チェイスH.Q.2
【ちぇいすえいちきゅーつー】
| ジャンル | レースゲーム | 
| 対応機種 | アーケード | 
| メディア | TAITO Type X2 | 
| 発売元 | タイトー | 
| 開発元 | Gamewax | 
| 稼働開始日 | 海外:2006年 国内:2007年
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 13年ぶりのシリーズ最新作 グラフィックが3D化、実写要素も導入
 タイトーの事実上最後のRCG作品
 海外向け作品故の出回りの悪さ
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概要
1988年に発売された名作カーアクションゲーム『チェイスH.Q.』シリーズが、第3作目の『スーパーチェイスクリミナルターミネーション』以来13年の時を経て復活。
プレイヤーは一人の刑事となり、逃げる犯人車輌を追いかけ、体当たりを重ねて走行不能に陥れて犯人を逮捕していくという基本的なゲームルールは初代そのまま。
今作では新型ハードによりグラフィックが完全に3Dポリゴン化されるなど正統進化を果たした他、シリーズ初の2つの筐体を用いた2人同時プレイモードも追加されている。
キャッチコピーは「激突のカタルシス。」「ガンガンぶつけて逮捕よ!」
ゲームの進め方
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1.まずコインを入れ、スタートボタンを押して始める。
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筐体同士が通信されている場合、他の筐体の画面に対戦者募集の画面が表示される。この時にその筐体からゲームを始めると、自動的に対戦になる。
 
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2.3台の車種の中から1台(詳細は下記)を選択する。何れの車もロー・ハイの2段階式のマニュアルで、ステージ開始時にニトロを1つ所持している。
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3.司令室・ナンシーからの指令後、ステージ開始。制限時間内に逃走車に追いついて体当たりすると後半パートに移行し、制限時間も延長される。
 後半パートでは逃走車に体当たりを重ね、画面左に表示されるダメージゲージをゼロとすると走行不能にでき、犯人を逮捕・ステージクリアとなる。
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ニトロはシフトレバーに付いたボタンを押すと使用、数秒間急加速する。ステージ中に落ちているニトロボンベの取得で補充可能で、最大3つまでストック可能。
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時間切れでコンティニュー画面に移行、この時もゲームは進行しており逃走車との距離が開いていく。コンティニューしなかった場合はゲームオーバー。
 
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4.全5ステージ+隠しスペシャルミッションからなり、これらを全てクリアするとゲームクリア、筐体内ランキングにランクインした場合はネームエントリーとなる。
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隠しスペシャルミッションに関しては失敗してもゲームクリアとなるが、ランクが稼げなくなる。
 
使用可能な3台の車
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標準的なバランス型のセダン型パトカー、破壊力重視のマッスルカータイプの覆面パトカー、最高速重視のスーパーカータイプの覆面パトカーの3台から選択可能。
 選択画面では操作性(ハンドリングの良さ)・破壊力(逃走車に衝突した際の挙動)・加速力・最高速度がそれぞれ個数性のゲージ(最大5つ)で表示される。
 シフトレバーに付いたニトロボタンを押すとボディカラーを3つの中から選択できる。いずれも一度選択するとそのゲーム中は変更不可能なので要注意。
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セダン型パトカー:外見は実在する「フォード・ポリス インターセプター」ほぼそのもの。加速力は3と低いが、破壊力と最高速度は4、操作性は最高の5。
 デフォルトのカラーもこれまた実在するロサンゼルス市警察とほぼ同じ白/黒カラーで、他に水色/黒、ニューヨーク市警察とほぼ同じ白/水色縞が選択可能。
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マッスルカー:外見は新旧アメリカンマッスルカーを織り交ぜたものとなっており、ボンネットにはスーパーチャージャーらしき吸入口が飛び出ている。
 クセの強い外見の割に最高速度は3と低く、操作性と加速力は4、破壊力が最高の5となっている。カラーは青/白縞、赤/黒縞、黒/黄色縞が選択可能。
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スーパーカー:シリーズ恒例、高級スポーツカーの覆面パトカー仕様。今作ではイタリアのランボルギーニ社の新旧車両を織り交ぜたものとなっている。
 性能は操作性・破壊力が最低の3で加速力・最高速度が最高の5とかなりクセのある車で、初心者にはあまり向かない。カラーは赤、黄色、黒が選択可能。
 
ステージ一覧
    
    
        | + | ステージ一覧 | 
| ステージ名 | 犯人とその容疑 | 犯人の乗る逃走車 | 解説 |  
| CASE001 | P.McGuire Jr 誘拐及び連続殺人容疑
 | 赤いイタリア製スポーツカー | 市街地及びバイパスが舞台。最初のステージということもあってコース自体も比較的単純で逃走車も速くない。 このステージにて本ゲームの基本ルールを学びつつ、ニトロダッシュを使用して一気に攻め込み容疑者確保を狙おう。
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| CASE002 | R.Bell 銀行強盗及び破壊容疑
 | 黄色いビッグフット | 郊外~山岳地帯が舞台。ステージ1同様に逃走車はそこまで速くはないが複雑な山岳地帯を生かした逃走を行ってくる。 山岳地帯の途中で分岐点があり、逃走車と違うルートを進むとタイムロスとなる等、難易度は着実に上昇している。
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| CASE003 | J.Thompson 盗難車による暴走行為
 | オレンジのレースカー | オーバルサーキットが舞台。自車・逃走車が共にコースを逆走する為、他のレースカーに衝突するとクラッシュ確定。 逃走車はレースカー故に全逃走車の中で一二を争う機動力を持ち、かつ他のレースカーを弾き飛ばして進路妨害も行う。
 加えて偶にではあるが、逃走車に大破させられた他のレースカーが炎上した状態でステージ上にて止まっている場合もある為、
 これらをうまく捌きつつ素早く逃走車に集中攻撃を掛けられるかが攻略のカギとなる。
 1度のニトロダッシュ不発が命取りになるため、ニトロ回収やニトロダッシュによる体当たりは確実に行いたいところ。
 言わば今作の初心者にとっての登竜門的なステージであり、このステージを手早くクリア出来れば初心者卒業と言える。
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| CASE004 | D.Cannon 兵器密輸及び密売
 | 青い武装型コンボイ | 夕暮れの市街地・工場地帯及び軍事基地が舞台。工場地帯の途中で雨が降りだし、視界がわずかに悪化する。 逃走車は見かけによらず速い上、荷台部分に装着されたランチャーから追尾ミサイルを連続して発射してくる。
 ミサイル攻撃を喰らうとクラッシュは必然。サイド部分を狙いニトロを使用して一気にラッシュをかけると良い。
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| CASE005 | X.Witherspoon 麻薬密売及び連邦捜査官殺害
 | 黄色い武装型リムジンSUV | 夜の繁華街及び鉄道トンネルが舞台。逃走車は大型の機動力・耐久力双方に優れている為なかなかダメージを与えづらい。 逃走車の周囲には護衛が乗る数台の乗用車がおり、体当たりで自車を妨害しかつ倒しても無限に湧いてくると極めて厄介。
 クリアにはリムジンへのニトロを惜しまず使用した確実な集中攻撃が必須。道中のニトロも拾い漏らさないよう注意。
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| 緊急極秘指令 CASE006
 | 青いヘリコプター | 隠しステージ。制限時間はわずか15秒かつ空中のターゲットを体当たりで撃墜する必要がある真の最後の難関ステージ。 開始直後の道中にニトロボンベが1本あるので必ず拾っておくこと。ここで拾い漏らすと撃墜が少々難しくなる。
 なお、撃墜に失敗してもゲームクリアにはなるが、その場合獲得スコアを大きく失う上に真のエンディングを見られない。
 逆にクリアした場合はスコアボーナスを獲得でき、真のエンディング+司令室のナンシーからの"ある"お楽しみを拝める。
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評価点
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ハードが当時としては次世代型の「TAITO Type X2」になったことにより、グラフィックが大幅に進化。
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シリーズ初の3Dポリゴン化が施された上、体当たり時のターゲット車両の損傷・炎上表現や一般車両に激突した際の派手なクラッシュに加え、よりリアリティの増した対物接触時の効果音など、表現力が格段に向上している。
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実写要素も搭載。司令室のオペレーターのナンシーはきっちり実写で表現されている。
 
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原点回帰したシンプルなゲームルール。
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逃げる犯人車輌を追跡し、体当たりを重ねて走行不能に陥れ、逮捕へ結びつけるとステージクリアとなる初代に先祖返りしたゲームルールとなり、目新しさと懐かしさを絶妙にマッチさせた作風となっている。
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性能のそれぞれ異なる複数の車から選択できることにより、初心者にもとっつきやすくなった。
 
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シリーズ初の2人対戦モードに対応。
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2人のプレイヤーで犯人逮捕の手柄を競い合うモードの導入により、対人戦を楽しむユーザー層や新規ユーザー層の取り入れにも成功している。
 
賛否両論点
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キャラクターデザインの大幅海外向け化
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今回は海外のメーカーが開発を担当したこともあり、ゲーム中に登場する人物は全体的に洋ゲー臭漂うデザインとなっている。
 出動前に見られる緊急連絡時のナンシーに至っては実際に金髪ねーちゃんの役者が演じている映像が流れる。
 しかしショーのカタログや日本稼働時の筐体に付いている大型POPにはナンシーが可愛らしいアニメ調イラストで描かれているため、その絵につられてゲームを開始した場合は面食らうこと請け合いである。
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初代『チェイスH.Q.』も海外向けデザインではあったがそこまで濃くはなく、『S.C.I.』以降のナンシーに至っては程よく美人だったりアニメ調のグラフィックで描かれていたりしたので、好みがわかれるところだろう。
 
 
問題点
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サウンド周りの音量バランスに粗が見受けられる。
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例えば初期設定だとアドバタイズデモ時の音量が驚くほど小さく、スピーカーに耳を傾けない限りかなり聞き取りづらい。
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またプレイ中の音量に関しても、逃走車両解説時のヘリコプターの効果音のみが極めて大きいため、ナンシーによる逃走車両に関する情報説明の声がヘリの効果音で掻き消されてしまう。
 
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BGMのパターンが少ない。
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例えば各ステージのBGMは2曲しか用意されておらず、1面から3面のBGM、4面から5面+スペシャルミッションのBGMはそれぞれ同じBGMを使いまわしている。
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残りはデモ画面時と選択画面、ステージクリア時とエンディング時の4曲と、全部で6曲しか収録されていない。
 
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元は海外向けに先行稼働していたことによる日本国内での出回りの悪さ。
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2006年に海外市場向けに発売されたのち、日本市場においても2007年末に稼働開始したもののやはりというべきか元は海外向けであることには変わりなく、市場での普及率は圧倒的に低かった。
 
総評
初代から18年・第3作から13年ぶりの続編、かつ海外メーカーによる外部開発作品ながら、シンプルなシステムはそのままにきっちりと正統進化を果たした良作。
新型ハードの性能を生かしたリアル調のグラフィックの出来も良く、3台から選択できる車や2人同時プレイモードの追加も遊びの幅を拡げることに繋がっている。
だが作品そのものが海外向けに開発された経緯もあってか、後に稼働開始した日本国内での出回りはお世辞にも良いとは言えず、万人受けし得る作品でありながら、
結果として先発の『バトルギア4 Tuned』や『D1GPアーケード』よりも先に市場からひっそりと姿を消した為、過去作程の知名度を得ることまでには至らなかった。
余談
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ステージ3の攻略及び隠しスペシャルミッションの攻略には、似たような内容が含まれている『デイトナUSA』(セガ)の初級逆走、『テクノドライブ』(ナムコ)のジャンプ技術測定がそれぞれ参考になると言えるのかも...しれない。
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『バトルギアシリーズ』亡き後、同作の後継作と言われた『TOPSPEED』が発売中止になった現在、タイトーのオリジナル作品としてのレースゲームは本作が最後の作品となった。
 同社最後のレースゲーム作品である『D1GPアーケード』は元は家庭用ゲームからの逆移植作品であり、言わばこれらはタイトーがスクウェア・エニックスに吸収された影響があったのだろう。
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そんな経緯によるレースゲームを始めとするタイトーの開発ジャンルの縮小により、本作をもって『チェイスH.Q.』はシリーズとしては事実上完全終了したような状態となっているものの、
 シリーズで培われたノウハウの一部は、アメリカのエレクトロニック・アーツ(EA)社が発売元の『ニード・フォー・スピードシリーズ』に影響を与え、ある意味で受け継がれたと言える。
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本シリーズ同様に自車両をぶつけて犯人を逮捕したりする他、スパイク等の罠を設置したり逆に自分が逃走車両となってパトカーの追跡を振り切るモード等、多数の新要素が追加されている。
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このような事例はコナミの『スリルドライブシリーズ』と、同じくEA社が発売元である『バーンアウトシリーズ』にも発生している。
 
 
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本作を開発したGamewaxは『ホーンテッドミュージアム』シリーズ、『ガイアアタック4』の開発を担当している。また、タイトーは本作以前に開発された『VALVE LIMIT R』の日本での販売を担当している。
最終更新:2024年04月20日 13:36