「誓約→使用可能技確認→発動or送還」といった形になり、「発動するまで何が起こるかわからない」といった問題が解消された。
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誓約の儀式で作成した直後でも召喚魔法発動には別途MPが必要になったため、「サモナイト石を大量に用意して誓約分のMPのみで上級召喚を使い続ける」といった前作の小技が使用できなくなっている。
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ただし誓約の儀式は一族秘伝の技である上、膨大な準備が必要になるという設定面との矛盾が生じてしまった。設定上、ホイホイ誓約の儀式ができるのは前作主人公のみである。
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前作は一つの誓約済みの召喚石に一つの魔法、という仕様だったが、本作では一部の召喚獣に複数の召喚魔法が設定されるようになった。
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例えば「プチデビル」という召喚獣は、前作にもあった「イビルファイア」「エビルスパイク」といった召喚魔法が設定されている。
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無属性以外の召喚魔法にC/B/A/Sの4種類の「ランク」が設定されるようになり、高性能な召喚魔法ほどランクが高い。キャラクターにも属性ごとに使用できるランクが設定されており、クラスチェンジで上がることがある。
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霊属性である「プチデビル」の「イビルファイア」はCランク、「エビルスパイク」はBランクに設定されている。霊属性のランクがB/A/Sに設定されているキャラは両方使えるが、Cに設定されているキャラは「イビルファイア」しか使用できない。
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召喚獣をフィールド上にユニットとして出現させる召喚魔法は、ランクの他にスキル「ユニット召喚」を覚えているキャラでないと使用できなくなった。
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ユニットではなく特定の効果を持つオブジェクトをフィールドに配置する魔法は「ユニット召喚」が無くても使用できる。
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誓約を行えるキャラがいない属性の誓約を、蒼の派閥または金の派閥の本部でお金と引き換えに代行依頼できるようになった。誓約を行えるキャラが揃う中盤以降は依頼できなくなる。この代行システムはシリーズ通しても本作のみ。
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一部召喚獣に、キャラに憑依させることで一定ターンの間ステータスを変動させる「憑依召喚」が追加された。状態異常とは別枠として扱われる。
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シナリオ上では「外道の術」などと呼ばれ悪用する敵も出て来るが、味方側が使用してもカルマ値が上がるなどのデメリットは特にない。
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一部召喚獣の名前に特定の文字列を付けると召喚魔法が強化・弱化するようになった。前述の「プチデビル」は名前に「ミニ」を入れると与えるダメージが減少してしまう。
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新キャラであるメイメイが運営するお店(ショップとは別)で、一度付けた召喚獣の名前を変更できるようになった。改名の度にあるアイテムが必要になる。
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誓約済みの召喚獣と誓約したアクセサリーの組み合わせが自動で記録される召喚辞典が追加された。
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誓約の儀式実行時、すでに誓約を行ったことがある属性はチェックマークがついて分かりやすくなった。ただし誓約の結果までは記録されない。
ギャラリーモード
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タイトル画面のメニューに、様々な設定画やイラストなどを確認できるギャラリーが追加された。ギャラリーの内容は特定の誓約の組み合わせや特定の敵を倒すことなどで増やすことができる。
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一度エンディングを迎えるとギャラリーからサウンドセレクト画面に移行できるようになり、『1』『2』のBGMを好きなだけ堪能できる。
無限界廊
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メイメイのお店から挑戦できるようになる、腕試し用のバトル施設。
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全15階で、それぞれ機・鬼・霊・獣・無属性の敵が登場する。本編をクリアできる程度のレベルだと太刀打ちできないような強敵も現れるが、無限界廊限定の装備品やギャラリーも入手できる。
戦闘前セーブの追加
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戦闘準備画面でセーブすることが可能になり、戦闘のリトライが非常にスムーズになった。
数は少ないが、前作では「途中で負けたら最初から」だった連続戦闘や、上記の無限界廊でも役に立つ。
ミニゲーム
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前作から種類が増え、5種類になっている。どれもお金やアイテム、アクセサリーなどを入手できる。
はりきりフィッシング
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前作にもあった釣りのミニゲーム。魚だけでなく稀に宝箱も釣れる。
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こねこの恩返し
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「だるまさんがころんだ」の要領で、子猫を他のキャラに見つからないように進ませ、アイテムを取得する。基本的に釣りの餌がゲットできる。
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メイメイさんのスクラッチカード
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スクラッチを3回まで削って、絵柄が2つ一致すると絵柄に応じたアイテムが貰える。3つとも違う絵柄だとはずれとなり、何も貰えない。
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ケーキ屋さんでアルバイト
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6つの家にどのケーキを運ぶかを短時間で記憶し、正しい組み合わせでセットする。カメラ付き携帯電話などがあると非常に楽。
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からくり!拳法道場
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四方から出てくるターゲットが引っ込むまでに十字キーを押して攻撃する、モグラたたきのようなゲーム。攻撃してはいけないターゲットもある。
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周回プレイ
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クリアした状態を保存できるようになり、そのデータを引き継いで最初からプレイできるようになった。
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周回による引継ぎは、入手済み召喚獣各1個と消費アイテム、ギャラリー等。
評価点
質の良いストーリー
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ストーリーの質はシリーズ内でも特に高く評価されている。
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はぐれ召喚獣となったものの末路や過去から繋がる悲劇など、かわいらしいイラストから想像できないようなブラックなストーリーといった『1』の特徴が強化されている。
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ブラック一直線というわけではなく救いのある展開も多い。
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序盤から親切に主人公に接してくれているとある新キャラの素性には驚かされたプレイヤーも多いだろう。
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シナリオ終盤の黒の旅団との決着~黒幕との決戦の流れも非常に熱い。
エンディングの内容が濃くなった
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前作ではエンディングを迎えるキャラクターが一言コメントをくれる程度だったが、今作のエンディングは対象のキャラクターと主人公が会話を行った後、専用の一枚絵とコメントで締める内容になった。
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好感度によって最後の夜会話やエンディングの内容が変化するキャラクターの数も増加。前作では好感度が高い場合でもあっさり気味だった異性間の恋愛要素も、はっきり告白するなど強調されている。
前作プレイ者へのファンサービス
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本作の拠点は前作に登場した蒼の派閥の本部となっているほか、前作の登場人物も数多く登場している。
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前作中盤から登場したミモザ・ギブソンは主人公たちのよき先輩として出番が多い。登場が終盤で出番の少なかったカザミネ・カイナは序盤~中盤に登場し、今作でも仲間に加わる。
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それでいて前作をやっていなくても今作のストーリーを理解する分には問題ない、ちょうどいいさじ加減となっている。
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特定のキャラでエンディングを迎えた上で、タイトル画面であるコマンドを入れることで「番外編」に入ることができる。護衛獣が前作にも登場したモナティになり、主に前作のキャラやミニスとの会話が大幅に変わる。
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さすがにこちらは前作未プレイだと話をつかみづらい。ミニス絡みで『1』の小説版を読んでおかないと分からない内容も増える。
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通常ルートだと終盤に差し掛かるところで突如最終話が始まり、舞台が一時的に前作の舞台だったサイジェントに移り、前作主人公を含む前作キャラが多く仲間に加わる。最強クラスの装備を所持しているキャラが多く、戦力として申し分ない。前作主人公が誰になるかは序盤の会話で決定し、前作パートナーは最終話で決定する。
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前作で声が無かった主人公は、それぞれの主人公で選べないパートナーの声優が担当することで声が付いた。しかしナツミは概ね好評だがそれ以外は賛否が分かれる。
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なおカルマルートの分岐が存在する話に入る直前で最終話に入るため、番外編ではカルマ値がどれだけ高くてもカルマエンドを見ることができない。
また通常ルート終盤の隠しキャラも仲間にできない(複雑なフラグ立てを考慮しなくてよくなるという点ではメリットと言えなくもない)。
数を増やしたBGM
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前作の戦闘BGMはシナリオ・フリー合わせほぼ一曲のみで、バノッサ戦・金の派閥戦など一部の戦闘のみ専用BGMがあったが、今作ではシナリオ・フリーバトルで別のBGMが使用され、シナリオ時の戦闘BGMのバリエーションも増加した。
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戦闘の機会が多い黒の旅団戦の「戦いの意志」やラスボスの一つ前のバトルの「英雄の戦い」など、好評なBGMも多い。
非常に大きいボリュームと選択肢
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今作は選択肢による状況の変化が多い。主人公×護衛獣だけで2×4=8通り、仲間や戦闘の分岐も多数ある。
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話数も計25話とシリーズ中最大。展開に応じて拠点が変わるため、シリーズの課題である物語の規模の小ささも解消されている。
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番外編はディスク入れ替えまでの大まかな流れは通常の本編と大差ないが、『1』主人公4人×パートナー3人の計12通り。なおシナリオ数が通常より短いため周回はしやすい。
賛否両論点
主人公のボイスがない
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前作に続き本作にも主人公の声はない。感情移入の面で主人公には声がないのを望む声もあるが、主人公のキャラ付けがしっかりしている為、一人のキャラとして声をつけて欲しかったという声も多い。
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ちなみに前述の通り、本作の番外編で登場する前作の主人公はボイス付で登場する。
ユニット間のバランスが良くない
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「特定のユニットが必須」というバランスではないが、一部ユニットの性能差は埋めがたいものがある。一応スキルや召喚クラスで差別化は出来ているのだが。
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前作同様敵が積極的に攻めて来ず「弓などの遠距離攻撃で少しずつ敵を釣りだして各個撃破」という基本が通用する場面が多いため、遠距離攻撃ユニットの使い勝手は非常に良い。
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不遇気味なのは攻撃タイプが横斬りと打撃のユニット。前作同様どちらも上下射程が1段しかなく、平坦なマップもそこまで多くない。
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横斬りは同じ高さの斜めマスにいる敵に攻撃すれば横斬り以外のユニットから反撃を受けないという長所がある。同じく反撃を受けにくい槍や弓などとは反撃を受けない範囲で差別化はできていると言える。
また「武器種にかかわらず敵から反撃を受けない」というパッシブスキルが存在するが、習得者の都合もあってほかの反撃無効武器が不要になる程ではない。
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一応、上記のように武器射程の弱いユニットはほとんどが移動力4まで育つため、攻撃範囲の狭さを機動力で補う立ち回りは可能。さらにクラスチェンジで強力な特殊能力を習得するユニットも多く、総合的な性能で他に大きく劣っていると言うほどではない。一部例外もいるが……。
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前作ほど極端ではなくなったものの、一点特化のステータス振りが強力なのは本作でも同様で、バランス型のユニットは典型的な器用貧乏に陥りがち。特にロッカは平坦すぎる能力値のせいで物理でも召喚でも戦いにくく、特殊能力も今一つと総合的に弱く度々ネタにされる。
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概要にある主人公の護衛獣にも格差がある。
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機属性のレオルド・鬼属性のハサハ・霊属性のバルレルの3人はいずれも独自の強みがある優秀なユニットで、育て方さえ間違えなければ最後まで主力として使っていける。
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問題なのは獣属性のレシィと番外編のモナティ。どちらも平坦で強みに欠けるステータスに加え、物理で戦わせようとすれば打撃の攻撃範囲の狭さに悩まされ、召喚術で戦おうにもランク・召喚石装備数共に物足りない。
特殊能力の「応援」がそこそこ優秀なので、「戦いが得意ではない」という設定も相まって「応援」を中心としたサポート役として設定されていると思われるが、他の護衛獣と比べると魅力に欠ける感は否めない。
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一応レシィには初期で移動力が4という長所があるが、モナティは最後まで移動力が3のまま。モナティの最終クラスの召喚石装備数はレシィより1つ多いが、本編よりも短い番外編においては彼女のファンでもない限りそこまでレベルを上げることは無いだろう。それ以前に獣属性召喚師としての運用ではミニスという大きな壁がいる。
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とは言え、上述のレシィやモナティのようにユニットとして弱いキャラクターは元々設定からして戦闘向きではない人物が多い。ロッカもまだまだ未熟者という設定である。逆に「設定上は強いのにユニットとしては非常に弱いキャラクター」もほぼ存在しないため、設定に対してはおおむね妥当な調整がされているとも言え、一概に問題点とも言えないだろう。
一点集中的な育成が推奨される戦闘バランス
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問題点にて後述するが、フリーバトルで獲得できる経験値が少ないため、多数のユニットを平均的に育てて真っ当に集団戦を行うよりも、少人数を集中して育てて突っ込ませた方が楽に攻略できてしまう。
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「攻撃力か魔法攻撃力に極振りして瞬殺する戦法がお手軽かつ強力」「敵CPUの行動思考が消極的で、大半の敵はこちらから近づかない限りは動かない」といった点も前作からほとんど進歩していないため、頭数の少なさがネックとなる場面も少ない。
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とはいえ、前作同様、裏を返せば 少人数を集中して育てていれば少ない手数で簡単に進行することが可能 = 周回プレイ時に戦闘を楽に済ませられる ということでもあり、マルチエンディング要素が強化された本作においてはこの大味なバランスも悪い面ばかりというわけではない。
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次作『3』では「ブレイブクリア」システムが実装され、従来通りのゴリ押し速攻プレイが可能な余地を残しつつ、戦略性のある戦闘も楽しめるようになった。詳細は『3』のページを参照。
問題点
一部ユニットの性能や扱い
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ストーリーの重要人物であるアメルはイベント戦闘において強制出撃となっていることが多く、彼女の育成は実質的に必須となっている。アメル自身の性能は決して悪くないし、ストーリー上仕方ない部分もあるのだが……。
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これにより大きく割を食っているのがルウ。霊属性召喚師という立場がアメルと完全に被っている上、加入が中盤のためBPが平均的に振られており、序盤からMATに一点振りのできるアメルに大きくパラメーターで劣ってしまっている。おまけにルウはMAT補正が高い杖を装備できない。
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最終クラスの召喚石装備数が1つ多い、MPが高い、ユニット召喚や誓約の儀式が可能などルウの方が勝る点もあるが、アメルと役割が被る彼女をあえて使用する利点はほぼ無いと言ってしまってもいい。
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同様に、半ば必須キャラと化しているのが隠しキャラのパッフェル。彼女は「お宝発見」という特殊能力を持つが、これにより入手できるアイテムの中には非常に強力なものが多数存在するため、特に無限回廊の攻略を進める際には必ず戦闘メンバーに入れておく必要がある。
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護衛獣の一人であるハサハは完全に召喚師型のユニットなのだが、装備武器は刀になっている。このため初見で物理型ユニットと勘違いしてATに振ってしまい、以後苦戦を強いられたプレイヤーが少なくない。
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シャムロックは「生真面目な筋金入りの騎士」という設定のキャラクターで、装備品も大剣と重装鎧なのだが、なぜかステータスも特殊能力も騎士というより忍者や暗殺者に近い構成になっている。
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他の重装戦士型ユニットとの差別化にはなっているものの、キャラ設定とのずれによる違和感は拭えない。
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ミニスは獣属性の召喚術をランダムで使用する「パニック召喚・獣」というスキルを持つが、このスキルには条件を満たせば「本来消費MP80の強力な召喚術を消費20で使用できる」という裏技があり、後半はとんでもない燃費のアタッカーに変貌する。あくまで裏技を使えば、だが。
主人公名・護衛獣名を呼ぶセリフでボイスが途切れる
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本作の主人公と護衛獣の名前は任意で変更可能だが、その影響で他のキャラクターが主人公や護衛獣の名前を呼ぶセリフでボイスが途切れてしまう。前作では主人公名に当たる部分のボイスが「あなた」等の二人称代名詞になるなど、それなりの処置があったのだが…。
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なお番外編で登場する前作の主人公は名前が前作のデフォルトネームで固定となっており、名前もある一か所を除きそのままボイス付で呼ばれる。
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戦闘のテンポが悪い
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敵や自分たちの移動速度が遅く、召喚獣のアニメーションを飛ばす事が出来ない。
バトルで入手できる経験値が少ない
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フリーバトルでの入手経験値量が少なすぎる。具体的には、その章のイベントバトルで貰える経験値の10分の1以下であり、複数のキャラを育成しようとすると時間がかかってしまう。
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今作のユニット召喚獣のレベルは召喚した者のレベルと同じではなく、通常のパーティメンバー同様経験値を割り振らなければならないため、こちらも育成しようとすると尚更。
不便な無限界廊
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前述の通り全15階からなる特殊なダンジョンであるが、1~5階・6~10階・11~15階で区切られていて(それぞれ1巡目、2巡目、3巡目と呼ばれる)、
一度に1~5階をクリアしないと6階に、一度に6~10階をクリアしないと11階に到達出来ない。9階で撤退したら6階からやり直しとなる。
そして一度次の巡目に進むことを選んでしまうと、前の巡目に戻れなくなってしまう。
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特定のユニットがいないと手に入らないアイテムとランダムドロップのアイテムが存在する。
3巡目はともかく、2巡目まででないと手に入らない装備品や特定ユニット必須のギャラリーアイテムは取り逃す可能性がある。
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2巡目までは経験値がほとんど入らず、3巡目に入ると敵のレベルが一気に跳ね上がる。
3巡目の敵は最終話の敵よりも軒並み高レベルなうえ、最終話直前ではフリーバトルがこの無限界廊しか選べなくなるので、詰まったときのレベル上げは大変である。
クラスチェンジの仕様
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前作ではキャラクターが一定レベルに到達した時点で上位のクラスになることができた。
しかし本作と『3』ではレベルだけでなく、装備を外した状態での特定の能力値(レベルアップ時のボーナスポイントを割り振った分を含む)が一定以上でないとクラスチェンジしない。
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この能力値の下限についてはノーヒント。またキャラクターによっては戦士系なのにMAT(魔法攻撃力)に下限が設定されているパターンもある。
バグ
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初期出荷版は番外編限定で仲間になるギブソン・ミモザ・エルジン・エスガルドをレベルアップさせるとステータスに異常が発生してしまう。このためせっかく仲間になったのに主力に据えにくくなってしまっている。
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他の番外編限定参戦キャラは特に問題ない。また上記4人のバグもPS one Books版やゲームアーカイブス版では修正済み。
総評
前作の特徴はそのままに、粗があったシステムは調整・改善され、以降のシリーズの基礎となった。
シナリオ面もCD2枚組になったことで大幅にボリュームアップ。シナリオの濃さはシリーズ随一である。
前作をプレイした人・シリーズに初めて触れる人どちらにもお勧めできる内容と言える。
余談
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オープニングアニメはPRODUCTION I.Gが担当。タイトル画面で放置し続けるとテロップ有り版⇔ノンテロップ版が交互に流れる。
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ちなみに番外編にしか登場しないモナティがほんの一瞬だけ登場している。本当にさりげない登場なので、初見で気づける人はまずいないだろうが……。
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エンディングで表示される言葉を公式サイトの「召喚師の部屋2」で入力すると、キャラのボイスデータなどを含む特典を入手することができた。現在はリンク切れのため入手不可能。
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続編である『3』の番外編にも本作の主人公達が登場する。
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PSP版『4』ではPSP版『3』のシステムデータがあると『3』に登場したメンバーをユニットとして使用可能(メインシナリオには絡まない)。
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理由は不明だが、前作に登場するキャラクターの内、通常ルートにも登場するミモザ・エスガルド、番外編にのみ登場するモナティ・レイド・エドス・フィズ・ラミは声優が変更されている。
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大人組と寡黙なラミはともかく、モナティとフィズは声の雰囲気がガラッと変わっているため、人によっては面食らうかもしれない。
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本作はドラマCDが2度発売されている。2002年2月に『界の狭間のゆりかご』が、2004年2月に『あの日のカケラ』が発売された。
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前者は本編終盤の内容。主人公のトリスは木村郁絵氏が担当。『6』のトリス役も担当している。
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後者は『3』番外編終了後の内容。主人公のマグナは岸尾だいすけ氏が担当(『6』でも続投)。
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2003年8月に小説『私だけの王子さま』が発売された。内容は本編クリア後~『3』番外編の間の出来事。
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2004年8月に発売された『クラフトソード物語2』に本作から主人公・護衛獣・アメル・ネスティがゲストで登場した。
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主人公、アメル、ネスティはボイス付きで、マグナの声優はドラマCDから岸尾氏が続投しており、トリスの声優は木村氏から浅野真澄氏に変更されている。
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本作の主人公・護衛獣・アメル・ネスティはシリーズのゲームで最も出演回数が多いキャラクターとなっている(『2』『3』『4(PSP)』『6』『クラフト2』)。
サモンナイト2(DS)
【さもんないとつー】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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チャイム
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発売日
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2008年8月7日
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定価(税別)
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4,800円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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劣化ゲー
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サモンナイトシリーズ
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DS版の追加・変更点
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DS版1と大体同じなのでそちらを参照。引き継ぎ要素も同様。またクラスチェンジの条件もレベルのみに戻った。
召喚獣の仕様
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使用できる召喚獣から召喚大賞受賞作の5つの召喚獣と、漫画『召喚戦記サモンナイト』のゲストであるアシュタルが削除。その代わりDS『1』の鬼・霊属性の他にも機・獣属性に新規召喚獣が追加。
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サモナイトペンを使用する召喚コミュニケーションはメイメイのお店で実行できる。
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召喚獣の名前による一部召喚獣の強化・弱化は削除されている。
その他
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番外編における前作主人公のハヤト・トウヤの初期装備武器がサモナイトソードに変更されている(PS版ではそれぞれ大剣・剣の最強クラスの武器を装備していた)。
評価点(DS)
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番外編出現の条件が緩和され、カルマエンド(バッドエンド)以外ならどのキャラでエンディングを迎えても出現するようになった。
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PS版の一部ユニットの不遇な点が改善されている。具体的には「ルウが杖を装備できるようになる」「シャムロックが騎士然としたスキルを習得する」「最終的に移動力が4になるキャラクターが増える」など。
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最弱と言われがちだったロッカも最終的に移動力が4になるよう強化されたほか、武器持ち替えシステムにより「射程1だが高威力の剣」「射程2で中威力の槍」を戦闘中に持ち替え可能になり、他の槍使いユニットのバルレルやイオスには無い強みを得ている。
問題点(DS)
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前作同様キャラクターボイスが全て削除されているだけでなく、好評だったギャラリーとサウンドモードも廃止されてしまった。
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特定のアクセサリー・属性で誓約の儀式を行うとフリーズする、終盤のサブイベントで入手できる強力な限定アクセサリーと中盤のフリーバトルで入手できるアクセサリーの効果が入れ替わっている、
ハサハが最終クラスチェンジしてもクラス名が変わらない、番外編に登場する一部前作ユニットのクラス名が前作の初期クラスのものになっているなどのバグ・ミスが存在する。
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フリーズバグ以外は特にゲームに影響を及ぼしていないのが幸いである。アクセサリーについても大量に取得・装備したところでゲームバランスが崩壊する程の性能ではない。
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ミニスの「パニック召喚・獣」実行時にキャンセルが可能になった。実行⇔キャンセルの度に発動する召喚術が変わるため、PS2版での裏技が使えない時期でも強力な召喚術を簡単に使えてしまう。
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前述したユニットの良調整の他にも、そこそこあったレナードのHPが召喚師ユニットと同レベルまで下げられるなど余計な調整もある。
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また、レオルドやケイナなど元々強かったユニットが追加スキルや武器持ち替えによってさらに強化されている一方で、弱キャラだった
レシィは目ぼしい強化が少ない上に移動力が4まで成長するユニットが増加したことで相対的な地位がさらに低下、モナティに至ってはロクな強化がないのに本作でも移動力が3のまま等、余計にキャラ格差を強めているような調整箇所も多い。
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敵ユニットの行動パターンが全体的に劣化しており、「プレイヤーの近接ユニットに背中を向けてターン終了」「プレイヤーの縦斬りユニットに対し、横斬りのユニットで斜め攻撃すれば反撃を受けないのに正面から攻撃する」「プレイヤー側のユニットが自分の射程内に入らない限り、射撃や召喚術でダメージを受けても棒立ちを続ける」等、明らかに非効率な行動を取ることが増えている。
賛否両論点(DS)
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引き継ぎ要素が変更された影響で、一度作成した召喚石が次周に引き継がれなくなってしまった。
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代わりに獲得したパーティ能力を引き継ぐことが可能になっている。「お宝発見」をセットして0話のイベントバトルをクリアすると、本来は終盤で手に入る強力なアクセサリー「宇宙からの石版」が手に入る。
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無属性のサモナイト石との誓約で、強力な攻撃魔法である「ガイアマテリアル」が入手できるが、これで頑張れということか?
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ちなみに「宇宙からの石版」は売却額が全装備中最高なので、緊急時の金策に使えないこともない。
総評(DS)
携帯機でどこでも手軽にプレイできるようにはなったものの、目玉となる追加要素に乏しいだけでなく、
先に発売されたDS版『1』と合わせた仕様になったため、キャラクターボイス・ギャラリー・サウンドモードの削除などPS版から劣化している部分が目立ってしまった。
とはいえDS版『1』からシリーズに入った人や本作で初めてシリーズに触れる人にはあまり気にならない部分ではあるため、そうした人なら十分に楽しめるだろう。
余談(DS)
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予約特典として、『1』と同様に新作アニメ付きの「Magical Disc II」が付属。こちらのアニメの内容もエンディングを元にした内容になっている。
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アニメに登場する主人公は女性主人公のトリスで、声優は前述の『クラフトソード物語2』で担当した浅野氏が続投している。
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DS版発売当時は手軽に『2』を楽しめるという利点はあったが、現在はPS版のゲームアーカイブス版がより安価で購入できるため、PSPまたはPSVitaを持っている人にとってはその利点も無くなっている。
最終更新:2024年07月29日 16:45