ボクは小さい
【ぼくはちいさい】
ジャンル
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アクションアドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション2
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発売・開発元
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ビクター インタラクティブ ソフトウエア
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発売日
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2002年7月11日
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定価
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6,800円(税別)
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廉価版
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2003年7月10日/2,800円(税別)
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判定
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良作
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ポイント
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頑張らないアクションアドベンチャー 宇宙人は見た!
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ストーリー導入部分
宇宙パトロール隊「プッチメン」はスペースパイレーツシルバーの隠れ家を遂に突き止め、見習い隊員ポムを除く全員でシルバーの秘密基地のある、原生物である人間の一軒家・ユウキ家に突入を図る。
衛星軌道上で一人待機していたポムの元に隊員達からのSOSが続々と届き、ポムもユウキ家へと駆けつける。
高いところに登りすぎて降りれなくなっていた隊員(ビビリメン)を救出(?)するとビビリメンから、「ユウキ家に着陸しようとした時に宇宙船が何者かに狙撃されて墜落し、隊員は散り散りになった」ことと「シルバーは今リビングにいる」という情報を得る。
ポムがリビングに着くとシルバーは「この家に何者かが大量の爆弾を仕掛けたようだ」とだけ言い残し、宇宙へ飛び去っていった。
ポムは爆弾を探すものの見つけられず、大爆発に巻き込まれてしまったのだった。
が、なぜか大爆発のせいでポムは爆発から約24時間前の、プッチメンらがユウキ家に着いた頃にタイムスリップしていた。
概要
探索要素のある3Dアクションアドベンチャー。
しかし、体力が0になってもゲームオーバーではなく所有アイテムも失わずにPFO(プッチメンの母船)に戻されるだけのペナルティだけとなっている。
とは言え、実質制限時間があるミッションが多数を占め、そこまでまったりでもない。
システム
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時間帯
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ゲームはゲーム内時間でP.M.6時からの1時間毎に区切られている。
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ゲーム内時間は、1時間 = 60分, 1分 = 12秒, (ゲーム内の1秒) = (現実の1秒) である。つまり、(ゲーム内の1時間) = (現実の12分) となっている。
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当初はP.M.6時 ~ P.M.7時 の1時間しか活動できず、 P.M.7時になると、イベントが発生して強制的にP.M.6時に戻される。
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タイムピースというアイテムを入手することでプレイ可能な時間帯が1時間ずつ増える。
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各時間帯終了時にその区画に入ってきた場所に戻される。
原住民とともにドアから入った場合はドアの前から、「かべのうら」から入った場合は「かべのうら」の前から、コンセントから入ってきた場合はコンセントの前から次の時間帯が始まる。
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このため、前の時間帯から前入りしてイベントが起こる場所で待ち構えることは出来ない。
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また、あともう少しで救助ポイントに着くという場面でも容赦なく戻される。
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エネルギーを消費して、時間帯を移動することが出来る。
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すでに滞在可能となっている時間帯からしか選べない。
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任意の時刻は指定できず、必ず正時からのスタートとなる。
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ただし、その区画に入ってきた場所からのスタートとなり、イベント攻略に有利な任意の場所で待ち構えることは出来ない。
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ユウキ家
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スペースパイレーツシルバーの隠れ家がある原住民の一軒家。本ゲームの舞台となっている。
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原住民らは建物の外に出入りするが、プレーヤーは建物の外には出られない。
ただし、あるイベントを使ったポリゴン抜けのバグ技で外に出られる。もちろんこれはあくまでバグ技であって、製作者が意図したものではない。
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原住民らは分刻みのスケージュールで同じ行動を繰り返す。このため一部ミッションはかなりタイトな時間的制約を伴う。
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PFO
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プッチメンの母船。セーブ等、PFO内でしか出来ないことが多々ある。
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ユウキ家のどこからでもエネルギーを消費せずにメニュー画面からPFOに戻る事ができる。
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ワープ航法の技術を応用しているとのことだが、その技術をもってしてもなぜPFOから任意の場所へ移動できないのかは不明。
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Hold
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ポムは他のプッチメンから能力をコピーすることが出来るが、同時にPFO外に持ち出せる能力には数の上限(救出イベントによりたまに増える)があり、どの能力を持ち出すかをPFO内で出発前に設定しておく必要がある。
持ち出した能力を使用するには元々その能力を持っていたプッチメンに変身する必要があり、△ボタン押下で(落下中以外の)いつでも変身できる。この際、「ジャンプ不可」など元々のプッチメンが持っている弱点もそのまま引き継ぐこととなる。
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SOS
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そもそも主人公ポムは衛星軌道上で他の隊員からのSOS信号を受けてユウキ家へ駆けつけてきたので、SOS信号を発したプッチメンらを救出することがゲーム開始当初の目的となる。
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SOS情報にはSOSを発信したプッチメンが直前に撮影した写真が添付されており、それを手がかりに捜索することとなる。
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SOS信号を発信したプッチメンを無事見つけ出すと、その隊員の能力がコピーできるようになったり、ポムのジャンプ力やダッシュ力が向上したりする。
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シルバー
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そもそも主人公らはスペースパイレーツシルバーを逮捕しに来たのである。SOS信号を発信したプッチメンの中にはシルバーの目撃者がおり、その情報を元にシルバー逮捕に向かう必要がある。
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逆に、目撃証言がない時間帯はどこをどう探しても絶対にシルバーを見つけることは出来ない。なぜなのか。
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シルバーと出会うとボス戦となり、特設のバトルフィールドでのアクションゲームとなる。
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バトルフィールドのステージ構成とシルバーの弱点は毎回異なる。
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ウチュウ怪獣
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シルバーの下僕。原住民がいないフィールドのみで緑色の光とともに突如ワープアウトして来る。
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海賊のくせに「宇宙文化不可侵条約」を遵守しており、原住民が居る場合はたとえ原住民が熟睡中や気絶中でも発生しない。ところがハムスターや亀やカエルなどの原生物がいても関係なく発生する。
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ポムのノーマル状態では倒す術はなく、逃げるしか無い。ムッキメンに変身するとパンチで倒せるが、倒したところで何も得られないどころか、すぐに再湧きする。
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ところが、ヒットメンに変身すれば遠距離からの砲撃で倒せるのだが、この場合のみ、倒したウチュウ怪獣は再湧きしにくく、しばらくの間は安全が確保される。
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プレーヤーが仲間の救援を進めることで、同じ時間帯でもより凶悪なウチュウ怪獣が出現するようになる。
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ハムスター
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ユウキ家に多数住み着いている小型の原生物。「ネズミでもいいじゃないか」と思うが、当時はハムスターブームだったらしく、それに便乗したらしい。
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ハムスターとの取引の大半はひまわりのタネを通貨として行う。
ひまわりのタネはなぜかユウキ家に豊富に落ちており、1度拾った場所でも、一旦部屋を出入りしたり、時間帯が進むことで復活する。
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ユウキ家がこの家に来る前から居着いているらしく、Infoチップ「なつやすみの日記」にて初代のハムスターの話が描かれている。
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TAXI
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ケンジを助けると、距離にかかわらずひまわりのタネ5個でTAXIが利用できる。
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TAXIと言いつつ、いちげんさんお断りであり、このことにより変身中は利用できないため、TAXIを利用する際はいちいちポムに戻る必要がある。
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TAXIと言いつつ固定の「TAXI乗り場」間の移動しかできない。「TAXI乗り場」はいずれも「かべのうら」に存在する。
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かっぱ堂
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雑貨店のチェーン。アイテムを購入するにはそれ相応のひまわりのタネが必要。同じアイテムでも店によって価格が異なる場合がある。
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これ以外のハムスターのアトラクションは「評価点」にて後述する。
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監視カメラ
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あるプッチメンがユウキ家のいたるところに監視カメラを仕掛けたものの、電源を入れ忘れた状態となっており主人公が電源を入れるまで使用できない。
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この監視カメラは本来の目的であるシルバーやウチュウ怪獣、他のプッチメンが映り込むことはなく、なぜか原住民ばかり撮影している。
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PFOにて監視カメラが捉えた原住民の生態を観ることが出来る。
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スペ倫
いかがわしい映像をカットするケシカラン自主規制。
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この自主規制に基づいて原住民が着替え中もしくは排泄中には映像が遮断される。
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行動中にスペ倫状態となった場合、映像は見えないが行動は可能である。ただし、少し動くたびに警告を受ける。原住民に接触するとダメージを受けるため確かに危険なのだが、さらにポリゴン抜けが起こることもある。
評価点
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ステージ設計が絶妙である
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一軒家がそのままステージである
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散らかっている部屋(もしくは会社のデスク上)を「ダンジョン化している」と表現することがあったが、本作の舞台であるユウキ家はどちらかと言えば片付いている方だが、それでも十分にアクションゲームの舞台として機能しており、目のつけどころが秀逸である。
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パパが子供らに、ある有名な怪談を話すも、オチの部分を話す前に仕事に戻ってしまう。この怪談を知っていると、この建物の構造に関する秘密に気付いた時にニヤリと出来る。
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序盤は背中がトランポリンのウチュウ怪獣を利用して移動していた箇所も、ジャンプ力の向上もしくは新しい能力によって簡単に移動できるようになり、同じフィールドでもじわじわと活動範囲が広がるような絶妙なステージ設計となっている。
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原住民がステージの構成を変化させる。
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閉まっているドアは原住民が出入りするタイミングでしか出入りできない。例えばTAXI乗り場のない2階廊下へは最初はこの方法で移動する必要がある。
冷蔵庫の中の仲間を救出するミッションも、原住民が冷蔵庫を開けるタイミングで入る必要がある。
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例えば書斎の二重構造の書架はパパが書架を移動することで構造の変化が起こる。他にもパパが段ボール箱を動かしたり、イチローのせいで本の山が移動したりする。
このことによってフィールドの難易度が変化したり、行けなかったところに行けたり、逆にプッチメンを救助できなくなったりする。
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特殊技能が多い
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主人公が変身によって使用できる特殊技能は9種類ある。
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ムッチメン
パンチでウチュウ怪獣を倒せる。ただし、ウチュウ怪獣はすぐに再湧きする。
並行でかつ垂直な2つの壁の間を体力の保つ限りよじ登れる。
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プックメン
見た目に反して体重が軽く、高いところから落ちてもゆっくりと落ちてダメージを受けない。
背中がトランポリンのウチュウ怪獣に上から乗ると、他のプッチメンよりかなり高く飛ぶことが出来る。
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エレキメン
エネルギー5を消費して既知のコンセント間を移動できる。
コンセントで充電ができ、家電のコンセントプラグに放電することで家電を稼働させることが出来る。ただし、原住民がいる場合は宇宙文化不可侵条約に抵触するため実行不可となる。
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ヒットメン
エネルギー1を消費して弾を撃てる。ウチュウ怪獣に当たるとウチュウ怪獣を倒せる。ミニゲーム「射撃でバン」で必須の能力である。
ジャンプできない。
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ニョッキメン
手が伸びる。伸びた手でウチュウ怪獣を倒せる。ムッキメンのパンチと異なり、ニョッキメンのパンチでウチュウ怪獣を倒すと再湧きしにくい。
手の伸びる範囲内の壁のフチに掴まることが出来、そこまで移動できる。
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ジャバッメン
唯一水中を泳げる。陸も一応は歩ける。エネルギー1を消費して水中で気泡弾を撃てる。
下水管がつながっている場所(洗面台、流し、バス)同士をワープ出来る。
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ライダーメン
下半身がバイクになり高速移動できる。しかし小回りがきかなくなる。
速度が乗ると体当たり攻撃ライダーラッシュがおこなえる。
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ピッチメン
原住民の電話を傍受できる。クリアには必須ではない能力。
なお、前世紀末は携帯電話よりもPHS電話が普及していて、女子高生らがPHS電話端末を「ピッチ」と呼んでいた。
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パッタメン
グライダー(滑空)が出来る。
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特殊技能はあらかじめPFO内でセットする必要がある。
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ミッションによっては特定の特殊技能が必要なものがあり、どの特殊技能をセットするか悩ましい。
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豊富なやりこみ要素
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このゲームの目的はSOSを出したプッチメンの救出とシルバーの逮捕、そして大爆発の阻止となっている。
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さらに、クリア条件とは無関係の、ハムスターが経営する各種アトラクションのイベントがある。
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サブロー飯店
何故か中国系のなまりがあるハムスターが経営するデリバリー専門の本格中華料理店。配達などの依頼を達成するとお礼にアイテムを貰える。
各依頼は発生する時間帯が決まっており、かつ、その時間帯内に達成する必要がある。また、依頼は順番にこなす必要があり、前の依頼を達成していないと次の依頼は発生しない。
なお、例えばP.M.9時台の配達の依頼の報酬はひまわりのタネ5個だけで、配達先に行くにはTAXIを利用する必要があることからひまわりのタネ5個の経費(?)が必要となり、大半の依頼は達成しても儲けにならないか、赤字になる事さえある。
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これ以外に「めかたdeドン!」「迷路deマイゴ」「射撃deバン」というハムスターが経営するミニゲームがある。
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原住民の生態を盗み見る事ができる
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PFOにて監視カメラの映像を観るだけで原住民らの生態をその場面に居合わせなくとも全時間観察することが出来る。
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ただし、監視カメラの電源を入れておく必要がある。クリアに必須とはいえないアングルの監視カメラがあるが、それらに電源を入れるのもある種のチャレンジ要素となっている。
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原住民たちの行動は予想外で、「料理の天災」による「飯テロ(物理)」など、原住民同士もお互いの行動を予見できていない。
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Infoチップ
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様々な情報を記した情報記憶媒体。プッチメンが落とした物を拾う場合と、イベントで仲間から与えられる場合がある。
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カプセルに入って落ちているものは、わりと遠くからでもその存在は見えるものの、中にはかなり難しいものもあり、クリアに必須ではないがチャレンジ要素となっている。
賛否両論点
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ポリゴン抜けバグの発生が多い
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ウチュウ怪獣から家具越しの攻撃を受けることがある。
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特にスペ倫中はポリゴン抜けがよく起きる。
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ポリゴン抜けバグを利用してママの入浴シーンを見れるというバグ技がある。
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あるイベントを使ったポリゴン抜けのバグ技で建物の外に出られる。
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なお、この技で外に出た後はバグも生じず、次の時間帯開始時にルリちんの部屋の中に戻される。
問題点
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移動中にカメラを操作できない
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移動は左スティックで操作するのだが、カメラは R1ボタン + 左スティック で操作するため、移動とカメラ操作を同時には行えない。
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「頑張らないアクションアドベンチャー」といいつつもシビアなアクションを求められる場面もある
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SOSの救出ミッションでゴルフバッグから棚に乗り移る際のジャンプなど、なかなか成功しないレベルのアクションを求められる。
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最後の爆弾解除など時間制限がタイトなイベントもある。
総評
ゲームオーバーの無い、頑張らないアクションアドベンチャー。レーティングは無いが全年齢対象の内容と難易度である。
1時間帯ごとに区切りが来るため、現実時間で12分毎に止め時があることも「頑張らない」という感覚に合っている。
クリアに必須ではないお使いイベントでも最終的には強化につながるなど、更に救済措置がある。
原住民たちの意外な生態も面白い。欲を言えば原住民の行動もプレーヤーの行動に合わせて変化して欲しいところだろう。
余談
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イチローは設定上はネイティブな大阪弁なのだが、関西出身の声優が手配できずに胡散臭い似非大阪弁のCVとなってしまった。
最終更新:2024年11月11日 13:00