ワンピース 海賊無双
【わんぴーす かいぞくむそう】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション3
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メディア
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BD-ROM 1枚
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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コーエーテクモゲームス(オメガフォース)
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発売日
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2012年3月1日
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定価
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8,190円(税5%込)
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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シリーズファンから不評
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ポイント
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おなじみの無双ゲーができるまでが長い グラとモーションは良好 大々的に省略・改編された原作シナリオ 不要アスレチックと水増しDLC
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無双シリーズリンク
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ONE PIECEシリーズリンク
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概要
少年ジャンプ連載の大人気バトル漫画『ONE PIECE』と無双シリーズがコラボ。冒頭からマリンフォード頂上決戦終戦までのストーリーを中心に無双アクションが繰り広げられる。
本作は原作のストーリーに沿って主人公「ルフィ」を操作し戦いを繰り広げるメインログ(ストーリーモード)、主に「麦わらの一味」を操作しておなじみの無双ができるアナザーログ(無双モード)、強敵と戦えるチャレンジモードの3モードに分かれている。メインログは章分けされており、これを順にクリアしていくことでアナザーログがキャラ単位で徐々に開放されていく。チャレンジモードはメインログの全クリアが出現条件。
なお正式タイトルは「ONE PIECE 海賊無双」ではなく『ワンピース 海賊無双』である。
基本操作
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弱攻撃:□
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強攻撃:△ 攻撃ボタンを組み合わせることでコンボが出せる。
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ダッシュ・回避:×
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受け身・カメラアングルリセット:R1
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敵を一定数倒すと左上にある体力ゲージの真下にある必殺ゲージがたまる。一定量たまると○ボタンで必殺技を放てる。ストーリーやキャラレベルの上昇で、長押しによる強力な必殺技も使えるようになる。
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他にもキャラ特有操作や細かい操作はあるが、ここでは割愛する。
アイテム
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マップの宝箱を開くと出てくるアイテム、体力や必殺ゲージ回復、一定時間特定の能力値2倍などの効果が得られる。
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中ボス格を倒すとキャラの強化に必要なコインを入手できる。
成長システム
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敵を倒すことによって得られる経験値で成長するレベル制、高レベルになると上がりにくくなる。
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後半のステージに登場し、ゲームの難易度モードが高いほど獲得経験値は高くなる。
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キャラの特性を装備品である「コイン」で付加できる。
評価点
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ONE PIECEと無双ゲームのコラボ
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原作も大勢の雑魚敵を蹴散らすシーンがあり、非常に無双のゲームとは相性が良い。
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また、必殺技が決まった時や名場面では原作の効果音の吹き出しが現れる。
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またシナリオを楽しみたい人向けのメインログと無双を楽しみたい人向けのアナザーログを分割したという試み自体は親切といえる。
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網羅性には欠け、マニアックな情報は期待できないが、ONE PIECEを知らない人向けのキャラ・用語辞典がある。それなりに深いところまでは世界観を知ることが出来る。
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グラフィックの再現度
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ワンピースのキャラの外見、しぐさを高いクオリティで再現している。
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中ボス、大ボスの登場時にスキップ可能な小ムービーが挟まれ、臨場感を醸し出している。
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原作中の名シーンやそれをオマージュした展開もゲーム独自のポリゴンモデルが再現してくれる。
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無双としての基本
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無双アクションゲームとしての基本はしっかりしている。
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アナザーログは本来の無双を楽しめるため悪くない。また2人で協力プレイもできる。
賛否両論点
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メインログのシナリオ再現度
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尺やデータの都合なのか、情け容赦なくカットされている原作の名場面も多い。
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再現度が高いシーンもあるにはあるのだが、メインログは後述のアスレチック要素も災いして、原作とは違う流れになっていることが多い。
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名シーンや特徴的な攻撃をするキャラが多いためすべてを出すのは難しかったのかもしれないが、シナリオ中に登場するキャラ(敵も含めて)のうちファンの使いたいという需要に応えられなかったキャラも多い。
+
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例
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原作でも評価が高い、ルフィが麦わらの一味を仲間にしていくまでのストーリーは大幅なカットを食らう傾向にある。
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ウソップ、ブルックを仲間にするエピソードはほぼ完全にカットされている。特にスリラーバーク編はまるごとカットされており、原作を知らない層からはブルックがシャボンディ諸島で仲間になったと勘違いされかねない。
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空島編はそれ自体が原作でもほかのお話と絡みが薄い外伝のような立ち位置ではあるが、ゲーム中に影も形も登場しない。
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原作では、章ごとに倒すべきボス格の敵とその部下幹部という構成がなされてそれらを順々に倒していくというのが主な流れなのだが、このCP9などボス格であっても登場しないキャラがやたらと多い。
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原作に完全になぞらえずにオリジナル要素を出す意欲自体は十分に評価に値する事なのだが、その改変が微妙なことが主に問題視されている。
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QTE要素
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メインログのみに登場。
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ゲームオリジナル展開のアクションが多く、原作やアニメでは見られなかった演出で臨場感を出すのは一役買ってはいる。
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しかし何の前触れもなく始まったりQTEのアクションによるダメージが通常プレイよりも明らかに多い時もあり、気楽にプレイできないもしくは純粋に無双を楽しめないと言った点では不便。
問題点
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メインログのアスレチック要素
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ストーリーモードだとルフィしか操作できない他、ルフィの能力を活かした無双シリーズにも関係ないようなアスレチック要素をプレイする必要がある。
原作を忠実再現しているわけでもなくゲーム用に改変もされているので、はさんだ必要性が不明。
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QTEはミッション失敗に直結するといったことはないが、こちらは一発死のギミックがやたら多く、さらに攻撃手段の制限や戦場を疾走できないなど、無双シリーズとしてのテンポを大幅に損なう要素すらある。
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メインログをクリアしないと、アナザーログが本格的に開放されない。いろんなキャラを使って敵をばったばった倒せるようになるのはクリア以降の話。
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ボス格がしぶとい
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キャラ育成度合によっても変わるが、章の大ボスはキャラの必殺技を受けても最大で全体力の2割を削れるといったイメージ。もっとも周囲に沸く雑魚を首尾よく倒せば必殺技ゲージはすぐにたまるのだが。
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ほぼ全ての中ボス、章ボスがこちらの攻撃で地面に倒れると起き上がるまで無敵時間に入り、起き上がり時に自分を中心に衝撃波のようなオーラを発する。その時近くにいると小さいながらもダメージを受けて吹っ飛ばされてしまうので、一度彼らから距離を取らなくてはならない。
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操作キャラには必殺技を決めるとふっとばしがほぼ確実に起こり、このリベンジアタックの起爆剤となるためそれほど有利にはならない。
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もともと対戦用のゲームではないので、ハメ対策をするにもなぜこのような厳しめの仕様をとったのかは疑問。逆にステージの角にうまく追い込んで着地しないように攻撃を当て続けるとハメができる。
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自然系悪魔の実の能力者は原作再現の一環として、技の発動で別の物体に変化している間は無敵なのでなおさら倒しにくい。海軍大将黄猿はこれに加え瞬間移動もするため攻撃そのものをうまく当てづらい。
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操作キャラの少なさ
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操作キャラは麦わら海賊団の9人とエース・ハンコック・ジンベエ・白ひげを含めた13人。麦わら海賊団以外はマリンフォード頂上決戦に絡むルフィの味方キャラのみである。
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ただし1キャラ1キャラのモーションは他の無双シリーズと比較すると多めで、モーションの手抜きは感じられない。更にナミは完全版天候棒、ウソップはパチンコカブトのコインをセットすることでモーションが変わる。
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また敵としてのみ出現するキャラも多くどれもバラエティに富んだモーションのため、それらが全く使えないことが惜しまれる。特にクロコダイルと海軍三大将は自然系で攻撃範囲も広く、自分で使うと爽快感がありそうなモーションになっている。
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クセの強いキャラ
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原作再現の一環ともいえるかもしれないが、キャラの性能バランスはあまり良いとはいえない。
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チョッパーは妨害や敵の弱体化を図るスキルを持っているものの、技の攻撃範囲、リーチ、威力がどれも小さい傾向がある。後半のボス格は遠距離攻撃を備えていることが多く、戦いにくい。
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逆にブルックの強攻撃のみのコンボは敵の掃討に適しており、音楽強化をしなくてもかなり強い。
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NPC
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操作キャラ以外の麦わらの一味(=仲間)が倒れると失敗になるミッションが多いなか、プレイヤーがいないところでも大ダメージを受けるなどが大きな壁に。
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これ自体はアクションゲームでも珍しくなくピンチになれば知らせてくれる親切なシステムもあるのだが、そのNPCのAIが弱く、ピンチであっても強敵に特攻するなどの無謀なことをする。
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シャボンディ諸島では章ボスが広大なマップ全体に攻撃してくることもあり、このような事故が起きやすい。全体的に弱めのチョッパーが特に死にやすい。
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マップ構造
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複数の広場を細道でつなぐというアリの巣のようなマップ構造が妙に多い。
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右上に地図はあり、メインログでは行ける範囲といけない範囲が丁寧に表示されている。
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しかしおなじみの無双が楽しめるアナザーログでは、初期はマップのあらゆる場所にいけるわけではいにもかかわらずマップはステージの全体を等しく表示してしまっている。
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ステージ中のミッション攻略や時間経過に応じていける範囲が拡大する仕組みなのだが、最初から地図にステージ全体が表示されている通れない区域、もしくは門の表示があまり見やすいものではなく道に迷うケースも。
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アナザーログだと「特定の敵を倒せ」などのミッションが出されるが、この敵の配置が飛び飛びなことも多くプレイヤーはただでさえ迷いやすいステージを右往左往することに。
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ゲームプレイに差しさわりがあるわけではないが、マリンフォードのマップデザインが不可解。原作ではかなり広大な氷原なはずなのだが、5つの丸い足場を備えた五芒星型のマップとなっている。
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経験値のたまりにくさ
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キャラレベルの最大値は50だが、レベル20に到達したあたりから上がり方が悪くなる。
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効率よく成長させたいなら、仲間を守る必要が無いゾロ編のアナザーログの後半のステージをプレイするか、DLCの「結成!東の海の海賊団」が適している。
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キャラ同士の対戦モードがない
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キャラゲー、それもアクションゲーなら誰もが好きなキャラ同士を戦わせたいと思うものだが、本作にはそれが可能なモードが存在しない。
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特にグラバトシリーズがPS2中期の『Rush!』止まりであり、後継作は携帯機になってしまったため、それ以降のキャラをきれいな3Dで動かせるゲーム自体が意外と貴重。
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キャラクター自体の能力などの再現はとても良いので残念な点。
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一応そういったモードは無双OROCHI2には存在する(ゲームの仕様上1VS1ではないが)。
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カットシーンでローポリ(通常)モデル使用
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カットシーン自体はムービーではなく3Dキャラが適切に配置された状態で会話が流れる仕様。
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問題はこのシーンで使われている3Dモデルが、自分で操作するときと同じものであることである。ほとんどのカットシーンでは違和感がないのだが、一部カットシーンでローポリであることが目立つ。
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ゲーム全体としてみた場合のグラフィック自体はかなり出来がいいだけに残念な点である。
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DLC
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本作でも多くのユーザーから問題視された。
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内容は追加シナリオ100円とオリジナルコスチューム350円(同時購入で400円)、これが操作キャラ10人ごとに用意されている。
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2012年3月1日から1週間おきに小出し配信となった。
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総額は高くないとする声もあるが、問題はその額に内容が見合ってないというもの。
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コスチュームに対する価格が妙に高い。『北斗無双』でも同じような価格設定だったので、版権代が上乗せされているのではないかと思われる。比較参考として『真・三國無双7』の新コスチュームは一人あたり103円、20人前後のセットで617円、77人全員のセットで2,263円である(いずれも税8%込)。
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追加シナリオもただ無双用のステージ(ゲーム内のものの流用)が用意され、それに軽い小話が添えられているというものであり、原作愛があるわけでもなくゲーム内容に初めから組み込むべき出来であると言わざるを得ない。
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ここにデータ容量を割くなら、いくらでもメインログの完成度を高めることはできたはずという批判の声も。
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仲間スキルのコンプ
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ゲーム中に集めたコインを特定の組み合わせで3枚セットするとスキルが発動して特殊効果が発動するが、それらをコンプするためには運が絡む。
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手に入るコインはランダムであり、ステージによって入手確率が高いコインもあるものの確率は厳しい。またレアコインというものも存在し、それらを集めて仲間スキルをコンプすると獲得可能なトロフィーがあるがかなりの作業を強いられる。
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またフレンド登録した人間とオンライン協力プレイしないと獲得できないコインも存在し、スキル発動の為には最低でも3人の別アカウントの人間オンライン協力プレイしなければならない。
総評
戦闘シーンやストーリーで高い評価をされているONE PIECEと無双とのコラボとあり、多くの人が期待をよせた本作。実際無双としての根幹は崩れてはいないうえ、画質とキャラ再現は非常に秀逸だった。
しかしオリジナル要素かつ原作シナリオの再現度が不十分だったこと、水増し感の強いDLCによる商法に大きな非難が寄せられたことで、ONE PIECEの人気に乗っかっただけという散々な評価が下された。
最終更新:2024年01月04日 03:39