アルナムの翼 焼塵の空の彼方へ

【あるなむのつばさ しょうじんのそらのかなたへ】

ジャンル RPG
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対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 3枚組
発売元 ライトスタッフ
発売日 1997年12月25日
定価 6,800円(税抜)
判定 なし
ポイント 環境問題をテーマにしたストーリー
バグ関係は消滅し普通に遊べる
バランスは甘め


概要

本作は『アルナムの牙 獣族十二神徒伝説』の続編として作られたRPGで、前作から五万年後の世界を舞台にしている。
前作に引き続き、イラストレーターは木村明広氏、シナリオライターは澤下複氏が担当している。

ストーリー

現在を遡ること5万年前。獣族十二神徒と呼ばれる者達の熾烈を極めた戦いの末、太陽神マリエーンによって、このアルナムの地は再び浄化の眠りから目覚めた。
しかし、愚かにも人類は同じ過ちを繰り返した。“輝晶石”を用いた略奪と侵略の戦争によって、ついには、その侵略地を死に至らしめていった。
その昔、人々の生活の基盤を支えていた、“気法”のような力をもたない現在の人類たちは、“輝晶石”の燃焼に伴う強大なエネルギーを、その代替としていた。
致命的な有毒ガスを排出する“輝晶石”の屑。人類は、それがどのように自らの命を脅かすものかを知っていたが、安価に利用できるそれは、アルナム統一を図る“眞弥(まや)公国”にとって格好の戦力材料となった。
燕儀(えんぎ)元帥率いる眞弥公国の武力支配が急行に進行しだしたころ、人々は、唐突に大地を走る大きな森を目撃した。
それが、それでも平和に生きようとするアルナムの辺境地の人々をも巻き込んで起こるであろう悲劇へと結びつくなど、誰一人として想像できることではなかった。

……浮遊石盤にて一部始終の顛末を見守る、十二人の神の子孫を除いて……。
(説明書より引用)

特徴

  • 本作はCD-ROM 3枚組で構成されている。ただし、DISC3はエンディングのみが入っているため実質2枚組である。
    • ラスボスを倒すとディスク交換指示が入り、エンディングに移る訳である。
    • 当時のFFなど、CD-ROM3~4枚組のRPGは最終ディスクがラストダンジョンから始まる、と言う作品が少なくなかったが、本作はエンディングとスタッフロールのみと言うある種の思い切った作りとなっている。
  • 朝、昼、夜という時間の概念を取り入れている。
    • 夜は街が静かになり、コンビニ・宿屋以外の店も閉店している。宿屋に泊まると朝になる。
  • エンカウント方式はシンボルエンカウントになっている。
    • 同時に複数の敵に接触した場合は最大3回までの連続戦闘になる。
    • 夜になるとフィールド上の敵は眠るため追いかけられることはなく、こちらから敵に近づくと必ず先制攻撃ができる。
  • 仲間同士であらかじめ連携を組み協力することで、戦闘開始時にさまざまな効果を得ることができる。
    • ただし、連携を組めるのはメインキャラの7人かつ戦闘参加メンバーである場合のみである。
    • 始めは連携の効果を得られにくいが、連携組をずっと組ませておくことで、連携の効果が得られやすくなる。
    • 連携の変更はいつでも可能だが、頻繁に連携を変えることは連携の効果が得られにくくなるので推奨されない。
  • 武器はキャラクターごとに固定で、鍛冶屋に料金を支払って鍛えることで武器を強化することができる。
    • また、武器に属性を付加してくれる武器装飾品もある。
  • 魔法は「香華術」と「気法」の二種類ある。いずれも回数制で精通しているキャラのみ使える。
    • 香華術は主に敵を倒すことで入手できる香華草を調合し、それを香華術を使えるキャラが使うことで発動する。
    • 気法は基本的に香華術と同様だが、香華草を調合する必要がない上に香華術にない術も使えるのが特徴。回数は宿屋などで回復することができる。
  • 必殺インジケータがあり、ダメージを受ける・防御などでケージが溜まっていく。
    • ケージに溜まった数に応じて必殺技が使え、必要な数が多いほど強力な必殺技を出せる。ただし、全てが攻撃技ではない点に注意。
      • キャラによって必殺技が異なり、個性が出ている。
    • 必殺ケージの仕様上、雑魚敵戦だと殆ど使う機会はないが、長期戦になりやすいボス戦では多いに役に立つ。

評価点

  • 綺麗なビジュアルシーンや環境問題をテーマにしたストーリー。
    • ストーリーはコミカルな要素とシリアスな要素が上手く入り混じっている。
    • エンディングはDISC3を丸々使っているだけあってフルアニメーションであり非常に豪華。
      • スタッフロールではヒロイン役の菊池志穂氏が歌う主題歌も用意されている。背景にはストーリー中のシーンなどを描いた木村氏の原画が表示され、感慨深いエンディングとなっている。枚数は多くは無く、後半は真っ黒な背景のみなのが少々残念だが。
  • 登場人物は一癖も二癖もあるキャラばかりで、台詞回しや演出もまた全体的にユニーク。
    • パッケージ裏に描かれている涙と鼻水に塗れた主人公の間抜け面を見れば、そのユニークさの片鱗は伝わるだろうか。
    • パーティキャラは一時加入するキャラを含めて22人と多く、同時に9人までパーティに入れることができる。
    • 『アルナムの牙』のパーティキャラである獣族十二神徒も序盤から登場し、仲間になるキャラもいる。更にパーティキャラの中には十二神徒の子供も何人か存在する。
      • 特にラストダンジョン突入前に十二神徒が勢揃いして主人公一行と合流するシーンは、前作をプレイした人は胸が熱くなる事間違いなし。
    • 結城比呂、久川綾、高木渉などの人気声優を起用しており、ストーリーを盛り上げている。
  • イベントやミニゲームも充実している。
    • サブイベントや隠しダンジョンもあり、そこでしか戦えない隠しボスもいる。
    • ミニゲームはシナリオの流れ上クリアが必須だが、失敗してもそのままストーリーが進むか、何度でもやり直すことができる。
    • ある場所ではキャラと衣装を設定して写真撮影が行えるのだが、それぞれ専用のイラスト(女性キャラの別衣装どころか野郎の水着姿も有り)が用意されており、スタッフの遊び心と気合を窺える*1
  • 経験値は戦闘に参加した仲間はもちろん、控えの仲間や未加入の仲間でも手に入る。
  • 連携システムにより仲間を組ませ続けることで、戦闘開始時にさまざまな効果が得られる。
    • 組み合わせによって得られる効果が異なる。中には経験値増加など有用なものも。
  • PCE版『アルナムの牙』とは違い目立ったバグがない。そのため、まともに遊ぶことができる。
    • 本作でもタランダが仲間になるが、「熱炎」を使用してもフリーズすることはない。尤も、そんな所が引き継がれていたら大問題だが。
  • PCE版『アルナムの牙』のバグ以外の不満点も改善されている。
    • セーブデータは1つのメモリーカードに付き最大15個まで作ることが可能。
    • 前作では意味を成していなかった「とうそう(逃走)」コマンドがちゃんと機能するようになった。もちろん失敗する場合もあるが、逃走自体できないボス戦などを除けば100%逃げられないわけではない。
    • 普通のRPGのように戦闘で敵を倒せばロム(お金)が手に入る。
    • 装備画面で装備できない装備は灰色に表示されるようになり、わざわざ選ばなくても装備できるかできないかがわかるように。
      • 違う種類の装備や装備ではない道具はそもそも表示されないようになっている。
      • また、装備を外す事もできるようになっている。
    • 明らかに魔法攻撃の方が強かった攻撃のバランスが改善され、「香華術」「気法」(魔法攻撃)の威力と直接攻撃の威力が同じくらいになった。
      • 「香華術」「気法」は属性攻撃や全体攻撃ができ、また物理防御力が高く直接攻撃が効きにくい敵もいるため、「香華術」「気法」の存在価値がなくなったわけではない。
    • ダンジョン内にセーブポイントが設置されたため、ダンジョンでもセーブできるようになった。
      • ただし、隠しダンジョンにはセーブポイントはない。

賛否両論点

  • エンディングには若干賛否が分かれる部分がある。
    + ネタバレ
  • エピローグにて主人公クスミダはあるキャラと結ばれるのだが、その組み合わせに納得が行かないと言うプレイヤーもいる。
    • と言うのも、相手は序盤から登場しているヒロイン(幼馴染のカリン)ではなく、ストーリーが大分進んでから仲間になるキャラだからである。
    • そのキャラは前作キャラであるヒエンの娘のクレハ。シナリオ上の役割もそこそこで、クスミダに惹かれる描写も無い訳ではないのだが、エンディングでヒロインであるカリンを差し置いてかなり唐突にクスミダとくっつく為、置いてきぼりを喰らうプレイヤーもいた。
    • クレハは容姿も設定も父に似たメカニックの眼鏡っ娘で、主人公の伴侶としてはあまり一般的ではないキャラである。対してカリンは気の強い幼馴染キャラで、キャラクター的にもビジュアル的にも比較的王道な部類である。
    • 主人公とヒロインが結ばれない作品は他にもあるが、本作の場合は上記の通りである事と、カリンが自ら身を引くようにクスミダの元を去る為、好みが分かれるカップリングとなっている。
  • またラスボス戦前の会話で、クスミダはある理由から長くは生きられない事が明かされており、ハッピーエンドのように見えても一抹の後味の悪さが残る。
  • イベントのムービーシーンの大半が前時代的。
    • 一枚絵を動かしたり口パクと音声を付ける、要はPCエンジン時代のようなムービーが殆ど。前作を踏襲したとも言えるが、この時代のソフトとしてはかなり古風な演出である。
    • 終盤~エンディングのみセルアニメが用意されているが、それまでのムービーと打って変わって急にアニメが流れ始める為、チグハグな作りにも感じられる。
    • どちらのムービーもビジュアルそのものは美しく、見応えはあるのだが、この構成を気にせず楽しめるか否かはプレイヤーによるだろう。

問題点

  • 前作をやっていない人にはストーリーが把握しづらい。
  • イベントシーンではキャラのバストアップが表示されるのだが、キャラによって妙に近づいていたり妙に離れていたりと、パースにばらつきがある。絵自体は表情も豊富で高品質なのだが。
  • 実質2枚組なのを考慮してもプレイ時間は十数時間で終わるため、やや物足りないボリューム。
  • シナリオ進行上、ある段階まで進むと前の場所に戻ることができない。
    • そのため、ゲームの進行状況ごとに訪れる事が可能な場所や歩き回れる範囲が限られている。
  • ゲームバランスは甘めで、あまり良くない。
    • 経験値が多めに手に入るためレベルが上がりやすい。
    • 夜にフィールド上の敵を襲えば必ず先制攻撃できるのもあり敵も倒しやすい。
    • ただし、流石に終盤のボスは対策して戦わないとあっという間に全滅するため歯ごたえがある。
  • ロード時間が長く、10秒ほど暗転することも。
    • 特にメモリーカードを読み込む時はセーブデータ1つにつき1~2秒かかるため、セーブデータが15個あると20~30秒ほどかかる。
  • ダンジョンは長く、迷いやすい。
    • 本作は広範囲を見渡しにくい独特の画面構成の為、余計に迷ってしまう。しかもダンジョンに限ってマップがない(街にはある)。
  • メンバーの入れ替えがよくあり、その場合はメンバーの装備・連携を組みなおす必要がある。
  • メモリーカードは差込口1に差していないと使えない。
    • もっとも、別のメモリーカードが必要な時は差込口1に差しているメモリーカードを入れ替えればいいのだが。

総評

単体で見れば良くも悪くも「難易度が低めの平凡なRPG」である。
ただ、バグが多い上に不便な仕様が多かったPCE版『アルナムの牙』の反省点を活かし、
多少の粗はあるものの普通に遊べる出来となっているため、『アルナムの牙』をプレイした人なら遊んで損はないだろう。


余談

  • 前作が酷すぎたせいか売り上げは伸びなかった。
    • 関連作『アルナム弁当~牙も翼もてんこもり~』が発売予定だったが、会社が解散したため発売中止になった。
  • 夜の街には入り口に不法投棄をしないように見張っているおばさんがいるのだが、開発当初は序盤でゴミ箱以外にゴミを捨てるとそのおばさんが現れ主人公を孤児院へ連れ戻す(しかも問答無用でゲームオーバーになる)というとんでもない裏設定が存在していた。