Need for Speed: Carbon Own the City
【にーどふぉーすぴーど かーぼん おうん ざ してぃー】
ジャンル
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レーシング
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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メディア
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UMD
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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EA Black Box
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発売日
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2006年12月21日
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定価
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4,800円(税別)
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プレイ人数
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1人(アドホックモード時:2~4人)
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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廉価版
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EA BEST HITS 2007年10月25日/2,800円(税別)
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備考
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必要容量:823MB
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判定
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シリーズファンから不評
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ポイント
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シリーズの良い要素を削った劣化作 PSP版初のフリーランモード搭載 据置機版と異なるストーリー&マップ
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Need for Speedシリーズ
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概要
全世界でシリーズ累計3,800万本を誇るレースゲーム『Need for Speed』シリーズの第10作目。
今作では危険な山道でのギリギリのテクニックを競う「峠レース」と、チームを組んで集団で走り、縄張りを広げていく「チームバトル」というコンセプトを初採用。
これまでにも力を入れてきたマシンのチューニングもさらに進化させ、全てのパーツを自由自在に変形させる次世代チューニングシステムを新たに開発した。
PSP版「ニード・フォー・スピード カーボン・オウン・ザ・シティ」では、PS2版とは異なる街を舞台にしたオリジナルストーリーが展開。
オープンワールドの世界を舞台に、縄張りをかけたチーム同士のレースバトルが繰り広げられる。
(Amazonより一部修正)
本作は『Carbon』とは違うオリジナルストーリーで描かれる携帯ゲーム機向けの『NFS』である。
また、本記事では『Carbon』との相違点も合わせて述べる。以下、PSP版の特徴。
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PSP版のNFSでは3作目であり、初のフリーラン機能が収録されたため自由にマップを走る事が出来る。
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マップは『Most Wanted (2005)』のローズウッド、ロックポートシティの部分を本作用に再構築した物で、ローズウッド、ロックポートを鏡に映したように反対になったものである。しかし建物などは変わっており、大学などは無くなっている。
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また、車種の収録台数はCarbonから削られ、計30台収録されている。また、種類もCarbonと同様に3種類に分かれる。
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削られたと言うものの、全体的に縮小しただけなのでマツダや日産等の日本車も数多く収録されている。
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海外ではDS版とGBA版とブラジルとメキシコのみで販売されていたZeeboというゲーム機で発売された。
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DS/GBA版
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ジャンル
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レーシング
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対応機種
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ニンテンドーDS ゲームボーイ・アドバンス
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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【DS】Exient Entertainment 【GBA】Pocketeers
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発売日
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【北米版】2006年10月31日 【欧州版】2006年11月3日
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定価
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【DS/GBA】29.99米ドル
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プレイ人数
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【DS/GBA】1~2人
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レーティング
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(北米版)ESRB:E(対象年齢6歳以上) (欧州版)PEGI:7(対象年齢7才以上)
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備考
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国内版GBAでも動作可能 国内版DSでも動作可能
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ポイント
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DS版はPSP版を忠実に再現 GBA版は雰囲気はまるで異なる GBAとは思えない3Dグラフィック 削られた要素も少ないく、 ハードの大きな制約も見られない
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GBA版
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GBA版では、PSP版とはマップは同じだが、グラフィックやハンドリング操作等のシステムが大きく異なる。
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PSP版とはストーリーも異なるが、こちらのストーリーもしっかりしている。
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とにかくGBAとして3Dのグラフィックは最高レベル。
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壁との接触による減速は極めて小さく、大きくバウンドするので、慣れてくるとコーナーでは壁にぶつかった方が確実に速くなる。
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一般車も走っており、もちろんフリーランも可能となっている。
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ウィングマンも存在しており、グラフィックや操作以外はほとんとPSPに近いが、そのグラフィックは全体的に白っぽくなっており、ゲーム内の雰囲気はPSP版とは大きくかけ離れたものになっている。
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ウィングマンや車種、カスタムパーツの数は減らされたものの豊富である。
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DS版
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DS版はPSP版とは主な違いは少なく、挙げるとすればグラフィックや操作ぐらいである。
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DSにはPSPのようなアナログパッドが無いため、十字ボタンによる操作になるが、曲がる時の角度をより繊細に調整するために「D-pad」というものがタッチパネルにある。
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D-padには、各種メーターやマップやラップ数などが表示されるが、その下にボタンがあり、そこで繊細なハンドリングが可能になる。
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D-padに表示されるオプションボタンは非常に小さく、押しにくい。もちろん、これらのオプションは物理ボタンで表示する事が出来るメニューからも実行可能。
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ほぼ常時60fpsで動作可能。
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BGMもPSP版からかなり削られており、意識すれば数えられるほど。というかBGMと呼ぶより環境音と言った方が適切か
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その他のDS版の評価点・問題点はPSP版とほぼ同じである。
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Zeebo版
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対応機種
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Zeebo
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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Tectory Digital
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発売日
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2009年5月25日
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価格
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無料 (本体にプリインストール済)
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必要容量
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2.52 MB
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備考
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PSP版との主な変更点は少ない
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本作ではCarbonと違い、ミッションはレース以外にも存在する。
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ミッション一覧表
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種類
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概要
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ウィングマン
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ストリート
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仕切られた公道を周回するレース。
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参加
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スプリント
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ストリートの一部を使い、スタートからゴールの2点間でレースをする。
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ラップノックアウト
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ストリートと同様に、仕切られた公道を走る。周を重ねるごとに一番遅いマシンが脱落していき、最後まで残ると勝利となる。
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不参加
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エスケープ
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ライバルマシンの追跡を振り切り、時間内にエスケープポイントにたどり着ければ勝利となる。
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クルー・テイクダウン
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ライバルマシンに体当たりして、制限時間内に決められた敵数を破壊すれば成功。
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デリバリー
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決められた場所に荷物を届けるイベントで、相手チームより先に届けると勝利となる。
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参加
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チームメンバー
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本作でも『Carbon』と同様にウィングマンと呼ばれるレースをサポートするチームメンバーが存在する。彼らは使ってあげるとレベルアップする。
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そして『Carbon』との大きな違いが、ボスに勝利するとそのボスもチームメンバーに組む事が出来るということ。プレーヤーはメンバーの中から特定の人物を指名する事ができる。
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しかし『Carbon』とは少し違う。スカウト・ファブリケーターが削除され、アサシンが追加された。
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ブローラー -ライバルの妨害。
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アサシン - スパイクストリップを落とし、踏んだマシンを一時的に走行不能にする。
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ドラフター - プレイヤーの前を走り、ストップストリーム状態を作る。
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メカニック - マシン性能が向上する。
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フィクサー - レースに勝利した場合に金を多めに貰うことができる。
評価点
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『Carbon』には無かったボイスを収録している。ムービー以外もフルボイスなのはシリーズでも今作が初めて。
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単純な内容ながら、ゲームテンポが良い。
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逆に言うと、それなりにストーリーが短いということなのだが。
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レース勝利の賞金が多く、お金が貯まりやすいので、新車購入やカスタムに多額を投入出来る。
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『Carbon』とは違い、仲間にスキルアップがあり、それが順位を左右するため、駆け引きの要素がアップ。臨場感がより増している。
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ランエボがストーリー開始時から使えるようになった。詳細は問題点に続く。
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PSPとしては非常に広いワールドで、山岳部や市街地など街の雰囲気も多彩で、縄張りを勝ち取るためのミッションも豊富。
問題点
システム面
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フリーズが多発する。
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発生箇所もまちまち。警察とのカーチェイス中にフリーズするのはPSPのスペックの制約を考慮すると納得する部分もあるのだが、メニュー画面でフリーズすることもある。プラットフォームの制約等が原因ではなく、ゲームシステムの欠落部分が原因の可能性もある。
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バグも多い。
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発生すると、最悪の場合、すべてのボタンがきかなくなり、下手すれば電源が切れなくなる。そうなってしまった場合はバッテリーを抜かなければならない。先述のフリーズ同様、どこで発生するか明確には現在でも解明されていない。
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一番酷いと思われるのが、運転中に突然道がなくなるときがある。しかし操作は可能で、壁等の判定は存在している。
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UMDの最大情報転送量をオーバーした事が原因だと言われているが、転送量オーバーを起こすPSPのゲームソフトのほとんどは2層のUMDを採用しているもの。UMDの一層目の容量は1.2GBであるが、本作の容量は0.8GB(PSNより)であり、一層であると考えられる。UMDが一層のソフトでフリーズが多発するソフトは二層のものと比べて少ない。つまりシステム自体に問題がある可能性が高いということだ。
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他にも、セーフハウスに戻るときのロードが一生終わらず電源をきってからやらないと直らない、等の報告もある。なおこのフリーズは他のプレイヤーとの通信プレイ中でも発生しうる。
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グラフィックが前作より劣化。
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特に、『リッジレーサーズ』や『パースートフォース ~大追跡~』のプレイ後にNFSをやると余計粗さが目立つ。ちなみにリッジレーサーズの発売は2004年、パースートフォースの発売は2006年3月、本作の発売は2006年12月である。9ヶ月前のソフトならまだしも、二年前のソフトにグラフィックで負けるとはいかがなものか。
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画像で見る三者のグラフィック
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タイトル
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画像
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リッジレーサーズ (2004年12月発売)
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パースートフォース (2006年3月発売)
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NFS:COtC (2006年12月発売)
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しかし過去のPSP版NFSからすれば若干進化している。そもそも過去作が酷すぎたのかもしれないが。
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ネオンの妖しく映える街をイメージしていた過去作プレイヤーも多かったようだが、実際は夕暮れのなかをトボトボ走るような雰囲気で、落胆してしまったプレイヤーも多かったようだ。
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エンディング後も引き続きフリーランは可能だが、やりこみ要素は無い。
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環境によって違うが、ゲーム開始時のロードは約30秒程あり、非常に長い。
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PSPというハードの制約を考えたとしても、公道に走っている一般車が少なすぎる。前年発売の『GTA:LCS』や、同年発売の『パースートフォース ~大追跡~』の方が遥かに多かっただろう。
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一応、オプションから交通量の変更が出来るものの、交通量の変化はあまり見られなかった。
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ボリューム不足。
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ミッションもボリューム不足が感じられ、メインモードは同パターンのくり返しになってしまう。なので作業感が増して飽きたという声が多い。
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オートセーブ非対応。
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フリーズ等が多発する本作でオートセーブが無いのは、セーブ中に予期せぬフリーズでセーブデータそのものが破損する事を防ぐことが出来るとも言える。まあ制作時にそんなことは考えてなかったであろうが。
マシン
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カスタムパーツや外観の評価が総じて低い。
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ホイールのくすみが激しい。
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バイナルは色の変更不可。
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ヘッドライトのくすみが酷い。
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マフラーが白く、カクカクしている。
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画像で見るホイール・ヘッドライト・マフラー
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箇所
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説明
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画像
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ホイール
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くすんでいて、暗さで誤魔化しているような印象を受ける。
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ヘッドライト
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左端の赤い車を参照されたし。 いつもはライトの明るさで誤魔化しているが、横から見るとくすみがわかりやすい。
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マフラー
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少し見にくいが、「管がある」というよりは 「シルバーの円の輪郭がある」という方が適切ではないだろうか。
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ボディのカスタマイズでフルチューンした場合大抵の車はワイドボディになるのだが、その際にトレッド(タイヤとタイヤの幅)が変わらない
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クラッシュ後に、車体に傷がない。警察車両を走行不能にさせてもただ動かなくなるだけで傷はない。PSPだとしても前年発売の『バーンアウト レジェンド』ならボロボロの描写が出来ていたので、これは手抜きだと言える。もっとも、PSP過去作の『Need for Speed: Most Wanted 5-1-0』でも無かったので進化していないだけとも解釈できる。
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さらに今作では、購入可能なパーツの解除がエリアクリアごと。しかもそのパーツ解除はエンジン、トランスミッションなど一度に全て解除されないので、一度に全てのパーツを購入する事が出来ない。
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操作時の視点について。
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後方視点ではかなりフラフラし、バンパー視点とは挙動が大きく違う。普段後方視点を使うシリーズ過去作プレイヤーからは「距離感を掴みにくい」「酔いやすい」等の声が多い。
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また、視点切替のボタンは方向キーの上下であるが、方向キーの左右はハンドリング操作なので、レース中に不意に方向キーの上下を押してしまうと、突然視点が替わってバランスが崩れたりしてしまうことがある。これを体験したことがあるプレイヤーは、この不意な視点切替に常に神経を使ってしまい、ストレスになってしまう。
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160km/hを出さないとニトロが溜まらないため、遅い車や蛇行の多いコースではなかなか溜まりにくい。
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ランエボが「遅い車扱い」されている。
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逆にZやインプレッサは「速い車扱い」である。
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何故か280馬力のランエボとスープラが同じ馬力のFDやインプレッサよりも遅い。序盤にランエボとインプレッサを選ぶ時に普通ならランエボを選ぶだろう。そしてそんな人が終盤で後悔する。ランエボやスープラに恨みでもあるのか。
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よく見ると、走行中はブレーキディスクと同時にブレーキキャリパーまで回っている。
その他問題点
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ムービーは全てアメコミ調のアニメ。CGではない。
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さらに、本作ではオープニングムービーが無い。オープニングムービーが無いのはシリーズでも本作のみである。
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BGMには評価が低い。
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BGMには日本語詞の曲も収録されており、特にそれらの曲が酷評されている。
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バトルに負けた時に大量にキャッシュをペナルティとして取られる。バトルへのモチベーションや緊張感の向上に繋がってはいるものの、手軽にバトルをしにくくなってしまった。携帯機なので屋外でも手軽にプレイ出来るということを謳っておきながら、手軽さを損なうようなバランスをしているのは疑問視すべきだ。
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パースートブレーカー・ロードブロック・ヘリが無い。
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ロードブロックに関してはNeed for Speed: Most Wanted 5-1-0にはちゃんと存在しているため、退化している。
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峠バトルを削除。
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『Carbon』ではボス戦でしか使用せず、峠コースの独特な緊張感等がプレイヤーにはあったが、それが削除されてしまうのはCarbonプレイヤーのモチベーションの低下も拒めない。
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難易度が低い。
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評価点にもあるように、本作ではお金の入手が安易なのも原因の1つ。
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特に警察が弱い。
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今作にはヒートレベルが搭載されていない。
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また、警察の最大出現台数が最大で9台。たった9台でワールド全体を捜索するつもりか。
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一方で、警察車両はプレイヤーの車の速度に合わせてくるので、どれだけ速い車で逃走しても追いつかれる。それはそれで問題点なのだが、その警察車両はいつものような特攻姿勢を見せた積極性がなく、ただ後ろから突っついてくるだけなので盛り上がりに欠ける。
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ちなみに、フリーラン中に出てくるパトカーは通報を受けて警戒状態になったりパトカーにぶつからないかぎり、ものすごいスピードで走っても、対向車線を走っても追いかけてこない。
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ウィングマンが役立たず。
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柱にぶつかるとそのまま止まったまま。迂回などはしない。
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自分より味方が先にゴールすると何故か強制的に負けた扱いになる。
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レース中のウィングマンのボイスもほぼ同じで飽きてきて、次第にうるさく感じてくる。
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シリーズ名物のショートカットルートがあるが、使っても使わなくてもタイムはあまり変わらない。
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しかも何故かショートカットルートはライバルレーサー達も知っている。ライバルレーサー達がショートカットルートを使っている作品はシリーズでも本作のみ。
総評
フリーランモード搭載やフルボイス化など、PSP版『NFS』における革新的な新要素はあるものの、それらはあくまで『NFS』として。
PSPソフト全般で見ればそれほど革新的な要素ではない。唯一の新要素のウィングマンも役に立たない。
据置機で発売された『Carbon』と違うオリジナルストーリーを採用したものの、それ自体不評。
シリーズ名物の「カスタムパーツの多さ」の要素が削られ、バグ・フリーズの多発、グラフィックの激しい劣化、難易度の過度な低下等々。
残念ながら、過去作からの劣化部分が目立つ出来となってしまった。
最終更新:2022年05月11日 05:34